僕らはみんな生きている♪

生きているから顔がある。花や葉っぱ、酒の肴と独り呑み、ぼっち飯料理、なんちゃって小説みたいなもの…

ふたつのポッド

2009年02月22日 | SF小説ハートマン
ドロイド達の無駄の無い働きにより、それはほぼ50時間で組み立て終わった。

出来上がったものは人間が一人入れるほどの大きさで、コックピットのように肘掛けつきの椅子がひとつある他は窓もスイッチも何もない個人用サウナポッドのような形状をしていた。
そして同じものがもう一台。

一方にその人間、もう一方に宇宙(ひろし)が入るように信号は指示している。

人間を傷つけないように細心の注意をはらって薄膜にメスを入れると粘液状の羊水が流れ出た。
見た目に反して羊水はさらりとしていて肌にまとわりつくことはなかった。
介助用に再プログラムされたドロイドが慎重にポッドに運び入れる。


宇宙は全ての記録装置のスイッチがONになっていることを確認し、小さな入り口を静かに閉めた。

照明などどこにもないはずなのにポッドの中はうっすらと明るく、クッションのない金属製の椅子が柔らかいソファーのように感じられた。



やがてポッド内側全体が発光を始め、宇宙は暖かい光に包まれた。










コメント
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