僕らはみんな生きている♪

生きているから顔がある。森の葉っぱ、なんちゃって小説みたいなもの…

「パトスとエロス」 角砂糖

2009年03月30日 | ケータイ小説「パトスと…」
電車が大きく揺れ、
誰かの手荷物が当たるのを嫌った乗客のひとりが位置を変えようと動く。

満員電車の中では誰かが位置を変えようとすると必ずその回りの数人が影響を受け皆少しずつ動くことになる。

角砂糖を小さな容れ物に移す時、小刻みに揺らすと立方体がきっちり無駄なく揃っていくのに似ている。

要するに乗客達が効率よく車両に詰まっていくわけだ。


毎日毎日そうして詰め込まれたり押し出されたりすることから辰雄の一日は始まる。


角砂糖はどう見ても一つ一つの個性はない。
多少角が欠けていたり、揺らしてもなかなか揃っていかない頑固な奴も時々いることはいるのだが、それを個性と言うには無理があるだろう。

揺れる車内で次第に密着度を増しながら自分が急に角砂糖になった気がして個性のない回りを見回してみた。









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「パトスとエロス」 ipod

2009年03月29日 | ケータイ小説「パトスと…」
辰雄はいつでも微笑みかける準備をしていた。

あっ先日はどうもありがとうございました。お礼も言えなくてごめんなさい。

なんて言われたら、素敵なキーケースだったんで貰っちゃおうと思ったんですが、あなたが確か持ってたのを以前電車で見たもんで…

なんて冗談のひとつも言ってみたら笑うかな?
まさか忘れちゃってないかな?こっちから、あの時はどうも、って言うのも変だしな。

いろいろ考えながらその人の行方を見守った。

その人は辰雄に全く気付かない様子だ。
3つの後が残る耳にピアスはなく、そこにはホワイトのイヤホンが揺れるショートの髪に見え隠れしている。

バッグからパステルピンクのipodを取り出ししばらくの間操作する。
何を聴いているのだろう。今流行のYMOか。






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SF小説「ハートマン」 ミリンダの時間

2009年03月28日 | SF小説ハートマン
「簡単に言うなら、時間は流れていて止まることがないもの。その流れの中で一定の間だけ個々の生命が活動する。僕はそんな風に考えているんだけど」

「ほとんど同じだと思います。違うところがあるとすれば、」

そういってミリンダは宇宙(ひろし)から視線を逸らせた。
例えを探しているように首を傾げていたが微笑みは絶やさなかった。

宇宙はそんなミリンダをじっと見つめながら次の言葉を待っていた。
ミリンダは美しかった。次の言葉はなくても良い、このままずっと見つめていたいと思ったほどだ。


大きく息をしてミリンダは視線を宇宙に戻した。

「やはり上手に説明できないような気がしています。ごめんなさい」

「分からなくてもいい、ずっと分からなかったんだから。でもあなたの口から聞いてみたい。
宇宙船が牽引ビームを振り切れなかった時から地球とは絶対的にちがう大きな物があることは感じていたんだ。

まるで自分が小さな塵のひとつのような、体の中にあるミクロの細胞になったような、そんな気がしている」









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3月終わりの健康診断

2009年03月27日 | いろいろな顔たち
20秒間見つめて下さい。




    ↓







    ↓









ここに何かが見えた人には


脳ドックをおすすめします。


そんなのお金がかかってイヤだ

と言う人は

思い切ってお友達になりましょう。

仲間になっちゃえば

毎日がたのしくなります

宗教と同じなり。。。








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「パトスとエロス」 風の中に

2009年03月26日 | ケータイ小説「パトスと…」
春の風が吹き荒れていた。

電車のダイヤはどの路線もみな乱れ、乗客達の顔は黄砂と花粉でくしゃくしゃになっていた。
駅ではホームに出ず自動販売機の影とか階段の踊り場などで風を避けて待っている人が大勢いて、人身事故でも起きた時のような何となくいつもと違う雰囲気を作り出していた。


やっと来た電車に乗り外を眺めていると立木が皆大きく揺れている。
こんな町中を白鷺が飛んでいるのか、と思ったら乱れ飛ぶポリ袋だった。

ドアが閉まってしまえば風はもう入ってこないので乗客達はホッとした表情で髪をなでつけたり携帯を取り出したりしている。



そして再び電車が停車しドアが左右に開くと、ホームに並んだ人を押し分けるようにして数人の乗客が降り、入れ替わりに風と大勢の客が流れ込んできた。

その中にその人はいた。












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だいこんの花

2009年03月25日 | その辺の木や花です
菜の花みたいでとて可憐な花ですね。






そしてこれは


だいこんバナ








そしてそして これは


だいこん足








そしてそしてそして これが


だいこん役者


なりよ。。。





















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花粉症かい

2009年03月23日 | いろいろな顔たち
♪わ~たぁし~の~瞳ぃが~濡れているの~は~

涙じゃなんか な い わ

花粉のせいなの~



「目病み女に風邪引き男」って昔っから言うでしょ?


目も鼻もぐっちょんぐっちょんなのって

結構魅力的なのよ。。。



はな垂れ女もですか?

てか、あんた鼻あるのかい




       うへ!?















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「パトスとエロス」 ファミレスの女子高生

2009年03月22日 | ケータイ小説「パトスと…」
「ねえねえアイスココアとバニラオーレ、半分ずつ混ぜるとミロになるって知ってる?」
「えー何それ何それ?」

「やってみてよ」
「よし、あたし行ってくる」きゃははは

「ホントに行っちゃった」きゃはははは

友達と辰雄が見守る中ひとりがドリンクバーに歩み寄る。そして神妙な顔で戻ってきた。

「どうしたの、それ?」
「両方入れたら溢れちゃったよぅ」

「そりゃそうだね、2杯分だから」きゃははははは

「そんでどう?」

そっと一口含んだ女子高生がとびきりの笑顔で答える。

「んーうん、ミロだ!」

貸して貸して、私もー。突然グラスの奪い合いが始まる。

「うわホントにミロだ。すっごーい!」
「強い子のミロだー!」きゃはははははは


15歳くらいなんだろうな。毎日楽しいことがいっぱいだね。
砂糖なしの苦いコーヒーをすすりながら、留美子のはじける笑顔を思い出している辰雄は今25歳だった。



















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「パトスとエロス」 今日こそ

2009年03月21日 | お知らせ
30分早く起き、10分早く駅に着いて電車を待った。

果たして、うーん、思わずため息を漏らした辰雄だった。
今日も彼女は来なかったのだ。。


お店勤めやシフトの仮説は崩れ去った。
通勤の時間がもともと違うのかも知れない、たまたまこないだだけ自分と同じ電車だっただけなのだ。
と一気にマイナスの考えに落ち込んでいった。

翌日は土曜日で辰雄の出勤時間はいつもより1時間早い。電車のダイヤも違う。

はーぁ、またひとつため息が出た。

「ため息をつくと幸せが逃げちゃうよ」
と母が昔よく言っていた。
でも逆だよな。幸せが逃げちゃったからため息が出ちゃうんだよ。


土曜日もやはり会えなかったが、もともと期待していなかったのでがっかりすることもなかった。

仕事の合間にファミレスでひとりコーヒーを飲んだ。
隣の席に女子高生が3人、他愛のないおしゃべりをして大声で笑い転げている。










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「パトスとエロス」 エルメス

2009年03月20日 | ケータイ小説「パトスと…」
留美子は8年前に死んだ。でも生きていたら丁度そんな素敵な女性になっているに違いない。
紫陽花に囲まれた鎌倉で微笑む留美子が辰雄の胸を温かくした。


明日電車で会ったら本当に似ているのか確かめてみよう。そう思うと少し嬉しくなった。
意味もなくバレーボールのレシーブ、トス、アタックの真似をしながらステップを踏んで歩いたりした。


翌日の朝、期待に膨らんだ辰雄の思いはコットンの花のように赤く染まってしおれてしまった。

エルメスの彼女は辰雄の電車に乗らなかったのだ。

次の駅で途中下車して一本次の電車を待ってみたが、やはり彼女はいなかった。
木曜日だったが、お店勤めだったら平日休みって事もあるし、早番とか遅番とかの勤務シフトもあるだろう。

きっとそんなタイミングで外れただけだ、と自分を納得させ諦めるまでに何駅分の時間がかかったのだろう。
気がつくとまたいつもの可憐な花を見逃してしまっていた。


その翌日、今日こそ逢えるだろうと期待は昨日よりずっと膨らんでいた。










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「パトスとエロス」 紫陽花の予感

2009年03月19日 | ケータイ小説「パトスと…」
手のひらを広げてキーケースを見せた。

ハッとした表情でバッグとポケットを確認し、すぐに困ったような表情になった。

「すみません」
「ドアのすぐ外に落ちてました」
「ありがとうございます」

聞き取れないくらい小さな声だった。

「いいえ、じゃ」

そう言い残し辰雄にしては早足でその場を離れた。

ずいぶん歩いてから、改札口が見えなくなる曲がり角で我慢できなくなり振り向いてみた。
彼女はどこにも見つからなかった。


ゆっくりした歩調に戻り少し悔やんだ。もう一言何か話してみてもよかったんじゃないか、ひょっとしたらこれをきっかけにお友達になれたかも知れないのに。

そんな小説みたいなことがあるはずないと分かっていてもちょっと空想の世界で遊びたかったのだ。
仲良くなった時を想像しながら歩いた。

フラワーショップの店員が開店の準備をしていた。
鉢植えを店先に並べ打ち水をしてひときわ明るい春の幸せを演出している。温室から運び出されたのであろう初物の紫陽花がたくさん並べられていた。
小さな鉢に不釣り合いなほど大きく、水色、桃色、淡いパステルカラーに咲いた花たち。1280円。

紫陽花かぁ、
そう思った時辰雄の足が止まった。


さっきの人、留美子に似ている。












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みんな可愛いんだよ

2009年03月17日 | ウォッチング
昔はよかった


でも、いまも結構捨てたモンじゃない







なぁ、うさ








うっそ~








かぴ?    だよね。。。












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「パトスとエロス」 落とした物

2009年03月16日 | ケータイ小説「パトスと…」
新しい物だ。使い始めてまだ数日かも知れない。

拾い上げてみると思ったよりずっと重量がある。ムクの銀でデザインされたくつわが重厚に光るエルメスのブランドに見覚えがあった。
昨日隣り合わせに立っていたショートカットの女性が手に持っていた物だ。

その人はオ・パフメの優しいフレグランスに包まれて目を閉じていた。
じろじろ見ては失礼かと思ったが、耳にピアスの穴が3つもあったこともあって良く覚えている。


すぐに持ち主を探した。

今落としたのならそんなに離れていないだろう。
辰雄は改札口に急ぐ。
かき分けた何人かに迷惑そうな顔をされたが、エスカレーターの中程に後ろ姿を見つけることができた。
歩き上る右側の列に割り込むとまた迷惑そうな顔をされたが頭を下げて強引に割り込んだ。

何故そんなに急ぐのか。
階段が動く、そのことだけで充分急いでいると思うのだが、そのエスカレーターをまた急いで上る。いつもはそんなに急いでどこへ行くんだ、と感じていたのだが今は本当に急いでいる。

はぁ、とため息がひとつでる頃、その人とほとんど同時に降り立つことができた。


肩を叩いて良いものか一瞬ためらった。
最近多い痴漢冤罪の記事が頭をよぎったのだ。
手は出さないことにして横に並び、歩きながら声を掛けた。

「あのぅ、これ」






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「パトスとエロス」 終着駅ホーム

2009年03月15日 | ケータイ小説「パトスと…」
ドアの左右から揉み出されるように乗客がホームにこぼれる。

こんな狭い空間に何十分間も一緒にいたのに、皆一様に無表情だ。

毎日毎日ほとんどの、おそらく半分以上の人がいつも同じ車両に乗っている。
しかもほとんど同じ場所だ。辰雄と同じようにお気に入りの場所がそれぞれあり、回りにいつもの顔を認めて安心しているのかも知れない。


ホームに流れ出た人達は皆競うように急ぎ足だ。
ライオンに追われるトムソンガゼルか?
誰かの後を追う宿命のヌーか?
いや、それほどでもないか

もしそうだったら辰雄は真っ先に食われてしまうか踏みつぶされてしまうか、いずれにしても生き残れないだろう…


辰雄は父親譲りの性分なのだと思うが、出勤にはいつも充分すぎるくらい時間に余裕を持っているので自然とゆっくりとした歩調になる。
その分、周りにあるものや人間を観察しているのだが、友人と並んだ歩くと「おせーよ」とか「おのぼりさんかよ」と言われてしまったりする。


何かを踏んだ。見るとキーケースだった。









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「パトスとエロス」 通勤電車

2009年03月14日 | ケータイ小説「パトスと…」
まもなく終着駅に到着を告げる車内放送があった。

放送を聞きながら辰雄はいつも思うのだが、降車口は右か左かと言う時、それは電車の進行方向を見て言っているということを乗客全員が本当に分かっているのだろうか。

小学1年生の頃だったと思う、電車に乗ることだけでうれしくて座れなくてもドアの窓にへばりついて流れる景色を見ていた。
手前の建物は電車と同じスピードで後ろに流れ、遠くに見える風呂屋の煙突とか大型スーパーの看板はゆっくり動き、夏の入道雲はほとんど動かないのが不思議で面白かった。

終着駅のアナウンスを聞くことは楽しみの終点でもある。

残念な気持ちで降車口の案内を聞いた。ドラムを締め付けるタイトなブレーキ音が消えると、ドアは辰雄の思っていた方と反対側が開いた。
確か右側って言ったけど開いたのは左側だ、はっきりと聞いたから多分間違えだろう、車掌さんも間違えることがあるんだな。と単純に思っていた。


終着の駅に近づきポイントを通過する。何番線ホームに到着するかによって違うが左右どちらに大きく揺れる。
いつもの電車なら右に大きく揺れるはずだ。

そして左側のドアが開く。

ナベサダのマイディアライフはまだ途中だったが、辰雄はオーディオテクニカのイヤホンを外しウォークマンをバッグにしまった。














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