そこまで来た時、女はもう歩いていなかった。
足の裏からぐいぐいと押し上げる玉砂利が、うねり、
ベルトコンベアのように女を運んでいた。
あの時と同じだ。
行かなければいけないんだ。
義務感に支配されてここまで来た。
それがなければただ恐怖に呑まれてしまっていただろう。
しかし、気がつくと今恐怖はない。
公園のローラー滑り台を滑るあの快感に似たものが心を満たしている。
私は招待されているんだわ。
あの時、記憶を失うほど怖い思いをしたのに
それに近づいていることを分かっているのに
招かれた先にそれがあることも知っているのに
何故恐怖がないのだろう。
人は誰も感情で生き方を変える。
どんなに金持ちや権力を持っている者でも、けなされると腹を立て誉められるとうきうきする。
飢えて希望を失った者も、罪を犯した者も同じだ。
そこに行くために自分は選ばれたのだという
優越感に似た感情が恐怖を覆い隠しているのだろう。
女は足踏みをしているがもう全く歩いていない。
玉砂利のウェーブに乗ってスムーズに移動している。
まるでMJのムーンウォークのようではないか。
太陽が沈むと、森はあっという間に真夜中になる。
いつの間にか月が世界を支配していた。
見上げた月影の中で、
ほうっと梟が鳴いた。
足の裏からぐいぐいと押し上げる玉砂利が、うねり、
ベルトコンベアのように女を運んでいた。
あの時と同じだ。
行かなければいけないんだ。
義務感に支配されてここまで来た。
それがなければただ恐怖に呑まれてしまっていただろう。
しかし、気がつくと今恐怖はない。
公園のローラー滑り台を滑るあの快感に似たものが心を満たしている。
私は招待されているんだわ。
あの時、記憶を失うほど怖い思いをしたのに
それに近づいていることを分かっているのに
招かれた先にそれがあることも知っているのに
何故恐怖がないのだろう。
人は誰も感情で生き方を変える。
どんなに金持ちや権力を持っている者でも、けなされると腹を立て誉められるとうきうきする。
飢えて希望を失った者も、罪を犯した者も同じだ。
そこに行くために自分は選ばれたのだという
優越感に似た感情が恐怖を覆い隠しているのだろう。
女は足踏みをしているがもう全く歩いていない。
玉砂利のウェーブに乗ってスムーズに移動している。
まるでMJのムーンウォークのようではないか。
太陽が沈むと、森はあっという間に真夜中になる。
いつの間にか月が世界を支配していた。
見上げた月影の中で、
ほうっと梟が鳴いた。