僕らはみんな生きている♪

生きているから顔がある。花や葉っぱ、酒の肴と独り呑み、ぼっち飯料理、なんちゃって小説みたいなもの…

ポッドの行方

2009年02月23日 | SF小説ハートマン
ワープに入る瞬間のような加速度を感じた。

しかしそれは一瞬のことで、軽いめまいと感じる程度だった。


うっすらと発光していたポッドの内側が消え広い空間に変わった。
そこは以前見たことのある部屋のようだった。
大きな窓、ゆったりとしたカーテン、植物。

モニターで見たそれだ。

宇宙は壁に映し出された3D映像かと手を伸ばしてみたが、そこにあるはずの壁に手は触れなかった。
宇宙は立ち上がりもう一方のポッドを探した。並んでセットされていたはずだ。


ポッドは消えたいた。だが、人間はすぐに見つけることができた。
窓際に立って宇宙(ひろし)を見つめている。

宇宙と視線が合うと手を伸ばし微笑んだ。
親しい友人を自宅に招いた時のようなごく普通の自然な動作だった。

上質のサテンのように光沢のある布を身につけている。
体に巻き付いているだけのようにも見えるがそれは体の動きと共にしなやかに揺れ、ずれることもなく優雅に彼女を包んでいた。

歩み寄ると彼女は両手で宇宙の両手を取り、祈る時にするように合わせると自分の額にそっと触れ何かつぶやいた。
今度は自分の手を宇宙の前に揃えて出し、同じようにするよう宇宙を見つめながらにっこりとうなずいた。









コメント
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