
◎2022年11月7日(月)
そろそろ高田山の紅葉も見頃だろうか。ここでいう高田山とは、石尊山も含めての通称のことで、3年前の11月4日に石尊山の延長で登った高田山そのものの紅葉は、石尊山に至るまでの区間のそれに比べてかなり見劣りし、そのまま石尊山に戻るのも大人し過ぎるかなと下った北尾根、東尾根の下の方がまだ見られる紅葉だった。そんなことがあったので、今回、高田山まで行くかは、メインルートの石尊山までの紅葉の状況次第ということにする。3年前の高田山はすでに終わりのタイミングだっただけのことかもしれないし。
集会所の駐車場に車を置くつもりで狭い坂道を下ると4台の先客がいて、入り込むスペースはない。切り返しもできず、バックで坂道を戻った。致し方なく国道沿いの駐車地に入れた。他に一台あった。ここには以前、<四万温泉情報ぽけっと>という看板のあるバス待合所らしい建屋があったが、工事でもしているのか、無人のユンボが置かれ、建屋そのものがなくなっていた。ここはメロディラインが始まる国道353線沿いになる。
(里の紅葉)

(石屋さん。ここを右上に。おカミさんが竹ぼうきで塵を集めている)

石材店から曲がって入ろうとしたら、掃除中の店のおカミさんらしき女性に声をかけられ、ノートに名前を書いてくれと言われた。ノートは半分露か雨で濡れていた。昨日は遭難騒ぎがあって救助ヘリが出動したとのこと。そんなことで書いてくれということだった。話し好きの方らしく、昨日あたりは、車が道路沿いにあふれていたそうな。昨日来なくて正解だったようだ。もっとも、混んでいるだろう山にわざわざ土日を選んで来ることはしない。昨日は用事もあった。無職者は平日はヒマだが、土日は何かと用事がある。それは用事の相手が仕事で土日しか時間がとれないからだ。
おカミさんのおっしゃる遭難事故のことが気になり、後で調べた。11人グループでやって来て、石尊山からの下山中に女性が20m滑落して腕を骨折。助けようとした仲間の女性も7m滑落で軽傷。グループにはリーダー格の男性もいたろうに、男連中は何をやっていたのか。ただ見ていただけなのか。かろうじて119番通報をして防災ヘリを呼んだのはグループの男性らしい。携帯がつながり、ハイカーも多い石尊山だったから防災ヘリでの救助も可能だったのだろう。滑落したのは二人ともネエチャンや妙齢、せめてオバチャンとは言い難い年代だった。そうでなかったら、男仲間もボーっとはしていなかったろうし、滑落者がもっと増えていたかもしれない。ヘリの救出まで滑落から2時間15分もかかっている。ヘリの出動が遅れたのもあったかもしれないが、ポピュラーな山でどうしてこんなに時間がかかったのだろう。昨日は大勢のハイカーが入っていたろう。現場を通りかかったハイカーも結構いるはずだ。調べたニュースのニュアンスとしては、結局はグループ内で処理したようだ。情況を知らずの立場でいうならば、あまりに冷淡過ぎやしないか。
(山道になった。道は明瞭)

(鳥居をくぐる。この鳥居、石尊山の山頂にある石祠が本殿なのかと思うが)

前後関係はなく、そういうことで石尊山に向かう。ヤマビル除けの食塩水ボックスはそのままにある。もう11月だ。ヤマビルは活動停止だろう。取り出しもしなかった。コンクリの道から山道に入る。その山道もジムニークラスの車だったら入れる作業道だなと思ってもいたが、カーブにかかって、それは無理な山道になった。色づきもない。出だしからあまり期待はしなかった。曇り空だった。
鳥居をくぐり、杉の植林になった。植林はすぐに終わり、広葉樹の斜面になった。北に登る斜面の道は蛇行して行く。これは理にかなった道づけだ。直登したらたまらない。
(ほどなく出てきた。これではまだまだ)

(赤だから目立つが、青葉がまだ多い)

(黄色は接近すると焼けていた)

そろそろ色づきが出てくる。淡い赤とオレンジ。だが、半分以上はまだ青葉だ。それも散発的。標高としては800m。先日の高ジョッキから5日後と考えると、1000mを越えないと本番にはなるまい。地図を確認する。コースは北西方向から1049m標高点手前の1000mあたりで西への高田山に向かう。石尊山はその間にある、地図上では名無しのピークだ。稜線というほどのものでもないが、その稜線に乗る手前あたりから本格的な紅葉にならなかったら、今日はまだ早かったということになり、例年よりも若干遅いことになる。そんなことよりも、息切れしては立ち休みを繰り返す。高ジョッキは楽勝に近かったし、それに比べると結構しんどい。
(稜線が見えてはいるが、ストレートに登るわけでもなく、登山道を歩いている限りは結構遠い。ガツガツする必要もないので、登山道に合わせて歩く。色的にはまだ淡い)

(こんな感じ。熟しきってはいない)

(この時点ではどんより空だった)

(それでも真っ赤はあった)

(意味もなくアップで)

見上げると稜線が遠くに見えてくる。まさか、この状態で少し早かったで終わりではなかろうと思ったが、840mあたりから淡いままながらも賑やかになってきた。黄色メインが赤主体になり、そのうちに青葉は少なくなった。それでもまだ鮮明な色づきではない。この辺はあと一週間といったところだろうか。運よくたまに陽ざしが入り込む。上はかなり赤くなっている。急いで登って行きたいが、目の前の淡くきれいになっている紅葉に気をとられ、時間もまたとられる。気が急く。それでも下やら脇の斜面を見てはまた立ち止まる。
(水場。水は落葉をあさらないと出てこないようだ)

(淡いのはそのままだが、賑やかになってきた)

(なかなか幻想的)

940m付近になった。獅子井戸の水場。クマにかじられたらしい標識だけがある。石の間に流れていたと思しき水は枯れ、窪みが落葉に埋もれている。ここから傾斜は緩くなり、ここまで尾根伝いにクネクネした道は尾根から離れ、遠回りの形で稜線に続いて行く。急登はなくなりほっとした。これでゆっくりと濃くなりつつある紅葉を楽しめそうだ。
上がるに連れて気分も併せて良くなる。稜線に出るあたりは、陽がさほどにさしていないのに、赤、オレンジ、黄色、緑と色とりどりだ。見頃ピークには数日早いかもしれない。これも光の関係だろうか。だが、この賑やかさには十分に満足だ。高田山は混んでるからと高ジョッキで済ませて終わりにしなくてよかった。
(稜線に出て、東側に寄り道。その先に密集地は見えなかった)

(稜線歩きで)

(石尊山に向けての稜線を歩いているが、どうもすっきりしない)

(登って来た左斜面だけが気になる)

(まぁ、良しとしよう)

(ここの紅葉は赤が主体のようだ)

稜線に乗る。東側の尾根もきれいだったのでそちらに寄り道をしかけたが、奥深い紅葉でもなかったのですぐに戻って、先ずはの石尊山に向かう。二人連れが下って来た。ハイカーと初めて出会った。先の紅葉の様子を聞こうとしてやめた。自分の目で確かめればいいだけのことだ。
稜線上を歩く。何か変な感じがする。標高が上なのに、左下斜面ばかりに目が向いてしまう。右下の北側はどうしても光が当たらずにくすんでいる。これは仕方がない。稜線上にも紅葉はあって、真っ赤になっているのもあるにはあるが、青葉が混在している。これからなのかなと思ったりもしたが、そんなはずはない。樹が少ないだけのようだ。
(わかりづらいが、高田山がかすかに見えている。この時点では、これで終わりかと思っている)

(ところがどっこい。これは上の青空の効果だろう)

(こんな混じり具合もあったが、これはこれできれいだった)

(淡くなって)

(この先からは寂しくなる。これは反対側から撮っている)

(もう紅葉はない)

(石尊山山頂が見えて)

(石尊山)

高田山らしきピークが右前方に見え出すと、次第に群れてきた。こうじゃなくちゃと稜線の歩きをしばらく楽しんだが、石尊山下の岩を過ぎると、紅葉は消えた。樹々に付いているのは茶色になって丸く乾燥したカスの葉だけ。つまり、稜線上はもうそろそろ終わりということになる。
実はここでほっとした。高田山には積極的には行きたくなかった。これでは高田山に行く必要はあるまい。少しだけ残っていたとしても感心するほどの紅葉に出会えるとは思えない。早いかなと思いながらも期待はしていなかったが、高ジョッキどころの満足度ではなかった。高田山は、今日はナシとする。陽が陰りもしなくなったから、上りで楽しめなかったところを下りで楽しむのが賢そうだ。
石尊山の山頂に到着。11時ちょうど。出発は9時半だったから、紅葉にかまけてなかったら一時間もあれば着く。結構急だったから、たかが一時間歩きでもきついだろうが。山頂には二人連れとオッチャン二人組がいた。狭い山頂だ。二人組はオレと入れ違いに下って行った。
(これが下の鳥居の本殿もしくは奥の院といったところか)

(高田山。斜面は色濃くなっているが、見るべき紅葉もないだろう。まして頭上は雲に覆われている)

(気になっている高田山南尾根)

(高田山へのゲート)

(あの尾根を登って来た形になる)

展望を楽しみながら菓子を食べて休む。人がいるのではタバコは吸えない。高田山に向かう玄関口にはロープだけが張られていた。3年前は、そのすぐ先に「キケン注意」のテープが張り巡らされていたが、今はない。当初、石屋のおカミさんから遭難事故のことを聞いた時には、この先の高田山に至る間での事故だとばかりに思っていた。実は事故現場を聞いておきたかったが、話が長くなりそうなのでやめた。
前回もそうだったが、高田山から南に下る長い尾根が今回もまた気になった。あの尾根を利用したらどうなるのか。石尊山の紅葉を犠牲にするしかなくなる。そうでもしなければ、車の回収をするのにとてつもなく長い車道歩きになる。チャリデポなら可能だろう。単独のオッサンが上がって来た。二人連れはまだ食事中。狭いから会話は丸聞こえだ。オッサンの腰掛け場所もないだろうと下山する。別にオッサンが来たからというわけでもないが、陽が隠れたりしないうちに、下りの紅葉を楽しみたかった。
(下る)

(やはり、見上げるのと見下ろす感覚は随分と違う)

以下は下りになるが、写真を並べて済ますことにする。下手な言葉表現よりも、ヘタな写真とはいえ想像はつくかと思う。山頂にいた二人組はてんでにあちこちの尾根に入り込んでは写真を撮っていて、こちらも真似してみたりしたが、途中で追い越してしまった。その間、随分とハイカーが登って来た。10人以上とは行き会ったろうか。








(そろそろ終わりだろうか)

(復活した)

(オッサン仲間の一人が一眼で撮っていた)

(まだまだ続く。光があたるとこうも違うのか)




(紅葉はもう消えたか。というか、これからの見頃だろう)

(山道の歩きに戻る)

(車道歩きで。あの三角形の山が気になった。赤沢山らしい。こちら方面の次回はあの山だな。稲包山まで行くかはその時の体調次第だ)

(駐車地。メロディラインの曲は『いつも何度でも』となっているが、そんな曲は知らずで調べると『千と千尋…』の曲だった)

駐車場に戻った。2台だった車は6台になっていた。時間は12時20分。休憩込みで3時間弱だった。このまま帰宅したのではもったいなく、摩耶の滝、小倉の滝、しゃくなげ滝の三滝を見物するつもりでいた。ただ、全部回るのは無理かと思う。犬の夕方散歩がある。先ずは摩耶の滝。その間に、件の二人組が戻って来て、こちらが来る前にすでに隣にあった車に乗り込み、さっさと帰って行った。男同士の山歩きはそんなものだろう。
【摩耶の滝】
滝まで歩く距離が三つの滝の中では小倉の滝が一番長そうで、駐車地からは片道40分。摩耶の滝は30分。しゃくなげの滝の歩く距離は不明。おそらくは車道からでも見えるのだろう。ここは摩耶の滝を先行した。
普通の滝見コースとしては、日向見薬師堂から歩くようだが、薬師堂に行かずとも、トンネルの前に逆戻りする坂の方向に滝への標識を見つけ、トンネル脇の空き地に車を置いて、遊歩道に入る。遊歩道とはいっても、車が入れそうだが、遊歩道の補修工事をしているらしく、工事用の車が2台、遊歩道に止まっていて、時間的に昼休みタイムだったからか、それぞれの車の窓に足を投げ出した工事の方がシートに寝そべってタバコを吸っていた。
四万温泉協会のHPには1.8kmの歩きとあったような気がしたが、標識には距離は出ていず、歩き出しから20分ほどしたところに歩道沿いに東屋があり、そこでようやく「摩耶の滝 LAST 450m」の標識を見た。気になったのは、歩道から見える沢がかなり下、100mはありそうで、下まで行って登り返すのはしんどいなと思って先に行くと、案の定、下り階段になっていた。階段があるだけましだなと下ると、さして下らずに東屋があって、脇が滝見台だった。この滝、落ち口は見上げても、滝つぼは見下ろすしかない滝だった。どうも、本流に流れる別沢の滝のようだ。歩き出しから25分で到着。
いつもなら、滝下に降りるのだが、ここは周囲がほぼ垂直な岩壁になっていて、ポールにガードのロープもしっかりと巻かれている。残念ながら、真正面からは見られない。どうしても左横からになる。滝の全景を撮るのは無理がいく。スマホに付けたポールを長く伸ばしても撮れないだろう。沢から遡行して滝の真下に行ったとしても、滝つぼ周辺は狭く、流れも強く、厳しいかと思う。
落差は20mとか25mとか。滝の落ちはかなり強い。摩耶の滝という名があるくらいだから、身投げでもした摩耶姫の悲話でもあるのかと思ったが、置かれた看板にはハッピーエンドの逸話が記されていた。
(摩耶の滝への案内板)

(明瞭な歩道。気持ちがよかった)

(途中に休屋があったりして)

(やはり下りか)

(狭い滝見台。ロープが張られている)

(全景がどうにも入らない)

(落ち口も隠れている)

(きれいな流れ落ち)

(ロープからのけぞって撮った滝つぼ。これ以上は無理)

(一方向からしか見られないのが残念)

(左隣にあった別沢?の滝。これもこれ以上は見えない)

(標識を入れて)

(戻って階段登り)

(トンネル前の駐車地)

滝見を終えて駐車地に戻る。ここの歩道にはクマ除けの鐘が5か所ほどにある。備え付けの金槌か石で半鐘のように叩いて鳴らす。このカーンカーンがとてつもなく甲高く鳴り響く。都度に叩いていたが、食後の休憩を済ませた工事の方々が、電動のトロッコのような乗り物に材料を運んで来たのか、作業をしていたのでもう叩くのはやめた。
(せっかく奥四万湖まで来たのに、ここをうろついただけだった)

(実際はきれいだったが)

(アップにすれば盛り)

【しゃくなげの滝】
次はしゃくなげの滝。ここで、瀑泉さんの三年前の記事をよく読んでいたら歩き方も変わっていただろう。日向見薬師堂には寄っていないし、大泉の滝、小泉の滝も見ていない。奥四万ダムのエレベーターの存在すら知らず、ダムの壁と駐車場近くの紅葉だけ見て滝に向かった。いずれまた来ることになる。その時に時間があれば小倉の滝とともに寄ることにしよう。四万ブルーそのものも今回は情報収集能力不足で見てもいない。
しゃくなげの滝には少々がっかりした。奥四万湖のどんづまりに専用の駐車場があり、少しは歩くかと思ったが、駐車場に隣接していた。典型的な観光滝。それでも観る価値はあったか。
(しゃくなげの滝駐車場)

(しゃくなげの滝。明る過ぎた)

(落ち口)

(これも明るい。滝の中間部)

(岩の凹凸に合わせて流れる)

(滝つぼ)

すでに2時15分。中之条やら水上といった群馬奥地は高速にしろ17号線経由で行こうが、自宅までの時間はさして変わらない。犬の散歩は懐中電灯になる。月曜日を選んだのが失敗したようだ。渋川までは何とか普通の流れで行けたが、ナビの17号線渋滞情報で、急遽、関越に入ろうとしたら、駒寄と前橋の間で工事渋滞と電光掲示板に出ていたので、そのまま17号にした。予想通りに断続的な渋滞が50号線の合流まで続き、太田に入ったら、今度は通勤の帰りにぶつかった。実は、今日もまた往路で失敗していた。犬の散歩を終えてのんびりと出たのがわざわいして、17号線を抜けるまでに30分は余計に時間がかかっていた。今のところ平日はいくらヒマでも週明けの出歩きは避けた方がよいみたいだ。
そろそろ高田山の紅葉も見頃だろうか。ここでいう高田山とは、石尊山も含めての通称のことで、3年前の11月4日に石尊山の延長で登った高田山そのものの紅葉は、石尊山に至るまでの区間のそれに比べてかなり見劣りし、そのまま石尊山に戻るのも大人し過ぎるかなと下った北尾根、東尾根の下の方がまだ見られる紅葉だった。そんなことがあったので、今回、高田山まで行くかは、メインルートの石尊山までの紅葉の状況次第ということにする。3年前の高田山はすでに終わりのタイミングだっただけのことかもしれないし。
集会所の駐車場に車を置くつもりで狭い坂道を下ると4台の先客がいて、入り込むスペースはない。切り返しもできず、バックで坂道を戻った。致し方なく国道沿いの駐車地に入れた。他に一台あった。ここには以前、<四万温泉情報ぽけっと>という看板のあるバス待合所らしい建屋があったが、工事でもしているのか、無人のユンボが置かれ、建屋そのものがなくなっていた。ここはメロディラインが始まる国道353線沿いになる。
(里の紅葉)

(石屋さん。ここを右上に。おカミさんが竹ぼうきで塵を集めている)

石材店から曲がって入ろうとしたら、掃除中の店のおカミさんらしき女性に声をかけられ、ノートに名前を書いてくれと言われた。ノートは半分露か雨で濡れていた。昨日は遭難騒ぎがあって救助ヘリが出動したとのこと。そんなことで書いてくれということだった。話し好きの方らしく、昨日あたりは、車が道路沿いにあふれていたそうな。昨日来なくて正解だったようだ。もっとも、混んでいるだろう山にわざわざ土日を選んで来ることはしない。昨日は用事もあった。無職者は平日はヒマだが、土日は何かと用事がある。それは用事の相手が仕事で土日しか時間がとれないからだ。
おカミさんのおっしゃる遭難事故のことが気になり、後で調べた。11人グループでやって来て、石尊山からの下山中に女性が20m滑落して腕を骨折。助けようとした仲間の女性も7m滑落で軽傷。グループにはリーダー格の男性もいたろうに、男連中は何をやっていたのか。ただ見ていただけなのか。かろうじて119番通報をして防災ヘリを呼んだのはグループの男性らしい。携帯がつながり、ハイカーも多い石尊山だったから防災ヘリでの救助も可能だったのだろう。滑落したのは二人ともネエチャンや妙齢、せめてオバチャンとは言い難い年代だった。そうでなかったら、男仲間もボーっとはしていなかったろうし、滑落者がもっと増えていたかもしれない。ヘリの救出まで滑落から2時間15分もかかっている。ヘリの出動が遅れたのもあったかもしれないが、ポピュラーな山でどうしてこんなに時間がかかったのだろう。昨日は大勢のハイカーが入っていたろう。現場を通りかかったハイカーも結構いるはずだ。調べたニュースのニュアンスとしては、結局はグループ内で処理したようだ。情況を知らずの立場でいうならば、あまりに冷淡過ぎやしないか。
(山道になった。道は明瞭)

(鳥居をくぐる。この鳥居、石尊山の山頂にある石祠が本殿なのかと思うが)

前後関係はなく、そういうことで石尊山に向かう。ヤマビル除けの食塩水ボックスはそのままにある。もう11月だ。ヤマビルは活動停止だろう。取り出しもしなかった。コンクリの道から山道に入る。その山道もジムニークラスの車だったら入れる作業道だなと思ってもいたが、カーブにかかって、それは無理な山道になった。色づきもない。出だしからあまり期待はしなかった。曇り空だった。
鳥居をくぐり、杉の植林になった。植林はすぐに終わり、広葉樹の斜面になった。北に登る斜面の道は蛇行して行く。これは理にかなった道づけだ。直登したらたまらない。
(ほどなく出てきた。これではまだまだ)

(赤だから目立つが、青葉がまだ多い)

(黄色は接近すると焼けていた)

そろそろ色づきが出てくる。淡い赤とオレンジ。だが、半分以上はまだ青葉だ。それも散発的。標高としては800m。先日の高ジョッキから5日後と考えると、1000mを越えないと本番にはなるまい。地図を確認する。コースは北西方向から1049m標高点手前の1000mあたりで西への高田山に向かう。石尊山はその間にある、地図上では名無しのピークだ。稜線というほどのものでもないが、その稜線に乗る手前あたりから本格的な紅葉にならなかったら、今日はまだ早かったということになり、例年よりも若干遅いことになる。そんなことよりも、息切れしては立ち休みを繰り返す。高ジョッキは楽勝に近かったし、それに比べると結構しんどい。
(稜線が見えてはいるが、ストレートに登るわけでもなく、登山道を歩いている限りは結構遠い。ガツガツする必要もないので、登山道に合わせて歩く。色的にはまだ淡い)

(こんな感じ。熟しきってはいない)

(この時点ではどんより空だった)

(それでも真っ赤はあった)

(意味もなくアップで)

見上げると稜線が遠くに見えてくる。まさか、この状態で少し早かったで終わりではなかろうと思ったが、840mあたりから淡いままながらも賑やかになってきた。黄色メインが赤主体になり、そのうちに青葉は少なくなった。それでもまだ鮮明な色づきではない。この辺はあと一週間といったところだろうか。運よくたまに陽ざしが入り込む。上はかなり赤くなっている。急いで登って行きたいが、目の前の淡くきれいになっている紅葉に気をとられ、時間もまたとられる。気が急く。それでも下やら脇の斜面を見てはまた立ち止まる。
(水場。水は落葉をあさらないと出てこないようだ)

(淡いのはそのままだが、賑やかになってきた)

(なかなか幻想的)

940m付近になった。獅子井戸の水場。クマにかじられたらしい標識だけがある。石の間に流れていたと思しき水は枯れ、窪みが落葉に埋もれている。ここから傾斜は緩くなり、ここまで尾根伝いにクネクネした道は尾根から離れ、遠回りの形で稜線に続いて行く。急登はなくなりほっとした。これでゆっくりと濃くなりつつある紅葉を楽しめそうだ。
上がるに連れて気分も併せて良くなる。稜線に出るあたりは、陽がさほどにさしていないのに、赤、オレンジ、黄色、緑と色とりどりだ。見頃ピークには数日早いかもしれない。これも光の関係だろうか。だが、この賑やかさには十分に満足だ。高田山は混んでるからと高ジョッキで済ませて終わりにしなくてよかった。
(稜線に出て、東側に寄り道。その先に密集地は見えなかった)

(稜線歩きで)

(石尊山に向けての稜線を歩いているが、どうもすっきりしない)

(登って来た左斜面だけが気になる)

(まぁ、良しとしよう)

(ここの紅葉は赤が主体のようだ)

稜線に乗る。東側の尾根もきれいだったのでそちらに寄り道をしかけたが、奥深い紅葉でもなかったのですぐに戻って、先ずはの石尊山に向かう。二人連れが下って来た。ハイカーと初めて出会った。先の紅葉の様子を聞こうとしてやめた。自分の目で確かめればいいだけのことだ。
稜線上を歩く。何か変な感じがする。標高が上なのに、左下斜面ばかりに目が向いてしまう。右下の北側はどうしても光が当たらずにくすんでいる。これは仕方がない。稜線上にも紅葉はあって、真っ赤になっているのもあるにはあるが、青葉が混在している。これからなのかなと思ったりもしたが、そんなはずはない。樹が少ないだけのようだ。
(わかりづらいが、高田山がかすかに見えている。この時点では、これで終わりかと思っている)

(ところがどっこい。これは上の青空の効果だろう)

(こんな混じり具合もあったが、これはこれできれいだった)

(淡くなって)

(この先からは寂しくなる。これは反対側から撮っている)

(もう紅葉はない)

(石尊山山頂が見えて)

(石尊山)

高田山らしきピークが右前方に見え出すと、次第に群れてきた。こうじゃなくちゃと稜線の歩きをしばらく楽しんだが、石尊山下の岩を過ぎると、紅葉は消えた。樹々に付いているのは茶色になって丸く乾燥したカスの葉だけ。つまり、稜線上はもうそろそろ終わりということになる。
実はここでほっとした。高田山には積極的には行きたくなかった。これでは高田山に行く必要はあるまい。少しだけ残っていたとしても感心するほどの紅葉に出会えるとは思えない。早いかなと思いながらも期待はしていなかったが、高ジョッキどころの満足度ではなかった。高田山は、今日はナシとする。陽が陰りもしなくなったから、上りで楽しめなかったところを下りで楽しむのが賢そうだ。
石尊山の山頂に到着。11時ちょうど。出発は9時半だったから、紅葉にかまけてなかったら一時間もあれば着く。結構急だったから、たかが一時間歩きでもきついだろうが。山頂には二人連れとオッチャン二人組がいた。狭い山頂だ。二人組はオレと入れ違いに下って行った。
(これが下の鳥居の本殿もしくは奥の院といったところか)

(高田山。斜面は色濃くなっているが、見るべき紅葉もないだろう。まして頭上は雲に覆われている)

(気になっている高田山南尾根)

(高田山へのゲート)

(あの尾根を登って来た形になる)

展望を楽しみながら菓子を食べて休む。人がいるのではタバコは吸えない。高田山に向かう玄関口にはロープだけが張られていた。3年前は、そのすぐ先に「キケン注意」のテープが張り巡らされていたが、今はない。当初、石屋のおカミさんから遭難事故のことを聞いた時には、この先の高田山に至る間での事故だとばかりに思っていた。実は事故現場を聞いておきたかったが、話が長くなりそうなのでやめた。
前回もそうだったが、高田山から南に下る長い尾根が今回もまた気になった。あの尾根を利用したらどうなるのか。石尊山の紅葉を犠牲にするしかなくなる。そうでもしなければ、車の回収をするのにとてつもなく長い車道歩きになる。チャリデポなら可能だろう。単独のオッサンが上がって来た。二人連れはまだ食事中。狭いから会話は丸聞こえだ。オッサンの腰掛け場所もないだろうと下山する。別にオッサンが来たからというわけでもないが、陽が隠れたりしないうちに、下りの紅葉を楽しみたかった。
(下る)

(やはり、見上げるのと見下ろす感覚は随分と違う)

以下は下りになるが、写真を並べて済ますことにする。下手な言葉表現よりも、ヘタな写真とはいえ想像はつくかと思う。山頂にいた二人組はてんでにあちこちの尾根に入り込んでは写真を撮っていて、こちらも真似してみたりしたが、途中で追い越してしまった。その間、随分とハイカーが登って来た。10人以上とは行き会ったろうか。








(そろそろ終わりだろうか)

(復活した)

(オッサン仲間の一人が一眼で撮っていた)

(まだまだ続く。光があたるとこうも違うのか)




(紅葉はもう消えたか。というか、これからの見頃だろう)

(山道の歩きに戻る)

(車道歩きで。あの三角形の山が気になった。赤沢山らしい。こちら方面の次回はあの山だな。稲包山まで行くかはその時の体調次第だ)

(駐車地。メロディラインの曲は『いつも何度でも』となっているが、そんな曲は知らずで調べると『千と千尋…』の曲だった)

駐車場に戻った。2台だった車は6台になっていた。時間は12時20分。休憩込みで3時間弱だった。このまま帰宅したのではもったいなく、摩耶の滝、小倉の滝、しゃくなげ滝の三滝を見物するつもりでいた。ただ、全部回るのは無理かと思う。犬の夕方散歩がある。先ずは摩耶の滝。その間に、件の二人組が戻って来て、こちらが来る前にすでに隣にあった車に乗り込み、さっさと帰って行った。男同士の山歩きはそんなものだろう。
【摩耶の滝】
滝まで歩く距離が三つの滝の中では小倉の滝が一番長そうで、駐車地からは片道40分。摩耶の滝は30分。しゃくなげの滝の歩く距離は不明。おそらくは車道からでも見えるのだろう。ここは摩耶の滝を先行した。
普通の滝見コースとしては、日向見薬師堂から歩くようだが、薬師堂に行かずとも、トンネルの前に逆戻りする坂の方向に滝への標識を見つけ、トンネル脇の空き地に車を置いて、遊歩道に入る。遊歩道とはいっても、車が入れそうだが、遊歩道の補修工事をしているらしく、工事用の車が2台、遊歩道に止まっていて、時間的に昼休みタイムだったからか、それぞれの車の窓に足を投げ出した工事の方がシートに寝そべってタバコを吸っていた。
四万温泉協会のHPには1.8kmの歩きとあったような気がしたが、標識には距離は出ていず、歩き出しから20分ほどしたところに歩道沿いに東屋があり、そこでようやく「摩耶の滝 LAST 450m」の標識を見た。気になったのは、歩道から見える沢がかなり下、100mはありそうで、下まで行って登り返すのはしんどいなと思って先に行くと、案の定、下り階段になっていた。階段があるだけましだなと下ると、さして下らずに東屋があって、脇が滝見台だった。この滝、落ち口は見上げても、滝つぼは見下ろすしかない滝だった。どうも、本流に流れる別沢の滝のようだ。歩き出しから25分で到着。
いつもなら、滝下に降りるのだが、ここは周囲がほぼ垂直な岩壁になっていて、ポールにガードのロープもしっかりと巻かれている。残念ながら、真正面からは見られない。どうしても左横からになる。滝の全景を撮るのは無理がいく。スマホに付けたポールを長く伸ばしても撮れないだろう。沢から遡行して滝の真下に行ったとしても、滝つぼ周辺は狭く、流れも強く、厳しいかと思う。
落差は20mとか25mとか。滝の落ちはかなり強い。摩耶の滝という名があるくらいだから、身投げでもした摩耶姫の悲話でもあるのかと思ったが、置かれた看板にはハッピーエンドの逸話が記されていた。
(摩耶の滝への案内板)

(明瞭な歩道。気持ちがよかった)

(途中に休屋があったりして)

(やはり下りか)

(狭い滝見台。ロープが張られている)

(全景がどうにも入らない)

(落ち口も隠れている)

(きれいな流れ落ち)

(ロープからのけぞって撮った滝つぼ。これ以上は無理)

(一方向からしか見られないのが残念)

(左隣にあった別沢?の滝。これもこれ以上は見えない)

(標識を入れて)

(戻って階段登り)

(トンネル前の駐車地)

滝見を終えて駐車地に戻る。ここの歩道にはクマ除けの鐘が5か所ほどにある。備え付けの金槌か石で半鐘のように叩いて鳴らす。このカーンカーンがとてつもなく甲高く鳴り響く。都度に叩いていたが、食後の休憩を済ませた工事の方々が、電動のトロッコのような乗り物に材料を運んで来たのか、作業をしていたのでもう叩くのはやめた。
(せっかく奥四万湖まで来たのに、ここをうろついただけだった)

(実際はきれいだったが)

(アップにすれば盛り)

【しゃくなげの滝】
次はしゃくなげの滝。ここで、瀑泉さんの三年前の記事をよく読んでいたら歩き方も変わっていただろう。日向見薬師堂には寄っていないし、大泉の滝、小泉の滝も見ていない。奥四万ダムのエレベーターの存在すら知らず、ダムの壁と駐車場近くの紅葉だけ見て滝に向かった。いずれまた来ることになる。その時に時間があれば小倉の滝とともに寄ることにしよう。四万ブルーそのものも今回は情報収集能力不足で見てもいない。
しゃくなげの滝には少々がっかりした。奥四万湖のどんづまりに専用の駐車場があり、少しは歩くかと思ったが、駐車場に隣接していた。典型的な観光滝。それでも観る価値はあったか。
(しゃくなげの滝駐車場)

(しゃくなげの滝。明る過ぎた)

(落ち口)

(これも明るい。滝の中間部)

(岩の凹凸に合わせて流れる)

(滝つぼ)

すでに2時15分。中之条やら水上といった群馬奥地は高速にしろ17号線経由で行こうが、自宅までの時間はさして変わらない。犬の散歩は懐中電灯になる。月曜日を選んだのが失敗したようだ。渋川までは何とか普通の流れで行けたが、ナビの17号線渋滞情報で、急遽、関越に入ろうとしたら、駒寄と前橋の間で工事渋滞と電光掲示板に出ていたので、そのまま17号にした。予想通りに断続的な渋滞が50号線の合流まで続き、太田に入ったら、今度は通勤の帰りにぶつかった。実は、今日もまた往路で失敗していた。犬の散歩を終えてのんびりと出たのがわざわいして、17号線を抜けるまでに30分は余計に時間がかかっていた。今のところ平日はいくらヒマでも週明けの出歩きは避けた方がよいみたいだ。
事故のあった当日、高田山に行くかどうかというところでしたが、行ったら場面に出くわしたかもでした。やはり平日にしたほうが良さそうかな。流石に名所だけに、全体的にも見栄えのする紅葉ですね。
その事故に出くわしたら、おそらくみー猫さんのこと、黙するわけにもいかず、救助活動に加わった、というか、どうも年代的にいわゆるジジババハイカーグループだったようで、ヘタすれば、みー猫さんの一人舞台救助だったかもしれませんよ。それはそれでグッドな体験になったかもしれません。
名所の高田山の紅葉とはいっても、今はもう石尊山までで終わっていますから、むしろ、みー猫さんには高田山の南尾根を歩いていただきたいところです。高田山に至るまでは、まだ数日は紅葉も見事かもしれませんよ。