Opera! Opera! Opera!

音楽知識ゼロ、しかし、メトロポリタン・オペラを心から愛する人間の、
独断と偏見によるNYオペラ感想日記。

SWAN LAKE - ABT (Sat, Jun 27, 2009) 後編

2009-06-27 | バレエ
前編より続く>

すっかり観客をとりこにしたパ・ダクシオンの後に続く、四羽の白鳥たちの踊り。
今日は、加治屋さん、バトラー、コープランド、リッチェットが踊りましたが、非常に良かった!
今まで私がABTで観た中のこの場面においては、最高の出来だったのではないかと思います。
大体途中で誰かが疲れて崩壊していく(崩壊とまでは行かなくても、
足や頭の上げ方、角度が揃わなくなったり、、)パターンが多いのですが、
今日は前半の4人のシンクロぶりが素晴らしく、このまま最後まで通せたらいいな、と思っていたら、
本当に通ってしまいました!
ニーナの最後の晴れ舞台に、他の何物でもないダンスで花を添える、、彼女への最高の贈り物になったと思います。

それに対して、今ひとつぴりっとしないのは、コール・ド。
なんというのか、、、もしかすると、身体的能力というよりはむしろ、コール・ドというものがどういうものか、
自分を殺して全体と合わせるということがどういうことか、という精神的な部分が、
まーったく分かっていないのではないか?と思えて来ます。
なんか、”ABTのコール・ドはねぇ、、”と言われる事に対して開き直っているのではないか、と思われる部分もあって、
観客も最初からコール・ドのシーンは期待もしていないところがあるのですが、そんなことではいけない、と思います。
コール・ドの出来をあきらめる、ということは、バレエ作品の少なからぬ部分の楽しみをあきらめることでもあります。
オペラの全幕で合唱がこんな態度をとった日には(幸いメトはそんなことはありませんが)許されないのと同様に、
コール・ドのこんな姿勢を野放しにしていてはいけないのです!!



二幕の最後に、腕で白鳥の翼を擬しながら、つつつーっ!(当ブログバレエ鑑賞お得意の擬態語!)と
一直線に舞台袖にはけていく場面では(この動き、名前があるのでしょうか?)、
その見事さに途中から轟音のような拍手が巻き起こって、その後はオケの音が全く聴こえないくらいでした。
完璧に左右対称を描く腕の動きと、音楽と調和した移動の速さ、、
決して慌てずにゆっくりと動きをとっているあたりにも、
彼女が決して技に依存せず、いつも、まず、何を表現したいか、という点に重点を置いている事が現れていますし、
私が彼女を好きな理由の一つは、彼女の踊りが常に音楽と調和している点であったのを思い出させてくれました。



インターミッションの後、次の幕に向けて暗転する前に、
”ロットバルトがゴメス”という、プリ・シアター・ディナーの会話を受けて、
”あの最初に出てきた半魚人がダックス飼っている人?”と質問する連れに、
”ちがーーっう!!! ”と思わず絶叫。
”ロットバルトはね、二人一役なの。ゴメスが踊るのは、これから!!
M子師匠が言ったように、紫の衣装よ!紫!!絶対に見逃しちゃだめよ!!”とくどいくらいに繰り返しておきました。

そして、いよいよ、その第三幕の舞踏会のシーン。
オデットのことを思い、いよいよ鬱々とするジークフリート。
残念ながら、今日はチャールダーシュ、そして、スペイン、ナポリの各踊り、そしてマズルカと通して、
特に記憶に残る場面があまりないのが残念。
昨日は少なくとも、ナポリが少し見ごたえがあったのだけれど。

しかし、こんなことを言って叱られるのを承知で言うと、そんなことはどうでもよい!
なぜならば、二度目のらっぱの音がなって、登場したのは黒いチュチュのオディールをひきつれたロットバルト、
そう、紫の衣装を着た我らがダックス王子ゴメスなのだから!!
彼が出てきた瞬間、思わず、私は連れの腕を思い切り掴んで、"It's him!"と「囁き叫び」してしまいました。
オペラの公演でこんな女が横に座っていたら、間違いなく張り倒してますが。

しかし、ちょっと待って。これ、一体、誰、、?

これまでの公演で見て来た、優しげな素敵な王子様系キャラ(『白鳥』、『シンデレラ』)のゴメス、
コンテもので見せたシャープなキャラのゴメス、
気のいいお兄さんキャラ(『海賊』)のゴメス、このどれとも違う、
いかがわしく、かつ、フェロモン満開の”悪の華”な男がそこにいるのです。
こんな人、あたし、知らない!ゴメスの偽者だわ!!ともう少しで叫んでしまうところですが、
いや、このものすごい表現力は、紛れもないゴメス!!なのです。
彼が登場した瞬間から、メトに麝香の香りがし始めたような気がしたのは私の気のせいなのか?

ロットバルトがその催眠術めいた力で舞踏会に来ていた各国の令嬢たち
(のみならず、ジークフリート母までも!)を骨抜きにするシーンでは、
各国の令嬢たちのみならず、私たち観客も、ゴメスの催眠術にかけられていたのでした。


(なぜか、6/22の公演で撮影され、NYタイムズのレビューに使われた上の写真は、
拡大画面用に間違って別の写真がリンクされており、こんな豆粒のような写真しかありません

DVD化されている2005年の公演(ジークフリートがコレーラ、オデットはマーフィー)でゴメスが
同じロットバルト役で登場していて、抜粋はYou Tubeでも見れますが、こちらでは紹介いたしません。
なぜならば、私がこのブログでしつこく吠えている通り、ゴメスに関しては、
ここ1、2年で凄みが増してきた感があり、今日、このニーナのフェアウェルで私達が目にしたものも、
そのDVDの比ではないからです。

例えば、ナポリの令嬢(ブルーの衣装)に目をつけたロットバルトが、
彼女と自分の間にいて、視界の邪魔になっている別の令嬢(ピンクの衣装)をどかす場面がありますが、
DVDではダンサーへの気遣いがつい出てしまっているというか、彼女をそっと床に置くような感じがあります。
しかし、これではこの場面の面白さが伝わりません。
今日の彼は、”おおっ!なかなかの美女がおるぞ!(オデットに続く次のカモ?)”と
ナポリにひたすら色目をつかいながら、
ピンクの女性を、まるでゴミのように、ぽーん!と放り投げてしまうのです。
その冷ややかさがおかしくて、つい観客からも笑いがもれます。

最後に回転しながらジークフリート母の隣の椅子にちゃっかりおさまってしまう場面も、
今日の回転のキレはDVDの数段上。
しかし、私が悔しさに身もだえしたのはまさにこの時で、
このジークフリート母の隣の椅子がかなり舞台の下手にあるため、
なんと、あろうことか、ゴメスが着座したときには、下手の端にあるカーテンが、
半分くらい彼の姿を覆ってしまっているではないか!!
きーっ!!!体を右隣のおじさんに擦り付けるようにして、思わずゴメスの姿を追ってしまう私なのでした。

とにかく、この短い登場時間で、しかも今まで一度も、誰からも感銘を受けたことのない、
このマッケンジー版のロットバルトで、かくも強烈な印象を残したゴメス。
嫌なやつ(なんといっても悪魔ですから!)なはずなのに、憎めない。
いや、それどころか、かなり猛烈にチャーミング、という、このロットバルト役のエッセンスを
見事に掴みきったパフォーマンスに、観客は完全に魅了され、大喝采なのでした。

ちなみに私の連れも、すっかり彼の踊りに魅了され、オペラグラスで最後の瞬間まで
彼の姿を追っていたのを私が見逃すわけがありません。
連れは、踊り終わった後も、”いやー、彼の表現力はすごい!”と感心しきりでした。



そして、このゴメスの怪しくかつ魅力的な、優れたロットバルト役の登場によって、
全く新たな意味を持ってきたのが、ニーナが演じた二幕です。
観客全員をこれほど惹き付けるロットバルトに、
オデットが惹き付けられなかった訳がないではありませんか!
つまり、彼女がロットバルトの魔の手に落ちたのは、そもそも彼女が彼に恋したからではなかったか?
その恋は、白鳥に姿を変えられるという、彼女にしてみればとんでもない結果に終わったわけで、
恋愛不信に陥っても、一向に不思議ではありません。
そこに現れたのがジークフリートです。
そこには、自分が白鳥であるのどうのという以前に、
”彼に恋していいの?彼を信じていいの?”という迷いがあったはずです。
(そして、結果、またしても彼女は彼を信じるという賭けに出、再び手痛い失敗を食らうわけですが、、。)
この公演の二幕でニーナのオデットが表現した孤独、ジークフリートとの距離感は、
これを考える時、実に的確だったと思うのです。
彼女はすでにジークフリートと出会った時点で、あの『ファウスト(の劫罰)』の
マルグリートのような経験(マイナス 天に昇ること)をしていたと言えるのです。

この段階で、ニーナが全く昨年のオデットとは違うオデット像を作っていることを確信しました。
ゴメスがロットバルトを踊ることが確定した時点で綿密に組み立てたのか、
何も考えず、直感でこのような踊り方になったのか、それは私にはわかりませんが、
いずれにせよ、彼女は本当にすごいダンサーなんだ、とあらためて実感しました。
彼女の舞台がいつも共演者を含めてすごく有機的に感じるのは、
彼女に、直感的にせよ、そうでないにせよ、一緒に舞台に立っているダンサーたちに合わせて、
自分の役作りの方を合わせられる能力があるからなのだ、と思います。
それは、もちろん、それを可能にする技術が伴っているからでもあるのですが。



そして、ゴメスの登場で火を吹き始めた舞台はもう止まらない!
パ・ド・ドゥについては、今思い出すだけでも、興奮で血管が広がりそうです。
コレーラも明らかに前半(一幕、二幕)よりテンションがあがっていて、
もはや動きが重いと感じさせる部分がなくなり、ジャンプにも集中力が増し、年齢が5歳くらい若返った感じがします。

そして、コーダ。
これが昨年の二人(ニーナとコレーラ)のパフォーマンスからすると、
一番心配だった部分なのですが、それは、まさに杞憂というものでした。
まず、ニーナの32回のフェッテの前に、コレーラがバランスの整った綺麗な回転を決め、
彼女が舞台に現れ、フェッテを始めるときには鳥肌が立つ思いでした。
そして、ニーナのフェッテは、軸の安定感、回転の美しさ、腕のポジションの美しさ、
どれをとっても否のうちどころがなく、
32度中、どれも失速することも、バランスを失うことも、回転が足りないことも、
位置がずれて行ってしまうこともなく、素晴らしい内容でした。
46歳にして、昨シーズンよりもさらにシャープな踊りを繰り広げるとは、、、
その精神力と、きっとこの日を見つめて精進を続けてきたであろう努力を思うと、
私は、本当に頭を垂れてしまいます。

そしてさらに”ニーナに負けてはおれん!”とその後すぐ続くコレーラの回転技!
前述のマーフィーをパートナーにしてのDVDになった公演では、
舞台の割と奥で踊ってそのままフィニッシュしてますが、
今回はもう少し前方で踊って、最後に”どうだ!”という感じで見得をきる感じだったのが
とってもかっこよかったです。
しかも、あの二年前の『ロミ・ジュリ』を彷彿とさせる超高速回転!!!
くるくるくるくる、、、ひゃーっ、はやいーっ!!!

これでも十分血が逆流する位の大興奮なのに、コーダのフィナーレでは、
なんと、ゴメスのロットバルトがニーナをリフトし(これが高い!)、
そこから、直接ニーナが頭を下向けにしてそのままコレーラに飛びこむフィッシュダイブを披露し、
オペラハウスは地鳴りがするほどの歓声と拍手に包まれ、大変な騒ぎとなってしまったのでした。
という私も、思わずバレエでは初の”Bravi"出しをしてしまいました。
”Brava"、”Bravi"、"Bis!"の掛け声が鳴り止まず、おむすびが強引に音楽をスタートさせるしかない有様です。



ゴメスがマントを翻しながら(マント捌きがまた小憎らしいくらい、上手いのだ!
彼にかかっては、すべてが演技のための小道具となって貢献するのである!)、
オディールの手をとるジークフリートの間に割って入り、
”おーっと、そんな簡単にことを運ばれちゃ困るね。君は彼女に永遠の愛を誓うかい?”と、
とうとう最後の崖っぷちにジークフリートを追いやる場面。
ロットバルトの企みも知らず、”はい、誓います!”と宣言してしまうジークフリート。
この後すぐに宮殿の扉に火花が散り、絶望するオデットの姿が見える
(もちろん、ニーナとは違うダンサーによって踊られる)、というのが
このマッケンジー版なのですが、毎回、ロットバルトが直立不動のままか、
せいぜい片手をさっと挙げる程度で、火花と共に、爆竹のような音が上がるのが、間抜けな感じで興をそがれていました。
しかし、今日は、他のダンサーでこれをする人を観たことがないので、
おそらくゴメスのオリジナルなのではないかと思うのですが
その音に合わせて、思い切り地面に爆竹を叩きつけるようなジェスチャーをし、
たったそれだけの動作で、間抜けな感じを払拭したどころか、
”これでも食らえ!”というロットバルトの声が聴こえてくるような、優れたアドリブになっていました。



こんなにかっこよいロットバルトが、なぜ第四幕では半魚人なのか?と、
そのギャップがいつにも増してひどいため、つい問わずにはおれません。
というか、この四幕はそんな格好でも、ロットバルト役として最も大切な演技が求められる
(彼が自分の計画が完全には成就しなかったことを知り、またオデットを失って落胆する)場面で、
ここもゴメスで観たい、と思うのは贅沢か?

昨シーズンでの表現が、ジークフリートと来世で結ばれるために自分の命を絶つオデットだったとすれば、
今日のオデットは、決して現世では愛に縁がない自分への絶望ゆえに死んでいくオデット。
それは、愛という賭けに最後まで勝てなかった悲しい女性の姿で、
ある部分ではすがすがしさや温かい感触が残った昨年の表現に比べ、
とても厳しく、寂しい結末であるように私は感じました。
はらはら、、という感じで身を投げたニーナのオデットに対し、
とりゃーっ!とばかりに、猛烈なハイパー・ジャンプを決めたコレーラの姿からも、
昨シーズンのような、”あの世で一緒になろう!”的な一体感とは違い、
絶望して死んでいくオデットを一生懸命追いかけるジークフリート、という風に感じました。
舞台と言うのは一つ一つ違う。分かっているつもりなのだけれど、いつもこの不思議に驚かされます。



ニーナがカーテン・コールに現れる前には、まるでアフリカ大陸の動物の移住シーズンのように、
彼女の姿を間近に見たいファンが舞台に走り寄り、壮観でした。
そして彼女が登場した時の割れんばかりの拍手と歓声。
でも、ニーナらしいのは、この引退という場面でも、彼女自身もファンも含め、
悲しさよりも、感謝とか愛とか優しさとか、とにかく温かいエネルギーを感じる点です。
彼女は表現という点ではいつも優れたパフォーマンスを見せていましたが、
何と言っても年齢的なことから、ここ最近は、技術に関しては決していつも楽々と
難しい技をこなしているようには見えていたわけではありません。
そんな中で、表現ばかりか技術の面でもこれほど完成度の高い公演をフェアウェルに
持ってこれたことは、彼女自身、大変嬉しかったに違いありません。
フェリの時と同じく、あるいはもしかするとそれ以上に、自分の出来る全てを出し切ったという、
充足感を彼女が感じているのが伝わって来ましたし、
それは何より私達オーディエンスにとっても嬉しいことです。

礼儀正しく舞台の奥に立っているゴメスに向かって、
”さあ、あなたも前に来なさいよ!”という仕草をするニーナ。
今日の彼女の役作りはゴメスがいてこそだったわけで彼女は感謝の気持ちを表現したかったのだと思いますが、
それを固辞するゴメスの姿を見ていると、
いえ、自分が演じるロットバルトを生かした『白鳥』をニーナが踊ってくれた、
そのこと自体で十分なのです、と言っているよう、、。ああ、美しい師弟愛!
(別に二人は直接師弟関係を結んでいるわけではないが、私はゴメスがニーナから
舞台を通して学んだことは実に大きいはずだと見ているのです。)



白鳥の姿のコール・ドたちが全員(その人数を想像してみても下さい!)
一本ずつ花を持ってあらわれ、ニーナの前に捧げていくと、
ニーナは一人ずつに違った、それでいて同じくらいどれも優雅なポーズで答えており、
その仕草だけでも彼女の女優度がわかろうというものです。
今日の公演には出演していない多くのプリンシパルも私服で舞台に登場し、
彼女のこれまでの活躍を祝福しました。
ニーナが深くお辞儀をした年配の女性はABTで彼女の指導やアドバイスにあたった方と思われます。
最後にはまだ歳のいかないニーナのお嬢ちゃん(上の写真のワインカラーのドレスの女の子)が登場。
恥ずかしがってすぐに舞台脇の方へ走っていく彼女を、ニーナが、
”そんな礼儀のなってないこと、だめでしょ!”というジェスチャーで呼び寄せ、何度か二人でお辞儀をした後、
今度はニーナの手を離さなくなった彼女に向かって、
”もう十分、さあ、行って!”と、コミカルに軽く背中を押す姿が笑いを誘いました。

『瀕死の白鳥』冒頭の観客に背を向けて舞台上を移動していく部分を披露した後、
インプロで、コレーラにぽんと飛び乗ってみせたのですが、
その時にコレーラとニーナの間にふっと流れた空気や二人を見守る他のダンサーたちの温かい視線も素敵でした。
観客の私達と同じくらい、彼らもニーナのことが好きなんだな、、。

彼女を通して、私はバレエを”観る”だけでなく、”感じる”ことの楽しさを知った。
ずっと、ずっと、忘れることのない、大好きなバレリーナです。


Nina Ananiashvili (Odette/Odile)
Angel Corella (Prince Seigfried)
Isaac Stappas/Marcelo Gomes (von Rothbart)
Gennadi Saveliev (Benno)
Georgina Parkinson (The Queen Mother)
Renata Pava, Simone Messmer (Two girls from Act I Pas de Trois)
Yuriko Kajiya, Marian Butler, Misty Copeland, Maria Riccetto (Cygnettes)
Leann Underwood, Melanie Hamrick (Two Swans)
Victor Barbee (Master of Ceremonies)
Misty Copeland (The Hungarian Princess)
Sarah Lane (The Spanish Princess)
Anne Milewski (The Italian Princess)
Isabella Boylston (The Polish Princess)
Blaine Hoven, Grant DeLong (Neapolitan)


Music: Peter Ilyitch Tchaikovsky
Choreography: Kevin McKenzie after Marius Petipa and Lev Ivanov
Conductor: Ormsby Wilkins

Metropolitan Opera House
Orch BB Odd

***白鳥の湖 Swan Lake***

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37 コメント

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フェアウェル (みやび)
2009-07-07 01:29:00
写真の花束や紙吹雪をみているだけで、観客の熱狂が伝わってくるようです。

マッケンジー版の「白鳥の湖」は観たことがないのですが、DVDがあるのですね…観たいような観たくないような(笑)ですが、この日の公演をDVDにしてくれるのなら、迷わず観るのですが。

私がバレエを観始めた頃(その後、色々と興味が分散してしまい、さほど熱心なバレエ・ファンとは言いがたいですが)バレエ雑誌などでいうところの『三人娘』がフェリ、ギエム、ニーナでした。バレエ・ダンサーというのはオペラ歌手よりももっと身軽に行動するものなのか、全ての公演に通うわけではない私でも、何回も彼女達を観ることができたのはとてもラッキーだった気がします。

私的にはフェリはマクミラン、プティを踊るアクトレス、ギエムは身体能力抜群でクラシックからコンテンポラリーまで踊れるクール・ビューティ、ニーナはバレエ漫画から抜け出してきたようなプリマドンナ、というイメージでした。チュチュがよく似合い、(膨らんでいるという意味ではなく)丸顔で、大きな黒い瞳には星が描いてありそうではないですか?華やかさとともに、温かさが感じられるのも彼女の個性だと思います。

Madokakipさんのおかげで、彼女のフェアウェル公演の様子を日本から楽しむことができて、とても幸せです。写真がたっぷりというのも、バレエではオペラよりも一層ポイント高いです♪

映像放出望む! (Madokakip)
2009-07-07 05:21:24
 みやびさん、

数多くいる優れたアーティスト、パフォーマーの中でも、
このような送り出し方をされるのは、本当に一握りの人たちだけですよね。
それは彼らがそれに見合うだけの多くの努力を払い、
私達に素晴らしいものを見せ続けてくれたからで、
フェリに続き、私はABTでフェアウェル公演を鑑賞したのは二度目ですが、
いずれもとってもエモーショナルな体験でした。

私が座っていたのは平土間の後ろのしかも端、
という、通称”虐げられ席”でして、
頭上にすぐ上のパルテールのフロアの床がせり出しているせいもあって、
視界が非常に狭まれているのですが、
そこからでも、少なくとも一台、ビデオカメラを確認することが出来ました。
ただテレビ用の大きなものではなかったので、
ニーナかABTがプライベートで撮影させたものかもしれません。
こんな素晴らしい公演だったのですから、
ぜひ、公に出してくれると嬉しいのですが、、。

>丸顔で、大きな黒い瞳には星が描いてありそうではないですか

本当に(笑)。
私の東京の師匠yol嬢が、彼女のことを、
”観客をハッピーにするダンサー”とよく形容していて、
実際に彼女を見るまでは、それってどういう感じなんだろう?と想像できなかったのですが、
彼女の素晴らしい舞台に何度か接した今、
その表現は、全くその通りだ!と思います。

>写真がたっぷりというのも、バレエではオペラよりも一層ポイント高いです♪

オペラはむしろ写真を見ない方がいい、という場合もありますものね!
ありがとうございます ( F )
2009-07-07 08:19:15
Madokakipさん、渾身のレポありがとうございました。
ニーナの舞台はすべて特別といえますが、その中でも本当に感慨深い公演だということが伝わってきます。
ちょうど一年前、日本でのABT最後の舞台を思い出しました。
(私も下手席で玉座が見えずにきーっ!!!となりました)

それにしてもMadokakipさんの舞台を的確かつ情熱的に捉える文章には毎回舌を巻きます。
よりターボがかかる(笑)オペラ公演レポもそうですが、無償で読んじゃっていいのか・・と感じるくらいです。
ニーナのオデット像の造形、バレエでは初の”Bravi"出しも含めて大興奮しながら読ませていただきました。

ニーナという不世出のダンサーはロシアという範疇に収まらない、全人類的なスケールを感じます。
ABTでの活躍はニーナ自身、本当に楽しかったのではないでしょうか。
同世代に生き、彼女の芸術を目に焼きつけることが出来たのは幸せだったと心から思いました。
こんにちは (とり)
2009-07-07 13:28:43
はじめまして
先日このブログをみつけ、「おお、これが私の探していたブログだ」と感動しておりました。

私もMETフリークで、年に数回、METに遠征しています。
いくつか記事を拝見しましたが、私が持った感想と同じ方向の感想を持たれたものもあり、妙に感心?してしまいました。(私も結構見る目(聞く耳?)があるじゃないか、という意味です。(笑))

バレエはあまり見ませんが、ニーナは別で、ジゼルに加え、この日も見に行きました。
1階が良かったのですがとれなかったので3階でしたが、なかなかどうして、目の前の'Big Head'がまったく気にならず、バレエには最高の席だと思いました。
いやーほんとうに、この最後の大舞台で全て完璧に出し切った彼女には、本当に頭が下がります。ちゃんとこの日に向けて、完璧に調整し、見事に力を出し切る、そう簡単にできることじゃないですよね。

もうなかなか見られないのかと思うと、本当に残念です。
また、お邪魔させてください。
素晴しい! (yol)
2009-07-07 23:48:03
待ってました!
なかなかレポがあがらないとヤキモキしていたのですが、期待以上に素晴しく濃いレポがあがってきて感無量です

ディテールの描写もさることながら、何よりもアンヘル、マルセロ、そしてニーナという大好きなダンサー陣での、ニーナの最後の白鳥(マッケンジー版だけどこの際しょうがないので許す)。

ニーナの花道@ABTということで、彼女にとっても今まで一緒にカンパニーで踊ってきた、馴染みのキャストを持ってきたのではないかと思われます。

本当にとてもいいキャスティングだもの!贅沢だわ、あぁぁぁぁ。。。。

舞台もいい緊張感のある、テンションの高いものだったと思われますが、
それよりも何よりも、何だか読んでいるうちに面白いんだけどウルってしまいました。

力の入ったレポを本当にありがとう。
情景が浮かんできます。
と共に、今までに見たニーナの舞台までもが走馬灯のように浮かんできました。

ニーナが彼女を愛する沢山のファンに見守られながら最後のABTの舞台を勤め上げたのね、なんて思うと、ABTの人間でもないのに感激、感無量です。

そして、そこかしこに散りばめられているゴメスへのコメント。

いやいや、来年こそはゴメス様に会うわよ!

残念ながら今年の世界バレエフェスティバルにはお越しいただけないようですが、とにかく彼のワイルドだけど繊細な、頑強でむっきーかと思うとこれがびっくり!あのしなやかな背中をもう一度、いや、一度といわず何度でも拝ませていただきたい。

しかも表現に磨きがかかっているようですから、これはもういつまでも先延ばしにしていられないわ!

ところであなた。
フェリの昨年の公演といい、今回のニーナの公演といい、本当に素晴しい場面に立ち会っていらっしゃるわ!

おかげでこうしてレポを通しておこぼれを頂戴できることを本当に感謝しています。

ABT万歳!
(群舞以外)
日本からもLove (Madokakip)
2009-07-08 12:26:24
皆様からのニーナへの愛を感じるコメント、
私もわがことのように嬉しいです。

いつもどおり頂いた順です!

 Fさん、

>無償で読んじゃっていいのか・・と

んまっ!そんなことを言っていただいてとても嬉しいですが、
実際のところは、言いたい放題、趣味全開!の、
無償だから読んでいただけるような代物なのです。

>バレエでは初の”Bravi"出し

(笑)通称、メトの外野席、の平土間後ろの端でしたからね、
ニーナ、ゴメス、コレーラに向かって叫ぶと、
知らず知らずにすごい大声になってしまい、
前の女性が振り向いたその顔には、
”あんた私をデフにする気?”と書いてありました。

>ニーナという不世出のダンサーはロシアという範疇に収まらない、全人類的なスケールを感じます。

本当にそうですね。オペラにイタリアらしら、ドイツらしさ、ウィーンらしさ、が大切なように、
バレエの場合はロシアらしさ、が大切なのはわかるのですが、
また、それだけでは人の心は動かせない、というのを彼女を見ると思うのです。

 とりさん、

はじめまして!!

>「おお、これが私の探していたブログだ」

ええっ!!それはやばいですね、とりさん!!
こんな偏見に満ち溢れ、暴言吐きまくりの、
言いたい放題ブログを、、(笑)
しかも、同じ方向の感想まで持たれたものがあるとはどうしましょう?(笑)

幸いなことに、このブログにいらっしゃってくださる方は、
様々な違った意見を寛大に受け止めてくださる方たちばかりで、
このブログのコメント欄は素晴らしい!と自負しておりますので
(というか、本文よりも、皆様から頂くコメントの方に貴重なご意見や情報が溢れてまして、
本文よりも、コメント欄を読む方が役に立つと思います!)
どうぞ、メトでご覧になった演目(もちろんそうでないものも)、
自由に、ご意見を交換していただけると嬉しいです。

>年に数回、METに遠征しています

そうですか!嬉しいですねー!
遠征というのは日本からでいらっしゃいますか?
(というのは、ジゼルと白鳥を今期両方見るには、
数週間NYに滞在されなければならなかったのでは?と思い、、)
私も日本にいた頃は有給休暇はほとんどすべてメトで消化!でした。
来シーズンの計画も着々と進行中でいらっしゃいますでしょうか?

>この最後の大舞台で全て完璧に出し切った彼女

いや、これは私も本当に思いました。
技術の点では、私が彼女を観始めてから、
最高の出来といっても良かったです。
表現の方は、もう心配することは何もない彼女なので、
この日のニーナは鬼に金棒でした。

>また、お邪魔させてください。

ぜひ、いつでもいらっしゃってください!
お待ちしています。

 yol嬢、

>なかなかレポがあがらないとヤキモキ

そうなのよー。
どうしても、素晴らしい公演であればあるほど、
中途半端なものは書けない!と、時間がかかってしまうのよ。
だから、なかなかレポがあがらないときは、
① すごくいい公演だった、か、
② 書く気もおこらないほどつまらない公演だった、か、
(オペラの場合、ひどい歌だと体を壊すこともあるわ。食あたりのようなものかしらね。)
③ 仕事や育犬に忙しくて、レポが書けない、
このいずれか。

今回はもちろん①よー!

>そして、そこかしこに散りばめられているゴメスへのコメント

あ、やっぱり、気付いてくれた?(笑)
サブリミナル効果よ!
もうこのレポ読んだら、脳のひだに、ゴメスの文字が千個埋まってるはず。
いや、でも、まじめな話、彼のロットバルトはすっごく良かった。
おっしゃる通り、本当に考えてみれば贅沢なキャスティングよね。

彼は本当にここ1、2年でさらに表現力が増したので、
もう、あなた、来年は絶対にNYに来なきゃだめ!!

彼の躍進、ボッレの参加、など、男子はABTなかなか充実しているのだけれど、
それに引き換え、ニーナを失った女子陣はこれからどうなるのかな?と思います。

私は今だケントからはこれはすごい!という公演を見れていないし、
技術ではヴィシニョーワが頑張っているけれど、
表現に秀でた人がちょっと手薄になりそうなのが気がかり、、
その中ではパルトは面白い存在だから、これから注目したいのだけど、
でも、フェリやニーナの域に行くのは本当に大変なことよね。
がんばってほしいわ!!

ヴィシとゴメスの『ロミ・ジュリ』、見てきました。
レポ、待っててね!
ゴメスのお勧めyoutubeってありますか? (sora)
2009-07-11 12:48:13
こんにちは。
バレエのレポもとっても楽しいです。
読んでいると私も観たい!とムラムラしてきます。
バレエは4回しか観たことありませんが、今年5月に観た新国「白鳥の湖」で、あまりにオケにイライラしたので、オペラ代もかかるしな~と若干遠のいておこうかと思っていましたが。(バレエフェスティバルも迷っていたらチケット無くなっていた。。。)
ニーナさん、調べました。来年ロミジュリで来日するようなので是非とも観たいです。madokakipさんのブログって、どうにも観たくなるように書かれているんですよね~。
バレエが観たくて観たくて、11月のマリインスキーの白鳥の湖のチケットを取ってしまいました。チケット的にはロパートキナが人気ですが、席の都合からヴィシニョーワの日にしてしまいました。madokakipさんのロミジュリコメントが楽しみなような怖いような。。。
ゴメスさんもとっても気になります!!
私もウルウル。 (ゆみゆみ)
2009-07-11 21:59:24
写真を拝見すると、本当にニーナさんが充実してらした感じがわかり嬉しいです。
いつでしたか、日本にご自身のバレエ団と見えた時は、?でしたが、やはり流石に力のある方なのですね。ばっちり合わせて来られたのですね。
<腕で白鳥の翼を擬しながら、つつつーっ!>
私が見たときの記憶がよみがえります。
黒鳥の場面では、曲が思い出され、私までハラハラしながら読ませていただきました。
コーダのあたりでは、私までホッとしました。私も彼女が躍った後は、手のひらが痒くり、真っ赤になるくらい拍手をした事を思い出しウルウル。
お譲ちゃん、大きくなったのですね。私が見た時は、未だ“あんよ”ができなくて、抱っこされていました。かわいいこと。
正直申しまして、私が1番恐れていた時が来てしまったのだと思います。もうバレエは見ないのかな?でも、どなたかがニーナさんが日本に来られると書いていらっしゃいました。私も見にいこ~。
ニーナさんの誇るべきABTさよならの様子を教えていただきありがとうございました。
ゴメス、ニーナ (Madokakip)
2009-07-12 04:46:26
頂いた順です。

 soraさん、

いやー、そう言って頂けると嬉しいです!
バレエもオペラも共に素晴らしいアートフォームですし、
時に題材が共通していて(『ロミ・ジュリ』、
『椿姫』、『オテロ』、『マノン』などなど、、)、
違いを比較するのも面白いんですよね。

バレエ・フェスはすごい人気のようですね。
日本はある意味、鑑賞の方でのバレエ大国だと思います。
そのさかんなことでは、NYなんか全然負けているのではないでしょうか?
白鳥=ロパートキナ!という評判が定着しているせいでしょうが、
ヴィシニョーワも優れたダンサーですよ。
相手役次第では素晴らしいダンスを見せてくれると思います。

ニーナのジュリエット、、それは私も観たい!!
絶対に見逃さないでくださいね!!
(下のゆみゆみさんへの返事の途中で気付きましたが、『ジゼル』も踊るようですね!
私は彼女のジゼル、大好きです!!)

>ゴメスのお勧めyoutube

ゴメスについては、私は彼の白・王子様系の役が大好きなので、こちらを!

http://www.youtube.com/watch?v=duzEDciaJ9E&feature=related

おそらく、数ヶ月前にマリインスキーに『ジゼル』で客演した時の隠し撮りだと思われ、
画像の質は悪いですが、私が彼について好きな部分が最もよく捉えられている映像です。
ああ、素敵すぎ。。

この時の相手役はヴィシニョーワだったようですよ。
こちらの映像ではヴィシニョーワも堪能できます。

http://www.youtube.com/watch?v=ZShqCfRSvmI&feature=related

ドラマティックな表現では、こちらでしょうか?

http://www.youtube.com/watch?v=dz30Pdn-_Jg&feature=related

『オテロ』からのPDDで、パートナーはフェリ。
オペラでもお馴染みの、
オテロがデスデモーナを手にかける場面です。
上のイタリアでの公演の方が二人のコンビネーションの完成度が高い気がするのですが、
隠し撮りで短いので、↓の映像の方がいいかもしれないですね。
この映像、もしかしたら、日本でのフェリのさよならガラのものかもしれないです。

http://www.youtube.com/watch?v=4fTbFsZ6mm4

 ゆみゆみさん、

いやー、この大切な舞台に最高の結果を出すなんて、
本当、さすがです。
フェリもさよなら公演は素晴らしかったですが、
この集中力が彼女たちを他のダンサーより一歩抜きん出させている要素の一つなんだな、と思います。

>ニーナさんが日本に来られる

是非、ご覧になってくださいね!!
私も羨ましくて、日本に帰りたいくらいです。
こちらは当ブログにコメントも下さり、
私もいつも愛読させていただいている、naomiさんのブログからの記事です。

http://dorianjesus.cocolog-nifty.com/pyon/2009/03/post-c4ee.html

ん??!!『ジゼル』も踊るのですか?!
まじで帰省したいーっ!!!
え~っ大変!! (ゆみゆみ)
2009-07-12 09:23:54
マドカキップさん。情報をありがとうございます。しかしながら、私、ハタと困りました。
2月はミラノ遠征を画策中。たった2日しか休みませんが、これ以上お休みは取れないかも・。でも、ニーナさんの「ジゼル」は観たい。
本当に久しぶりですから。
こうなったら、芸術と刺し違える  しかないではありませんか。仕事は、音楽なのに自由に音楽を鑑賞できない、何と皮肉だといつも思います。
ところで、ニーナさんの御主人は、弁護士さんと聞いていましたが、外務大臣なのですね。
先にマドカキップさんが、ニーナさんが46歳になったと書いてありましたが、小柄で子顔だからか、全然そんな風に見えませんね。私と同じかななんて
比べる私がお馬鹿でした。

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