Opera! Opera! Opera!

音楽知識ゼロ、しかし、メトロポリタン・オペラを心から愛する人間の、
独断と偏見によるNYオペラ感想日記。

『ホフマン物語』 ヴィラゾンの代役はカレイヤに決定、そしてパペ、キャンセル。

2009-06-18 | お知らせ・その他
毎シーズン、必ず一本か二本、大きなキャスト・チェンジが必要となる、
”呪われた演目”が混じっているのが常のメトですが、
来る2009-10年シーズンで早くも”問題児化”しているのが『ホフマン物語』。

ヴィラゾン、ネトレプコ、ガランチャ、そしてパペという、クアドループル的キャスティングで、
ゲルプ支配人としては、新シーズン最も客を呼べる勝算のもとに企画したはずだった
新演出のこの作品が大変なことになってます。

まず、2008-9年シーズンの『ルチア』事件(最初の二回だけ歌い、残りはキャンセル)
そして『愛の妙薬』からの完全撤退事件を経て、
メトのシーズン後に喉の手術を受けるらしいことが発覚したヴィラゾン。
術後療養も兼ね、メトの『ホフマン物語』への出演は取りやめることがすでに発表されていましたが、
キャストの変更は、かねがね噂があった通り、ジョセフ・カレイヤ(写真)で結末を見ました。
(メトやOpera Newsのサイトで発表されていますので、正式決定です。)

現在の時点ではヴィラゾンよりも地味な感があるカレイヤですが、
2008-9年シーズンの『リゴレット』、そして『愛の妙薬』での安定した歌唱が評価を受けての大抜擢のようです。
(もちろん、スケジュールの都合がついた、という実際的な理由もあるでしょうが。)
『ホフマン物語』はライブ・イン・HD(ライブ・ビューイング)の対象演目でもありますので、
これは彼にとっても大きなチャンス。
コンディションが良い時の彼は、凛とした声でとってもいい歌を聴かせるので、期待したいと思います。

一方、ヴィラゾンが降板して、看板演目という前評判に傷がついたのが気に入らないのか、
すっかりやる気をなくしてヤな感じなのがパペ。
同演目で四つの曲者役(リンドルフ、コッペリウス、ダぺルトゥット、ミラクル博士)で登場予定だった彼ですが、
結局、”これらの役をレパートリーに入れないことにした”という何じゃそりゃ?な理由で降板を表明。
代わりに歌うのは、2007-8年シーズンの『ヘンゼルとグレーテル』
父親ペーター役を歌った声のでかい男、アラン・ヘルドだそうです。
パペは役によっては素晴らしい歌唱をきかせる歌手だとは思いますが、
最近とみに、真剣勝負で歌ってくれる時と、そうでない時の落差が激しく、
2007-8年シーズンの『マクベス』では、バンクォーのような、
今さらなぜその役を歌う?というようなものまで歌っているので、
今回のキャンセル発表はアーティスティックな理由だけではないのではないか、と、
当ブログは疑念の目を向けます。

一方の女子陣は、現在のところ、当初からキャスティングされていた
ネトレプコ、グバノーワ、キム、ガランチャという布陣通り変わらず。
しかし、ネトレプコは今シーズンの『ルチア』のように、本番で爆弾を落とすかもしれないですから、
公演当日まで全く気が抜けない『ホフマン』です。