まきた@VetEpi

酪農学園大学をベースに、発展途上国と日本の獣医疫学に取り組む獣医師のブログです。

「それでは、生きていてください。」

2012-02-02 21:42:49 | 仕事
2012年2月2日(木)。

標題は、つい先ほど気仙沼に住む大学の後輩から電話を切るときに伝えられた言葉です。

酪農学園大学は、昨年の震災直後、3月後半から学生が中心となって被災地で活動して来ました。その活動に携わった教員がプロフェッショナルレベルでの活動をするため活動費を申請していたところ、三井物産から助成金を頂き、石巻市役所と提携して環境リスク評価を実施しています。

今日は、仙台で三井物産に助成された団体の交流会があり、参加して来ました。驚くほど幅広い職域、専門性を持って、震災の復興を助ける活動が行われているのだということを知りました。しかも、国が緊急予算について、様々な段階での議論、承認を取るのに時間がかかるのに対し、三井物産は迅速に方針を変え、フレキシブルに震災対応をしております。三井財団というのは、私は別に個人的に賄賂を受け取っているわけではないですが、全く素晴らしい組織です。

今回の交流会では、世界レベルに立った知見も得ることが出来ましたが、それより、現場で活動されている方々とも対話することが出来、まさに原点に立ったような会議でした。

私は、途上国で、いくつか(も)身の危険を感じる体験をして来ました。安全な日本に帰ると、いつもギャップを感じていたものです。しかし、仙台に来たついでにおよそ8年ぶりに話した気仙沼の後輩は、見事に途上国での内紛や、ヒマラヤ登山といった類の経験後に自分が口にしたような言葉で電話を締めたのでした。

彼にとって津波は過去ではない。

私もいくつも研究課題を抱えていますが、震災、放射線問題は、ちゃんと見つめて行かなければならないと理解しています。まだまだ、手が届いていないところが存在します。除染活動を行っている元名古屋大学教授に、「南相馬市にいらっしゃい」とも言われました。本当に、時間の許す限り尽力したいものです。心底、日本と世界の危機のために尽力されていらっしゃる、そして実力がある方々とお会いできて、本当に良かったです。

消費者側に立つと、凡人の私たちに出来ることは、少なくとも問題意識を失わないことかな。たまにでも、会話に出してみたり、何か募金を募っていればわずかでも気持ちをあげることかも知れません。それでも、私も一消費者として続けようと思います。申し訳ないけれど、そこにずっと住んでいないので、自分の完全なリアリティではありません。

そして、研究者としては、小さい組織なりに、ポイントを絞って、しっかり石巻市役所に知見を伝え、政策決定に役立てていただければ幸いです。ま、失敗することはあっても、しっかり生きて、明日を、一年後を、10年後を迎えて行きましょう。

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2 コメント

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近藤にあった? (ヒラカタ)
2012-02-03 09:58:33
マッキー ご無沙汰しています。
忙しそうだけど、体に気をつけてください。

一つだけ…
その元名古屋大学教授の先生に聞いてみたいことが。

除染って本当に有効なの?

その場所・その時間では有効化のかもしれないけど…

結局、1Fからまだ放射性物質がでている状況で高圧洗浄で水でながしても…

水に乗せて拡散しているだけ
除去した面に再度降下してくる

で、あまり有効ではない説もある。
農地のゼオライトとかは有効そうだけど。

この部分、その先生はどうかんがえてるのだろう?
実際行動に移している方の話を聞いてみたいのであります。
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公の目に触れる発言となりますが (まっきー)
2012-02-05 00:49:36
ヒラカタくん

こんどーには二回あったよ。頑張ってるよ。一度は飲んだ。

元明大教授と話をしていたのは、田畑の除染についてです。その場合、基本的には汚染された表土を集めてゼオライトも用い除染しています。
水で流す場合の話はしなかったけれど、家屋の表面に付着している放射性物質を洗い流すのは効果が実証されているよね。ただし、最近話題になった、汚染された土砂を用いたコンクリートだと、放射性物質はコンクリートの中に入っているので、もちろん上から水をかけても、あまり効果は期待できないよね。。。ここでは、不特定多数の方が目にするので、除染に関しては、これ以上のお話はしないことにするね。
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