まきた@VetEpi

酪農学園大学をベースに、発展途上国と日本の獣医疫学に取り組む獣医師のブログです。

同級生の紹介2

2005-02-27 18:33:42 | 学業
今日はタンザニアのビッグマン、ルーカス・マテンバの登場です。

アフリカ人は、権力者のことをビッグマンと呼びます。ルーカスも他の学生と同様、優秀なのですが、ちょっと違った迫力をかもし出しています。なんとなく、ビッグマンなのです。

彼は医師で、ロシアの大学で医学を学びました。なのでロシア語の読み書きが出来ます。
その後一年スウェーデンを放浪し、マクドナルドでバイトしたり、果樹園で働いたりしていました。経験とお金を得るためだったといいます。
タンザニアに帰国後に、政府の役人となり、公費でタンザニアのダル・エス・サラーム大学にて修士課程を学び現在に至ります。
彼の、なんとなく優等生でないところがいいですね。気が合います。

写真のとおり、先週は雪の多い週でした。やっぱりエディンバラは寒いかも?と思わせる週でした。でも日本のほうが寒いですね。おかげでずるずると風邪が治りません。

同級生の紹介1

2005-02-22 08:39:37 | 学業
今日はようやく同級生の紹介です。

一人目はスコットランド人のニール。
ケニア生まれのケニア育ち。お父さんは元英国政府の獣医研究官で、長期間にわたり、ケニアを中心に研究していました。写真は彼の借り家の裏で撮ったものです。広大な牧場に住んでます。
大家に仕事を頼まれるのがいやなので、未だに獣医であることを隠しているそうです。
研究地はザンビアのルワンベ国立公園。野生イノシシがどの程度アフリカ眠り病の病原体、トリパノゾーマに感染しているかを調べます。
事前調査では、一日8時間、同じ場所で5分間おきにイノシシが通るかどうか観察するとか。想像して見てください。僕ならいやですね。

二人目はザンビア人のジョゼフ。
同じく獣医師です。大学に勤めていますが、ザンビアの首都ルサカ近郊で、養鶏業も営んでいます。はっきり言って、僕より全然金持ちです。使用人に養鶏をさせています。
でも結構ギャグは飛ばすし、いいキャラです。音楽が趣味で、今度奥さんと4人の子供を呼び寄せて家族バンドを結成するとか。ちなみに僕も混ぜてもらう予定です。

次回は、タンザニアのビッグマン、ルーカスの登場です。

初めてのプレゼンテーション

2005-02-21 06:23:03 | 学業
先週末はあまりにも体力を使い切ってしまったため、日曜の夜になって書いてます。

3週間前から、毎週金曜日にミーティングが開かれるようになりました。
これはすごくいいシステムです。月曜日の朝にはその週やることが明確に分かっているので、徐々にエンジンの回転を上げていくことが出来ます。そして金曜のよるにはすっきりして週末を迎えることが出来ます。
週末は、その一部を参考にしていながら、全部は読み切っていなかった文献を読むことも出来ます。
日本の企業では、月曜の朝にミーティングを開くところがあるらしくて、そういう会社では自殺者も多いとか・・・。やな会社ですね。思い当たる方は、是非金曜に変更するようお勧めします。

さて、金曜は、ここ3ヶ月ほどの研究を締めくくるプレゼンでした。
t高原牧場の清水さーん、教わったパワーポイントのテクが役に立ちましたよ!
ここ3ヶ月ほど、僕は発展途上国の都市周辺部(ペリ・アーバン・エリア)について調べていました。
発展途上国では、急激な都市部の膨張、拡大により、これまで主に貧困削減の対象とされていた村落部に加えて、都市貧困層が生み出されてきました。都市中心部では自然発生的に、また以前村落部だった新しい周辺部では、農業が形を変えて進化し、また住宅や都市部となるため衰退して行ったりします。これまで、そこでの農業は何故重要視されているのか、健康への影響は、また政策や開発援助の採るべき方向性はどこなのかを探っていました。

発表直前の水曜、木曜の夜には、担当教官から「コーヘイ、いいサイトが見つかった!」とか「More!」と膨大な資料を紹介していただき、久しぶりに2時、3時までフルスピードで格闘してました。しかも、スライドは6枚までね、という条件付。6枚に要点を絞るというのは結構大変なものです。

お陰さまで、プレゼンは大成功。一部単語が出てこなくて「あう、あう、あう」となった部分もありましたが・・・。
他の同期の学生からは、「ミスター・ペリ・アーバン」の称号を頂きました。
しかーし、僕は獣医です。教官からの質問も完璧に答えましたが、最後に開発学的な話が膨らみそうだったので、
「先生、もっと開発援助の方向性について調べていくことは出来ます。でも、本当に調べていけば、3年なんてあっという間ですよ。それは開発学者の仕事だと思うし、僕には獣医師としての仕事があるはずです。」
と意見しました。

「コーヘイ、その通りだ。ようやく分かってきたようだね。PhDの最初は、皆誰しも大志を抱いて燃えているものだ。しかし、PhDの3年間で出来ることは、とても限られているんだよ。」

都市周辺部(ペリ・アーバン)卒業の瞬間でした。
しかし、貧困削減のために獣医師として何かしたい、という気持ちは根底に持ち続けていたいと思います。

ダブルデッカー

2005-02-17 03:47:34 | エディンバラの見どころ
ダブルデッカーは、ここでの暮らしを説明するには欠かせない存在です。
2階建てバス。ロンドンだけの存在かと思っていたけど、エディンバラでもほとんどのバスが2階建てです。

僕はもちろん2階の一番前が好きです。
でもその席は、雨が降っている日は何も見えない。そういう日は、ちょっと後ろ目の窓側がいいのです。
大体朝は1階で、帰りは2階に乗っているかな。
毎日片道40分の通勤は、朝は入り口の傍においてある無料の新聞を読むか、他の学生と話しながら乗っているし、帰りは次の日の計画を考えていたり、また他の学生と話したりしているので、通学時間を長く感じたことはありません。

12月後半は、通学の途中で低い丘が続く地平線から太陽が昇ってくるので、きれいでした。
そうでなくても、町中からのどかな牧草地、丘陵地帯の中に入っていくのはいいものです。
帰りは落ち着いた町に戻ってくると、またほっとします。
この点、ラッシュアワーの地下鉄通学じゃなくて本当にラッキーです。

これから暖かくなると風景がどう変化するか楽しみです。
そうそう、今は寒桜がきれいなんですよ。

閉め出し

2005-02-13 23:47:17 | Weblog
こちらのフラットの戸は、閉じると自動で鍵が閉まってしまう。

昨日、パーティーの誘いがあって、以前紹介したステワート夫妻が呼びに来たので急いで出たところ、妻も私も鍵を持っていないことに気が付いた。

げー!閉め出しー!
これからパーティーだっていうのに!

しかしステワート夫妻がいて良かった。彼らのフラットは近くなので、そこに行ってイエローページで鍵屋を探した。(こっちでも同じくイエローページ。)一件目は忙しくていつになるか分からないと言う。やっぱり結構やっちゃう人がいるんだ。二件目は30分後に現地でということで連絡が取れた。ただ待つのも手持ち無沙汰だし、ワインを飲んで話していると、彼らももう何回かやってしまったということだった。みんな閉めてから鍵をかけるようなシステムにすればいいのにね。でも盗難が多いからなんだろうな。

時間が来たので見に行ってみると、ちょうど鍵屋も着いたところだった。部屋を案内すると、彼はバッグから厚紙のようなものを出したと思ったら、戸の隙間にそれを差し込み、ちょっと持ち上げただけでパチッと鍵を開けてしまった。え?それだけ?

鍵屋は45ポンド(約9千円)を請求した。家族3人約1週間分の食費だ。ステワートが交渉してくれて、40ポンドにまけてもらったが、時給にするとエライいい値段だ。まあ事故に逢ったよりは安いということで、納得しました。

今日もイギリスでは、一体何人の人が鍵屋のお世話になっていることだろう。

新年が流行です。

2005-02-12 05:31:27 | 異文化
今週は、世界の中のかなりの人口が新年を祝いました。

火曜日の2月8日は中国の、水曜日の2月9日はイスラム教徒の正月でした。
エディンバラは小さいながらも立派な国際都市。
息子のために火曜日に下見に行った幼稚園では、しっかり中国の新年を祝ってありました。

また今週の火曜日は、キリスト教徒にとってはパンケーキを食べる日でした。
なんでもイースターの6週間前の火曜日に、昔から卵やバターの入った、栄養豊かなパンケーキを食べるのが慣わしなんですって。

日本の旧正月も2月8日だったのかな?
中国、イスラム圏、ネパールも太陰暦で動いているので、是非月を見たかったのだけれど、最近曇っていて見られません。
ちなみにネパールの新年は4月14日。国ごとの個性が守られていることに、なんだかほっとします。

友人がくれたMD

2005-02-11 19:50:55 | 音楽は心の泉
僕がここスコットランドに来たのは昨年の9月ですが、出国前は直前まで留学の手続きなどにも24時間追われていたので、ちゃんと引越しできるかどうかも怪しい状態でした。
その出国直前に、バンド時代のメンバーからMDをプレゼントされていたのだけれど、こちらに来ても忙しさのあまり、申し訳ないことにまだ聴いていませんでした。

昨日家の近くで用があり、自宅で勉強していました。妻子は大学が無料で家族に英語を教えてくれる、女性クラブというものに出かけていたので、僕は一人でした。
その時ふとそのMDのことを思い出したのです。

聴いてみると、最初の60分はスタジオでの練習を撮ったものでした。
自分たちの音楽を聴くのは久しぶりで、一曲ごとに鳥肌が立ちました。なかなかどうして円熟味が出てきて、曲にも幅があり、聴きごたえがありました。まあ、ここのアレンジはこの方がいいなとか、また歌詞を間違えてるというのもありましたが。

そして練習撮りの曲が終わると、キーボードのきれいな曲が始まりました。
声は、そのバンド仲間のものでした。
その曲は多分、僕のために作曲されたのではないかという内容でした。今まで友人のために作った曲は何曲もありましたが、自分のために作られたと思われる曲を聴くのは初めてでした。
ぶわっと、急に生々しく、さわやかでもあり、また熱い感覚が僕を襲い、自然と涙があふれていました。音楽には、驚くべき力があります。僕はもちろんそれを知っていたけど、すっかり忘れていました。

「君の永遠のジャンプ」

彼は今回の僕の挑戦をこの言葉に凝縮し、エールを送ってくれていたのです。
もし東京でのあの10年間、僕が真剣に音楽に打ち込んでいなかったら、こんなに勇気づけられることはなかったでしょう。聴き終わって、大好きなジョン・デンバーの曲の一節を思い出していました。

"This old guitar gave me my life"

ジョン・デンバーは確か彼の祖母にそのギターをプレゼントしてもらい、コンサートでも使い続けるほど重宝していたのだけれど、あるコンサートホールでなくしてしまいました。しかしツアーでもう一度回ってきたときに見つけて、嬉しくてその曲を書いたのだったと思います。

今僕はプロのミュージシャンとして仕事をしているわけではないけれど、少なくとも友人を勇気づけたり祝ったり、自分の人生も豊かにすることが出来ました。
友人よ、有難う。いつか帰国して、また同じバンド仲間でステージに立ちたいものです。

イギリスの牛肉

2005-02-08 18:35:40 | 学業
2月6日(日)の早朝、義姉からFAXが届きました。
日本で初めて発症が確認された、vCJD(変異型クロイツフェルト・ヤコブ病、BSEのプリオンがヒトに感染した病気)の新聞記事でした。
今まで牛肉料理を紹介していましたが、改めてBSE、vCJDのリスクの高さを思い知りました。もう食べる気がおきまへん。

昨日一日かけてBSE、CJD(クロイツフェルト・ヤコブ病)、vCJD情報を一気に集めて読みました。ほとんど必要な情報がネットで集まるので、便利ではありました。
前々から気になっていたのは獣医師として当然ですが、ちゃんと調べてなかったのはダメでした。でも語学力がついた今だからこそ、情報収集も短時間で出来たのだけれど。

日本では初発例でしたが、UKでは亡くなられたvCJD患者数は今までに148名、現在発症されているvCJD患者数は6名で、CJD全体の死亡者数はUKだけで1025名に上ります[5]。

BSEについて見てみると、2004年11月までで18万頭の牛が感染確認されており(発症または検査で陽性)、全酪農家数35,998戸のうち22,365戸62.0%でBSEが確認されています[3]。
グレートブリテン島における発症は180,640頭、ピークの1992年だけで36,682頭でした[3]。
これに対して、日本は初発の確認が2001年で、現在までで14頭のみです[4]。

2001年12月から30ヶ月令以上の牛は食用から外されていますが[1,p2]、若い牛で20ヶ月令で発症した例もあり、日本のように食用に回る牛の検査を行っていないため、BSE感染牛が食卓にのぼる可能性は否定できません。
また、発症は2002年の430頭、2003年161頭、2004年69頭(10月29日現在)と減少しているものの[3]、30ヶ月令以上の健康牛検査でも0.08%(2001年12月から2004年12月まで)が陽性でした[1,p2]。
資料の中で一番恐ろしかったのが、食肉検査官のレポートで、月ごとに定められた食肉処理が適正に行われているか見ているのですが、適正でなかった数が報告されています。そこに、・特定危険部位の除去1、食肉への汚染1、などなどの報告が載っておりました[1,p32,Table13]。だいじょぶかい?

もう4回くらい食べちゃったからしょうがないけど(うわー、素人ー!)、リスクが身に染みました。いっそこの際ヒンドゥー教徒になろうかな?

英国も食用牛の全頭検査をすれば安全だけど、口蹄疫の発生もあったし、財政上無理なのでしょう。日本のBSE検査には莫大な予算が使われていますが、安心して牛肉を食べられる有難さがよく分かります。みなさんは、全頭検査に賛成?

*参考文献;
1.BSE: Measures taken by the UK, Report for the month to the end of December 2004; Defra 2004
2.Defra Homepage, http://www.defra.gov.uk/animalh/bse/index.html
3.October monthly summary statistics, Defra 2004
4.埼玉県中央家畜保健衛生所Homepage, http://www.pref.saitama.lg.jp/A06/BD25/top.html
5.The UK National Creutzfeldt-Jakob Disease Surveillance Unit Homepage, http://www.cjd.ed.ac.uk


やっぱりブログ閉鎖しないお知らせ

2005-02-05 15:30:08 | お知らせ
昨日提出レポートの校正がようやく終わりました。1月初めに下書きを書き上げた分です。しかし提出しようかと5時前に持っていくと、もう担当教官はいません。
土日にケニアで会議があるため、皆バタバタです。
う~!すっきりしない!

先日、閉鎖のお知らせを出しましたが、皆様からの暖かいコメントを読んで、閉鎖は取りやめ、これからは無理のないペースで記事を載せていくことにしました。
ご心配おかけしたかと思いますが、本人こちらの勉強が急に本格的になり、切羽詰っているのではなく、忙しくはなりましたが遣り甲斐を感じて楽しんでおります。

マイペースを思い出させてくれた方々、どうも有難う。
これからもよろしくね。

緊急:ネパール情勢

2005-02-03 18:11:39 | お知らせ
まだコメントを読んでおりませんが、昨晩ネパール人の友人から電話があり、ビンティのホームページでも確認したので、急ぎお知らせします。

2月1日にネパール国王が議会を解散し、今後3年間国王が統治すると発表しました。その日空港は封鎖され、電話、インターネットも使用できないとのこと。
詳しくはビンティにて。主催者の高津さんは、丁度デリーに出ていたためネパールには入れないが、情報を発信することは出来るとのこと。下記URL参照。
http://www.binti.net/

ネパール渡航を考えていらっしゃる方は注意してください。
こちらのニュース、インターネットではまだ取り上げられておらず、ネパール大使館の情報も更新されておりませんが、事実のようです。
日本では報道されたのでしょうか?