まきた@VetEpi

酪農学園大学をベースに、発展途上国と日本の獣医疫学に取り組む獣医師のブログです。

マオイスト優勢

2008-04-14 08:17:14 | 異文化
4月13日(日)。

先週末から、1999年以来9年ぶりの、ネパールの選挙での選挙について報道されていますが、何と驚いたことに、現在マオイストが集計が終わった128の議席のうち71も勝ち取っています。

1999年といえば、丁度僕たちがネパールにいた頃。選挙はネパール語では、ツナップと言いますが、ツナップの頃は、僕が住んでいた村でも不安定な状況になっていて、結局2000年7月に日本に帰るまで、村長が不在という事態に陥っていました。

1998年にネパールに行った頃は、素朴で平和な国だったのですが、徐々にマオイストのゲリラ活動が盛んになって来て、政府のオフィスや銀行を襲撃する事件も多くなってきました。近くの学校の先生が襲われ、殺害されたという話を聞いてからは、実は毎晩ククリという短刀を枕元に忍ばせて寝ていました。懐かしいなあ。

ある友人は、寝込みを襲われ、銃口を突きつけられてパスポートと、確か政府開発援助プロジェクトの資金を取られました。僕はと言うと、焼酎を飲みすぎて泥酔していた2000年4月のある夜1時頃、住んでいたジリという村からルクラというエベレスト街道の村へ物資を送る停泊中のヘリがマオイストによって爆破され、ジリの谷全体が震えるほどの爆音に包まれた、と言う事がありました。この時、全く気付かなかったので、翌朝近所のおばちゃん達の笑い者になりました・・・。ジリ谷上の尾根にある警察署は、マオイストからの襲撃を受け、銃撃戦となりました。

そして、僕は任期を3ヶ月残して首都カトマンドゥに撤退となり、悔しい思いをしたのでした。

あのマオイストが、国民に絶大な支持を得ているなんて。マオイスト支持者が、どうどうと顔を隠さず(赤く塗ってますが)町を行進しているなんて。10年一昔とは言いますが、信じられない状況です。今後、ネパールで仕事をするとしたら、マオイストと笑顔で仕事をして、家に招待されちゃったりするんでしょうか。そんな時、昔話もしちゃうんでしょうか。実はあの時スパイで、あんたを見張っていたんだよ、なんてカミング・アウトもあるんでしょうか。

2003年に一度村を訪れましたが、その時、よく挨拶をしていた明るいおばちゃんが、久し振りに話していたら、急に泣き出しました。息子が少し前に、家の傍でマオイストに襲われ、銃殺されたそうです。

ネパールで共産主義が優勢になることと、2006年に宣言されたマオイストによる武力活動の停止が守られることを秤にかけたら、前者のほうが僕には喜ばしいことです。今回の選挙は、240年間続いた王政を廃止する決定を正式に認めるものとなります。とにかく、早くネパールが安心して旅が出来る国に戻りますように。

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2 コメント

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Unknown (まるきち)
2008-04-19 07:24:22
過酷な人生をいおくってたんですね!さすが人生のジャーナリストまきやま氏。寝てて気づかなかったのもあなたらしさが光ってますね。
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大ボケ (まきやま)
2008-04-21 02:34:02
あんな状況で大ボケでした。
これからもボケていきたいと思います。どこで?
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