⭐️⭐️浅野まことのここだけの話⭐️⭐️

浅野まことがここだだけの話をブログで大公開!!

グローバル化から脱する時!&

2016年09月25日 | 金融
月刊日本10月号に三橋貴明氏が「グローバル化は亡国への道」と題して寄稿している。
同氏は安倍政権が発足した当時は、アベノミクスを支持していたので僕もこいつは自民党のまわし者だと思っていたが、最近は、アベノミクスを徹底的に批判しており、また、同氏の説明は非常に筋が通っていて、傾聴に値すると考えている。

三橋氏は、政権交代後、安倍政権は、緊縮財政を取り消費増税をしたことから需要が減り、消費も減ってしまい、今や完全にアベノミクスは失敗したと斬りすてている。何故、アベノミクスは、変わってしまったのかについて、同氏は下記を指摘する。

1)安倍総理は、「デフレは貨幣現象だ」と言っていたのは、故・ミルトン・フリードマン(米国の経済学者、マネタリズムを主唱、裁量的なケインズ的総需要管理政策を批判。1976年、ノーベル経済学賞受賞)の理論そのものであり、金利を下げて金を潤沢に放出した。財務相は、リフレ理論でデフレが脱出できるのであれば財形投資は不要で、緊縮財政でもいいでしょということで緊縮財政に転じた。

2)2013年10月1日に消費増税を決定し緊縮財政に移行した。デフレ下で増税すれば消費が冷え込むのは当たり前である。

3)企業は低金利でも国内で投資を行わなかったのは、緊縮財政で需要が伸びないと判断したからである。

4)デフレを克服するために、規制緩和と構造改革が叫ばれ、竹中平蔵がまたぞろ重用され、労働者派遣法の改正、外国人労働者への門戸開放、TPP推進とグローバル化が推進されている。

5)デフレ下で構造改革を行うとデフレは深刻化するという事を安倍政権は理解していない。現在の日本は、デフレ脱却のために構造改革を行うとデフレが更に深刻化し、デフレ脱却のために更に構造改革が叫ばれるという悪循環に陥っている。

上記が三橋氏のアベノミクス批判である。今必要な政策はグローバル化と縁を切り、政府が率先してインフラ投資をせよというものである。

僕も基本的には同氏の意見に賛成である。100兆円を超える予算を安倍政権は組んでも借金の返済に回しているので金額が膨らんでいるのであり、真水部分は殆どなく需要を創造する様な投資は殆ど行われていない。国内の大型プロジェクトは今や殆どないのが実情である。あっても東京だけである。

巨大地震に耐えうるインフラ整備、新幹線、高速道路網の整備、
人工知能開発、医療ロボットとソフト開発など、昔の穴を掘って埋める型の公共工事ではない本当に必要な投資が必要なのである。
今であれば、日銀が国債を買い取ってくれるからほぼ国が払う国債の金利はゼロ金利で発行できるのである。

日銀の枠組み転換どう読み解く

2016年09月25日 | 金融
日銀の枠組み転換 どう読み解く(創論)
2016/9/25 3:30 日経新聞

 日銀が2013年から進めてきた金融緩和を検証し、資金供給という量重視から金利重視へと政策の枠組みを変えた。物価目標の達成が遠のく中での政策転換をどう読み解くか。日銀審議委員を務めた植田和男・東京大学教授と、米連邦準備理事会(FRB)の金融政策局副局長だったジョセフ・ギャノン・米ピーターソン国際経済研究所上級研究員に聞いた。

■経済政策の主役降りる

東京大学教授 植田和男氏


うえだ・かずお 74年東大理卒。93年に東大教授就任。98~05年には日銀審議委員を務め、その後、再び東大教授に。65歳。
 ――日銀が長短金利を主な操作目標とする新しい政策の枠組みを導入しました。
 「2%の物価上昇率目標は、当初掲げた2年を過ぎ、約3年半たっても未達成だ。一方、巨額の国債購入はあと2年程度で限界に直面すると指摘されている。そこで政策の持続性を上げ、長期戦覚悟で2%達成を目指すことにした。それが主な操作目標を量から金利に切り替えたことの意味だ。今回0%程度とされた長期金利の誘導水準は、従来のように年間80兆円もの国債を買わなくても実現できる可能性があり、国債購入の限界は遠のく」

 ――物価2%超の安定的な実現まで資金供給量(マネタリーベース)を拡大する時間軸政策も決めました。

 「『2%』を『2%超』に上げ、物価上昇期待を刺激しようとした。ただ従来と異なり資金供給量の増加額について明確にコミットしたわけではない。増加額が縮小するケースも十分考えられ、これも政策の持続性を上げる面がある。ただ物価2%が近づいたときに長期金利をどう操作するかは極めて難しい問題だ」

 ――政策の持続性を向上させたことで、経済政策で日銀が引き続き重要な役割を担うことになりますか。

 「物価押し上げの成果が短期の間で出なかったので、長期戦への切り替えを余儀なくされたというのが今回の対応の実態だろう。政策を長く続けられるようにしたが、追加緩和の弾がそれほど増えたわけではない。むしろ金融政策の限界が一段と明らかになり、経済政策の主役の座を降りざるを得なくなってきた」

 ――量の拡大に限界はありますが新たに操作目標にした長短金利の引き下げという追加緩和手段がまだ使えます。

 「過大評価はできない。日本ではマイナス金利幅の拡大余地が当初想定されていたほどにはなさそうだ。欧州の事例からマイナス1%くらいまでの金利引き下げが可能かと思われたが、日本の金融機関の利ザヤは以前から小さく、マイナス金利政策が収益に及ぼす悪影響がより大きい。欧州と同列には扱えない」

 ――経済の現場には、金利を下げれば下げるほど経済刺激効果が強まるわけではないという声もあります。

 「確かに、マイナス金利という常識外の世界では、金利低下と緩和効果拡大を同一視する教科書的な理解は必ずしも正しくないかもしれない。2つの点に注意を払う必要がある。第1に金利低下による金融機関の収益悪化が、世の中に円滑にマネーを供給する金融仲介機能をどの程度傷めるか。第2は保険や年金など資産運用への負のインパクトだ。この点については、日銀の異次元緩和の『総括的な検証』も人々の心理に悪影響を及ぼす可能性に触れた」

 ――追加緩和として上場投資信託(ETF)の購入拡大の余地はないですか。

 「既に年間6兆円ペースで買っており『官製相場化』が一段と進んでいる。優れた企業とそうでない企業を選別する株式市場の機能低下は成長戦略にマイナスではないか」

 ――時間軸政策を強化する手はないでしょうか。

 「緩和解除条件の『2%超』を上げても、現実味のない数字だとインフレ期待は強まらない」

 ――緩和余地が乏しいなかで日銀はどう対応すべきですか。

 「基本的に経済政策の主役は政府の財政政策や成長戦略になっていく。金融政策の役割はその補完に向けた政府との連携だ」

 ――どのような形で連携できますか。

 「日銀がかねて指摘してきた通り、日銀が緩和的な金融環境の維持に努めることは、国債発行の増加による長期金利上昇圧力を抑える効果を持つ。ただし、ヘリコプターマネー(財政支出を支える中央銀行の恒久的な資金供給)とは一線を画すべきだ。将来の高インフレのリスクを抱える。日銀が長短金利の低位安定に努める一方、規制緩和など政府の成長戦略が自然利子率(景気を冷やさず過熱もさせない金利水準)を上げれば、経済刺激効果が高まる」

 ――ただ市場混乱時には再び緩和要求が出そうです。

 「緩和策の弾切れが近いのは事実だが、金融危機時などにはリスクプレミアム(リスクに応じた資産価格の割引幅)が大きく拡大するので、資産買い入れの緩和余地はむしろ出てくる面もある」

(聞き手は編集委員 清水功哉)

■物価上昇 再挑戦の意志

米ピーターソン国際経済研究所上席研究員 ジョセフ・ギャノン氏


 ――2013年からの日銀の量的・質的金融緩和をどう評価しますか。
 「私は大きな効果があったとみている。消費者物価指数の上昇率をエネルギー・食品を除くベースでみると、導入前はマイナス圏だったが、開始後にプラス圏に浮上した。その後、14年4月の消費税増税で伸びが鈍化したが、同年10月の追加緩和で再び上向いた。失業率も20年ぶりの水準まで下がるなど、経済環境にもプラスに働いた」

 「ただ、量的緩和の拡大を見送ってマイナス金利政策に切り替えた今年1月以降、日銀は量的・質的緩和による物価の押し上げを諦めたようにみえた。1月は春季労使交渉を控えた重要な時期だ。マイナス金利を導入するにしても、さらに深掘りして緩和姿勢を示すべきだった。『日銀は物価上昇率2%の達成に本気ではないのではないか』と人々を不安視させた面がある」

 ――今回は「総括的な検証」を踏まえて、政策の枠組みを大きく入れ替えました。

 「日銀はもう一度、物価上昇率2%に向けて動き出したとみている。長期金利に誘導目標を設けて、イールドカーブ(長短金利の利回り曲線)をコントロールするというのは、戦後の中央銀行では実施例がなく、実に興味深い。物価目標を超えるまで資金供給量を拡大する『オーバーシュート型コミットメント』も物価が2%を超えても緩和し続けるという辛抱強い意思の表れとみている」

 「今回の枠組み変更は、小さな一歩にすぎない。緩和余地は大いにあり、例えばマイナス金利政策はさらに深掘りできる。スイス国立銀行(中央銀行)はマイナス0.75%まで政策金利を下げており、日銀も可能だ。円高対策にもなるだろう。ただ限界はマイナス1%だ。そこまで下がると投資家は債券投資や大口預金を取りやめて、そのまま現金で保有するようになる」

 ――マイナス金利政策は銀行収益など金融システムへの悪影響も懸念されます。

 「日銀がマイナス金利で民間銀行に資金を貸し出すようなスキームが考えられるだろう。マイナス金利で得た資金で銀行が民間部門に融資すれば、銀行の収益も傷まず、資金需要の掘り起こしも期待できる。民間銀行は家計のような小口預金にマイナス金利を適用するのは難しいだろうが、(手数料などで)法人預金にマイナス金利の負担を転嫁することはできる」

 ――緩和手段として、ETFの購入拡大も提唱していますね。

 「日本の株式市場は国内総生産(GDP、約500兆円)を超える規模があるが、日銀のETFの購入規模は年6兆円とGDPの1%強にすぎない。スイス中銀の買い入れ規模はGDPの20%だ。日銀のETF購入がなぜこれほど小規模なのか理解できない」

 ――先進国では自然利子率低下が金融政策の制約になっています。

 「理由の一つは労働力人口の伸びが鈍っているためだ。個人の住宅投資や企業の設備投資を下押しし、資金需要も弱める。金融危機後の規制強化で資金が国債などの安全資産に向かいやすくなり、全体の金利水準を押し下げている面もある。ただ自然利子率の低下は構造的な問題で、中銀の政策範囲を超えている」

 ――それだけに、政府や民間部門の役割がさらに問われることになります。

 「今回の日銀の枠組みの見直しによって、財政支出の余地ができたのではないか。日銀は年80兆円のペースで長期国債を買い入れるとしており、政府は低金利環境下で追加の国債発行が可能になる。高齢化や生産性の低下が成長力を下げているのは確かだ。移民政策も含めた構造改革論もあるが、需要を積み増すことが先決だ。需要がなければ労働力は過大になるだけだ」

 「需要を積み増してインフレ率が安定的に2~3%になれば、実質債務は徐々に軽くなる。日本の財政健全化にとって、財政も使って需要を積み上げ、インフレ率を上げていくのが最善の道だと思う」

 「もっとも賃金水準の改善は官民の重要なテーマだ。安倍政権には、公務員賃金の大幅な引き上げを来年の春闘前に宣言するよう提言したい。さらに民間企業の経営者にも同じように3~4%の大幅賃上げを求めていくべきだ。安定的な賃金上昇は需要の積み上げと物価の押し上げに大きな効果があるとみている」

(聞き手はワシントン=河浪武史)