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出光・昭シェル統合へ 英蘭シェルから株33% 来年めど、形態詰め 石油再編、JXと2強

2015年07月31日 | 企業研究
出光・昭シェル統合へ 英蘭シェルから株33%
来年めど、形態詰め 石油再編、JXと2強
2015/7/31 3:30 日経朝刊

 石油元売り国内2位の出光興産と同5位の昭和シェル石油は30日、経営統合することで基本合意したと正式発表した。まず出光が昭シェル親会社の英蘭ロイヤル・ダッチ・シェルから33.3%の株を取得、2016年をめどに統合をめざす。両社の連結売上高は単純合計で約7兆6000億円と首位のJXホールディングス(JXHD)に迫り、海外展開を加速して成長を狙う。内需減少を背景に繰り返されてきた石油の業界再編は2強誕生で、最終段階に入る。



30日、握手する出光の月岡社長(右)と昭和シェルの亀岡社長(東京都千代田区)




 両社の社長が都内で記者会見して発表した。出光興産の月岡隆社長は「シナジー(相乗効果)を最大化させるのに昭シェルはベストパートナーだ」と強調。昭シェルの亀岡剛社長は「国内にしっかりした収益基盤を作り、世界に乗り出していく」と述べた。
 出光は英蘭シェルが保有する昭シェル株35%のうち、33.3%を1691億円で買い取ることで英蘭シェルと合意。出光は規制当局の審査をへて16年上半期の取得を目指す。統合時期は未定だが昭シェル株の取得に合わせて「できるだけ、すみやかな経営統合をめざす」(出光の月岡社長)。
 統合形態は今後の協議で詰める。昭シェルの亀岡社長は「当社が子会社になることはない。対等な立場での統合をめざす」と説明。株式交換などを検討するとみられる。
 昭シェル株売却で英蘭シェルは、日本での石油精製・販売事業から撤退し、化学や液化天然ガス(LNG)事業に集中する。昭シェル株の約15%を持つサウジアラビア国営石油のサウジアラムコは経営統合を支持。今後も株を保有し、原油供給などで協力を続ける。
 合計で全国に6カ所ある製油所については、すでに能力削減に一定のめどをつけており、関東や中部など地域的な重複もないため、「統廃合は必要ない」(出光の月岡社長)。一体運営による生産・輸送などの効率化でコストを削減する。
 両社のガソリンスタンドは国内で計約7000カ所あり、特約店などが運営する。出光の月岡社長は「当面、両ブランドは維持する」と述べた。国内ガソリン販売シェアは計3割超と最大手のJX日鉱日石エネルギー(33%)とほぼ肩を並べる。
 石油製品は国内市場が縮小し、アジアなど海外市場の開拓が急務だ。出光と昭シェルは統合で国内の経営基盤を強化。生まれた投資余力をもとに出光が進めているベトナムでの製油所事業など海外展開を加速する。
 出光・昭シェルの経営統合は、10年の新日本石油と新日鉱ホールディングス統合によるJXHD発足に続く大型再編だ。かつて10社以上あった石油元売り大手は4社に集約され、残る東燃ゼネラル石油やコスモ石油の動向が今後の焦点になる。

過熱ふるさと納税 寄付なのにもうかる

2015年07月29日 | 政治
税金考 気になる光景(3) 過熱ふるさと納税
寄付なのにもうかる
2015/7/29 3:30 日経朝刊

 東京都港区に住む金森重樹さん(45)の自宅の冷蔵庫は全国の特産品でいっぱいだ。紋別の毛ガニから丹波の黒豆まで。食材が毎日全国から届く。

 「食費はただ。毎日の食卓は外食よりぜいたく」。こう語る金森さんが使うのはふるさと納税だ。例えば、自治体に10万円寄付すると2千円の手数料を除いた9万8000円を本来払うべき税額から減らせる。自治体から送られてくる返礼分はまるまる得する。





住民税の4倍
 ふるさと納税が今、過熱気味だ。北海道上士幌町は20万円の寄付に「羊牧場の仔羊」1頭を届ける返礼を出しネット上で評判を呼んだ。2014年度の寄付額は町の個人住民税収の約4倍にあたる10億円弱に膨らんだ。全国の自治体では寄付を集めようと返礼品を豪華にする競争が続く。
 08年に始まったふるさと納税による寄付金額は6年間で合計1126億円。各地の自治体と納税者の新たな関係を育み地域の活性化を促した。その新たな息吹を地方の再生につなげられれば良いと思うがどうも様子がおかしい。
 寄付はもともと公益のために私財を投じる行為だ。寄付金を所得から差し引く「寄付金税制」を使えば税負担は軽くなるが寄付したお金と合計すると結局は手取り収入は減る。
 だが、ふるさと納税でざっと200カ所に約300万円を寄付する金森さんの場合、返礼分を入れると手取り収入が実質的に増える。納税すると財布が豊かになる奇妙な仕組みだ。
 ふるさと納税の過熱は新たな段階に入りつつある。
タコが足を食う
 「とられてばかりじゃダメだ」。愛知県小牧市の山下史守朗市長(40)は6月、ふるさと納税で他の自治体に税収が奪われないよう異例の取り組みを指示した。小牧市民が小牧市にふるさと納税をしてくれるよう返礼メニューを作った。1万円を寄付した市民は小牧市内で使える3000円分の商品券がもらえる。
 実は市民から寄付を受けると返礼品を送っても市財政は潤う。寄付に応じて減る税収分は、国の所得税、愛知県の県民税と小牧市の市税で分担するためだ。1万円の寄付に伴う市税の減収分は3840円。寄付収入の1万円から市税の減少分と3000円の返礼代、1000円の郵送料を引くと、2160円の黒字だ。
 国からの仕送りである地方交付税交付金を受け取る自治体の場合、黒字はさらに膨らむ。地方交付税法は税収が減ると交付金で国が補填する仕組みをもうけているためだ。
 「市民が1万円寄付すると、交付金の支給額が7500円増えることになる」(片山善博慶大教授)。山口県のある市長は昨年末、市に寄付するよう職員に指示を出した。補填の原資は国民が納めた税金。たこが足を食うような話だ。
 約1億2600万人の日本の人口はこれから半世紀でざっと4000万人減る。厳しい時代を乗り切るためには、ふるさと納税の熱気をテコに国から地方への権限・税源の移譲や自治体の再々編に取り組む時期のように思えるが……。

「年度に新会計」98% 自治体、貸借対照表備える

2015年07月28日 | 政治
「年度に新会計」98%
自治体、貸借対照表備える
2015/7/28 3:30 日経朝刊

 全国自治体の98.2%にあたる1755団体が、貸借対照表などを備えた新しい会計方式を2017年度までに導入することが総務省の調べで分かった。新方式を導入すれば、今は把握できない公共施設などストックの価値を正しく分析し、再整備などが効率的にできるようになる。同省は専用のソフトウエアをつくって無償で配るなどして導入を促していた。
 都道府県と全国の市区町村、合わせて1788団体の3月末時点での意向を調べた。17年度までに導入する自治体のうち都道府県が40、市区町村が1715だった。導入は18年度以降とした自治体は28だった。東日本大震災で被災した自治体で多いという。
 自治体は今は単年度のお金の出入りをみる会計方式を採用しているが、減価償却費や退職手当引当金など現金の支払いを伴わないコストなどを把握できていない。
 新方式では貸借対照表や損益計算書にあたる行政コスト計算書といった企業会計と同じような財務書類、施設の取得金額や耐用年数などを記す固定資産台帳をつくり、ストックの足元の価値を正しく把握できるようにする。
 新方式が広がれば、「古くなった施設の統廃合や再整備が効率的にできるようになる」(総務省)という。今は自治体ごとに異なる会計の方式を統一でき、自治体間で財政状況を比べて改善も促しやすくなる。
 同省によると、市区町村が持つ公共施設の延べ床面積が1970年代に急増したため、今は多くの施設が更新時期を迎えている。老朽化した施設の再活用を進めやすくするため、同省は新しい会計方式の導入を促す大臣通知を今年1月に出していた。


→ これはいい事。

官製相場、拭えぬ不信 上海株急落

2015年07月28日 | 中国関連
官製相場、拭えぬ不信 上海株急落
売買再開銘柄に売り

2015/7/28 3:30 日経朝刊
 【上海=土居倫之】いったん落ち着きをみせていた上海株式相場が27日、再び急落した。中国経済の減速懸念が一段と強まるなか、6月半ばからの株価急落後に停止していた上場株式の売買が相次いで再開し、潜在的に強まっていた売り圧力が一気に噴き出した。投資家は中国政府が政策を総動員して株価を押し上げる「官製相場」への不信を募らせている。





 27日の相場急落で上海総合指数の終値は3725に下落した。中国政府の一連の株価対策で急反発した7月9日(3709)以来の低い水準となった。中国政府が打ち出した株価対策による相場の上昇分はほとんどが消えたかたちだ。
 中国の金融情報会社「大智慧」によると、上海と深圳の両市場でピーク時に1473社だった売買停止社数は、24日に532社まで減った。売買停止中は売りたくても売れなかった個人投資家の多くが、取引の再開に合わせて大挙して売りに動いたとみられる。
 上海総合指数は前週23日までに6営業日連続で上昇。中国政府系金融機関の中国証券金融が株式を直接買うといった政府の対策が効果を発揮したためだ。24日の取引時間中には上海総合指数が一時4184を付ける場面があった。ところが、ロイター通信は27日、中国証券金融が株式買い入れの原資のひとつである銀行借入を一部返済したと報じた。詳細は不明だが、中国証券金融が株式買い入れをやめ、これが27日の上海株急落につながった可能性がある。
 上海総合指数が今回を上回る急落を演じた2007年2月27日は、中国が北京五輪を控えてインフラ投資を活発にしていた時期だ。相場急落後も個人を中心とした株式ブームは衰えず、上海総合指数は5年に1度の共産党大会が開かれていた07年10月に過去最高値(6092)を付けた。
 しかし共産党大会が終わったとたん、上海株は急落を繰り返すようになり、昨年夏まで長い低迷期が続いた。
 中国の上場企業は8月末までに1~6月期の決算を発表する。業績が悪ければ、株式相場には一段と下押し圧力となる。中国政府は追加の株価対策を迫られかねない。

三菱自、米生産撤退を発表 車種・地域絞り活路

2015年07月28日 | 企業研究
中堅車メーカー、進む選択と集中
三菱自、米生産撤退を発表 車種・地域絞り活路
2015/7/28 3:30 日経朝刊

 三菱自動車は27日、米イリノイ州の工場を売却し米国生産から11月末に撤退すると正式発表した。自動車業界ではトヨタ自動車など上位企業が年1千万台規模の販売を競い合うなかで中堅メーカーは生き残り策が問われている。米四輪車販売から撤退しアジアにシフトするスズキ、軽自動車生産をやめて北米に注力する富士重工業など「選択と集中」に解を求める動きが広がりつつある。

 三菱自が米イリノイ州の工場で乗用車生産を始めたのが1988年。2000年には年22万台超を生産していたが14年は約7万台にとどまっていた。27日記者会見した三菱自の相川哲郎社長は「工場を維持できる規模ではない。選択と集中を進めるために工場売却を決めた」と説明した。
工場閉鎖も検討
 三菱自の米生産撤退は10年来の懸案だった。背中を押したのは経営再建と円安だ。14年には累積損失を一掃、円安効果もあり15年3月期の連結営業利益は過去最高だった。リストラ費用を吸収できる余力ができた。
 米工場の従業員は1250人。売却先はこれから探すが「買い手がいなければ閉鎖も検討する」(相川社長)。同工場で生産する多目的スポーツ車(SUV)「アウトランダー・スポーツ」(日本名RVR)は岡崎工場(愛知県岡崎市)からの輸出に切り替える。
 自動車業界では大手と中堅の戦略の違いが鮮明になりつつある。トヨタや独フォルクスワーゲン(VW)、米ゼネラル・モーターズ(GM)などの大手は世界販売を年1千万台前後まで伸ばし、なお生産拠点の拡大競争を続ける。世界販売120万台の三菱自などは戦略の強弱を付けざるを得ない。すべての地域で展開するよりも得意分野に絞り込む戦略を急ぐ。
 一つは地域の絞り込みだ。スズキは12年に米四輪車販売から撤退した。「中小メーカーが米国市場に合わせて新車をそろえるには限界がある」(鈴木修会長)。代わりに増強するのがアジア。今春にインドネシアに2番目の新車組み立て工場を稼働させた。17年にはインドで3カ所目の工場を開設する。同社のアジア販売比率は6割を占め、さらに増える見通し。
 三菱自はすでに欧州生産から撤退した。今後はインドネシアやフィリピンの生産を伸ばす。
少量で高利益率
 車種の絞り込みに成功したのが富士重だ。12年に軽自動車生産から撤退し、同社に16.5%出資するトヨタ傘下のダイハツ工業からOEM(相手先ブランドによる生産)供給を受ける。自社では収益力のあるSUVを北米中心に販売する。
 富士重の世界販売は三菱自よりも少ない年90万台超にすぎない。しかし事業構造を見直した結果、16年3月期の連結営業利益率は17%と自動車業界で最高水準となる見通し。円安効果も加わり営業利益では初の5千億円台を視野に入れる。吉永泰之社長は「北米とSUVに絞った戦略が奏功した」と強調する。
 中堅規模では、燃料電池車や自動運転車といった次世代技術開発などは自力で補えない部分も多い。大手の経営資源を効率よく活用できるかがカギとなる。中堅勢の次の一手が自動車の世界再編を動かす可能性もある。

サントリー上場検討 18年にも 金融機関と協議へ

2015年07月28日 | 企業研究
サントリー上場検討
18年にも 金融機関と協議へ
2015/7/28 3:30 日経朝刊

 サントリーホールディングス(HD)は株式を上場する検討に入った。早ければ2018年にも上場する方向で、複数の金融機関から具体策の提案の受け付けを始めた。国内非上場企業で最大級の事業規模を持つサントリーは昨年、米蒸留酒大手ビームを1兆6500億円で買収し、有利子負債が膨らんでいる。上場で調達した資金で負債を圧縮、新たな成長に向けた経営資源を確保する。



 サントリーは1899年の創業から創業一族を中心に非上場経営にこだわり、清涼飲料を手掛けるサントリー食品インターナショナルなど子会社の上場にとどまっていた。今回、HD本体が外部資本を入れることを検討する。年内にも最終結論を出す方針だ。実現すれば時価総額3兆円規模の大型上場となる。
 市場は米ニューヨーク証券取引所(NYSE)や東京証券取引所を候補としている。ビームだけを再上場する案なども含め検討するが、議論の柱はHDを上場させる案となる見通し。
 サントリーは鳥井・佐治両家からなる創業一族の資産管理会社、寿不動産(大阪市)が約9割の株を握る。上場する場合にも寿不動産の出資比率を5割超に維持することを前提とする見通し。議決権を持たない種類株を公開するプランなども含め、具体案を精査する。
 サントリーの14年12月期の売上高は2兆4552億円で、キリンホールディングスを抜き国内食品メーカーで首位に立った。一方、有利子負債は1兆8千億円に膨らんでいる。上場で成長資金を確保し「真のグローバル企業」(佐治信忠会長)への道筋を鮮明にする。

がん化恐れある細胞だけを死滅 鹿児島大、iPS向け

2015年07月27日 | 再生医療
がん化恐れある細胞だけを死滅
鹿児島大、iPS向け
2015/7/27 3:30 日経朝刊

 鹿児島大学の小戝(こさい)健一郎教授らはiPS細胞をさまざまな細胞に変化させた際にできる、がん化の恐れのある細胞だけをウイルスで死滅させる手法を開発した。異常な細胞にあるが、正常な細胞ではほとんど働いてない遺伝子「サバイビン」に着目。この遺伝子に反応して増殖するウイルスを作った。
 iPS細胞は病気やケガで損なわれた臓器などの機能を回復させる再生医療への応用が期待されている。ただ、iPS細胞から目的の細胞に育たない未分化な細胞などががん化する可能性が指摘されている。
 研究チームは、ヒトの風邪の原因となるアデノウイルスを改変し、サバイビンを持つ細胞だけで増えるようにした。実験では、がん化する恐れのある細胞にウイルスが感染してから、約1週間で細胞が死滅することを確かめた。正常な細胞にもウイルスは感染したが増殖はせず、細胞は死滅しなかった。

国際法学者、歴史家ら74人の共同声明(平成27年7月17日)全文

2015年07月25日 | 政治
国際法学者、歴史家ら74人の共同声明(平成27年7月17日)全文

 この夏、安倍晋三総理大臣が戦後70年に際して発表すると報道されている談話について、日本国内でも海外でも強い関心が寄せられております。
 下記に名を連ねる私共国際法学、歴史学、国際政治学の学徒は、日本国の一員として、また世界に共通する法と歴史と政治の問題を学問の対象とする者として、この談話にかかわる諸問題について多年研究に携わってまいりました。
 私共の間には、学問的立場と政治的信条において、相違があります。しかしながら、そのような相違を超えて、私共は下記の点において考えを同じくするものであり、それを日本国民の皆様と国政を司る方々に伝え、また関係する諸外国の方々にも知って頂くことは、専門家の社会的責任であると考えるに至りました。ここに以下の所見を明らかにする次第です。
(1)戦後70年という節目に表明される総理談話は、なによりもまず、大多数の国民が飢餓に苦しみ、多くの都市が灰燼に帰していた1945年の日本から、今日の平和で豊かな日本を築き上げた先人達の努力に対して深甚な感謝の意を捧げ、そうした日本を誤りなく次の世代に引き渡して行くという国政の最高責任者の意志を日本国民に示すものであるべきであります。このことは、戦後50年、60年たると70年たるとを問わない、先世代と将来世代の国民に対する現世代の国民の責任であり、この点広く社会の合意があるものと考えます。
(2)また、こうした戦後日本の復興と繁栄は日本国民の努力のみによるものでなく、講和と国交正常化に際して賠償を放棄するなど、戦後日本の再出発のために寛大な態度を示し、その後も日本の安全と経済的繁栄をさまざまな形で支え、助けてくれた諸外国の日本への理解と期待、そして支援によるものでもありました。このことは、さまざまな研究を通して今日よく知られております。こうした海外の諸国民への深い感謝の気持ちもまた示されるべきものと考えます。
(3)さらに、戦後の復興と繁栄をもたらした日本国民の一貫した努力は、台湾、朝鮮の植民地化に加えて、1931-45年の戦争が大きな誤りであり、この戦争によって三百万人以上の日本国民とそれに数倍する中国その他の諸外国民の犠牲を出したことへの痛切な反省に基づき、そうした過ちを二度と犯さないという決意に基づくものでありました。戦争で犠牲となった人々への強い贖罪感と悔恨の念が、戦後日本の平和と経済発展を支えた原動力だったのです。戦後70年、80年、90年と時が経てば、こうした思いが薄れていくことはやむを得ないことかもしれません。しかしながら、実にこの思いこそ、戦後の日本の平和と繁栄を支えた原点、文字どおりの初心であり、決して忘れ去られてはならないものでありましょう。
(4)このことは、戦後50年の村山談話に含まれ、戦後60年の小泉談話でも継承された「侵略」や「植民地支配」への「痛切な反省」、「心からのお詫び」などの言葉を継承すべきか否かという、世上論じられている点にかかわります。ある特定の言葉を用いるか否かで総理の談話の善し悪しを論ずべきものでなく、ましてや「村山談話」という特定の総理談話の個々の言葉を継承するか否かがその後の総理談話の質を決する基準でない、というのは多くの専門家、そしてなによりも多くの国民が同意するところかもしれません。しかし、いかなる言葉で語られるかは、それが国際的にも大きな影響をもつ責任ある文書を評価する上で、どの国でもどの時代でもきわめて重要な基準です。政治を司る者は、こうした言葉の枢要性を誰よりも深く考える責務を負っているはずです。このことは、歴史と法と政治を研究してきた私共が、日本の為政者に対して特に強く申し上げたいところです。
(5)言葉の問題を含めて、「村山談話」や「小泉談話」を「安倍談話」がいかに継承するかは、これまでの総理自身の言動も原因となって、内外で広く論ぜられ、政治争点化しております。このことは、国内もさることながら、中国、韓国、米国などを含む、日本と密接な関係をもつ国々で広く観察される現象です。こうした状況の下では「安倍談話」において「村山談話」や「小泉談話」を構成する重要な言葉が採用されなかった場合、その点にもっぱら国際的な注目が集まり、総理の談話それ自体が否定的な評価を受ける可能性が高いだけでなく、これまで首相や官房長官が談話を通じて強調してきた過去への反省についてまで関係諸国に誤解と不信が生まれるのではないかと危惧いたします。安倍総理がしばしば強調される「村山談話」や「小泉談話」を「全体として継承する」ということの意味を、具体的な言語表現によって明らかにされるよう、強く要望するものです。
(6)以上に述べたことは、戦後70年談話が閣議決定を経ない「総理大臣の談話」であっても変わりはありません。日本の内外において総理大臣は国政の最高責任者として日本を代表する立場にあり、閣議決定の有無といった問題は、一般国民にとって、ましてや海外の諸国民にとって、ほとんど意識されることはありません。肝心なのは談話の中身です。70年談話がその「言葉」ゆえに国際社会で否定的に受け取られ、その結果、過去と現在と将来の日本国民全体が不名誉な立場に置かれ、現在と将来の日本国民が大きな不利益を被ることのないよう、安倍総理が「談話」で用いられる「言葉」について考え抜かれた賢明な途をとられることを切に望むものです。
(7)日本が1931年から45年までに遂行した戦争が国際法上違法な侵略戦争であったと認めることは、日本国民にとって辛いことであります。その時代、先人達は、現世代を含む他のどの時代の日本国民よりも厳しい試練に直面し、甚大な犠牲を被りました。そうした先人の行為が誤っていたということは、後生のわたしたちが軽々しく断ずべきことではないかもしれません。しかしながら、日本が侵略されたわけではなく、日本が中国や東南アジア、真珠湾を攻撃し、三百万余の国民を犠牲とし、その数倍に及ぶ諸国の国民を死に至らしめた戦争がこの上ない過誤であったことは、残念ながら否定しようがありません。そしてまた、日本が台湾や朝鮮を植民地として統治したことは、紛れもない事実です。歴史においてどの国も過ちを犯すものであり、日本もまたこの時期過ちを犯したことは潔く認めるべきであります。そうした潔さこそ、国際社会において日本が道義的に評価され、わたしたち日本国民がむしろ誇りとすべき態度であると考えます。
(8)この点に関連して、安倍総理を含む歴代の総理は、侵略の定義は定まっていないという趣旨の国会答弁などを行っておりますが、これは学問的には必ずしも正しい解釈とは思われません。なによりもそうした発言は、日本が1931年から遂行した戦争が国際法上違法な侵略戦争であったという、国際社会で確立した評価を否定しようとしているのではないかとの疑念を生じさせるものであり、日本に大きな不利益をもたらすものと考えます。
 20世紀前半の国際社会は、第一次大戦の甚大な惨禍を経験して、戦争を違法化する努力を重ねて来ました。1928年の不戦条約はその代表であり、日本も締約国であった同条約は自衛以外の戦争を明確に禁止しておりました。1931年に始まる満州事変が1928年の張作霖爆殺事件以来の関東軍の陰謀によって引き起こされたものであったことは、歴史学上明らかにされております。当時の日本政府はこれを自衛権の行使と主張しましたが、国際連盟はその主張を受け入れませんでした。その後の日中戦争、太平洋戦争を含めた1931-45年の戦争が名目の如何と関係なく、その実質において日本による違法な侵略戦争であったことは、国際法上も歴史学上も国際的に評価が定着しております。
 戦後国際社会は一貫してこうした認識を維持してきたのであり、これを否定することは、中国・韓国のみならず、米国を含む圧倒的多数の国々に共通する認識を否定することになります。戦後70年にわたって日本国民が営々と築き上げた日本の高い国際的評価を、日本が遂行したかつての戦争の不正かつ違法な性格をあいまいにすることによって無にすることがあってはならない。これが専門研究者としての私共の考えであり、同時に多くの日本国民が共有する考えでもあると確信しております。
 1924年、神戸で行われた有名な大アジア主義演説において、孫文は日本が西洋覇道の鷹犬となるか東洋王道の干城となるか、と日本の国民に問いかけました。私共は西洋を覇道と結び付け、東洋を王道と結び付ける孫文の見解を必ずしもそのまま受け入れるものではありませんが、中国が欧米列強と日本によって半ば植民地の状態にされていた当時の状況下において、この問いかけはまことに正鵠を得たものであったと考えます。残念ながら日本は覇道の道を歩み、その結果ほとんど国を滅ぼすに至りました。
 戦後日本はこのことを深い教訓として胸に刻み、世界に誇りうる平和と繁栄の道を歩んで参りました。日本が将来にわたってこの王道を歩み続け、戦後築き上げた平和で経済的に繁栄し安全な社会をさらに磨きあげ、他の国への経済・技術・文化協力を通してそれを分かち合い、国民が誇り得る世界の範たる国であり続けて欲しいと願わずにはいられません。私共は、歴史、国際法、国際政治の研究に携わる学徒として、いやなによりも日本国の一員として、そう考えます。
 総理が、戦前と戦後の日本の歴史に対する世界の評価に深く思いを致し、現在と将来の日本国民が世界のどこでもそして誰に対しても胸を張って「これが日本の総理大臣の談話である」と引用することができる、そうした談話を発して下さることを願ってやみません。
2015年7月17日
     ◇
共同声明文による賛同人一覧は以下の通り。(敬称略)
代表
大沼保昭 (明治大特任教授 国際法)三谷太一郎(東京大名誉教授 日本政治外交史)
吾郷真一 (立命館大特別招聘教授 国際法)
浅田正彦 (京都大教授 国際法)
浅野豊美 (早稲田大教授 日本政治外交史)
阿部浩己 (神奈川大教授 国際法)
天児慧  (早稲田大教授 現代中国論)
粟屋憲太郎(立教大名誉教授 日本近現代史)
石井寛治 (東京大名誉教授 日本経済史)
石田淳  (東京大教授 国際政治)
石田憲  (千葉大教授 国際政治史)
位田隆一 (同志社大特別客員教授 国際法)
入江昭  (ハーバード大名誉教授 アメリカ外交史)
内海愛子 (恵泉女学園大名誉教授 日本・アジア関係論)
遠藤誠治 (成蹊大教授 国際政治)
緒方貞子 (元国連難民高等弁務官 国際関係史)
小此木政夫(慶応大名誉教授 韓国・朝鮮政治)
小畑郁  (名古屋大教授 国際法)
加藤陽子 (東京大教授 日本近代史)
吉川元  (広島平和研究所教授 国際政治)
木畑洋一 (成城大教授 国際関係史)
木宮正史 (東京大教授 国際政治)
倉沢愛子 (慶応大名誉教授 東南アジア史)
黒沢文貴 (東京女子大教授 日本近代史)
黒沢満  (大阪女学院大教授 国際法)
香西茂  (京都大名誉教授 国際法)
小菅信子 (山梨学院大教授 近現代史)
後藤乾一 (早稲田大名誉教授 東南アジア近現代史)
斎藤民徒 (金城学院大教授 国際法)佐藤哲夫 (一橋大教授 国際法)
篠原初枝 (早稲田大教授 国際関係史)
申惠丰  (青山学院大教授 国際法)杉原高嶺 (京都大名誉教授 国際法)
杉山伸也 (慶応大名誉教授 日本経済史)
添谷芳秀 (慶応大教授 国際政治)
高原明生 (東京大教授 国際政治)
田中孝彦 (早稲田大教授 国際関係史)
田中宏  (一橋大名誉教授 日本社会論)
外村大  (東京大教授 日本近現代史)
豊田哲也 (国際教養大准教授 国際法)
中北浩爾 (一橋大教授 日本政治外交史)
中島岳志 (北海道大准教授 政治学)
中谷和弘 (東京大教授 国際法)
中見立夫 (東京外語大教授 東アジア国際関係史)
中見真理 (清泉女子大教授 国際関係思想史)
納家政嗣 (上智大特任教授 国際政治)
西海真樹 (中央大教授 国際法)
西崎文子 (東京大教授 アメリカ政治外交史)
野村浩一 (立教大名誉教授 中国近現代史)
波多野澄雄(筑波大名誉教授 日本政治外交史)
初瀬龍平 (京都女子大客員教授 国際政治)
原朗   (東京大名誉教授 日本経済史)
原彬久  (東京国際大名誉教授 国際政治)
半藤一利 (現代史家)
平野健一郎(早稲田大名誉教授 東アジア国際関係史)
広瀬和子 (上智大名誉教授 国際法)
藤原帰一 (東京大教授 国際政治)
保坂正康 (現代史家)
松井芳郎 (名古屋大名誉教授 国際法)
松浦正孝 (立教大教授 日本政治外交史)
松尾文夫 (現代史家)
松本三之介(東京大名誉教授 日本政治思想史)
真山全  (大阪大教授 国際法)
三谷博  (東京大名誉教授 日本近代史)
宮野洋一 (中央大教授 国際法)
毛里和子 (早稲田大名誉教授 中国政治)
最上敏樹 (早稲田大教授 国際法)
森山茂徳 (首都大学東京名誉教授 近代日韓関係史)
山影進  (青山学院大教授 国際関係論)
山形英郎 (名古屋大教授 国際法)
山室信一 (京都大教授 近代法政思想史)
油井大三郎(東京女子大特任教授 日米関係史)
吉田裕  (一橋大教授 日本近現代史)
和田春樹 (東京大名誉教授 歴史学)


鶴見俊輔氏死去 93歳、哲学者「思想の科学」

2015年07月24日 | 日記
鶴見俊輔氏死去
93歳、哲学者「思想の科学」
2015/7/24 15:30 日経夕刊

 戦後言論界の中心人物の一人で哲学者の鶴見俊輔(つるみ・しゅんすけ)氏が20日午後10時56分、肺炎のため死去した。93歳だった。告別式は故人の遺志で行わない。



インタビューに答える鶴見氏(2007年2月、京都市)

 1922年、東京生まれ。祖父に後藤新平、父は鶴見祐輔というリベラル派政治家の家庭に育つ。15歳で渡米。ハーバード大でプラグマティズムを学び、42年同大学哲学科卒。京大助教授や東京工大助教授を歴任。70年、大学紛争における警官隊導入に反対し、同志社大教授を辞任した。
 46年、丸山真男や都留重人、姉の鶴見和子らと月刊の思想誌「思想の科学」を創刊。米国の哲学や大衆文化の紹介、研究を通し、日本社会の近代化や精神のあり方を批評。言論・思想界に大きな流れをつくった。
 65年、開高健、小田実、小中陽太郎らと反戦運動グループ、ベ平連(ベトナムに平和を!市民連合)を発足。反戦運動を続け、湾岸戦争やイラク戦争でも批判的論説を展開した。
 「戦時期日本の精神史」(大仏次郎賞)、「限界芸術論」「鶴見俊輔座談」「鶴見俊輔書評集成」など、著作は100点以上。80歳で初の詩集「もうろくの春」を出版した。