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それいゆ、前衛バカ伝説

2009-03-27 04:14:21 | Art
日中、所用で渋谷に出たら、春休みの学生たちが右往左往してて学祭ばりのハレ賑わいだった。
10日遅れで確定申告も無事提出。帰り、上原のパン屋さんに寄ったついでに代々木八幡神社に
足をのばしたら、すぐ側で「ホーッホケキョッ」。2月に代々木公園で目撃したのはどうやら
インコだったようだけど、今度こそ正真正銘のウグイスらしい。花冷えの午後、ほっとゆるむ心。


昨日は松屋銀座で開催中の中原淳一展(~3月30日)へ。
画だけでなく、彼の手がけたファッションやインテリア、文章、パリ時代の写真などなど、
「美しく生きる」というの美意識が 隅々まで濃密に息づいていて引き込まれた。
「それいゆ」をはじめとする雑誌の表紙原画も一同に会していて壮観だった。
1956年
ⓒJUNICHI NAKAHARA
「それいゆ」の表紙画では、これがいっとう好き。女の子も猫もパーフェクト。
その昔、えとさんにこのポストカードをもらい、いまも書棚に飾っている。
それにしても戦後の困窮した時代に、贅沢とは一線を画する美しい生き方を提唱した
「それいゆ」は、奇跡のような雑誌と思う。

1958年
「ジュニアそれいゆ」の表紙画ではとくにこれが好き。どきっとさせられる。
十代の少女たちの美しい人間形成を願い、優しく語りかける彼の文章も、
ひょっとしてこれは上品なお婆さまが話しているのでは?…と思うような滋味が。

「青い鳥」1955年
彼は物語の挿絵も数多く手がけているが、このチルチル ミチルは解釈がすごい。これもだいすき。

1954年
これは「ジュニアそれいゆ」の前身「ひまわり」のブラウス広告。
エレガントなファッション画やスタイリングのアドバイスにも今に通じる洒脱さが。

彼は19歳の時(1932年)にも松屋でフランス人形展を開催したらしく、
その時の作品も展示されていたが、私がとくに魅かれたのは、
晩年に仕事を離れ、自分のセーターの端切れなどを使って制作していたという人形。
ジャコメッティばりの細い細いシルエットにシックな装い、そして清潔な憂い。
パリの残像なのか、自分の分身なのか。翅をつけたらウスバカゲロウのように飛んで行きそう。
1967年


図録も買ったけど、平凡社から出ている中原淳一の本シリーズの方が情報密度が高い。
彼のエッセイは、今読めばある種の時代錯誤的要素も否めない一方、
時代を突き抜けた精神的豊かさがそれを圧倒する。



そういえば、これは中原淳一が手がけたペーパーバックのデザインがプリントされた布地で
随分前に作ってもらった夏用のワンピース。中原淳一ワールドを纏うのもなかなか楽しい。




中原淳一展に行く直前、神保町で打合せをした帰りに、
伯水堂で久々に名物のプードルケーキをいただきながらコーヒーブレイク。
なにもかもがほんものの昭和レトロでたまらない。





ここ数日、朝日新聞の夕刊一面で連載している「前衛バカ伝説」が面白い。
(WBC記事はノーチェックだったけど、バカ伝説はオールチェック)

磯崎新、赤瀬川源平、秋山祐徳太子、篠原有司男、岡本太郎、瀧口修造etc…
日本のアヴァンギャルドの水脈を、今に引き寄せて歯切れよく読ませてくれる。
蔡國強や李禹煥など日本と縁のある中国や韓国の前衛芸術家も抜かりなく採り上げていたし、
ナム・ジュン・パイク夫人の久保田成子の記事というのも久々に見た気がする。

しかし驚いたのは、26日付の前衛バカ伝説⑥。
私の大学時代の担当教授でもあったヤマカツこと、メディア・アートの先駆者・山口勝弘氏が
介護老人ホームで車椅子に座って抽象画を描いている姿が掲載されていたのだ。
退官記念パーティで「ミッキーマウスと同い年」と笑っていた先生も御年80らしい。
どうぞお健やかに。


郵便局に切手を買いに行ったら、こんなのが最近発売になったらしく、思わず購入。
決め手はもちろん「まことちゃん」と「カムイ外伝」。
楳図かずおだけで、もう1シート作ってほしいかも。あと、中原淳一バージョンも!

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朝と夜のヘヴン

2009-03-26 01:26:43 | Event
先週の春分の日の夜明け、消えかけた小さな三日月が浮かぶ 朝と夜の真空地帯にて ぱちり。
♪Night and Day Day and Nighit
またうっかりしているうちに3月も終盤。昨日今日は寒の戻りで、開きかけた桜もぶるっとしていた。

そんな花冷えの日曜、やぼ用ついでにまたお散歩。今度は自転車にて。
ちょうど去年の春分前後はニキが緊急入院してしょんぼりしていた。
久しぶりにニキと通った動物病院までの路に足を向けてみた。
去年その界隈で見た満開のミモザはなぜか見当らず、代りに夕陽色した紅い花があちこちに。



あの日、病の猫を案じつつ、くねくね歩いた路地路地路地―――



路地の奥で、ロジネコさんとばったり。


週明けは、ウエスティンホテル東京で行われたヘヴンリーベッドの10周年イベントへ。
ヘヴンリーベッドとは、“雲の上の寝心地”を追求したウエスティンのオリジナルベッド。
私も数年前に取材でウエスティンマウイに滞在したときにかのベッドで眠ったことがあるけど
実に寝心地がいい。寝心地のよさを実感するより早く眠りにおちてしまうほど、いい(笑)

今回お披露目された10周年記念モデルは全部で5タイプ。
そのひとつ「hug」のプライウッドっぽいヘッドボード&クッションが好みだった。


デザインを手がけたのは、GLAMOROUSの森田恭通氏。やはりシャンパンがお似合いで。
プレス発表後のパーティで森田氏と意気投合するOXY Studioオーリエさん。


ブッフェ料理もスイーツも美味で麗しく


会場の一角では、薔薇の香りに包まれてこんなハンドマッサージをしていただいたりも。


・・・と、ベッドですやすやしている眠り姫は、今回誘ってくれたレイちゃん。
そう、パーティ会場には椅子の代わりに、ヘヴンリーベッドがずらり!



私もちゃっかりベッドに潜り込み。なんとこのヘヴンリーなピローは帰りに全員プレゼント。
いっそドレスコードを夜着にしてパジャマパーティしても面白かったかも?


その夜は、ガーデンプレイスと至近のオーリエさんちで、久々に遅くまでお喋り。
彼女がホイップしてくれたミルクたっぷりの夜明けのカフェオレがおいしくて。


オーリエさんにいただいたスウェーデンのデザイナー フンミンのブックマーク。

拙宅のベランダジャングルにもたまに鳥が遊びに来る。
在りし日のニキは恐るべき素早さで鳥を察知したけど、
私はニキみたいに目敏くは見つけられない。
もし見つけても、近づくとぱっと飛びたってしまう。
ニキはあまり運動能力の高い猫じゃなかったけど、
小鳥に見つかるようなへまだけはしなかった。

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PCを閉じて、森へ行こう

2009-03-20 04:29:21 | Scene いつか見た遠い空
なにか禁を解かれたように 春へまっしぐら、といった感じのこの頃。
空気が一気にぬるむこの時季は、生きものとして快い。
春特有のメランコリックも同時にあるのだけど、これも生きものならでは。


月曜は確定申告だったけど、間に合わずスルー。お役所系の書類作成は気が進まないのだ。。
で、遅ればせながら週明けに黙々と経費の整理。妙に懐かしい領収書を見つけて感慨に耽ったりして
時間がかかることこのうえなし。しかもあまりに気ままな自分の消費行動を自戒することしきり。

一気に春めいた水曜は、表参道で落語家の林家木久扇氏と俳人の方々の対談取材。
木久扇師匠はさすが話題も知識も豊富。しかも腰が低く、駄洒落サービスも忘れない。
まさに座布団10枚もの。ぱふ♪ 記事は5月発売のKanon に掲載予定。
(ちなみに今発売中のvol.14には東儀秀樹さんを取材した記事の最終回が掲載されています)


帰り途、あまりにぽかぽか気持ちいいので、ゆるゆる歩いて帰ることに。
街路に咲き誇っていたラナンキュラスの鮮やかなイエローに、つい蜜蜂の如く引き寄せられ。


代々木公園には案の定、妖気もとい陽気に誘われた人々がわらわら繰り出しており、
桜の蕾もぷっくぷくで、開花準備万端のご様子。

中には既にうっかり開花している桜も。


あまりの陽気に、カラスくんも水浴び。かなり近寄っても気になさらず ちゃぷちゃぷ。
この日はもういろんな鳥たちが、梢から梢を飛び交いながらピチュピチュ大騒ぎをしていた。


やっぱ生きものって春はわけもなく萌えるよね、と うきうき闊歩していたら
わき目もふらずゲームに熱中する男の子たち。

大きなお世話かもしれないけど、ねえ、ゲームをしまって森を歩こうよ。
そのゲーム、たとえ勝っても、花の匂いとかしないでしょ?
ユキヤナギもコブシも満開だし、梅も最後の残り香を放っていたよ。




森では花のみならず、こんな自然の驚異に出くわすのもまた一興。
(アスファルトが大木の根っこに突き上げられてめりめりに…樹木の無言の反逆)

そうそう、公園を散歩中、サックスやギターなどを黙々と練習する音に混じって
「ちょっとそこの君!」とか「首をはねておしまい!」とか演劇練習中の役者さんの台詞に
たびたび ぎょっとさせられ。「ほんとうは愛しているくせに!」っていうのもあった。うーん。


昨日はさらにぽかぽか5月なみの陽気だった。昼間は窓を開けたままシゴトしていたほど。

pm.5:00きっかり、薄暮があまりに美しいので、久々にご近所散歩。
細い路地へ路地へ 心のおもむくまま歩いていくと、満開の巨大ミモザに遭遇。
左には満開の白椿も。犬も思わず立ち止まってマーキング。


東海大付近のしだれ桜も春風に揺れていた。行き交う人がみなうっとり見上げていく。

ほかにも 木蓮や沈丁花やユキヤナギなどなど、満開の花たちとたくさんすれ違った。
そのたびに 甘いきもちになった。


3月18日はニキの10カ月目の月命日だった。
たそがれどき、どこからともなく恋猫のせつない声が幽かに聴こえた。

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満月、満開、蜜蝋猫

2009-03-15 05:07:13 | Luna もの思う月
月光のもと、うちのベランダジャングルにも春の兆しが刻々と。
グミもコデマリも新葉が一斉にふきだしてきた。
そんな中 うっかりしていたら、週半ば過ぎからプチ〆ラッシュでひどい寝不足続きに。
でもまあ そのおかげで、未明に向かって夜空を滑り降りていく美貌の満月を
何度も拝めたのだからよしとしよう。

そんな満月ウィークの先週、月のエキスのような花が遂に満開に!
そう、先日も書いたHairSplashさんの「幸福の木」。
週明けから定休の火曜を挟んで、連夜「幸福の木」ウォッチングに伺う。


満月と満開には何か相関関係があるのかも。満開の花にはえもいわれぬ引力がある。
私はさしづめそれにふらふら引き寄せられる蜜蜂の如し。
しかし何が凄いって、プルメリアとバニラをブレンドしたみたいなその濃密な芳香!
香りが嗅げるYOU TUBEとかあったらアップしたいほど。


木全体にもふしぎなオーラが。
花が鈴なりについた枝は、開花の約1カ月前から一気に にょきにょき伸びてきたのだそう。
小林さんが「普段は地味なのに、或る日突然 度肝を抜くような芸を見せるヒトみたい」と
云っていたけど、まさに。灰かぶり姫とか座頭市みたいな?(<たとえがふるいって)


週半ば、波寄るシゴトをぶっちして夜の神保町へ。界隈に住むおかじせんせい&まつださんと
渋い小料理屋さんでゴハン。龍泉洞の水を使った純米酒にお刺身が美味っ。
さらにふたりのおうちでハーゲンダッツを食べながら うるわしきうるたくんいじり。

そう、彼のことを前にスコティッシュフォールドと書いてしまったけど、メインクーンの誤り。
blogを寝ぼけ頭で書いて、後で誤りに気づくこと数知れず、反省。うるたくんにも叱られました。
(この上から目線のまま ピンポン大のまるい手で私の頭をぱしっと猫パンチ。案外気持ちいい)


で、翌日も、前夜からほぼ徹夜のまま、約10時間ノンストップで仕上げた原稿をメールし、
再び夜の神保町へ。この日はart bookshop & café でキャンドルライブ。
到着した時には既に、ちねんさん手作りの蜜蝋キャンドルがほのほの灯る中、
ボッサテイストの甘い歌声が。


ちなみにこのart bookshopは手芸専門書店。絵本やアート、建築関連の本もあり、セレクトが面白い。

ここでは*Atelier-Hauyne*のちねんさんたち3人による「さくら展」(~3/17)を開催しており、
桜をテーマにした繊細な作品がいろいろと。ちねんさん新作の蜜蝋猫キャンドルも、かわいいです。
奥のグレーの子はちねんさんちの「noa」ちゃんで、この黒い子は「niki」なんだそう!
もちろん、連れて帰りましたとも。でも、かわいくて永遠に火を灯せないな。


shopの地階に主のように佇んでいた青耳のクマくん。ニット作家さんの編んだウエアも素敵です。

アート本のあるこの一角にはアンティークな革張りソファがあり
このクマくんの書斎でくつろいでいるみたいな気分で本をゆったり閲覧できる。
帰りに、久々に会えたヤオちゃんとすずらん通りの昭和な老舗「スヰート・ポーヅ」でゴハン。
時を経ても変わらない佇まいのお店で、餃子をさかなにバブル時代の話に花が咲き。


土曜は、メグちづこさんと写美で開催中の「APAアワード2009」へ。
ちづこさんの甥っ子春日君の入選作をはじめ、きょうびの広告写真をあらためて堪能。
写真とキャッチコピーの妙もたまらない。私も広告のキャッチコピーはたまに書くけど、
長文を書くときと使うアタマがちょっと違う(広告のキャッチ制作って、実は結構萌えるのだ)


昼下がり、ちづこさんとガーデンプレイスで楽しくランチ。お元気そうでよかった!
突風が吹いた朝の奇妙な天気から徐々に回復しだした恵比寿上空より、白金方面を臨む。

こんもり見える森は国立科学博物館付属自然教育園。
昔ながらの東京の植物群落が保存されていると聞く。
行こう行こうと思いつつ、幼稚園の時に連れてきてもらって以来行ってないなあ。
もし東京って放っておくと、こんな森で埋め尽くされちゃうのかな。
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夜の森、幸福の木開花!、赤いポピー

2009-03-09 04:55:23 | Scene いつか見た遠い空
春の夜の森は、奇妙になまめかしい。静謐なのに、刻々と目ざめている。
枯木なのに、触れるとあたたかい。頭上の鳥の巣には、何が居るのか居ないのか。

週末の夜更け、代々木公園の遊歩道をてくてく。電車はまだあったのだけど
月も星もきれいで、なんだか歩いて帰りたかったから。
             


昨日、Hair Splashの小林さんから“幸福の木”が遂に開花したといううれしい速報を受け、
開花する夜を待っていそいそお店へ。 ひらいたばかりという幸福の花は、仄かな妖精のように可憐。
それでいて、もの云わぬ植物が紛れもなく生きていることを実感せずにはいられない圧倒的な存在感。
近づくと、タヒチやバリなど遠く懐かしい南国の花々を彷彿させる恐ろしく蠱惑的な甘い芳香――


つい猫みたいにくんくん嗅いでしまう私(笑)。嗅覚と記憶は大脳で分かちがたく結びついているゆえ、
香りに喚起される記憶は 映画のように鮮烈。初めて嗅ぐ花の香りが、こんなにも懐かしいなんて!

半透明の雫は、これから咲かんとする蕾から滴っている樹液。一寸舐めてみたら、甘く優しい蜜の味。
小林さんによると、さらに開花すると鞠のようになって、お店中にこの香りが満ちるのだとか!
見ごろ予測は3月10前後で(10日は定休のようですが)、開花するのは夕方以降のよう。
追って 満開の幸福の木を 見に(&嗅ぎに)お店に伺おうと思います。


久々に暖かだった土曜の午後は、原宿キャットストリート側でキムリエさんと待ち合わせ。
キムリエさんは麻布十番のスタジオ トリコから自転車で登場。私も自転車にすればよかった…!
この日はなぜか、マフラーからタオル、コーヒースプーン(?!)まで 道端にていろんなオトシモノに遭遇。
そのひとつ、冬眠から醒めた小動物のごとき、ファーの塊。いまにもぴょこんて動きそう。


向かったのは、ars galleryで開催していた村瀬可衣さんのステンドグラス展「桜とポピー」。


「ポピーって、やっぱり赤ですよね!」と村瀬さんと意気投合。
私のポピー好きの原点は、初夏のローマ遺跡に群生していたワイルドな赤いポピーの記憶。
彼女のポピーは深い死生観に関わるもののよう。ただ美しい、というだけではない澄んだ妖気が
ギャラリー空間を密やかに包み込んでいた。


階下には、村瀬さんのアトリエにも寄り添っているという桜のステンドグラスがほのほのと。
薄淡く発光する桜に抱かれた、ほの白い花闇の空間。なんだか急に、坂口安吾を読みたくなる。
(LED内臓のステンドグラスは個別に買える。手作りなので当然ひとつとして同じ桜はいない)

螺旋階段から仔猫みたいに覗いているのはキムリエさん。


おやつに、仏人率が妙に高いクレープリー ラ・フェ・デリースでもちもちの苺クレープをぱくぱく。

帰りにお店の上の帽子屋さんで春用キャスケットを入手。なんだか旅に出たくなる。


キムリエさんにかわいい小鳥のオブジェをいただいた。うちにある雑貨たちとトーンが似ていて
なにげに棚に置いてみたら、むかーしからずーっとそこに居たみたいになじんだ。
ピチュピチュッ


この季節はいつもそうなのだが、菜の花の辛し和えを作るたび、開き過ぎた花を食べずに飾る。
2月に益子から連れてきたミルクピッチャー(或いは醤油挿し)が、初めて役に立った。

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猫ジャケ、ポンチョ、out of noise

2009-03-07 05:36:18 | Music
週半ば、校正の合間にスカパーのレオ・カラックス特集で『汚れた血』を観た。
大好きな映画だけど、再会するのは80年代以来。
大好きだからって、いつでも触れたいわけじゃない。
大好きゆえに 避けることだってあるのだ。

ジュリエット・ビノシュが羽ばたいて空に融けていくラストシーン。。ぁあ。。
    
            
映画の中では、カラックスの分身ドニ・ラヴァンの自宅の留守電のBGMに
プロコフィエフのバレエ音楽『ロメオとジュリエット』が使われているのだが、
当時、これを真似している知人がいた。鮮烈な音や映像から立ち上る 懐かしい闇にくらくら。



先日、こんな本を入手。猫をモチーフにしたレコードジャケット“ネコード”を特集した一冊。
私もときどき猫ジャケ買いすることがあるけど(笑)、一冊にまとめられると壮観!


キュートな猫ジャケが満載だったけど、これはちょっとお気の毒。。。
でも、猫って こういう狭くてやわらかな所にむりくり身体をねじ込むのが大好きだから、
「ちょい窮屈だけど、案外悪くないかもー」ってな表情をしているところがミソ。


シルヴィ・バルタンに抱かれた白猫さんも、半分とろとろの表情。60年代な書体も泣かせます。


ピエール・バルー小父さんも猫好き。このアルバムの中には猫に捧げた曲もある。
この甘えん坊猫は“チビ子”っていうそう。ピエールが羨ましい!


左のAlpha. The Impossible Thrillはうちにもある。まさに猫ジャケ買いした1枚。
ブリストル~なふかーい音響に導かれるような 猫の深遠な眼差しがいい。


黒猫も猫ジャケに多用されている。この ちょっとピンボケ黒猫は、私的№1猫ジャケ。
ジャケットのインパクトで、JIMMY SMITHの軽快なオルガンジャズがちょっとかすむほど。



フェリーニの『甘い生活』のサントラには、ローマの街角でマルチェロ・マストロヤンニとはしゃぐ
アニタ・エクバーグが仔猫を愛でる名シーンが。
50年代アメリカ的グラマラスなアニタがゴージャスな“女豹”のようでもあり。。

『甘い生活』のテーマ曲を聴くと、遠い目になる。最初に観たのは16歳の時、どこかの名画座で。
甘く憂えたイタリア的退廃なんて、その時はまだよくわからなかったのだけど。。


猫ジャケ2も近日発売のよう。要チェック。


文字通り三寒四温な日々。雛祭りの翌日深夜にはみぞれ雪が舞った。
マンションの植え込みにいる紫陽花の新芽もふるふる震えていた。


そんな折、おかじ先生からかわいい手編みのポンチョが届いた。あったかな羽みたいな着心地。
重いコートから脱皮しなければならないこの時期にすごーく重宝。ありがとう!!!!!!!!!!!


金曜は雨にも負けず、ポンチョを纏って打合せに。ポンチョ、心地好い!
表参道駅構内は先週から大々的に始まったルーブル展カラーに染まっていた。


ルーブル展特集の記事を一部書いたNODEも3/10から発売に。ぜひご一読を!




今週発売されたばかりの坂本龍一の新譜「out of noise」が、真夜中の身体に深く深くしみわたる。
1982年に発表され、今年リマスタリングされた坂本+ダンスリー「The End of Asia」も
久々に聴いた。不思議にあたらしい。いまうちではこの2枚が空気みたいになっている。

深呼吸。
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LOUVRE/JAZZANOVA

2009-03-03 03:46:43 | Art
うかうかしていたら3月。うかうか。しかも3月というのに風がぴゅうぴゅう寒い。ぴゅうぴゅう。
そんななか、うちの窓辺でぷりぷり春色をふりまいているチューリップ群。ぷりぷり。

ほんの数日前までは、そこに淡色のポピーが居た。

先週の水曜は、キムリエさん&カッシーと代々木八幡でランチ後、
拙宅にて 開き過ぎたポピーに見守られながら企画会議(半分はきゃふきゃふ楽しい雑談)。

翌日、水を取り替える際、ポピーがはらはらと散った。ポピーの花びらは 蝶の翅のよう。
開花するときも蝶が羽化する瞬間みたいでみとれてしまうけど、散った姿も愛おしい。



朝方に雪がちらついた27日金曜は、国立西洋美術館で28日から始まるルーブル展のレセプションへ。

3月に発行される『NODE』vol.6のルーブル展特集の取材で個人的に思い入れがあることを
さっぴいても、非常に贅沢かつマニアックなラインナップだなあと思った。17世紀ヨーロッパという
複雑多様な時代の作品群なのに 構成が明快。野心的なアプローチながら 気どりなく解りやすい。

とりわけ心魅かれたのは、ユトレヒトの画家ヨアヒム・ウテワールのマニエリスム的作品
『アンドロメダを救うペルセウス』(1611年)。国立西洋美術館シニア キュレイターの幸福輝氏や
ルーブル美術館学芸員ブレーズ・デュコス氏も個人的に好きな作品として挙げていたが、同感。

科学革命時代にあえて古代ローマ神話を主題に取り上げ、そこにさまざまな暗喩を込めている。

ウテワール作品に描かれたアンドロメダの足元の珍しい貝殻たちは、
大航海時代を象徴するオブジェでもあったわけだが、フランスからイタリアに越境していた
クロード・ロランの『クリュセイスを父親の元に返すオデュッセウス』(1644年頃)も
大航海時代ならではの作品。古代ギリシア神話をイタリア的な風景で補完している所が面白い。

蜂蜜色の薄暮がなんとも甘美。(余談ながら、昔から進学や転居など何か門出めいた局面で、
よくこんな色を湛えた印象的な船出の夢をみたなぁ。。)

目を見張ったのは、ヤン・ブリューゲル(父)とその工房による1600年頃の作品『火』。
科学革命の時代にも存続し続けた驚異の錬金術ワールドにずぶずぶ吸い込まれる。


いずれも間近に対峙すると、時間を忘れる。百聞は一見にしかず、ぜひ目の当たりに。
画像や印刷物だけじゃ、このマチエールは百分の一も解り得ないから(なんでもそうだけど)。


土曜はnewportでデザイナーのふくちゃん&イラストレーターのあさみさんとゴハン。
先日も書いた塩川いずみさんのネコ展の最終日だったのだが、彼女とあさみさんたちが
ユトレヒトから出しているイラストレーション集「AURORA」も店内で販売中。すこぶるよいです。

↓マッシュルームカットがキュートなあさみさんと小島聖似のふくちゃんのシルエット。。

お店を出た後、ふくちゃんと朝7時過ぎ(!)までうちで猫談義。ぁあ 猫噺は無限!


日曜夕刻は、レイちゃん&ハカセと恵比寿で待ち合わせてリキッドルームへ。
渋谷川沿いにヒメツルソバがびっしり密生していた。


はい、こちらのイベント。


ベルリン発JAZZANOVAのJurgen von. Knoblauchの超雑食なDJがすごく好みだった。
ROOT SOULやKYOTO JAZZ MASSIVEのLIVEがかっこよかったのはもちろん、
沖野さんのMCが関西漫才っぽくて爆笑。


帰りに恵比寿のカフェでレイちゃんと雛談義(?)。
ミルクふわっふわのカプチーノと私(うかうか)。。

今日は雛祭。実家では雛壇は出さず、お雛様とお内裏様だけ簡易的に飾っているよう。
さっき酒粕と生姜汁と三温糖で甘酒をこしらえてみた。すごくあったまる。
眠る前に、三島由紀夫の短編『雛の宿』を久々に読み返してみよう

この時季は寒暖差が激しいうえ、免疫力が下がるので、体調不良に陥りがち。どうぞご自愛を。
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