子供のころ、母の差す日傘の影から少しも身体がはみ出さないように注意深く歩きながら
この傘の下は「別世界」だな、と思ったことがある。
灼熱の世界から自分を庇護してくれる、小さな影の魔法。
何かのかたちで、自分がそんなささやかな傘みたいなものになれたら、と夢想する。
と、近年は“どこでも日蝕”みたいな遮光率99.9%の日傘ばかり使っていて、何か風情が足りない。
ふと、クローゼットにずっと眠っていた昔ながらの白い日傘をそっと開いてみた。実に5、6年ぶり。
瞬間、傘の下に「別世界」が広がる。 よく見ると、レースの生地に、故ニキの懐かしいほさ毛が…。
思えばニキの黒い三角耳のシルエットも、触れると瞬時に「別世界」へといざなう存在だった。
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ここのところ取材や打ち合わせが瞬間風速的に立て込んできたうえ、
いよいよ佳境のW杯観戦続きで、またブログ更新がすっかり遅れてしまった。
例によって、ざっとプレイバック。
この2週間ばかり、恵比寿や代官山に行く機会が多く、旧山手通りをしばしば自転車で往復した。
その道すがら、どうしても気になるのが、この辺りの瀟洒な一角には珍しい、
妙にだだっ広い更地に 日々すくすくと緑を増殖させている植物の存在だ。
正体はひまわり。どうやらここに、壮大なひまわり畑を計画している人がいるらしい。
満開になったあかつきにはデ・シーカの「ひまわり」みたいな様相を呈するのかと思うとわくわく。
もし何かの建設予定地を利用したお遊びなのだとしたら、実に粋なはからい。
いっそこのままここを花畑にしてくれたら、もっと素敵かも。
そのひまわり畑の並びにあるヒルサイドテラスで、6/29~7/4「モールトン自転車展」が開催された。
キムリエさん&キムナオさんの運営するSTUDIO TORICOで今展の図録を制作することになり、
私も関係者の取材で何度かお伺いした。
キムナオさんことフォトグラファー木村直人氏が撮影したモールトン写真を
ベースにしたイベントポスターも、非常にアーティスティックでした。
ちなみにモールトンとは、英国生まれのアレックス・モールトン博士が開発した
工学的にも芸術的にも傑出した自転車のメーカー。一見、ゆるいお洒落自転車のように見えるけれど
時速80km以上出るタフさと、エレガントなルックスが同居したちょっと別格の自転車なのだ。
ヒルサイドテラス前の駐輪スペースには、いつにも増して自転車がずらり。
当然ながら、モールトン率高し。マイ ビアンキは、とても肩身狭し。。
会場に入ると、新旧あらゆるマニアックなモールトンのミュージアムのようだった。
牧歌的なカゴをのっけても、小径ホイールだから美しくおさまる。
これは、今年で90歳になるアレックス・モールトン博士と、博士の住まい兼ファクトリーのあるお城。
撮影by木村直人氏。キムナオさんのモールトン城の見事な写真の数々はこちらをcheck!
‘60~'70年代のモールトンの広告も、レトロフューチャーな感じでいいなぁ。
モールトン博士のサスペンションは、オースチン・ミニにも使われている。イラストby寺田克也。
ちなみに、寺田克也自身も、宮崎駿男や大友克洋、鳥山明も熱烈なモールトン愛好家なのだとか。
オーガニックなSFファンタジーな世界観とモールトン、なにか解るよな気もする。。
STUDIO TORICOではモールトン展の図録を鋭意制作中なので、お楽しみに!
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モールトン展最終日の7/4は、オペラシティで開催していた猪熊弦一郎展の
最終日でもあったので、夕刻、キムリエさんと初台に滑り込み。
会場は、谷川俊太郎の「こどもの ころから えが すきだった いのくまさん おもしろい えを
いっぱい かいた」という一文で始まる絵本の中に分け入っていくような展示がなされており、
猪熊さんの絶妙な筆致と色彩感覚、ワンダーチャイルドな世界観にとっぷりと魅了された。
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少し遡るけど、キムリエさん、レイちゃん、カッシーとも、久々に集合。
ルナスービトも加えて頭文字をつなげると「リルレカ」。アヒルストアでわいわいした後は
みんなでうちに流れ、さくらんぼなどつまみながら朝までリルレカゆるトーク。
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七夕ウィークは、ベランダジャングルから笹をわさわさ伐って、花瓶に活けてみた。
短冊はあえて下げず、心のエア短冊に思いを込めて。
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先日、石川啄木生誕100年記念本「風紋」に続き、今年2月に極寒の盛岡を取材した「望郷」も
無事完成したので、新宿での打ち上げに参加。この面々でまたお仕事できると楽しそうだなあ。
…と、お店に向う途上、東口の一角で、路上パフォーマンスに遭遇。
ネクタイもジャケットも跳ね上げたまま、このポーズでずっと静止していた。すごい筋力!
‘90年代にアート界を一世風靡したローバート・ロンゴの「Men in the city」を思い出した。
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先週は間隙を縫って「セラフィーヌの庭」の試写会にも足を運んだ。
家政婦をしながら画を書き続けた老嬢の凄まじい芸術的衝動に眼を見張りながら、
記憶の深海から立ち上ってくるような憧憬を覚えた。最近観た映画の感想は今度まとめて書きます。
と、帰りに通った有楽町のとあるガード下には、古い映画のポスターがわざと
すたびれた感じで貼ってあり、昭和の映画セットみたいな空間になっていた。
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昨日は、素敵なマダム千鶴子さんのお誘いで、狂言を観て来た。演目は「越後狐」と「附子(ぶす)」。
お茶目でよこしまな応酬が渦巻く室町コントで暑気払い。演じたのは人間国宝 野村万作さん他。
Tweetにも書いたけど、狂言のツボは、おばかなボケツッコミとオフビートな笑い。
神奈川県立音楽堂には初めて訪れたが、モダニズム美学が随所に溢れた実に好みの空間だった。
コルビュジエっぽいなあと思い、帰って調べてみたら、前川國雄の1954年作品だった。やっぱり。
この日、よく見ると、千鶴子さん(写真左奥)とミュールが酷似!訊けば同じデザイナーの品でした。
さらに千鶴子さんと 彼女の幼馴染まりこさんは、髪飾りと指輪がまったく同じで、
しかも指輪はつけている指まで同じだった! すごい奇遇の連鎖。
帰り、渋谷駅前でドクター中松の名をノリノリ連呼するテクノな選挙カーと鉢合わせした。
スクランブル交差点を渡る人々の足並みもそれに合わせてタッタカ ハイスピードになっていた。
さて、ほんじつ、せんきょ。これから雨夜のお散歩がてら、投票に行ってきます。
今夜は選挙速報もだけど、本丸はW杯決勝。