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イタリアン・グラフティ

2008-06-28 15:11:47 | Travel 国内外猫の目紀行
最近お騒がせの事件現場、サンタ・マリア・デル・フィオーレ。(↑photoは2005年撮)
あまりに有名なルネサンスのアイコン的存在だけど
卒業旅行で初対面した時は、その恐るべき美貌に絶句したものだ。

世界遺産というブランドで語られがちだけど(そんな記事を雑誌に書いたこともあるけれど)、
実際ここに出で立つと、そんなお墨付きも、世界中から押し寄せる観光客の渦もなんのその、
その端麗な意匠を好むと好まざるに関わらず、目を奪われ息を呑む。

こんなとこに落書きしちゃおうと思いつくそのこころが、すごいなぞ。
メディチ家の時代だったら、パッツィみたいに処刑されてたかもなのに。
90年代にウフィッツィ美術館の一部がテロで爆破されたけど、破壊という意味では同じ。

しかし。イタリアの世界遺産都市がひたすら整然としているかというと、そんなこともない。
ここ数年の間にイタリア旅行で撮影した写真を見直してみても。。
これは3年前、やはりフィレンツェのポンテ・ヴェッキオのたもとにて。

鍵にふたりの名を書いて願掛けみたいにするのが流行っているらしく、
「Patrick+Gioia」とか「4ever Anna and Mike」とか書かれた鍵が絵馬よろしく掛けられ。。
(時々フィレンツェ当局の人が溜まった鍵を一掃しているらしいけど…)

かわって、ローマ。テヴェレ河の中洲にあるティべリーナ島。

CRISTIAN VIVE(クリスチャンここにあり)とか、TI AMO DANIELE(ダニエレ、愛してる)とか、
トイレの落書みたいな文字がびっしり。

これもローマの路地裏にある有名な落書き遺跡スポット。

こっちのは「GOVERNO LADRO!(泥棒政府)」とか、政治風刺が目立つ。

さらにこれはローマ郊外、ファシズム建築が並び立つエウルの一角にて。

↑「私の心の中にはいつも君が!!!」。ネオナチマークがまがまがしく意味深。。

ちなみにこの落書きの傍らにある端整なパラッツォは、大好きな映画『暗殺の森』にも登場する。
ジャン・ルイ・トランティニャンが、この階段を物憂げにのぼるのだ。


これはローマの下町トラステヴェレで目撃したFIATの水玉チンクエチェント。
もはや落書きというか、おしゃれというか。(ダミアン・ハーストの作品にあらず)


落書きも問題だけど、これはどうなの?

フィレンツェの切り売りピザ屋さんに居た、日本贔屓のラガーマン。日本人と見るや相好崩して
「日本と“ラグビィ”が大好きなんだ」と。その笑顔につい、真実を指摘する勇気が萎えた。。

話がそれにそれたけど、よいこはらくがきをやめましょう。世界中どこであっても。

☆☆☆
先週は締切りや校正やラフ作成やもろもろの手配が重なってあわただしく。
そんな間隙を縫って火曜夜は銀座へ。上海に移住した制作会社の羽田さんを囲み、
まいかさん、ちよさん、キムリエさんたちとみんなでゴハン。束の間のたのしい休息。

その翌日も銀座へ。
NODEで幸宏さんを撮影したフォトグラファー畠中和久氏の個展をCANNON Galleryで観た。
日本各地の城あとを追った視点がしぶい。まさに、つわものどもがゆめのあと。
7月は大阪、8月は仙台、9月は福岡を巡回するよう。

しかし畠中氏といえば、スタジオで幸宏さんの撮影中に大音量でムエタイの音楽をかけていたのが
印象的。今でもNODEの表紙を観ると、澄んだPUPAではなく熱いムエタイグルーヴの幻聴が(笑)

帰り、銀座から日比谷へと抜ける途中、ビルの解体現場にいくつも遭遇。
銀座の場合、“城あと”にもすぐに新しいビルがそびえるのだが。。

有楽町の駅前に近年できた広場に、青い木の実がいくつもなっていた。
その向こうに見える建設中の高層ビルの頂きでは、触覚みたいなクレーンが何機も蠢いていた。

ペニンシュラホテルからメトロに直結する
目立たないエレベータ前にひっそり咲いていたハーブたち。
この辺も、ここ数年で風景が随分かわったなあ。
東京は、落書きを憂う前に、街の輪郭自体が日々塗り替えられている。
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桜桃、枇杷、蜜蝋

2008-06-23 07:50:01 | Scene いつか見た遠い空
桜桃を食みながらの更新です。(今日は珍しく早寝早起き)
その甘酸っぱい味覚もさることながら、キュートな造形がたまらない。
そう、うちにはさくらんぼアイテムがなにげに多い。例えばこのポスターも。

数年前、フィレンツェで衝動買いしたもの。ただしフィレンツェとは何の関係もなく、
ドイツ語のアンティークな植物図鑑がモチーフになっている。

この季節、桜桃同様によく食べるのが、枇杷。これも味はもちろん、造形が絶妙。
9年前に食べて出来心でベランダの鉢に蒔いた種は、もはや私の背丈以上に育っている。


そのすさまじい生命力には、無条件に目を奪われる。
これは数日前、駒場東大キャンパスに生い茂っていた枇杷の大木を塀越しに。
橙色の実がたわわになっている。

これは、並木橋付近で見かけた“枇杷に呑まれた家”。
うちもいつかこんな運命に?!

これは、10年ほど前、ローマの市場にて。イタリアでもこの季節には枇杷をよく食す。

イタリアの果実は太陽を浴びる量が違うのか、味が濃い。
伊語で枇杷はnespola (正確には語尾に「del Giappone=日本の」と付く)


☆☆☆
夏至の夜、マルチアーティストちねんさんのAtelier-Hauyne主催のイベントへ。
場所は前夜に続き、またキャットストリート裏。今度は和カフェにて。
キャンドルナイトに合わせ、まずは蜜蝋キャンドルを実際に制作。

↑右の蜜蝋シートは養蜂場で実際に蜜蜂の巣に敷かれているものとか。
掌で温めるだけでしんなり柔らかくなり、簡単にくるくるっと巻ける。左が完成品。
ちなみに蜜蝋とは、蜜蜂が巣作りのために、花の蜜をもとに自らの身体で作り出すロウのこと。

蝋燭は一般に石油由来のパラフィンでできているけど、
天然素材の蜜蝋の方が実際に灯すと不純物が出ないのであきらかに心地よい。
これはちねんさん手作りの蜜蝋キャンドル。紫陽花や海景色の絵が器用に貼り付けてある蝋燭も。



続いて、蜜蝋キャンドルの灯の中で、ライアーの演奏会が。
ライアーとは、ピアノからボディや鍵盤を取り去り、
木のフレームと弦だけにするという発想で1920年代に考案された楽器。
蜜蝋もライアーも、なにげにシュタイナー繋がり。

奏でているのは三野友子さん。ドイツ在住中、ご子息を通わせていたシュタイナー幼稚園で
この美しい音色の竪琴に出逢ったのだそう。

音が実に小さく繊細で、細胞にそっと染み込んでくるような響き。
自ら静けさをつくりだし、耳を澄ますという行為を促すのも シュタイナーの狙いなのだとか。
『千と千尋の神隠し』のテーマ曲でもいっとき話題になった楽器だが、間近に見聴きするのは初めて。

先日、Kanonの取材で東儀秀樹さんが笙や篳篥を奏でていたら、
イルカや水牛が大量に寄ってきたというお話を伺ったので、
彼女にも訊ねてみたら、田園での演奏会時に鶯が一斉に鳴きだしたことがあるそう。
純度の高い音楽は、細胞レベルで生きものの琴線を揺さぶるのかもしれない。


ぽつりぽつり霧雨がおちる帰り道、原宿のそこここにキャンドルが。
夜露に湿った樹木の香りを感じたくて、メトロに乗らず代々木公園を徒歩で通過して帰った。


深夜、蜜蝋キャンドルをたくさん灯して過ごした。まさに蜂蜜色の光輝と 仄かに甘い香り。
ちねんさんも云っていたけど、エコエコ声高にさわがなくても、自然の機微に敏感に感応し、
その心地よさを追求していったら、自然とそれがエコに通じるというのには同感。

それにしても、蝋燭の灯を眺めていると、いろんなことが心に浮かんでくる。
洞窟のイデア?<それ、ちがうから(笑)
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蛍、夏至。あれから1カ月

2008-06-21 15:00:00 | Scene いつか見た遠い空
ニキが灰になってから、昨日でちょうど一ヵ月。
一見、平穏な日々。朝も昼も、うねった木蔦を這う蝸牛のようなバランスで。

月命日前夜の17日、ひと抱えの百合を買ってきて 部屋のあちこちに活けた。
白いカサブランカ、艶やかなピンクのモナリザ、ほんのりピンクがにじんだニンフ。
それぞれ微妙に異なる濃密な香りに包囲された一週間。


あの日、腕の中でニキの瞳からすーっと生気が抜けていくのをみた瞬間
世界中の花が枯れ果てたような気がした。宇宙中の星が粉々に砕けたような気がした。月さえも。

けれど翌日もその翌日も、私は毎日目覚め カーテンを開け コーヒーをいれ あちこち出歩いたり 
おいしいものを食べたり 友人と遊んだり のんびり電話したり せっせと原稿を書いたり 
音楽を聴いたり 写真を撮ったり 野良猫を撫でたり きゃははと笑ったり あちこち整理したり 
買い物をしたり 映画を観たり 旅行の計画をたてたり 本に没頭したり ぐっすり眠ったり
とにかくいろんなことを、今まで通りに続けている。
ニキの息遣いが聴こえない世界で ニキの温もりに触れられない世界で。

日常というのは残酷なほどせわしなく、現実というのはあっけないほど正確だ。
けれど、ゆえに私は花も星も月も変わらずにちゃんとあるのだということを思い出す。


☆☆

18日は、椿山荘で紺野美沙子さんのインタビュー。見事な日本庭園に抱かれた料亭は
まるで温泉宿のような趣き。「じゃあまずはお風呂に」と冗談めかす紺野さん。
決して気取らず、実に奥ゆかしく、凛とたおやかなひとだった。
先日取材した寺田農さんに続き、美しい日本語をテーマにした単行本の取材だったが
ご両人とも、言葉への思いが実に深い。紺野さんが云った『細雪』の台詞の迫真性に一瞬鳥肌。

日本庭園の清らかなせせらぎのしじまに垣間見えた蛍たちの点滅。(夜景の失敗写真にあらず)

「ねえなんで光ってんのー?」「あれは女の子に男の子が好き好きっていってるしるしなのよ」
暗闇から聞こえてきたどこかの親子の会話に、暗闇で思わず微笑。。

蛍をみた帰り、ふと目があった満月。


☆☆
木曜は終日、部屋に缶詰で原稿書き。書いたそばからメールせよという戒厳令下(?)にてぐったり。。
金曜は、目黒で『モダン・インテリア』の打ち合わせ

帰りに、先月も書いた「MAY FAIR STUDIO GALLERY」へ。
あの時に買ったレイチェル・ダッドさんのCD&DVDに、ブリストルに帰る直前の彼女が自ら
素敵な絵を描き込んでくれたというので、それを受け取りにいったのだ。

梟と猫。梟のお腹にはちゃんと「To LUNA SUBITO from Rachael」と。うれしい。
いま、部屋で聴いている。透明感あふれるエンジェルヴォイスとアコースティックな調べに
すべてが しずかに浄化されていくような。 エアニキもきっと耳を澄ましているはず。
おまけのDVDに収録されているアートな短編アニメーションも、彼女の音楽と相俟って美しい。

ちょうどファミリーセールもしていたので、カフェオレボールやお茶入れなどを買った。
あ、このドット柄の布も。所々に数字やマッチ棒、安全ピン、ボタンの絵が隠れているのがみそ。

お茶入れは、電車の中で売っているレトロなお茶入れを陶器でかたどったもの。
以前、ひだかのお誕生日にもプレゼントしたことがある。一輪挿しにしてもかわいいかな。
明朝は早速このカフェオレボールで、ミルクをたっぷりかけたオーガニックシリアルを食べよう。

夜はレイちゃん&ハカセと一緒にキャットストリートにあるワイスワイスのパーティへ。
店のあちこちにキャンドルが煌々と灯っていて、ほぉーっとみとれてしまった。

その後、会場でお目にかかった理絵さん&セイジさんとみんなで裏原宿へ。
「ここは新橋ガード下?」みたいな謎のディープアジアな居酒屋さんで夜更けまでわいわい。

☆☆
『NODE』最新号が今週発売に。表紙は先日取材させていただいた高橋幸宏さん。
撮影時にはなかったはずのタトゥーが幸宏さんの貌に?!(その秘密は本誌に!)
YMOエイジ必見のインタビューもぜひご一読を!


そういや、前号の『NODE』はニキと一緒に撮影したなぁ。。
きっと透明なエアニキが、今号『NODE』も にゃっとリスペクト!
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上高地へ

2008-06-17 02:23:39 | Travel 国内外猫の目紀行
先週末は急に思い立って実家に帰り、母と一緒に上高地へ。
↑は芥川龍之介の小説『河童』でもおなじみの河童橋の上から撮影した北アルプス。
10年ほど前の晩夏に 在りし日の父と訪れて以来の上高地は、絶好の晴天に恵まれた。

深い森の中には、清々しい潤みを湛えた湿原が広がっている。

ウグイスやカッコーのさえずりがしじゅう木霊する緑道には、
時々、道先案内人のように高山蝶がひらりひらり。

楚々とした山野草が大好きな母は、花を見つける度、その名を教えてくれる。
といっても種類が多すぎるので、「…かもしれない」と、ときどきどうも自信なさげ。。

これは(たぶん)レンゲツツジ。

ラショウモンカズラ。


ニリンソウ。


これは。。不明。

普段あまり目にしない山野草の名は、訊いても訊いても覚えきれない。
母の詠んだ短歌が、言い得て妙なり。

  上高地 めぐりて十の花おぼえ 五つ忘るるほどのしあわせ    

梓川の右岸沿いに約1時間の散策後、明神池の入口、穂高神社奥宮に到着。
まず手前の一之池に出ると、澄んだ水にたくさんのブラウントラウト(岩魚にそっくり?)。


池に浮かんだ神事用の御船上で母と一緒にぱちり。


奥にある二之池。神の降りたる池 と云われる通り、霊妙な気配が。


帰路は吊り橋を渡って、対岸の梓川左岸をてくてく。
苔むした巨大なシナノキが神々しく。信濃の語源にもなったのだとか。


林道にちらちらゆれる木洩れ日が描く一瞬の影絵にみとれ―


河童橋の袂にあるシックな上高地五千尺ホテルにて、美味しいケーキとコーヒーで一息つき、
平湯温泉にバスで下り、源泉かけ流しの露天風呂で、穂高の山並みを一望しながら、ふぅ~。

↓お土産に買ってきた「復刻版 絵葉書 懐かしの上高地」に載っていた昭和初期の封筒。

レトロな書体やデザインにしびれる。けど、「神秘の宝蔵造化の宝典」って。。
国立公園に選定された当時だけに、キャッチもキバってるなあ(笑)

☆☆
翌日曜、イタリア旅行をしていた姉が帰国。
ローマ郊外やプロチダ島の写真を見せてもらいながら、旅話で盛り上がり。
姉は数年前までローマ在住者だったので、旅行というより古巣に帰る感覚のよう。

↑これはお土産にもらったオランダ名物のワッフルとローマのカフェチョコ(今宵のおやつ)。


☆☆
週末の間隙を縫うプチトリップながら、すごくいい時間を過ごせた。

これは往きの車窓から眺めた 熟した桃みたいな夕陽。

帰りの車窓。今までは、海がみえてきたらニキに必ずみせてあげていた。


車窓をそっと眺める 在りし日のニキ。

彼女が膝の上でこんな風にしていたのは、ついこの前のこと。
明日はニキが逝ってちょうど1カ月。
母があの日のことを、こんな短歌に詠んでいた。

    華火あがる瞬電話鳴り 娘が告げる十六歳の愛猫の死を
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Blue Days

2008-06-10 18:43:35 | Scene いつか見た遠い空
先週末、碑文谷での打ち合わせ帰り、渋谷駅前でピンクのガーベラをひとつかみ入手。
先月、ニキに持たせてあげて以来、いつもなんとなくニキコーナーにはピンクのガーベラを供え。

土曜はビアンキできこきこ原宿のキャットストリート界隈へ。路地裏で野良猫たちと遭遇。

白猫ってどんな瞬間でも、どこか優雅。夏日に自前の毛皮が 超越的にエレガント。

この日はキャットストリート裏のギャラリーで、ジュエリーアーティストちねんさんの「青の会」に参加。
今回の青アイテムは、ラピスラズリとブルーマロー。

↑彼女がブレンドしたブルーマロー。

↓これが淹れたてのブルーマローティー。ボラボラの朝の海みたいな色彩。ただし、味はない。

この鮮やかな青は熱湯を注いだほんのしばらくだけで、みるみる灰みがかった紫に変化してしまう。
喉によいのだそう。喉は私のウィークポイントなのでちょっと気になる。

これはちねんさんにもらったプチラピスラズリ。夜空みたいな深遠なブルー。
空海も魔除けに持っていたのだとか。

フェルメールの画の青も、ラピスラズリの粉を使っているそう。
あの「真珠の首飾り」の少女の青いターバンも、ラピス粉だったわけかー。なんて贅沢な。

講座後は、一緒に参加していた先輩のあかしさんと原宿のカフェでサングリアを飲みながら談笑。

土曜の午後のゆるゆるした時間。ちょうど一ヵ月前、動物病院でしょげ返っていたのが遠い昔のよう。。

あかしさんと別れた後は、表参道にてしばしお買い物。ケヤキの新緑がもこもこ。


「青の会」の余波か、ついつい青アイテムに吸い寄せられ。。

パレガビアの青いスウェードのウェッジサンダルに、アッズーリのユニフォームみたいに
鮮やかな青水玉チュニックをゲット。地中海のゆるーいリゾートにそのまま持っていきたいぞー。
先日取材した組み紐研究家の原野先生によると、青は私にとって6月の精神安定カラーなのだとか。


通りすがりのヴィトンで遭遇した蝶たち。ウィンドーに映りこんだケヤキ並木とシンクロして美しい。
ヴィトングッズはスルーしつつ、ショップのディスプレイにはいつも吸い寄せられる。

日が暮れた後、ビアンキで246から、骨董通り、六本木通りを抜け、
ぶーんと麻布十番のギャラリートリコへ。


トリコでは、本日6月10日(火)まで、朝倉利恵さんの写真展「George」を開催。
Georgeとは、ロンドンとパリに留学していた彼女のホームステイ先のお爺ちゃん。
彼に心酔した朝倉さんが撮り溜めたジョージの珠玉カットは、実に飄々と味わい深く。

私もうっかりジョージファンになっちゃった。

Georgeの展示風景。奥でナゴんでいるかわいいふたりはキムリエさん&朝倉利恵さん。リエ×リエ?!

和紙にカラープリントし、金属のクリップでラフに壁にかけた展示も新鮮。

明けて月曜、週末にのんびりした余波で、徹夜原稿に追われつつ。。
トリコのキムナオさんことフォトグラファー木村直人さんが手伝うイベント
「フォトナイト」に拙photoを提出。。

素人写真でもよいならと開き直り、10 年ほど前にイタリアのマテーラで撮影した一枚を..。
マテーラの広場でカルチョに興じる少年たちの笑い声が懐かしいなぁ。。
そろそろ、旅に行きたいなぁ―
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森山大道写真展へ

2008-06-06 02:12:01 | Art
忘れないうちに書いておこう。
先日、写美で開催中の森山大道展(~6/29)に行ってきた。
I レトロスペクティブ 1965-2005 /II ハワイの二部構成になっており、私は後者から観た。

正直、学生時代に写真をほんの少し齧っていた頃は、森山大道の作品があまり好みではなかった。
たとえば緻密なデッサンを学んでいるさなかに、へもへもの円と*印みたいなのがささっとラフに
描かれたミロの鉛筆素描を見せられても、いまいちその魅力の真髄に気付けないように、
森山大道の いわゆる“アレ、ブレ、ボケ”カットは、当時、私の心をさほど動かさなかった。

しかし。昨年発表された森山大道の最新写真集「ハワイ」には参った。
こんなハワイ、みたことなかったから。聖俗混交するハワイの或る本質を 本能的に照射していた。
彼の撮るハワイをひとことで形容するとしたら、圧倒的に「ぼへーーっ」とした感じ。
 ハワイ 2007年
写真集「ハワイ」からセレクトされた150点がダイナミックに配された展示が、まず見事だった。
↑の写真など、どこかの手狭なワンルームがすっぽり収まるくらいの巨大プリント。
もう、理屈抜きに凄い。

私は今まで、ネイバーアイランドも含めハワイには仕事で数回訪れており、
その度に私的拙スナップを撮るのだが、どこをどう切り撮ってもいつも何かしっくりこなかった。
ヨーロッパやアジア、北アフリカの路地裏や雑踏を撮るときの、あのわくわく感に突き動かされて
シャッターを押すという瞬間がついぞ訪れないまま、ハワイではいつもただなんとなく撮っていた。
恐らく仕事で眼にするステレオタイプのハワイ写真に食傷し、ピュアな視線を失っていたのだろう。

森山大道の撮り下ろしたモノクロームの「ハワイ」は、そんなハワイ感をちゃらにしてくれた。爽快。
ただ、小麦色の肌の男女が累々と横たわるワイキキビーチで、独りコンパクトカメラを首にさげ、
パチパチ撮影している森山大道氏の姿は 実に微笑ましかったけれど(会場のビデオ映像で拝見)。


左:青山(「エロスあるいはエロスでないなにか」)1968年 右:ハワイ 2007年

上階に展示されていた「I レトロスペクティブ 1965-2005」も、圧巻だった。
写真という表現に対し、ある種丸腰。とり澄ましたり格好つけたりしていない。
自分にぎりぎりまで問いかけ、そのときどきの回答がひりひり切り撮られている。
それっぽい写真をセンスよく撮る写真家もどきは多いけど、それらとは一線を画する圧倒的な世界。
観終った後、すがすがしいほどの爽快感を覚えた。


写美を出ると淡い夕暮れ。恵比寿ガーデンプレイスの広場には、巨大なオリーブの樹が生い茂り、
その足元の花壇では花びらを吹き飛ばされた花芯たちがふるふる揺れていた。


☆☆
一昨日は水天宮で取材後、夜はひだかのお誘いで代々木のビストロ・ダルテミスへ。
このお店は、原宿にある美味しい仏料理店ラルテミス・ペティアントの姉妹店。

生クリームとウニのジュレのような一皿。
食べ物屋さん取材の鉄人ひだかのおすすめだけあって、大満足のディナーに。ワインの品揃えもgood!

店名のアルテミスはギリシア神話の女神の名。月の神ルナと同一視されることもある。
奇しくも一昨夜は新月。 
思えばニキの容態が急に悪化したのも、先月のちょうど新月。満月の日には灰になった。

先々週に買った百合が、さっきまた咲いた。
百合越しに、在りし日のニキがふと目に浮かぶ―

(↑昨夏撮)
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PUPAのLIVEへ

2008-06-03 18:06:01 | Music
昨夜は恵比寿のリキッドルームでPUPA (ピューパ)のLIVE。
先月、『NODE』で幸宏さんをインタビューした関係で ありがたくご招待にあずかった。
会場は超満員。鈴木慶一さんをはじめ、幸宏さんつながりのアーティストの姿も多々見かけた。

PUPAは、幸宏さんの呼びかけで、高野寛さん、高田漣さん、堀江博久さん、権藤知彦さん、
原田知世さんの6名で結成。来月7月2日にデビューアルバム『floating pupa』が発売される↑

PUPAとは、幸宏さんが好きなフライ・フィッシングで使う水生昆虫のサナギのこと。
インタビューでも伺った通り、自然の風景に不思議となじむエレクトロニカの魅力に、
6人6様の感性がゆるゆると響きあっていて、LIVEは実に心地よかった。
アルバムが発売されたら、夏のヘビロテミュージックになりそうな予感。

幸宏さんが「トラッドと軍服の合体」とのたまっていた衣装も、さすがのナイスさ。
奇しくも幸宏さん取材の4日後、別媒体で取材したエドツワキさんによるデザインの
知世さんの衣装もキリリとかわいく。HASのLIVEなどでも活躍する伊瀬聖子さんのビジュアルや
今年YMOのカヴァーアルバムをリリースした前座のanonymassも、不思議な後味を残した。

アンコールの最後、青空の映像をバックに高野寛さんが歌った曲「How?」を
聴きながら、なんとなくニキのことを思い出し、気づいたら頬につーっと涙が伝っていた。



☆☆
先週末は 美味しいものをたくさんいただいた。

土曜、弟の竜ちゃんが論文発表のために赴任先の倉敷から上京。
お土産に、初ものの白桃を持ってきてくれた。蕩けるように甘い香り。
ぎゅっと詰まったジューシーな実からはうっかりすると桃太郎がぽんと出てきそうだった。


竜ちゃんも私も徹夜原稿明けでねむねむのまま、代々木上原の中国家庭料理店「jeeten」で夜ゴハン。
野菜たっぷり化学調味料無添加の料理の数々が五臓六腑に優しく染み渡る。
しめは、クコの実がたっぷり載った亀ゼリー。

竜ちゃんはその後も深夜まで原稿を黙々と推敲していた。
つくづく思うが、文章を書くという行為は、体力がないとできない。そのためには、食が不可欠。
といっても美食に走る必要はなく、自分で作った粗食で構わないと思うけど、
添加物満載の即席食ばかりでは、そのような身体から生まれた文章にしかならないような気がする。。

。。とかいいながら、翌 日曜夜も外食。ただし、医食同源のネパール料理。

ふくちゃんのお誕生日を祝って、恵比寿の「クンビラ」で乾杯。
お米のワインが爽やか酸味のヨーグルトみたいな口当たりで癖になりそうだった。
モモコというチベット料理の前菜や、こくのあるネパールカレー、初のバター茶なども賞味。
猫よもやま話で泣いたり笑ったりしつつ、どれも自然な風味でおいしかったー。

クンビラから帰る途上で出逢った猫さん。

うちの玄関に、この猫くんの100分の1位の同じポーズのアイアン猫がいるけど
ここまで大きいのは初めて。

横から。猫にしては姿勢もいいし、プリント柄のシャツも、ギャルソン風エプロンもいい感じ。

ふくちゃんとこの猫さんを愛でていたら、お店の人が出てきて
「この猫に反応してるお客さん、今日で二人目ですよ」と。まるで大阪のくいだおれ太郎(笑)

☆☆
ニキが星になって二週間。
ここんとこ夜は曇り続きだけど、明日は雨が上がるそう。
一瞬でも星が見えるといいな。
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