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5月の昨日・今日・明日

2010-05-17 19:33:20 | Greenベランダジャングル記

5月の陽射しに透けた葉脈を眺めていると、
「ぼーくらはみんなっ 生ーきていっるう 生きーているから楽しいんだっ♪」
って、みんなで歌いながら掌を太陽にかざした幼稚園児の気分にふと舞い戻る。

明日はニキの命日“ニキキ”。もう2年になるんだなあ。
5月の木漏れ陽の中で午睡むのが大好きだったニキ。


☆GREEN

先週は一瞬雨がぱらりおちたあと、快い薫風が毎日窓から吹いてきて、緑がしじゅうゆれていた。
なにかが静かにフェイドアウトしていき、なにかが密やかにフェイドイン。

今年初めにせきを切ったように開花した侘び助が凄い勢いで成長している。
11年前、ここに越して来た時は掌サイズの鉢に入っていた筈なのに、今では私の胸の高さほどある。
同じく11年前に食して種を蒔いた(棄てた?)茂木ビワも、今年遂に実がなった。
まだ青いけど、“木の実”好きな私としては、ただただもう無条件にわくわくする。


「雨に濡れた緑を眺めていると、ざわざわしたものが静かに洗い流されていく。
月桂樹、小手毬、ゴールドクレスト、びっくりグミ、ビワ、ばっさばっさ剪定したそばから
旺盛にふき出してくるしたたかな緑の焔に勇気付けられる。
毎朝、ローズマリーと握手し、その香りを嗅ぐのが目下の日課。」 May 11thのツイートより。

最近、試みに始めたTwitter にちょこちょこ呟いているのだが
その時々の自分の呟きは、ちょっとしたメモ代わりになることに気付いた。


勝手にベランダに飛んできて綿毛になったタンポポも、
楚々とした小花を次々に開花させている冬珊瑚も、かわいくて仕方がない。


そうそう、お世話になっているhair splashさんに、愛用の無添加ジザニアシャンプー
買いに行ったら、小林さんがお店の前に繁茂しているグリーンの一部をおすそ分けしてくれた。
ありがとうございます!早速、花瓶に挿してみたのだけど、あいにく植物の名前は判明せず。
左にくるっと出ているこの丸い小さな葉っぱの子ですが、どなたか名前を教えてください。



☆CINEMA

と、これはうちのベランダではもちろんなく、先週、朝一打ち合わせから帰ってきて
スカパーを点けた瞬間流れていた「ひまわり」のラストシーン。
いきなり、じーん。。


さらに、同じデ・シーカの「昨日・今日・明日」が始まり、ついつい観てしまう。
ソフィア・ローレン×マストロヤンニのゴールデンコンビ作品では、
このいかにもイタリア的な濃いーコメディの方が実は好みだったりする。

3話からなるこのオムニバス映画、1話目のふたりはナポリの貧乏子だくさん夫婦。
情けないマストロヤンニと、元気でしたたかなソフィアのおかみさんっぷりがいい。


それが2話目ではガラリと変わって、ソフィアはミラノのアンニュイなブルジョワマダム役に。
作家役のマストロヤンニは彼女の密会相手。退廃的なアバンチュールのBGMはトロバヨーリで、
原作はアルベルト・モラヴィアとくれば、もう完璧でしょ!



で、3話目では、ソフィアはローマの高級娼婦役に。彼女に首ったけのマストロヤンニは
尻軽のぼんぼん役。ディオールを着こなしたソフィアと飼い猫のショットがなにげにかわいい。


ちなみにソフィアが住むペントハウスのセットからはナヴォーナ広場が一望できる。
ベルニーニのバロック噴水があるこの広場は、私が世界で最も好きな広場のひとつ。
ぼーっとしているとき、アタマによく浮かぶ情景でもある。


この映画を観ている最中、お誕生日コール。うれしい。
で、お誕生会。

うそ、先週から始まった「カンヌ映画祭」のレッドカーペットですw

今年はティム・バートンが審査委員長のよう。


ノミネート作品の中では、アッバス・キアロスタミの新作が気になる。



☆ART

『NODE(ノード)』最新号が、ただいま絶賛発売中です。
私は三菱一号館美術館で開催中の「マネ展」に関する記事や、高橋館長のインタビュー、
丸の内アート散策の記事などを書いています。ぜひご一読ください!



アートつながりでもう1ネタ。
最近、うちの近所にかなりコアなアート系古書店「SO BOOKS」がOPENした。ありがたい!
絶版本も多く、見ているだけで時間を忘れてしまう。斜向いには「ラムフロム」もあるし
さらに行けばアートな器が揃う「亘」もあるし、富ヶ谷図書館もある。
なんてことはない静かな通りに凛と咲く小さな花のようなショップが、いい。



☆MUSIC

また長くなってしまったけど、最後に音楽。
昨夜、三日月と金星が天空で親密に接近している情景を目撃した直後から
なぜかアート・リンゼイがむしょうに聴きたくなり、ややこしい原稿を書くとき以外は
ずっと流している。いずれも’95~’97に出たシリーズ。
5月の空と風と きらきらした木漏れ日に音が融けていく。

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緑色の部屋から

2009-05-18 00:22:22 | Greenベランダジャングル記
黄金週間だバースデイウィークだとうかうかしていたら、幾つかの〆切が眼前に。
週末は桐島かれんさんのインタビューに行った以外は家で黙々と作業していた。
そういうとき、ふと気晴らしに眺めるベランダジャングルの緑が瞳に心に眩しい。

10年前、このマンションに越してきた年にはまだ幼木だった月桂樹↑も今は立派な目隠し役に。
若葉は香りがフレッシュですごく柔らか。料理の香り付け用に鍋に入れるのがかわいそうなほど。

2本(2種)のオリーブも相変わらずわさわさ縦横に繁茂し続けている。
ちょくちょく伐っては部屋に活けているのだが、伐っても伐っても まあよく伸びる伸びる。
かつて自転車で運んで来たなんて、どう見たって信じがたい。


やはり数年前に食べた後、でき心でまいた枇杷も、若葉がびゅんびゅん。
早速 虫にあちこちかじられているけど。。


ぐみも結実。しかし、ここのところずっと小鳥たちがぐみの木にたかっていたのは
どうやら実を食べていたからのようで、この一粒しかもう残っておらず。。
しかしひょっとしたら、一粒だけ残したのは、ことりたちのささやかな温情だったのかも。


まるきり植えた覚えのない金魚草も、純白とピンクの花が春から夏にかけて必ず咲く。
小鳥のふんに種が混じっていたり、植木の土に種が混じっていたりしたのだろう。
そういう身に覚えの無いサプライズも、ベランダガーデナーの密かな歓び。


サプライズといえば、雨の夜明けにカーテンを開けて緑を眺めていたら
ここ1,2年で妙に成長したワビスケの小枝にふわふわの泡が。。
小学生の時に読んだ「ファーブル昆虫記」に出ていたアワフキムシってこれのこと?

この泡に隠れて幼虫が身を護っている?? 悪さしないなら、まあそっとしておこう。

さらにサプライズといえば、、先日、風の強い日に上階で干していたらしいベッドパッドが
オリーブの木にひっかっかっていた。一番驚いたのはオリーブ自身だったかも。



マンション住まいもそうだけど、都心は一軒家でも庭がない場合が多いせいか
軒下がこんなことになっているおうちをよく見かける。軒下ジャングル、シンパシー覚える。

ヒトの緑への飽くことなき欲望と、緑自身のしたたかな生命力のなせる業。
緑のバロック、愛しい。

こちらは無添加シャンプーを買いに立ち寄ったHair Splashさんのエントランスに
生い茂っていたトネリコ。3月頃のブログで書いた名物(?)の「幸福の木」も花期を終え、
いまはトネリコが猛烈成長しているそう。成長中の植物が放つ気はつくづく快いなあ。



先週金曜は、桐島かれんさんが写真家 上田義彦氏と8年間住んでいた昭和初期の洋館
HOUSE OF LOTUSでインタビュー。↓彼女の著書『手作りのある暮し』の表紙や
上田氏が撮った一家のアルバム『at Home』にも登場する実に心地よい空間で
かれんさん独特のゆるぎない美意識の原点を伺い知る。上田氏が大切に育てているという庭の緑と
旧い洋館の佇まいも見事なまでにフォトジェニックで。詳細は6月末発売の『ROSALBA』をぜひ。

ご本人は謙遜していたけど彼女の手描きイラスト↑(『手作りのある暮し』より)にも独特の魅力が。


先日取材した林家木久扇さんの対談などが掲載されている『Kanon 華音』が届いた。
表紙は京都の東福寺にある重森三玲の傑作「方丈庭園」。私も去年訪れた大好きな庭だ。


重森三玲の孫である美術家 重森三明氏(この春訪れた重森三玲庭園美術館の館長でもある)が、
「日本人が枯山水に惹かれる理由」という文を寄せており、日本語の文法構造から、
「“曖昧な私”の国である日本において、枯山水は自己存在を探求するべく極めて有効な装置だった」
という主旨の論を述べており。「私見ながら」と前置きしたうえで、「自己存在の探求が希薄な
現代アートより枯山水の方がよほど新しく今もアクチュアルである」と云っているのが興味深かった。



今週の部屋花。本日18日は、ニキの一周忌「ニキキ」なので、あちこちに花を。


かつてニキリストランテだった辺りに挿していた百合の蕾が、申し合わせたように一斉に咲いた。

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春先小紅、パスクア

2009-04-16 01:28:22 | Greenベランダジャングル記
初夏のような陽射しの中を歩いていると、ふと旅の途上にいるような錯覚に。
いつかみた眩しい空、いつかみた淡い木漏れ日、いつか触れた甘い風、いつか聴いた春先小紅。





うちのベランダジャングルの小手毬も 昨日まで蕾だったのに、本日開花!



花期を終えたミモザの先っぽからは、いつのまにかこんなサヤがぶらさがり。。
陽光が当たると、サヤの中にうっすらと小さな豆が透けて見える。
(風が強かったためサヤが揺れまくり、ブレブレ写真で悪しからず)

あいにく未撮なのだけど、小花をいっぱいつけたグミの木には花アブが時々ぶんぶん。
グミの梢にツグミっぽいシルエットの鳥がちょこんととまっているのも何度か目撃。
(ニキがいたら、さぞかしお尻&しっぽを震わせ歓んだだろうなぁ)


そんなあたたかな日が続いた先週末からちょっとプレイバック。
金曜、打合せ帰りに表参道のCINAGROで少し遅めのランチ。前にも書いたけど、
ここはすべてオーガニック素材で美味しいうえ、空間も心地よいので個人的にリスペクト。


土曜はOXYオーリエさんのお誘いで、彼女のご近所に開店したイタリア料理店APONTE
オープニングパーティへ。栗原はるみさんのお嬢さんのお店とか。凄い人波の中でいろいろ賞味。
ご馳走さまでしたー

帰りは快適なオーリエさんちでまたまた朝までお喋りコース。
よくイタリアに買い付けに行くというスタイリストのサトコさんと3人で、YOU TUBEを観ながら
わいわいと。3人共通で盛りあがったのはドアーズ。いつ聴いてもかっこよすぎ。
私がひとり盛り上りしていたのはMr.Scuff。<このmoodogカバー、大好きです。


あけて日曜は、パスクア(復活祭)。私はキリスト教徒ではないけれど、
前夜にイタリアの話題を散々してたので、なんだか懐かしくなり。
パスクアといえば、こんな卵形のチョコを贈るのが慣わし。

ちなみにこの ドデカチョコを抱えているチャーミングな少年は、
将来こんな凄いものを掲げるヒトになりました↓(頭上に輝くのは2006ワールドカップ優勝杯)
<永遠にチャーミングなFrancesco Totti

今年、イタリアでは中部で起きた地震被害者の葬儀がパスクア当日に行われたそう。。
謹んでお悔やみ申しあげます。


明けて月曜はいいお天気だったけど、火曜は午後から雨模様。
街路のつつじにも大粒の雨だれが。。 夕刻、NHKにて取材。

幼少期には私もお世話になった「おかあさんといっしょ」のスタジオを初めてみた。
インタビューしたのは、なんと歌のおにいさん。いやあ、貴重な体験。


水曜は昼過ぎに九段で打合せ後、あまりにぽかぽか気持ちいいのであちこちお散歩。
夕刻、うちのすぐ側の公園をふと覗いてみたら、若葉繁る銀杏の木のかなり高い梢に、
椰子の実みたいなバスケットボールが。。誰がこんなとこでダンクシュートを?!


さらに路地を漫ろ歩いていると、黒猫!
偶然ながら、黒犬を猫またぎ(笑)

ちょうどニキのことをぼーっと考えているときだったので、ちょっと じーん。
最近 ニキの命日が刻々と近づいているせいか、気づけばふとニキのことを思い出している。
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ミモザが咲いた。

2009-02-06 05:20:18 | Greenベランダジャングル記
今週前半はビーフシチューをたっぷり作り、家にこもって原稿を昼夜問わず黙々と書いていた。
インタビュー系を続けて5本仕上げるのはかなりハードだったけど、終わった後は至極爽快。
徹夜明けの2月3日、ベッドに入ろうとしたら、窓の外に黄色い小花がふわふわと。
3年前に植えたミモザが遂に花ひらいたのだ! 早春の甘い香り。うれしくてちょっと泣いた。

これは3年前の同じ頃、鉢に植えた直後のミモザ(アカシア)の苗。
こんな ほんの小枝だったんだ。。信じがたい成長ぶり。

昨年ICCで植物とアートの関係性を探った「サイレント・ダイアローグ」の取材をしたが、
植物の営みはまさに沈黙の対話。立春目前、大好きなミモザに開花への思いが通じてよかった。


4日水曜の昼下がり、キムリエさんと渋谷の名曲喫茶ライオンで打ち合わせ。
といっても、向かい合った席は2階の奥に1セットあるのみ。企画会議もひそひそ声で(笑)


15時には恒例のレコード・コンサートがスタート。
ライオンのパンフいわく「ステレオ音響完備(帝都随一を誇る)」ゆえ、
ショパンのピアノ・ソナタがぞくっとするほど美しかった。
2月14日にはマリア・カラスのベストをやるよう。行ってみようかな。


夜は、六本木の未来画廊でスタートしたsaiさんの写真展のレセプションへ。
「途切れることのない音のつらなり」という個展のテーマに合わせた
サウンドクリエイターのDJも興味深く。今回はあまり展示されていないけど、人物写真もいい。
例えばsaiさんのHPにある松山ケンイチのショットとか、好きだなあ。
帰りはレイちゃん&ハカセと創業60年という昭和なお店へ。カウンター裏にシャイな猫がいた。


5日木曜は外苑前で、NYから帰国したヒロコ・グレースさんのインタビュー。
帰りにお花やさんに寄り、ネコヤナギとゼンマイとフリージアを少々連れて帰ってきた。

向き合ったゼンマイが、なんだかひどく内気な恋人たちみたい。


夜はオハナ・アダンでキムリエさん&キムナオさん&カッシーとゴハン。
今度はどこに取材旅行に行こうかとみなでひたすら妄想&妄想。あれ?結局どこ行くんだっけ?!
それにしてもアダンのメニューはどれも美味。最後にほくほくの鯛めしを結んでいただきお土産に。


そうそう、年末にみなで取材に行った横浜ノスタルジア特集が掲載されている
『和福美』3月号が発売中ですー。
和福美 2009年 03月号 [雑誌]

ニューハウス出版

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引越し準備中の文乃さんから’82~’85の「宝島」要りませんか?というメールをいただき
「ぜひ!」と送っていただいた。届いて包みを開けるや、その場で体育座りにて読み出し。。
<文乃さん撮
実は全部持っていたのだけど、引越しの時に散逸したので 四半世紀ぶり位に再会したことになる。
読めば読むほどテクノポップでニューウェイヴでヘタウマでポストモダ~ンでとんがりキッズでナウな
'80年代濃縮ジュース。もし100年後のヒトが見たら何て思うのかな。
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ジャンクな壜

2008-04-11 06:09:50 | Greenベランダジャングル記
少し頭痛がして フリージアの甘い香りが仄かに漂う部屋で一日中過ごした。花酔いの次は、花頭痛。
一昨日、雨のなか原宿に取材に出かけた帰り、ひとつ隣の駅前の花屋さんで花を幾つか買ってきた。
なんだか香りのいい花が欲しくなって。フリージアは青い猫の形をしたワインの空き壜に挿した。

お米みたいな小花がびっしりついたライスフラワーも ほんのりいい香り。
短く切って、キャンドルホルダーにわさわさ活けてみた。


右の旧い薬壜には 清々しい芳香のユーカリを。この壜はその昔、月島の古道具屋で入手したもの。
(昔どこかの医院で実際に使われていたものらしい。。)
左の香水壜には ベランダのゴールドクレストの伸び過ぎた先っぽを剪定して挿した。
ヒバ科の木なので、鼻を寄せると清浄なヒバの香りがする。壜上のプチ森林浴。


ミネラルウォーターの瓶には芥子。芥子の花が咲く瞬間て、蝶が羽化する瞬間みたいで好き。


大きな花びんには物足りないような楚々とした季節の草花を、何かの空き壜に挿し あちこちに置く、
というちまちました行為が 昔からどうもやめられない。
花がないときは、ベランダの伸び過ぎた木々や蔓草、ハーブをせっせと挿している。
ポイントは、容れものが“何かの空き壜”すなわち“何か別の記憶を持った容器”という点。
ともすれば雑草みたいな草木と ジャンクな壜。どちらにもなぜか捨てがたい魅力があるのだ。

☆☆
先週、スタジオトリコに遊びに行った折、キムナオさんこと写真家の木村直人氏から、
スタジオでプリントした作品をいただいたので、それも壁に飾った。
私の拙い写真のせいで、作品の繊細な表情が出せず恐縮ながら、これは間近に観ると実に詩的な、
深い旅の匂いがする写真。(先日blogで書いた「木村直人写真展」でも展示されていた作品)


とあるバス停から、アクリルの壁についた雨粒越しに臨むアントワープの街。
写真をじっと眺めていると、ちょうど、外の雨音と重なり、バスをぼんやり待ち続けている
旅人の気持ちになる。旅とは 目指す目的地にではなく、実は目的地に向かうまでのこんなふとした
空白の時間にこそ本質がある、ということをこの写真は思い出せてくれる。

ちなみに、先週トリコに行った際、ギャラリースペースを利用して
Sakayori.というブランドの内覧会を行っていた。


デザイナーのさかよりさんは、コムデギャルソンの元パタンナーさん。
ディテールがどれもさりげなくデコラティブで、非常に美しいシルエットの洋服たちが
白い写真ギャラリーの中で不思議な存在感を放っていた。
あまりにも素敵なので、キムリエさんとこれも欲しいあれも欲しいと盛り上がり、
ついそこがギャラリーであることを忘れて すっかりお買い物モードに走ってしまったけど。。
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ワビスケが咲いた!

2008-01-10 11:07:33 | Greenベランダジャングル記
ベランダのワビスケ(侘助)が今朝開花した。ワビスケ特有の奥ゆかしいひと重半開きの佇まい。
今週、仕事が始まったとたん 打ち合わせ&取材ラッシュで、
蕾が膨らんでいたのに全然気付かなかった。

ここへ越してきた年に植えたときは、掌に載るほど小ぶりの鉢から伸びたか細い一枝だった。
最初の数年は、窓辺で育てていた。初めて花が咲いたのは、たしか3年目のこと。
ほんの2、3輪だったけれど、日の短い冬の窓辺を彩る小さな紅に胸が躍った。

大輪のカメリアなどと違って、茶花らしい楚々とした風情がとても愛しい。
千宗易の下僕 侘助にちなむなど、語源には諸説あるらしいが、言い得て妙なネーミング。
寺山修二の『さらば箱舟』の主人公の名もたしか侘助じゃなかったけ?

冬の紅といえば、もうひとつ。年末年始にかけ、窓辺で次々に開花しているシャコバサボテン。

蝋燭がぽっと灯るように蕾が色づき 膨らみ、やがて炎がぼっと燃え盛るように開く花弁。
サボテンとはいえ、ブラジル高地原産の森林性なので 水分補給のさじ加減が育て方の秘訣。

シャコバサボテンは、クリスマスカクタスの名で晩秋頃に出回ることが多く、
私が手に入れたのも、やはり底冷えのする11月だった。もう6年も前、父が亡くなる前日のこと。
駒場で取材した帰り路、小さな花屋の軒先で赤々と咲き誇っていたこの花が不意にほしくなったのだ。
父の葬儀を終えた後も、蝋燭のような花は毎日咲き続けた。不思議なことに49日の頃、
いったん終わったはずの花が再び開花し始めた。年に2度も咲いたのは、後にも先にもそのときだけ。

☆☆☆
それにしても、朝顔といい、冬珊瑚といい、オリーブといい、
季節の移ろいとともにさまざまな表情を見せてくれるベランダの植物群には
いつも驚かされ 励まされる。(詳細はベランダジャングル記をご参照)
今年は成長著しいミモザが 3年目にして開花するのではないかと期待しているところ。

えてして、こぎれいなお花屋さんなどで購入した鉢は、温室で手塩にかけて育てられ、
一番盛りの時に店頭に並べられるので、買ってきたあと うっかりすると、
温度や湿度など環境のギャップに耐えられず、あっさり枯れてしまうこともある。が、
環境に徐々に慣らしていくことで、温室育ちの子もベランダジャングルで
ワイルドにサバイバルできる野生児へと進化していく、というのが自論(笑)。

チェコの作家カレル・チャペックは 『園芸家12カ月』で
「素人園芸家になるためには、ある程度、人間が成熟していないとだめだ。」とのたまっている。
園芸家12カ月 (中公文庫)
カレル チャペック,Karel Capek,小松 太郎
中央公論社

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(↑兄ヨゼフ・チャペックの挿画がまたよい)
私も “ベランダジャングルラー”としては、まだまだ未熟者だなあ、、と
日々、植物たちに教えられている。
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オリーブになった夕陽と穴とアロマ錬金術

2007-12-04 05:24:35 | Greenベランダジャングル記
昨日は終日、缶詰仕事。夕刻、南西の窓に沈みかけた夕陽が
オリーブの梢に引っかかって、まるで輝ける木の実のように見えた。

冬の落日はうつくしい。こんな日の夜は、星も冴えかえっている。
暖房がフル稼働の部屋では、愛用の加湿器もフル稼動。
これがあると、子供の頃からウィークポイントの喉が乾燥しないで実に助かるのだ

こぽこぽいいながら 白く湿った熱い吐息をはき続ける働き者。
これは±0が2005年にグッドデザイン賞金賞を受賞した加湿器のver2。
今年2月にはMoMAのパーマネントコレクションにも選出されたよう。

アロマ機能がついたり、カラーバリエーションが変ったりして微妙にマイナーチェンジしつつ、
毎年進化している。今年は少し濃い色味のシリーズをセレクトショップでよく見かけるが、
私はこのオフホワイトがいっとう好き。ちょっと『時計仕掛けのオレンジ』に出てくる
キッチュなオブジェみたいでもある。あの映画空間に置かれていても違和感なくないですか?

±0としては、「モノが本来あるべき必然の姿」を見つけ出し
ほんとうに必要な機能だけをその中におさめること」をコンセプトに見出したかたちのよう。
±0のHPのフィロソフィーが興味深かったので一部引用。

「すでに存在しているはずの共有感覚を探そうとしています。
それは、たとえるならジグソーパズルの穴のようなものですが平面的ではありません。
時間も空間も行為も習慣も、文化も情報も教育も思想も、すべてを投げ込んだ入れ子の中の
隙間のようなものです。その穴を見つけることは、人やモノを見るのではなく、
その間の空気あるいはその輪郭を見るようなことだと思います。
「つくり出す」という意思のもとに、その穴のかたちをむりやり変形させてまで
押し込むような行為は、好きではありません。」

「穴」とはむろん比喩なのだが、しかし、この加湿器の中央の「凹み」のような「穴」も
ただこぽこぽ言っているだけの「穴」にあらず。非常に含蓄のある「穴」だったようだ。
道理で毎日対面していても、ちっとも飽きないわけだ。

私はこの「穴」にアロマオイルをいつも仕込んでいる。
風邪をひきそうなときには殺菌作用のあるティートゥリーや喉に心地よいユーカリをブレンド。
そこにラベンダーやローズウッド、ベルガモットなどを気分によって、適宜合わせる。
おもしろいことに、ほんの数滴ずつでも、相乗効果で香りが奇妙なほど増幅する。
まさに錬金術のごとし。そういえば、今年『パヒューム』という大変好みの映画を観たが、
アロマを調合しているときは、あの悪魔と天使が同居したような主人公の姿を
必ず思い浮かべてしまう。
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サルトルと赤い実

2007-11-14 05:19:12 | Greenベランダジャングル記
今日は夕刻に原宿で打ち合わせ。出がけ、頭上を染める薄暮にしばしぽっと見とれ。。

帰りにふとメトロの入口付近にある千疋屋でアップルパイを買った。
この季節は、紅玉の甘酸っぱさがむしょうに恋しくなる。


私はうちにいつも果実がないと落ち着かない。なのでフルーツボールには常に果実が満載。
いまなら蜜柑や林檎、ラ・フランス。少し前なら梨や葡萄。

果物屋さんに行くと私はよく「これ、酸っぱいですか?」と尋ねる。
お店の人はたいてい「甘くて美味しいよ」と答える。
すると、私はがっかりして買うのをやめる。
酸っぱさのない果実は、どこか淋しい。
口当たりがいいだけより、どこかにしゅっと主張があったほうが好き。
身の回りの事物や、ひょっとしてヒトにもあてはまるのかもしれない。

アップルパイを持ったその足で、近所の花屋さんに寄り道。
季節柄、早々とクリスマスカラーの花々が軒先を彩っている。
私は、真っ赤な実を鈴なりにつけた「サルトリイバラ(山帰来)」を買った。

と、なにげに書いたが…実は、今日までずっとこれを「サルトル(!)イバラ」と思い込んでおり
花屋さんに「え?」と聞き直されて初めてマツガイに気付いたのだ。。
それまでは、“実存”的な生き方を茨の道に例えてるのか…とまでは思っていないにせよ、
「フランス原産なのかなあ」とか勝手に思っていた(恥)。まさか「猿捕り茨」だったとは!
まあ、子供の頃からこの手の勘違いは多々…。もしブログでも勘違いを炸裂させていたら、
職業柄まずいので(笑)どなたかこっそりご指摘を。。

で、勘違いついでに、サルトル小噺。
中学の頃に通っていた私塾の若い女先生はいつも、私と仲良しの女の子3人に数学の
難問を出し、その間じっと文庫本を読んでいた。先生が席を外した時、本をそっと見ると
「第二の性Ⅰ」だった。「女はこうしてつくられる」という副題が気になって、
後日本屋さんで探してみた。ボーヴォワールは女子中学生にはまだ謎だったが、
学生時代になぜかサルトルを読み出したのはこれがきっかけ。
(ちなみにその塾の先生は、当時私が日々愛聴していた坂本龍一の高校の同級生だった)

しかし。卒業旅行の時、ローマへ向かう機内にサルトルの「嘔吐」を持ち込んだのは
大失敗だった。フィウミチーノ空港に到着するまで、私は軽い吐き気に見舞われ続けた。

で、サルトルイバラならぬサルトリイバラ。
この実には水が不要なのだが、私はいつも花瓶に何か実ものを挿してないと落ち着かない。
秋にはベランダになっている冬珊瑚の切り枝が欠かせない。
(元は掌サイズの苗だったのに!!!↓)


でも、時々違う色の実も欲しくなる。
そんなわけで、今日は真っ赤に色づいたサルト…リイバラを買ってみたしだい。
10月には「真珠の木」と呼ばれる「ペルネチア」の白い実も飾っていた。


木の実といえば…ナッツも万年常備している。徹夜原稿のお供には、
カリコリと咀嚼することで中枢神経を刺激し、睡魔を散らしてくれるナッツが不可欠。
直径約10cmの缶にぎっしり入った無塩ナッツを高さ3cm分も食すと、さすがに胸焼けするが。

友人たちによくいわれる。
「前世は絶対リス系のげっ歯類だよね」「木のウロとかに棲んでそう」って。げっ歯?ウロ?
まあ、このはなはだしい果実&ナッツ愛を思えば、なきにしもあらず。
そういえば、アップルパイを載せた愛用皿も、はからずもリスと木の実の柄!

BGM:The Beatniks/No Way Out
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生と死の実

2007-11-06 04:19:44 | Greenベランダジャングル記
ベランダに茂ったオリーブの木が今年も結実。
朝晩も秋冷と共に、その実が緑から黒へとめきめき色づいてきた。
オリーブは異種の木々が近くにいないと決して結実しないので
うちも大きな鉢に2本植えてある。
(初夏に白い小花を咲かせたとき、綿棒で互いの花粉と花粉を
こまめに授粉させあうという裏技も忘れない)

向かいの大きな柿の木にたわわになった実も
日に日に濃い橙に色づいて、烏が時々器用にかぶりついている。
この秋ならではの借景が、私は毎年とても気に入っている。


ふと、“不思議な木の実”について夢想した。

はたちぐらいまで成長した後は、老いることなく
何十年もその体力とその風貌のまま生き続け
或る日、不意に元気なままぱたりと死を迎える。
長患いも惚けもなく、ただつやつや美しいまま、突然こと切れる。

そしてそのひとが亡くなった後、その亡骸は、ちいさなひとつの実になる。
ひとつのちいさなかわいらしい実が、ころん、とそこに遺る。

そのひとを愛していた人々がその実を食べ
その実の中にあった種を大地に植える。
そのひとを葬る儀式はそれで終わる。
お経も洗礼も焼香も祭壇も棺桶も戒名も骨壷もなにもない。
実を食べ、その種を植える、ただそれだけだ。

やがて、その種が芽吹き、草花や樹木に成長する。
大地は、そんな草花や樹木で常に生い茂っている。
かつてその実を食べた人たちも
だからちっとも悲しくなんてない。
追い茂った草花や樹木の生命力にただ心打たれ、
「生きている」と感じるだけだ。
―そんな生死のサイクルがあったら、いいな。そう思った。

(さらなる絵空事…もしここにブルーノ・ムナーリの挿画を入れられたらね)

超高齢化社会の深刻な問題も
アンチエイジングのオブセッションも
それらに群がりたかる、ありとあらゆる小賢しいビジネスも
すべてちゃらになる。
ともすればひとの弱さにつけいるような
老いや病や葬祭に関わるさまざまな慣習も成立しなくなる。
そんな世界があったらいいな。そう思った。
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とまれ、2007年メイドのオリーブの実、嘴太烏にさらわれる前に
ポモドーロのパスタにでもトッピングして食べちゃおう。
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ベランダジャングル

2007-11-02 04:13:04 | Greenベランダジャングル記
11月の声をきくと決まって、YMOの「Shadows on the ground」が聴きたくなる。
「November…♪」と始まる高橋幸宏の歌いだしが、私にとって 11月の風物詩。
ティーンネイジャーの頃からずっと。

8年前、渋谷近辺のマンションに越してきたのを機に
大胆不敵なベランダガーデナーになった。
なにしろ、植物は造形の恐るべき天才だ。土と水と空気と光さえあれば、
日に日にそのフォルムをしたたかにメタモルフォーゼさせていく。
へたな現代アートより、よほど刺激的。

気がついたら、東西2つのベランダがジャングルになっていた。
代々木公園が近いせいか、野鳥もしばしば飛んでくる。

随分昔に読んだ本なのでうろ覚えだが、明治神宮は中国の風水師が
選定したパワースポットで、隣接する代々木公園の樹木は
当初の予定より百年早く成長したのだとか。
真偽のほどはともかく、うちのベランダも植物の成長が、奇妙に早い。

引越し当初、宅配ボックスの中で枯れ枝のようにしか見えなかったぐみの苗木は
毎年縦横にぐんぐん枝葉を伸ばし、初夏には紅い実が結実するようになった。
或る夏、デザートに食して埋めた茂木枇杷の種も 私の背丈をとうに越え、
オリーブもゴールドクレストもミモザもアイビーもレッドクローバーも
羽衣ジャスミンも月桂樹も冬珊瑚も小手毬も梔子も侘助も竹も、
さらには野鳥がもたらしたとおぼしき(植えた覚えのない)神樹(たぶん)まで、
めくるめくぼうぼうと生い茂り、ベランダは数年でとてつもない藪に変貌した。

ここ10年は海外取材や旅行が頻繁だったので
留守中も水が枯渇しないよう、それぞれのベランダに
タイマー式の散水マシーンを仕込んだ。
なので、うちのベランダには朝夕きっちり3分ずつ“スコール”が降りしきる。

整然と手入れされた花壇のちまちましたパンジーとか
一分の隙もなく刈り込まれた盆栽には、どうも食指が動かない。
植物の旺盛な生命力がヒトの意図を凌駕したものにこそ、俄然心ときめく。
かくして、マイベランダを覗き込んだ人々はみな、
謎の事件現場を垣間見てしまったひとみたいな表情で呟く。
「わ、雑木林」

植物たちの思いのたけに任せて繁茂した「雑木林」に 日々包囲されながら、
身体や家具に纏いつく 黄昏色のゆらめく木漏れ陽や
澄んだ朝陽がカーテンに描き出すリーフの淡いシルエットが、
私にはひどく愛おしい。
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返り咲き朝顔

2007-10-27 19:18:34 | Greenベランダジャングル記
夏至の夜明けから咲き始め
9月まで毎朝欠かさず割き続けたベランダの朝顔が
10月半ばの温かな日から再び返り咲き、
秋涼の朝の山手通に季節外れな彩りを添えている。

昨年苗を植えた時は、弦や葉だけが茂るだけ茂った挙句、
ただの一輪も開花しなかったというのに。

それが何の前触れもなくひょっこり咲いたあの朝は、むしょうにうれしかった。
ただ、決まって通りに顔を向けて咲くものだから、眺めるのは後姿ばかり。
花の名は、「インディゴブルー」。
咲くのはみな シジミ蝶の翅のような淡い瑠璃色なのだけれど。

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