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ヨコハマ、蝶の歌、ジャンヌ

2008-11-30 12:11:52 | Cinema
明日から師走。この時季になると、地球の自転が1.5倍ほど加速しているように思えて仕方がない。
先週26日と28日は、元町界隈の取材で横浜もうで。
↑は山手外国人墓地ごしに見えた、紗のカーテンがかかったような黄昏目前の空。

横浜ってあまりなじみがなく、特にみなとみらい辺りは建物が見えてんのになかなか辿り着けない!
といったジレンマが多く、街がヒューマンスケールじゃないので 実は少々苦手だった。
けど、今回 山手地区から元町通り界隈の路地や坂を猫の目散歩してみて、印象が変わった。

初日はキムナオさん&キムリエさん&カッシーと一緒に
エリスマン邸など高台に連なる山手西洋館エリアを散策。
ドールハウスの箱庭に迷い込んだような感覚。

元町の外国人墓地で数匹の猫を発見。キムリエさんによると、この界隈は猫遭遇率が高いそう。
思わず撮影していると、「クロちゃん!」と呼ぶ声。「え、黒猫?」と思い、嬉々として振り向くと
鈴木清順にそっくりな白髭のお爺さんが、猫ではなく、烏に餌をあげていた。
円らな瞳で「清順」をうるうる見つめる純情「クロちゃん」。その奥に白猫が…(わかる?)
一瞬の白黒三角形

この子。右の瞳が金色、左の瞳がアイスブルー。さらっていきたいほどチャーミングでした。


28日は、キムリエさんと元町通り付近のショップやカフェを取材。夕方には終わるつもりが、
気がついたら夜に。。でも開港時から歴史あるお店は独特の佇まいで実に興味深く、楽しかった。
その時に撮った拙写真や記事は来年2月初旬発売の『和福美』をお楽しみに!

帰り、魔女の人形がたくさんぶらさがった元町仲通りのお店前で、ニキ似のもこもこ黒猫に遭遇。

撫でようとしたら、軽く猫パンチされた。
一寸痛かったけど、なんだか懐かしい感触だった。


翌29日 土曜夕方は、キムリエさんとHOYA CRYSTALのショールームへ。
秘密の花園をテーマにした空間は、青褪めた貴族が棲んでいそうな隠微な佇まい。
その後、阿部海太郎さんのLIVE@EATS and MEETS Cayへ。

先月、NIKI Gallery冊でみた時のゆったり感とは逆に、会場はぎうぎうだったけど
内容もそのぶん濃密だった。映像に合わせたピアノ演奏も面白かったし
オーボエ、ファゴット、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロなどの演奏も素晴らしく。
タップダンスとの絡みも新鮮だった。大好きな『Chanson du Papillon(蝶の歌)』を生で聴けて大満足!


遡ること27日。朝から雨模様だったこの日、取材を翌日に雨天延期したため、ゆったり朝食を摂りつつ
何気にスカパーのシネフィルイマジカをつけたら、「アクターズ・スタジオ・インタビュー」が始まり。

この番組は、俳優や演出家を養成するアメリカの名門アクターズ・スタジオの学生たちを観客に
副学長のジェームズ・リプトンが多彩な俳優を迎え、深い演劇論から出演作の驚愕エピソードまで
実に巧みに引き出すので、つい見入ってしまう。クールな精神科医のような面持ちで、
時おり茶目っけをにじませつつ、言葉少なに核心に迫っていくアプローチは、もはや芸の域。
私も取材でよくインタビューをするが、このヒトの絶妙な間のとり方はぜひ会得したいもの。

ゲストはジャンヌ・モロー。「ヌーヴェル・ヴァーグの俳優を迎えるのは初めて。光栄です」と
うやうやしくのたまうリプトンに、流暢な英語で含蓄のある応酬をするジャンヌ。

この収録は2000年なので、彼女は当時72歳。圧倒的にエレガント。それは凄みですらある。

ジャンヌ「ねえ、煙草吸ってもいいかしら?」 リプトン「貴女なら何をなさってもかまいませんよ」
時おり紫煙でくゆるカメラの向こうで、哲学者のような面持ちで語ったかと思えば、
不意に少女のような笑顔を見せるジャンヌ。貴重なエピソードも尽きず、
『突然炎のごとく』では、予算が少なかったため、スタッフの食事まで彼女が作ったそう!

インタビューに続き、映画『死刑台のエレベーター』が始まったので、またつい見入ってしまう。
(これで午前はつぶれる。フリーランス冥利。<後でしわ寄せが来るんだけど。。)



1957年、若き日のジャンヌ。マイルス・デイビスの即興をバックに、夜のパリを彷徨する名シーン。
ヌーヴェル・ヴァーグのファム・ファタルであるジャンヌも、共演のモーリス・ロネも危険なほど魅力的。
ただ、これを朝から観るのは別のイミで危険かも。
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セバスチャンとピエール

2008-11-24 17:38:14 | Music
昨夜は冬の星座がたくさん見えたけど、今日はあいにくの雨模様。
でも、終日こもって黙々と原稿を書く身にはちょうどいいかな。

この土日は日仏150周年を記念したFESTIVAL FRANCE GLAMOURのミニコンサートを観に
2日連続Midtown詣で。外苑東通りには、パリと同じシャンゼリゼ・イルミネーションがきらきらと。
シャンパングラスを模したLEDから、時折つーっと流星のような光が零れ落ちるのが新鮮。

芝生のガーデンには、銀河やオリオンなど冬の星座がファンタジックに浮かび上がり。
しかしこの光がなければ、頭上の星空がもっと鮮明に見えるという皮肉な話も。。


そして、深海の海月みたいなシャンデリアが北風に揺らめく一角では、件のミニコンサートが。


土曜はセバスチャン・テリエ。新アルバム『SEXUALITY』のイメージを踏襲しているのか
開脚した女性の美脚写真を左右に大胆に配したステージの中央にて、パリの伊達男全開。


途中からは、髪をすべて顔に被せた上、サングラスで固定して歌うという怪パフォーマンスを披露。
 <チューバッカ?

翌日曜のミニコンサートは、大好きなピエール・バルー。
「男と女」を愛娘マイア・バルーと共にデュエットするピエール。


途中、ステージを離れ、ギャラリーに紛れてマイアのステージを見つめるピエールを発見!
目があうと、にこっと微笑み返してくれた。んー、チャーミング。

マイアはピエールの名曲「VIVRE」の自由奔放なカヴァーも披露。
しかし肝心のピエールが歌ったのがわずか4曲だったのはちょっと残念。もっと聴きたかったなぁ。

帰宅後、ピエールのアルバムを聴く。中でも好きなのはこの2枚。
『Le Pollen』は10代の頃、死ぬほど聴いた。特に「PēPē」と「Perdu(迷い)」。
『Viking Bank』のシンプルなアレンジの「Perdu(Bonus Track)」は珠玉。

PERDU♪「迷った 太陽のないひまわりのように 羅針盤のない船乗りのように 
     ラもソもないミュージシャンのように 目覚まし時計のない労働者のように 迷った…」
こうした比喩が延々連なる歌詞と、鳥が不意に低空飛行するようなピエールの歌声がひどくせつない。


22日(土)はコンサートの後、広尾の閑静な住宅街にあるゆみさん&セージさん夫妻のおうちへ。
セージさんがバースデイケーキの蝋燭(年齢分)をまさかの一気消し! どんな肺活量ですか。


心地よい空間で、ハカセのプロ顔負け料理の数々を堪能しながら すっかりくつろぎモードの我々。
涅槃仏の如きオーリエさんに、レイちゃん(左)、イサムノグチのあかりを背に中腰の変なヒト(私)。

(イサムノグチといえば、、11/21発売『モダン・インテリア』でイサムノグチの記事書いてます)


23日(日)はコンサート後にMidtownと至近のレイちゃんオフィスへ。 
その途上に居た耳欠け猫さん。誰かとお待ち合わせらしく、冬闇にそそくさ消えてしまった。


レイちゃんの小宇宙と化したオフィスで、彼女が十数年前に作成した版画を見せてもらった。
彼女の亡くなった愛猫CHIKITAとレイちゃん自身。その視線と構図に心つかまれた。
どこかトランス アヴァンギャルディアの香りを感じる力作と私は思う。


☆おまけ。

Midtownのショップ「SUMU」でこんな木の実まみれのエッグチェアに遭遇。

この朱いプチプチはサルトリイバラの実。デンマークのフラワーアーティスト
ニコライ・バーグマンの仕業らしい。ヤコブセンもさぞびっくりでしょう。私は好みですが。
(カタログにはエッグチェアを苔で覆った作品も。こちらもぞくぞくするようなビジュアルだった)

その並びのショップ「in Touch」内の期間限定ドイツ雑貨コーナーにて
アンティークのグラスを入手。CHIKITAならぬNIKITA。ハーブを挿してもかわいいかも。

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ever greenと紅葉

2008-11-18 23:59:18 | Cat 猫族の甘い生活
これは、ニキが灰になった直後にすみ太さんから届いた美しいお花の中にあったグリーン。
いつまでも青々としているので水に挿している。
あれからちょうど半年経った本日も、不思議とみずみずしいまま。


月、火と渋谷で取材。児童館の側だったので、2日とも帰りは原宿経由で
黄昏どきの代々木公園を散歩。ここんとこの朝晩の冷気のせいか、紅葉も鮮やか。




少し湿った落ち葉の感触が、ブーツの底にふかふか伝わってきて。
秋の森特有の仄かに香ばしい匂いに、
ふと子供のころ家族と行ったピクニックを思い出す。






誰かが練習している不思議な打楽器の音が響くなか、犬も子供も大人も、


カラスも、みなどこかぽーっとした風情。


薔薇園に、熱心に薔薇を接写しているお爺さんがいた。
傍らのプレートによると、薔薇の名は「オリンピックファイヤー」。
焔のような花弁がもっとも魅力的に見えるのは、白昼ではなくこの刻なのかもしれない。


暮れなずむ空に、しゅっとにじんだ薔薇色。



ニキが星になってもう半年。あの日、ニキが最期を迎えたのは早朝4時台。
5月のあの仄白い夜明け、ベランダの小さな薔薇を摘んでニキに供えた。
今朝、同じ時刻に空は未だ暗く、季節が確実に巡っているんだなと思った。

ニキは生前よく朝陽の窓辺でひなたぼっこしていた。
カーテンの隙間に入っていくニキは、幕間に消えていく役者みたいだった。




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ベッドの下のテレーザと濫読休日

2008-11-17 07:25:50 | Book 積読 濫読 耽読
宿題(原稿)も約束も予定も入れずに迎えた静かな土曜。遅ればせながら、冬支度に着手。
といっても、クローゼットの冬物と夏物の位置を入れ替えたり、寝具を冬仕様に替える程度なのだが
ついでにベッドの下にしまっている旧い資料を引っ張り出して整理したり、入念に掃除してみたり。

そうしたら、ベッドの下から数冊の本と、このポストカードが↑
ベルニーニの代表作のひとつ「聖テレーザの法悦」。その昔、ローマの教会で入手したもの。
(この彫像、ちくま文庫版バタイユ『エロティシズム』の表紙にもなぜか使われていたりするのだが)
いつ、どのタイミングで落っこちちゃったんだろう? ベッドの下のバロック。

で、こっちが救出した本たち。再読しようと思って枕辺に無造作に重ねていたのが、
寝ている間に落としちゃったらしい(寝相はいい筈なんだけどな)。
で、結局、土日はこれらの本をつらつら読んで過ごした。
(仕事で資料読みに時間を割かれることが多いので、こういう時間は天国に思える)

デュラスの『モデラート・カンタービレ』は、中身を見事に忘れていたお陰で、新鮮に堪能。
鷲田清一の『モードの迷宮』は、10年程前に読んだ時とはまた別の感慨があった。
モードの軽やかさに惹かれつつ、その「せつなさ」や「残酷さ」を哲学的に紐解いた名著。

出色は四方田犬彦の『人間を守る読書』。古典からサブカル本まで155冊を紹介した書評集なのだが
どれも快哉! E.サイード、岡崎京子、種村季弘、秋山邦晴、マルクス・アウレーリウス、ダンテ、
三島由紀夫の著作について語った文が個人的に特にヒット。実に冴え冴えと明快。

11月14日のblogでブラッドベリの絵本について触れたが、彼の傑作『華氏451度』は
本を読むことが禁じられた近未来のお話。私は学生時代、原作を読む前にトリュフォーの映画で観たが
焚書の影で、本そのものを丸暗記して諳んじる人々の存在が示唆されるラストにいたく感動したものだ。
四方田氏も先の本で、同様のことを書いていた。究極的に、書物は活字ではなく声なのかもしれない。

寝入りばなには『おはようライナス君』をつらつら。PEANUTSシリーズは小学時代のバイブルのひとつ。
いまやフェティシズムの代名詞となっている“古い毛布”が姉ルーシーに略奪され、あろうことか
そのフェチの対象を埋められてしまったライナス君の騒動は、今読んでも傑作。谷川俊太郎訳だしね。




土曜、近所に買物に出かけた際、なんか気になって路地裏を覗くと、茶トラ猫がいた。


「にゃ(こんばんは)」と呼んだら、くるっと振り向きざまに「みゃおわあ(あーただれ?)」

ルヴァンで買ったばかりのカボチャパンをちぎってあげたら、匂いを嗅いで猫またぎ(笑)
猫にかまけているうちに小雨が。よかった、家の側で猫に遭遇したお陰で、すぐ傘をとりに戻れた。


日曜朝、ルヴァンのパンをいただく。猫はお気に召さなかったようだけど、至極美味しい。
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月のまなざし、夜のスイッチ

2008-11-14 02:15:07 | Luna もの思う月
13日の夜明け前、ベッドに入ろうとしたら、零れるような真珠色の月あかりに息を呑んだ。
その眼差しは、巨きな龍の瞳のように見えた。或いは、片目のアルカイックスマイル。しばし陶然。


気がついたらもう週末! 早すぎでしょお??
10日月曜は両国でおぢさまたちを取材後、水天宮のネオ・コミさんの所でさくっと打ち合わせ。
帰りに、箱崎公園で噴水越しに十二夜をキャッチ。



11日火曜は前夜に書いた原稿の件でOxyオーリエさんから昼ごろに電話。その電話で目覚めた私、
結局この日は彼女と仕事の話を逸脱して盛り上がり、まる半日電話で話していた!
その後、朝まで2本の原稿をノンストップで書いてメール。自分でも謎の集中力(笑)


お隣の柿の木。借景として密かに気に入っているのだが、
特にこの季節は橙色の柿の実が視界に美しく。


底冷えのした水曜。夜は松涛のポルトガル料理屋さん「マヌエル・ゴジーニャ・ポルトゲーザ」で
オーリエさんたちと会食。ご紹介いただいた方々がみな実に魅力的で、心身共にすっかり温まり。

みなでつついたデザート。真ん中のスイーツは「らくだのよだれ」!
ネーミングに思わずひいたけど、実体は後を引くほど美味なキャラメルムース。
ネーミングってば、「ゴジーニャ」っていう響きもいとをかし(ゴジラ風の猫を妄想中…)

帰りに、文化村通りから富ヶ谷に抜ける途上に最近できた「STAND S」でオーリエさんと
さらにワインを一杯。彼女とは不思議なシンクロニシティがたくさんあり、話が尽きない。

バックがサウナっぽいけど、杉の廃材を使っているそう。お店は山本宇一氏プロデュースとか。


13日水曜は、終日原稿書き。途中、やぼ用で渋谷に自転車で行った際、渋谷ブックセラーズに寄り道。
この店は前にもブログで書いたけど、書籍も雑誌も古書も年代別に絶妙なセレクトで並んでいる。
空間マルチクリエイターのオーリエさんに指摘されて初めて気づいたのだが、陳列棚も各年代に
流行った名作家具がなにげに用いられている。で、またいろいろ本を買ってしまった。

そのひとつ、レイ・ブラッドベリ文 マデリン・ゲキエア画『夜のスイッチ』。


真っ暗な「夜」が大嫌いな男の子のお話。夜も煌々と電燈を灯す彼のもとにある日、女の子が訪れる。
「わたしはおろち」もとい(笑)、「わたしの名前はダーク」と、その子は云う。

「ダーク ヘアに、ダーク アイ、ダーク ドレスに ダーク シューズだった。
でも、顔は月のように白く、目はきらきらと白い星のように輝いていた。」

ダーク嬢とともに、夜のスイッチを入れて回る男の子。ここ、すごい。
「<夜>のスイッチを入れた。闇のスイッチを入れた。」


闇ゆえに初めて気づく未知のあれこれ。明るいだけじゃ知りえない深淵な世界。蘇る懐かしい感覚。
さまざまなメタファーを夜の子供たちに投影したブラッドベリの珠玉の絵本に、しばし陶然。
(余談ながら、いまDJ FOODの♪「Dark Lady」を聴いてます)


さて、今夜も夜のスイッチを入れてと。
満月の影響か、夜食は蜂蜜たっぷりまんまるのホットケーキwithカプチーノ。

「今夜はドデカ満月ですよ」というレイちゃんのメールに微笑しつつ、朝までおシゴト原稿書きますよー。
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2つの写真展とユルスナールの靴

2008-11-09 07:55:16 | Art
週末、打ち合わせ帰りに銀座で見つけ、思わず連れてきた薄紫色のレースフラワー。
うっすら曇った空の色に融けてしまいそうな。


木曜は夕方に代官山でパリから来日していたマダム キャロル・フランクのインタビュー。
金曜は朝から汐留の日テレで原千晶さんのインタビュー。
冷たい雨がおちるという天気予報はあっさり外れ、眩しいほどの秋晴れ。

たまたま日テレのロビーで流れていたニュースで、イタリアのベルルスコーニ首相が
オバマ氏を「若くハンサムで、日焼けしてる(giovane bello e anche abbronzato)」と評した
人種差別問題が報道されていた。あちゃー なんておばかなイタリアンジョークを全世界の電波に。。


金曜は取材帰りに写真展をはしご。
まず、近所のラムフロムで始まった瀧本幹也 新作展「Iceland」へ。
エントランスには瀧本氏とのコラボレーションが多い坂本龍一氏からのお花も。
Icelandで今春撮影したという不思議なコントラストのランドスケープは、何処か別の惑星の如し。

ときに…Icelandって この世界的な金融波乱の余波であらゆる金融機関が破産寸前に陥っている国。
マネーに翻弄される世界と この静謐な風景との乖離を思いつつ、絵画のようなプリントに眼を奪われ。


いったん帰宅後、夜は筑波時代の先輩 芝田文乃さんの写真展を観に新宿三丁目へ。

真ん中が文乃(あやの)さん。お会いするのは多分10数年ぶり(!) でもほぼ変っていない印象。
彼女はポーランドのクラクフに毎夏長期滞在しており、1年間に撮影したモノクロスナップの中から
約30点を選び、「いったりきたり」シリーズと銘打った写真展を開催している。今回はその9回目。

「芝田文乃写真展 いったりきたり日記 / 2007年版」 本日最終日!必見!
2008年11月1日~11月9日(日)13:00-20:00 @galeriaQ 新宿区新宿3-8-9新宿Qビル4F
新宿三丁目駅 C5出口正面(1F「雪園」。途中階にセクシィなお店があるけどめげずに4Fへ!)

国や街を問わず、何かを待ち受けたり構えることもなく、ふと興味を持った対象や場面を
時にはファインダーを覗くことさえなく 直感的にシャッターを切った写真には
すれちがう瞬間の人々(あるいは小動物)の無防備な仕草や表情、佇まいが絶妙に活写されている。
名前も知らない人たちの それぞれの物語が、奥深い群像劇のように浮かび上がってくる面白さ。

今回の作品とは異なるが、過去の文乃さんの作品にも好きな写真がたくさんある。
これは1992年 芝田文乃写真展『ポーランドの夏休み』より。


これは1993年 芝田文乃写真展『うつつの途中』より。

写真展では過去の写真展の図録も閲覧・購入できるのでぜひ!


☆☆
ハロウィンが終わったとたん、街にはクリスマス装飾がちらほら。
年々 クリスマスが前倒し化している印象だが、意外にも銀座はまだ控え目だった。
打ち合わせ帰りにニューメルサ前で見たLois CRAYONのディスプレイはクリスマス色ゼロ。
スーパーブランドが軒を連ねるなか 非常に地味ながら、実際の本がぎっしり並んだ書棚がナイス。


これは新宿から帰る道すがらに見た伊勢丹の変化球的クリスマスディスプレイ。



近々、紅玉をいっぱい買ってきてタルト・タタンを作ろ――と、これを見て決意。。


土曜はちょっとけだるかったので、日がな一日ゆるゆる過ごすことに決め込む。
ブランチに胡瓜と卵とハムのサンドイッチをどっさりこしらえ、午後はひたすら怠惰に。。
 
うー 我ながらワイルドなできばえ。。前夜に伊勢丹で見たリンゴディスプレイのサブリミナル効果で
(或いはえとさんに伝授されたミドリカワ書房『リンゴガール』の影響か…?!)デザートはリンゴ。

夜はベッドで10年ほど前に読んだ須賀敦子著『ユルスナールの靴』の文庫本をつらつら。

冒頭の3行で本の真価は解る(特に小説やエッセイ)、というのが十代の頃からの持論なのだが
この本は、まさにそれを裏切らない一文で始まる―
「きっちり足にあった靴さえあれば、じぶんはどこまでも歩いていけるはずだ。
 そう心のどこかで思いつづけ、完璧な靴に出会わなかった不幸をかこちながら、
 私はこれまで生きてきたような気がする。」

―靴をモティーフに語られるユルスナール×スガワールドが、こんな日はただただ心地よい。
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タジン、命日、カサブランカ

2008-11-06 06:10:17 | Scene いつか見た遠い空
11月5日。父の命日の花を買って帰ってくる道すがら、夕暮れ直前の空に、白い半月が浮かんでいた。

家に帰って間もなく夕陽が沈み、あっという間に夜の帳がおりた。



ちょっと連休惚けしている間に、もう週半ば。。
日曜はキムリエさんちでカッシーと3人でタジンな午後を満喫。
南から西へ動いていく陽の移ろいが心地よく染み込んで来る空間で、ぼーっと過ごす快い時間。


思えば今春、代々木上原でチュニジア料理を3人で食べた際、タジンに欠かせない塩漬けライムを
授かったキムリエさんが、見事に本格的なタジン鍋をこしらえて招いてくれたのだ。

あまりに美味しくてどんどんおかわり。チュニジアに行きたーい!と言いつつ、食べる食べる。

キムリエさんちに居た縫いぐるみのホットさんをもてあそびつつ、深夜まで尽きないお喋り。至福。



週明けはレイちゃんが近所で打ち合わせしているというので、代々木八幡のnewportで会った。
お店でかかっていたTommy Guerreroと、Beastie Boysの大好きなThe in sound from way out!が
たいそう心地よく、書きかけ原稿を忘れて深夜までお喋りタイム。

前日に残念ながら行けなかった勝沼ワイナリーのお土産をいただいた。重いのにありがとう!

翌朝、いただいた勝沼土産の100%葡萄ジュースを賞味。ワイングラスに注ぐと、どう見ても赤ワイン。
しかもノンアルコールなのに酔いそうに濃く美味。朝から赤ワインを飲み干すような罪悪感。。



11月5日、父の命日に生けた白い花たち。懐かしいカサブランカの香り。
6年前、父の棺が父の部屋から運ばれて行ったとき、実家の玄関で濃密に香っていたカサブランカ。
その香りと光景が今も静かに甦る。あの日は11月初頭というのに恐ろしく寒く、おまけに新月だった。
まっくらな夜空は分厚い雨雲で覆われており、どんな星々も きらりとも見えなかった。


寒がりなので、ここのところ深夜は暖房を入れている。
部屋が温かなせいか、カサブランカの蕾が明け方にゆるゆる開花。
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夜の灯、朝の花

2008-11-02 06:28:35 | Tokyo 闊歩・彷徨・建築探偵
週末から三連休は うれしい遊びのお誘いがあれこれ。
木曜夜はレイちゃん&ハカセとミッドタウンのDESIGNTIDE TOKYOをさらっと流した後
GARB pintinoのパーティへ。↑まさに写真のアングルで東京タワーを拝める涙ものロケーション。
さらに合流したゆみさんたちと6名で恵比寿の焼き鳥屋さんにてわいわい。

帰りに私と同じビアンキユーザーのセージさんが自慢のビアンキを披露(お隣はゆみさん)


金曜は、石やハーブ、蜜蝋ろうそくなどの講座でお世話になっているちねんさんのおうちへ。
お台場の高層マンションにて迎えてくれたのはこのコ。アビシニアンのノアちゃん。


広い空と東京ベイを湛えた窓辺にて、イノセントな瞳の美猫に目が釘付け。
久々に猫に触れられて ぁあ至福。。

ヘルシーなデリと、ちねんさんお手製の優しい風味の野菜スープにリンゴ&さつま芋のデザートを
いただきながら、なんだか意外な話題で盛り上がり。彼女がみせてくれたRezというTVゲームは
カンディンスキーに捧ぐというコンセプトのもと、ケンイシイなどが音楽を担当しており、
音と動きがシンクロして生まれるグルーヴ感が非常に快くてびっくり。

帰りに、夏にオーダーして愉しみにしていたハンドメイドのペンダントをいただいた。
ラピスラズリのベースに ダイヤモンドで描かれたオリオン座。首もとに浮かぶ深遠な夜空。

ありがとう。ずっとたいせつにします。

帰路、ゆりかもめから見えた夕暮れ。同乗した観光客風の外国人親子が食い入るように見つめていた。


帰宅後、ビアンキに乗って今度は原宿へ。頭上に つーっと夜空を染めるサーチライト。


明治神宮入口には提灯がずらり。明治維新140年・御社殿復興50年を記した特別ライトアップ
「アカリウム」が10月31日・11月1日の二日間限り行われていたのだ。

近いわりに明治神宮には案外行かないのだが、この日は物見遊山気分で鳥居を潜り―







うろ覚えながら、明治神宮は中国の風水師が選定した東京一のパワースポット―といった記述を
荒俣宏が自著(書名失念)に書いていた記憶が。私は小1の遠足で神社に訪れている筈だが、
参道の砂利道が妙に長かった記憶しかない。。
話は飛躍するが、神社のすぐ側の地層からは、以前ナウマン象の化石が発見されたらしい。

神社を一巡後、キャットストリートに向かい、レイちゃん&ハカセとWISE WISEで合流。
さらにH.P.DECOから ダ・ドリアデ青山を廻り、CIBONEのパーティでゆみさんさんたちと合流。
<ダ・ドリアデ青山
デザイン関連イベントが界隈で開催されていることもあり、外苑前から表参道は縁日のよう。
前夜に東京タワー前で遭遇したきらきらのドラァグクイーンにCIBONEでも遇ったし。。
危うくディナー難民になりかけるも、最後はみんなおいしいモツ鍋であったまり。


そうそう、金曜はハロウィン当日でもあり、扮装した子供たちと時々すれ違った。
しかし、'80年代以前はハロウィンも今ほど商業化していなかった(ですよね?)
私が最初にハロウィンというものを知ったのは、この本だった。
クリアリー作『ラモーナは豆台風』より↓

ラモーナというのは、私が小学低学年時にはまっていたアメリカ児童文学“ゆかいなヘンリーくん”
シリーズに登場する悪童キャラの幼稚園児。彼女はハロウィンで魔女に扮装して悪戯しまくるのだが、
なんて痛快なお祭なのだろうと当時いたく感動したものだ(万聖節の意味は全然理解してなかったが)
同じ頃に愛読していた谷川俊太郎訳「PEANUTS」でカボチャ大王について熱く語る
毛布を持ったライナス君も 当時大好きだった。



実は、ハロウィンの夜、マイ ビアンキの鍵をうっかりどこかに落としてしまった私。
乗って帰れなかったため、翌朝珍しく早起きをし、合鍵を持って明治神宮前へビアンキを回収に。
帰りに 代々木公園をお散歩。今年一番の木枯らしをものもせず、凛と咲き誇る花々。











たまには、早起きも清々しくていいね(もちろん徹夜明けじゃなく)。
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