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ドイス・マパスでGoodbye2007

2007-12-30 09:29:30 | Music
今年は、よく知っていると思っていた森のなかに、
全然知らなかった泉や洞を見つける、みたいな1年だった。
明日には 東京タワーの電飾が、「2007」から「2008」になる。(たぶん)

昨夜はドイス・マパスのライブ@アダン・オハナ。
夏至の前に 初めて彼らのライブを観て引き込まれてから もう半年。
2007年のおしまいを彩る美しい時間だった。

ドイス・マパスは、ボーカル 木下ときわさんの 包み込むようにあたたかく伸びやかな歌声と、
深く心地よいサウンドをつくりだすギターの新美広亮さんによるブラジリアン・ポップ・ユニット。
「Dois Mapas(ドイス・マパス)」とは、ポルトガル語で「二枚の地図」という意味。
まさに、ふたりの世界観が どこにもない不思議な地図をつくりだしている。

一昨日もジョアン・ジルベルトのことを書いたが、
ドイス・マパスはジョアンが2002年に初来日した際のトリビュートアルバム
「フェリシダージ・トリビュート・トゥ・ジョアン・ジルベルト」にも参加している。
昨年には、久保田麻琴がプロデュースしたアルバム「極東組曲」と
ボッサのカバーアルバム「AGUAS DE MARCO」をリリースしており、
どちらも 透明なのに味わい深い 澄んだスープのような趣き。
甘い夕暮れ、淡い夜明け、遠い海の匂い、ドイス・マパスを聴くとそんな世界を思い出す。

それにしても 今年はキムリエさん夫妻のウエディングパーティ以来、
アダン・オハナのライブによく行ったなあ。どのメニューを頼んでも美味しいし、
スタッフもみなあたたかいし。ご近所冥利につきます。

☆☆☆
今日の夜にはびゅーんと ゆきぐにへ。
ニキは車窓からみえる雪景色にいつも興味津々。↓去年もこんな感じで

しゃあしゃあいわないで いい子にしててくれるといいけど。。
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真冬の雨、ジョアンとブライス

2007-12-28 23:58:52 | Scene いつか見た遠い空
昨年の年賀状に一部使用した写真(↑)。冬空の小鳥たちが音符のように見えて思わず撮影。
ちなみに、今年の年賀状のテーマは「雨の中の噴水」by三島由紀夫。

雨の夜更け、年賀状をせっせとプリントアウトしたりしているなさか
不意に ジョアン・ジルベルトの歌声が、遠い海鳴りのように聴こえてきた。
このしんしんと冷える真冬の真夜中に、私の頭をよぎっていったのは、よりにもよって「Estate(夏)」。

16の夏、ひどい夕立が降りしきるなさか、学校から帰ってくるやいなや、濡れた制服を着たまま
ベッドにぐったりと倒れこみ、寝転んだまま ものぐさにラジオをつけた時、偶然流れてきたのが
ジョアンの「Estate」だった。その時は、ジョアンが誰であるかさえ全然知らなかったから、
「Wave」や「Besame Mucho」などが次々と流れてくるなか、このおそろしく心地よい音楽は
いったいぜんたいなんなんだろう…?と、夢うつつで陶然と聴き入っていた。
遠い真夏のナチュラルボッサトランス(笑)。

♪Tornera un altro inverno Caderanno mille petali di rose
La neve coprira tutte le cose E forse un po di pace tornera

(やがて冬が帰ってくる 薔薇の花びらもみんな散り 雪はすべてを隠す 
そうすれば たぶん ほんのすこし平和が戻るのかもしれない)
※勝手に意訳してます。もし訳が違っていたら、ごめんなさいー。

雨の夜更け、私のなかを不意によぎったのは、このフレーズ。
ジョアンがポルトガル語訛りのイタリア語で歌う「Estate」の儚く深いサビ。
無数の薔薇の蕾が ゆっくりゆっくり咲き開いていくようなジョアンの歌声は、
冷たい雨がおちる寒い夜、熟んだ真夏の夢うつつへといざなう。

☆☆☆


今週は、各社仕事おさめで、打ち合わせに忘年会、取材、〆切がぽこぽこ立て込んでいた。
まさに、猫の手も借りたいほど。…とはいえ、ニキの場合は
おせちの黒豆みたいな肉球を投げ出し(↑)傍らで爆睡しているだけだったりするんだけど。

↓この子たちの方が、よほど役立つかも。

右のパンダ着ぐるみのプチブライスはお誕生日に、左の黒猫プチブライスはクリスマスに
盟友えとさんがプレゼントしてくれた逸品。ディテールまで凝ったつくりでびっくり!

数年前にパルコのCMでブレイクしたブライスのオリジナルは、
米国ケナー社から1970年代に限定発売された幻のお人形。
タカラから近年発売され、さまざまなブライスが登場しているが、
そのマニアックなファッションは、昔のピチカートファイブみたいなのもあり、ほんとかわいい。
大きい「ネオブライス」は、目の色がグリーンやピンク、オレンジなどに変化する。
「プチブライス」は、目の色は変わらないけど、横たわると、ふさふさ睫毛の瞼がそっと閉じる(溜息)。

☆☆☆
昨日は外苑前で、切り画作家・福井利佐さんのインタビュー。彼女もお人形のように
チャーミングなルックスのひとだった。
細密なデッサンを切り画で表現した彼女の作品は、それが紙を切り抜いたものであるとは
にわかに信じられないほど ディテールがこまやか。それでいてまっすぐ力強い生命力にあふれている。
仕事場は自宅にあるそうで、リビングでお茶を飲んで寛いでいたかと思うと、不意に切り画に向かう
―という風に、ON・OFFの空間を自由に往き来できる状態が不可欠なのだとか。

その感覚は、私もまったく同じかもしれない。ことばは、日常の隙間から不意におりてくる。
原稿が煮詰まったら、シャワーを浴びながら一考したり、
コーヒーを淹れながらグッドアイデアを思いついたり。
つい先日も、オーガニックの玉葱をたくさん買ったので、シチューをつくることにしたのだが、
キャッチコピーをあれこれ考えながら剥いていたら、ふと気付くと10個近くも刻んでいた。
その楽しいコピー内容とはうらはらに、玉葱が眼にしみて涙が真夏の夕立みたいに溢れて困ったが。。

雨が、まだまだやみそうにない。でも、分厚い古着のニットをもこもこ着込み、
ポットいっぱいの熱いジンジャーティーを何杯もおかわりしながらチョコをつまみ、
あたたかくした部屋で真夜中に聴く冬の雨音って、案外きらいじゃない。
もしこれが雪になっても、雪の降り積もる音を、私はなんとなく聴き分けることができる。
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音楽無用? 映画『アース』

2007-12-27 06:57:06 | Cinema
来年1月12日から公開される映画『アース』の試写会に行ってきた。

今月は、『スルース』『つぐない』『胡同の理髪師』と来年公開映画の試写があれこれ。
先日はスカパー放映の6時間近いイタリア長編映画『輝ける青春』も観た。
どれもなかなかの見ごたえ。詳細レビューは、追々書いていきます。

「主演、地球 46億歳。」 というのが『アース』のキャッチ。
登場するのは、ホッキョク熊、アザラシ、カリブー、オオカミ、アフリカ象、ザトウ鯨、オシドリ、
ツル、チーター、ライオン、オオヤマネコ、アムールヒョウe.t.c  ヒトは一切登場しない。
5年の歳月をかけ、北極から北米の氷河、赤道直下の熱帯雨林、アフリカのサバンナ、
南極など、40名のカメラマンが地球の一瞬一瞬を命がけでとらえた
スペクタクルな大自然ドキュメンタリーだ。

この手のBBC制作ネイチャードキュメンタリーは、NHKなどでも時々放送しているけれど
大画面用に撮影された恐ろしくクリアで精緻な映像は、大きなスクリーンで観てこその大迫力。
広大な氷河や大瀑布も、鳥や動物たちのめくるめく群れも、移ろい行く四季の樹木の彩りも
リアルな自然そのものの造形ゆえ、CG依存のSFやアニメの比ではない。
俯瞰で追うオオカミとトナカイの非情な追跡劇や、暗視カメラがとらえた巨像とライオンたちの
昼と夜のかけひきなど、へたなサスペンスホラーより手に汗握る。

なかでも、弾道実験用に開発されたという2000分の1秒のハイスピードカメラがとらえた
チーターとカモシカのこどもの死走を、スローモーションで見せるサバンナのシーンは圧巻。
ゆっくりと転げていくカモシカのこどもを、背後からしなやかに抱きすくめ、もがく首筋にスーッと
口を寄せ、一瞬の迷いもなく喉笛に牙をたてるチーターの一切無駄のない洗練された動きは
乙女を魔手にかけるエレガントなドラキュラ伯爵のようにすら見えた。

残酷にみえるが、食物連鎖の世界にヒーロー映画のような勧善懲悪はない。
生きていくことは、残酷の集積の上に成り立っている。
血抜きされ、きれいにパックされた切り身の肉や魚を買って、家族の夕飯をこしらえる
母親たちを誰も残酷とはいわないけれど。

冒頭に登場する冬眠からさめたホッキョク熊の赤ちゃんは抱きしめたくなるほどかわいいけど、
最大の肉食獣である大人の雄のホッキョク熊は、セイウチの赤ちゃんを狙って、
かばう母親を襲う。でも逃げられて力尽き、やがて飢え死ぬ。温暖化で氷が融け、
従来の捕食活動ができなくなっているがゆえの歪みが、そこに縮図としてあらわれている。

ここに出てくる多くの動物たちは、餌を求め、水を求めて、みな旅している。
ある種の、地球ロードムービーともいえるが、この原型は数年前に話題になった仏映画
『WATARIDORI』(ジャック・ペラン監督)にあるのではないかという気がする。
この映画もCG一切なしで世界中の渡り鳥たちの生態を克明に描き出しており、
そのリアルな鳥瞰アングルには眼を見張った。

が、この2つの映画の決定的な違いは、音響のセンス。
『WATARIDORI』はロバート・ワイアットやニック・ケイブなどの曲を効果的に用いていたが、
『アース』はベルリン・フィルの壮大な交響曲が、のべつまくなしベタベタに流れる。
また、たとえば鳥たちの羽音やライオンの群れの唸りなどは非常にリアルだったが、
ホオジロ鮫やザトウ鯨などの海中シーンに、ハリウッドのアクション映画ばりの
派手な効果音は無用だと感じた。水中はそもそも音のない静寂の世界のはず。
子供向け映画の側面もあるので、ナレーションを否定はしないが、
なくても全然構わない。試しに耳を塞いでみたら、一段と映像が際立ってみえた。

音楽もナレーションも一切カットし、生音だけでみせるという選択肢もあったはず。
音楽も、坂本龍一氏とかに頼めば、もっと映像を邪魔しないものになったのでは、という気も。。
もし、お正月明けに観にいくひとは、耳栓を持っていく、というのもおすすめ。


「もちもーち、こちら地球星」©シロ <『アース』のキャッチに推薦。
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美しいカレンダーと“もぞりと”こぞりて

2007-12-25 12:47:44 | Art
↑このかわいいノエルイラストは、イラストレーター高田理香さんの作品。
2008年版カレンダーの11月・12月ページのイラストだけど、1年前倒しで(笑)。
(scan精度が低く、独特の色味が再現されていないけど、実際はもっとやさしいトーン)

高田さんを知ったのは、以前、某社のパンフを制作する際、彼女の作品が眼に留まり、
イラストを依頼したのがきっかけ。ミッドタウンのすぐ側で個展を開催されていたので、
最終日の夕刻に足を運んだ。↓「高田里香のカレンダー展」の美しい案内はがき。

天井高の白いスタジオギャラリーには、高田さんの手がけるのプロダクト「WEEKEND STOROLL」で
毎年制作しているカレンダー原画の数々が、ゆったりと展示されており、
作品イメージに合わせてギター奏者の高橋ピエール氏が制作したというオリジナルサウンドも
絶妙に快く。 驚くかな、彼女は作品をすべて“プリントごっこ”で描いているそう。

高田理香さんの2008年カレンダーや、イラスト作品集、猫エッセイ集などを、会場で購入。
どことなくレトロなフレンチテイストに、まろやかな色使いとあたたかな手触り。

静かな森や、あたたかな食卓、海辺のヴァカンス、街角のドライブ、心地よいインテリア…
好きなものたちに囲まれた生活そのものを、気負わず気取らず、淡々と愉しんでいる
高田さんのイラストやエッセイの小宇宙には、何気なく入ったカフェで出された
絶妙なブレンドのハーブティーみたいに ほっと心なごむ香りがある。
何かまた一緒にお仕事ができたらいいな。

☆☆☆ 本日、クリスマス☆彡

かれこれ1カ月以上も前から、クリスマスなものモノやコトに包囲され続けてくると
イブも過ぎればもはや食傷していたりしなくもないけど…まあ明日にはクリスマスカラーの
緞帳がぱっと落ち、街は大晦日&お正月モード一色に染まる、というのが世のおやくそく。
宗教が違うとか、商魂逞しいとか、メディアがかしましいとか いろいろあるかもしれないけど、
これもあまたある“にっぽんのおまつり”のひとつで。ハレルヤではなく、ハレの。

もの心ついた頃から この“にっぽんハレクリスマスまつり”に無邪気に感化されてきた私は、
この時季になるとついお風呂で「♪もろびと こぞりて」とかを口ずさんだりしてしまうわけだが、
実は、長い間ずっと「もりと こぞりて」だと思い込んでいた。勝手に韻を踏んでいた?(笑)。
カミングアウトすると、「もぞりとさん」というクリスマスの妖精みたいな存在が
いるのかなあ…という幼少期の妄想を成人になるまで抱き続けていたのだ。。
「もぞりとって、だれよ?」とつっこまれ、ことのすべてに気づいた時の驚愕ってば…!
ついでに告白すると、「主は来ませり」というサビの歌詞も、「シュハキマセリ」という
なにかクリスマス特有の呪文のような言い回しがあるんだな、、と勝手に想像して歌っていた。
子供時代の思い込みって、つくづくこわい(そんなおばかは 私ぐらいかもだけど)。

冬至から三日間は、環境NGOの地球温暖化防止対策として20時~22時に電気を消し
蝋燭の灯だけで過ごす「100万人のキャンドルナイト」が各所で繰り広げられた模様。
そんなの、自己満足なエコ欺瞞だ、と引くひともいるかもしれないけれど、
蝋燭だけで過ごすのは、なかなかわくわくするし、仄かにゆらめく蝋燭の灯はひどく心地よい。
子供の頃、停電になると必ず蝋燭に見入って前髪を2、3本ちりっと焦がしていたくちなので。
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冬のタンゴ in アダン・オハナ

2007-12-24 04:05:33 | Music
街路樹の向こうにみえた、冬至あけの輝ける満月。
街中に溢れかえるどんなクリスマスイルミネーションより 冴えたひかり。

Buon Natale! こころあたたまるクリスマスを。

☆☆☆

昨夜は、「アダン・オハナ」で冬のタンゴLive。
先週、同店でのブラジリアンライブの話をブログに書いたが、
あの時にとても魅力的な演奏をしてくれたバイオリニスト江藤有希さん
バンドネオン奏者の早川純さんによるコラボレーションだった。

夜の帳に吸いつく流麗な旋律、月を震わす甘美な響き。
奏者と楽器が融けあって その瞬間だけそこに奇跡的に存在するいきものみたいに見えた。
音楽のタフでナイーブな身体性を、ときに鳥肌を覚えながら、実感した。

早川さんが奏でていたバンドネオンは20世紀初頭のドイツ製とか。
バンドネオンというのは19世紀末に、ドイツの教会の携帯用オルガンとして創られたものらしい。
ただ、オルガン状に鍵盤が整然と並んだアコーディオンとは異なり、
バンドネオンは音階が独自に配置された30個ものボタンが左右についており、
その組み合わせでさまざまな和音を奏でるそう。
しかも、蛇腹の動かし方によって その音色は複雑に変化する。
こんなややこしいものを操れるひとは、もはや私には“魔法使い”にしか見えない。。

バイオリンは、私も幼児期に習っていたので、さすがに“魔法使い”とは思わないが
わずか4本の弦と弓だけで あれほど多彩な音色を奏でることの難しさは身にしみてわかる。
バイオリンを弾く江藤さんを見ていると 全身でこの音楽を愛しているのが伝わってくる。

そういえば、、、おもちゃみたいにちっちゃなバイオリンを、乳歯がまだいっぱい残る下顎に挟み
ぎこぎこきごちない音で「きらきら星」や「メヌエット」や「ガボット」をお稽古していた幼いとき、
あんな風に自分の身体の一部みたいにバイオリンを弾きこなせるひとに憧れていたなあ。。

ふたりは、すぐ眼の前でピアソラの「リベルタンゴ」を弾いてくれた。ぞくっと鳥肌もの。
ヨー・ヨー・マが演奏したサントリーCMや映画『12モンキーズ』でも使われていた名曲。
タンゴは人種が交錯する社会のはけ口に男同士で踊ったり娼館で奏でられたのが最初らしいが、
王家衛の映画『ブエノスアイレス』でもトニー・レオンと在りし日のレスリー・チャンが、タンゴを濃厚に
踊っていたっけ…そう、王家衛は『花様年華』や『欲望の翼』でもタンゴを効果的に使っていた。

ベルトルッチもタンゴ好き。私のベスト1映画『暗殺の森』でも、ステファニア・サンドレッリと
ドミニク・サンダが30年代のエレガントなドレスを纏ってタンゴを踊る妖艶なシーンがあった。
↓どこを切り採っても甘美な画になるこの映画の、面目躍如たる名シーン。

同じベルトルッチの『ラスト・タンゴ・イン・パリ』でも、その名の通り、
ラストにマーロン・ブランドとマリア・シュナイダーがタンゴを踊るシーンがある。
アルゼンチン生まれのガトー・バルビエリによるタイトル曲「ラスト・タンゴ・イン・パリ」もしびれる。
昨日のブログでも書いたフランスのユニット「Nouvelle Vague」も、
珠玉の映画音楽を集めたコンピ『Coming Home』の冒頭に、いきなりこの曲を収録していて快哉!
だったし、やはり昨日のブログに書いたイルマレコーズのコンピにも、
この「ラスト・タンゴ~」やピアソラ「リベルタンゴ」の秀逸なカバー曲が収録されていた。

余談ながら、むかし 「オレもパリでタンゴを踊りたいよ」と
年末の繁忙期に嘆息していた同業者が居て 大爆笑した記憶がある。。

☆☆☆
そんなこんなで、冬のタンゴって、ほんっといいですね(わ、往年のみずのはるおみたい…)。
息が白くなる夜、タンゴの在る空間に身を置くと、
甘苦く濃ゆいホットチョコレートが喉を滑りおちていく瞬間みたいに、
寒さで縮こまっていた身体が、魔法のようにとろけていく。
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大掃除のBGMとニューウェイブ

2007-12-23 07:56:50 | Music
数年前にイギリスで流行っていた“ネイキッド・シェフ”じゃないけれど、
料理はリズムなので、快いBGMがあると、流れるようにすいすいコトがうまく運ぶ。

同じことが掃除にもいえる。とくに、年末のハードな大掃除にはご機嫌な音楽が不可欠。
そんなわけで、土曜の大掃除・第一弾用に流したのはこちら(↑)。

左はパリのユニットNouvelle Vagueによる、‘80年代のニューウエイブアーティストたちが
カバーした曲を集めた2枚組みコンピ『Nouvelle Vague presents New Wave』。
DEVOのカバーしたぺこぺこのストーンズ「Satisfaction」や、ポール・ヘイグによる
クールな「Runaway」(スライ&ファミリー・ストーン)、ストラングラーズによる
マッチョな「Walk on by」(ディオンヌ・ワーウィック)、フライング・リザーズによる人を喰ったような
「Move on up」(カーティス・メイフィールド)などなど、垂涎の名カバーが
フルパッケージになっていて、掃除がおもしろいほど 進む 進む(笑)。

右は、イタリアのレーベル、イルマレコーズの2枚組みコンピ『L’Aperitivo Italiano Parfum』。
ビートルズやエンニオ・モリコーネ、スティング、ピアソラなどなどの名曲を選りすぐった
とびきりエレガントなカバー天国。これもまた、掃除が気持ちよいほどはかどる。

掃除をしながら気づいたのだが、ぴこぴこした’80年代ニューウエイブものは、
キッチンのタイルや、お風呂のバスタブなんかをきゅっきゅと磨いたりするのにぴったり。
一方、ゆるめのイタリアラウンジものは、書類の整理や引き出しの片付けなんかに最適。

溢れたCD棚も ついでに整理。しかし、せっせと仕舞い込んでいくはずが、、
好きなジャケットのCDは、ついつい見入ってしまうし、また聴き込んでしまう。

左から時計周りにビル・エヴァンスとジムホールの『Undercurrent』
イタリアのラウンジーなコンピシリーズ『Easy Tempo vol.10』
橋本徹氏のコンピ『Mellow Beats,Rhymes&Vibes』
フリーソウルのポール・ウェラー コンピ『The classic of Paul Weller』。

夜半には雨音が強くなってきた。久しぶりの雨。
雨の夜には、ビル・エヴァンスがしっくりくる。

掃除を終えたあとは、コーヒーを飲みながらトータスの『TNT』を繰り返し聴いた。
数日前にリニューアルのためにクローズしてしまった近所のお気に入りカフェで
以前たまたまトータスがかかっていて、なんだかとても心地よいなと再認識して。

CDは、都内の幾つかの好きな音楽セレクトショップで試聴して買うことが多いが、
ショップで手近にすぐに見つからないものはアマゾンを利用することも少なくない。
先日、アマゾンのマーケットプレイスからこんな包みが届いた。

“げきとつ”って。。。
外見のインパクトが強すぎて、中身がなんだったか全然思い出せない。
明日は、ドアーズの『まぼろしの世界』紙ジャケ仕様がアマゾンから届く予定。
散逸してしまった懐かしい1枚を買い直したのだ。
そう、ティーンネイジャーのときに発見したのだが、
実はドアーズって、掃除にすごーく合うのだ。例えば 床掃除とかね(笑)。
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白い影法師の誘惑

2007-12-21 23:58:22 | Cat 猫族の甘い生活
冬の午後、あわい陽だまりでころころまどろんでいる猫をみると、
決まって「白玉さん」とその子供たちのことを思い出す。

白玉さんは、10年ほど前に出逢った野良猫。
小学校の裏のプールに面した細い路地でよく見かけたスレンダーな白猫だった。
初めて逢った夜、闇のなかにふっと浮かび上がるその姿は、まるで白い影法師のようだった。

まだここへ越してくる前、かつての池袋モンパルナスにほど近い場所に住んでいた私は、
ちまちました住宅地のしじまを縫う細い路地をわざと選んで歩くのが好きで、
白玉さんと出逢った路地は、勝手に「プール小路」と名づけていた。

桜が散りかけた或る春の夜、私は茶とら猫と楽しげに路地をギャロップしていく白玉さんを目撃した。
その年の初夏、彼女はプール小路の小さな駐車場に5匹の仔猫を産んだ。白黒、茶白、茶とら等など
柄もさまざまなら、缶詰をあげても、すぐに突進してくる仔から、塀の隙間から顔を半分だけ覗かせ、
いつまでも内気な転校生みたいにいじいじ様子を窺う仔まで、性格もさまざまだった。

白玉さんは、ミルクをあげると、授乳期には仔猫を差し置き一気飲みしていたが、
やがて仔猫が育ってくると、仔猫にすべてを譲り、寡黙なサッカーコーチよろしく
少し離れたポジションで、一部始終をじっと見護るようになっていった。しかし彼女は
誰よりも警戒心が強く、撫でようとしても、毛一本とて触れさせてはくれなかった。

快い秋風が吹くころ、毎晩プール小路を通りかかると、猫好きと思しき人々が、思い思いに遊ぶ
綿毛みたいな仔猫たちの姿をぽっと眺めたり、餌をあげたりしているのをしばしば見かけた。
が、冷たい木枯らしが吹きすさぶ頃になると、様子は一変していった。
同じ頃、「迷惑なので猫に餌をやらないでください。」と書かれた紙が、駐車場に張り出された。
その頃から、白玉さんの姿だけ、ごくたまにしか見かけなくなった。

供給される餌が減った仔猫たちは、飢えに加えて毎晩の寒さによる鼻水や著しい目ヤニ、
ノミや猫ダニによる引っ掻き傷の血痕で、日に日に薄汚れていった。
私は以前より大きな缶詰をこっそり持って、毎晩プール小路に立ち寄った。
飢えた仔猫たちは、私の気配を察知するや、まるで『ウエストサイドストーリー』のダンサーみたいに
闇からぴょ~んと一斉に飛び出してきて、いつもせつなくなるほどはしゃいだ。

師走の声を聞いた或る凍える晩、2匹の仔猫が私のあとをどこまでもどこまでも追ってきた。
いつもは缶詰に夢中で私が帰るのに気付かないのに、その時はとうとう家まで着いてきてしまった。
一晩でも温かな宿を貸してあげたかったけれど、うちには既にニキが居た。ニキは他の猫をひどく
嫌うし、もし家に招き入れれば、仔猫たちの風邪やノミやダニをニキに感染させることになる。
獣医にもその危険性についてはきつく警告されていた。やむなく缶詰とミルクだけ外に置き、
命を選ぶ自分の残酷さに打ちのめされながら、ドアを閉めた。

――翌朝、ドアを開けると、2匹がすぐさまきゃきゃっともつれるように駆け寄ってきた。
冬晴れの日曜の朝、私は重い足取りでプール小路に2匹を帰しにいざなった。

そしてクリスマス目前の晩、それは起こった。いつものように缶詰を持って現れた私の前には
一段とみすぼらしくなった仔猫たち。缶詰をあげるが、一匹だけなぜか食べようとせず、
その仔は私の前にふらふらと来て、ありったけの声で絶叫した。
ぎゃああああああああああああっ。生きていくことのつらさを全身全霊で訴えていた。
ぼやけていく私の視界の中で、その仔はか細い手脚で冷たいアスファルトを踏みしめ
昏いプール小路に呆然と立ち尽くしていた。

その夜を境に、その仔の姿は消えた。他の仔たちも一匹、また一匹と消えていった。
白玉さんだけは 幸い冬も逞しく生き延び、私が引越す夜、ちゃんとプール小路に現れてくれたが。。

この時季になると、どうしても白玉さんたちのことを思い出す。温かな毛布にくるまれて
ぬくぬくしているニキをみると、不意に胸の奥がちくちくいたむ。

(↑ぬくぬく、というよりもこもこ。。)

数年前、仕事でハワイに行った時(そもそもハワイは仕事でしか行ったことがないのだが)、
ふくちゃんにこの話をして寝たら、夢に白玉さんが出てきた。ハワイで白玉さんに逢えるとは
ゆめゆめ思っていなかったから、うれしかった。夢のなかの白玉さんは、陽光が照りつける
ワイキキビーチではなく、冬闇のプール小路にいた。やっぱり、白い影法師のように。
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少年少女文学と挿画の甘い罪

2007-12-19 20:47:14 | Book 積読 濫読 耽読
月曜、品川での打ち合わせ後、外苑前にある「ギャラリーハウスMAYA」の企画展
「本という宇宙 vol.1 L'innocente 文学にみる少年少女達の心のゆらぎ」(12/10~22)へ。
少年少女の物語をモチーフに、21人のイラストレーターが独自の切り口で
その作品からイメージする画を描きおろすという試み。

山本タカトによるコクトーの『恐るべき子供たち』(↑)、宇野亜喜良によるギュンター・グラスの
「ブリキの太鼓」、城芽ハヤトによるカポーティの『誕生日の子どもたち』などが、
個人的には意外性があってよかった。この『恐るべき子供たち』は、コクトーよりもむしろ
ベルトルッチの映画『ドリーマーズ』にイメージが近い気がしたが。
カポーティ作品の中でも私がとりわけ好きな短編『誕生日の子どもたち』は、
主人公である10歳のカリスマ的少女が コケティッシュなバレリーナ姿で描かれていて ぞくっとした。

先月、原マスミライブのブログでも書いたが、原マスミによる矢川澄子の
『ありうべきアリス』は、左右に三つ編を垂らした少女が、片方の三つ編みをちょきんっと
根元から切り落としている画だった。えもいわれぬアンビバレントな感覚。深い。


他にも 三島由紀夫の『午後の曳航』、太宰治の『女生徒』、マルグリット・デュラスの『L'amant』、
夢野久作の『少女地獄』、トーベ・ヤンソンの『誠実な詐欺師』、サガンの『悲しみよ こんにちは』、
ガルシア・マルケスの『エレンディラ』など、どれもフェイバリットな作品がモチーフになっているだけに、
見入ってしまった。期待していたアゴタ・クリストフの『悪童日記』は、
主人公である双子の兄弟のイメージ画がちょっとぴんとこなくて残念。。

***
文学作品に描かれる登場人物の造形は、彼ら彼女らが魅力的であればあるほど、
それをヴィジュアライズするのは、ひとつの“罪”であるともいえる。

たとえば子供の頃、『不思議の国のアリス』を、オリジナルのジョン・テニエルの挿画本で読んだのか、
ディズニー絵本で読んだのかによって、アリスのイメージは全然違ってくる。
盟友えとさんの愛娘りんちゃんは、私のあげたシュヴァンクマイエルの『アリス』を赤ちゃん時代に
観ていたそうで、恐らくりんちゃんのアリスや三月兎のイメージは、通常よりかなり濃厚なのでは。。
↓ヤン・シュヴァンクマイエル 映画『アリス』より。

今夏『ヤン&エヴァ・シュヴァンクマイエル展』でついにこの実物の三月兎と邂逅できて感慨無量。
しかし、こんなに邪悪で凶暴でグロテスクな三月兎は、ルイス・キャロルも想定外だっただろう。

『星の王子さま』は、挿画も作者自身によるものなので、『アリス』以上に 挿画のイメージが大きい。
ぬいぐるみなどのキャラクター商品もあるほど、その造形イメージが定着している。
↓サン=テグジュペリ作『星の王子さま』挿画(岩波書店刊)

これは砂漠にいる星の王子さまが「一本の木が倒れでもするように、しずかに倒れました。」
というシーン。「音ひとつ、しませんでした。」と続く。王子の最後の登場シーンである、
この“倒れる王子”の画が 私はいっとう好きだったりする。
世の中、なにかと“王子”流行りだが、王子は 倒れてこそ(<?)。

『ポールとヴィルジニー』も、大好きな作品のひとつだが
「ブロンドに青い瞳、珊瑚の唇を持つ」少女ヴィルジニーと、
「日焼けした顔に黒い瞳、長いまつ毛が優しい陰をおとした」少年ポールのキャラクターイメージは、
このアンティークな18世紀風の木版挿絵によって決定づけられた。
↓サン・ピエール作『ポールとヴィルジニー』挿画(旺文社刊)。

(顔のあたりが、諸星大二郎の漫画みたいに見えなくもない…)

メルヘンを大人用に編集した澁澤龍彦訳『長靴をはいた猫』は、片山健による挿画がとても妖しく。
↓シャルル・ペロー作『長靴をはいた猫』のカバー画(河出書房新社刊)

これは、『アンアン』創刊号(1970年3月)から澁澤氏が連載していた翻訳をまとめた作品集。
その際、アンアンに掲載された片山健氏の挿画を 澁澤氏が大いに気に入って依頼したようだ。

↓こちらはポプラ社刊『江戸川乱歩全集』の裏表紙。
少年少女時代、乱歩にはまった人は、猛烈な既視感を否めないはず。
特大トランシーバーで話しているのは、たぶん少年探偵団の小林少年。当時憧れだった。
しかし、、少年なのに 休日のおやじ風コーディネートなのは なぜに。。


で、同シリーズの表紙をめくると、必ずこの方↓が ひらんと眼に飛び込んでくる。

マントにボルサリーノ(?) 結構ダンディ。これが怪人二十面相とはどこにも書いてないが
なんとなく怪人二十面相のイメージは これによって刷り込まれてしまった感がある輩も多いのでは。

小学6年生になって初めて、隠微で濃密なカバー画の春陽堂版 乱歩文庫を手にし、
子供向け乱歩を逸脱した瞬間、いままで夢中になって遊んでいた子供部屋に、
実は知らない通路が隠されていて、そこから妖しい迷宮がめくるめく広がっていた・・・
・・みたいな衝撃を覚えたことを 忘れない。挿画はつくづく罪つくり。ゆえに魅かれてやまないのだけど。
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三毛猫集会とバーニャ・カウダ

2007-12-17 23:58:22 | Food 酸いも甘いも
昨日は、新婚ちよさん宅でホームパーティ“三毛猫集集会”。
ドレスコードは三色づかい。私は緑×白ベースに赤のクリスマスカラーで参加。
参加者は ちよさん まいか社長 キムリエさん レイさん ふくちゃん まついさん たがやさん
というライター、エディター、デザイナー、フォトグラファーのお友達アンド、
釣りから帰ってきて絶品のイサキお刺身&スズキのアクア・パッツァを作ってくれた
ちよさんの相方さんぺいさん、そしてさんぺい家のアイドル三毛猫こなみちゃん。


ザ・ダンドリャー(まいか社長命名)ちよさんのパーフェクトな段取り術によって
みなそれぞれ持ち寄った前菜やスイーツが大集合。どれもトレビア~ン!ハオチー!
中でも↑トップ写真の猫型巨大キッシュ(レイさん作)には大歓声が!!

腹ごなしに(?)こなみちゃんと遊ぶ(遊ばれる?)まいか社長。
畳の部屋があるのっていいなあ。


遊び疲れて昏倒するまいか社長&介護するこなみちゃん。
彼女は今秋、クリエイターをネットする会社「エディット・プラネット」を起業。私も強力リスペクト!


いたいけなこなみちゃんに「ばんにゃーい」をさせるふとどき者(私)。
極上のお餅みたいにのびる~。ゆやゆよーん。
仔猫時代の写真は 宇宙人そっくりだったけど、いまやスウィートなお嬢さん猫。

さんぺい家はとても心地よく、ほんとうに楽しいパーティでした!
お土産にいただいたちよさん手作りのシュトレン&クッキーは、プロのパティシエもドイツ人も
びっくりの本格的なもので、あまりの美味しさにくらくらしながらぱくぱく食べてしまった後、
あの完璧なシュトレンの写真を撮り忘れたことを大後悔。。。
左のリンクにもあるニコンのスイーツサイトでもレシピを公開しているそうなので要チェック!

***
ちなみに、“バーニャ・カウダ担当”だった私は、前日の深夜、キッチンに立ち、
ミルクを入れた鍋でにんにくがほっくり柔らかくなるまで ひたすらことことことこと。。
ミルクで煮る方法はベットラで教えてもらった。確かににんにくの臭みがまろやかに。


すっかり柔らかくなったにんにくと、アンチョビを包丁で細かく潰し
ぷつぷつ沸き立つオリーブオイルのお風呂で、じっくり火を通す。
ちなみに、オイルは愛用のオロ・デ・ヘナべ。スペイン産の有機栽培もので、香りが抜群。


真夜中、できたてのバーニャ・カウダをチコリにディップして味見。微妙に癖になる感じ。

ところで、“バーニャ・カウダ”とは、イタリア語で「温かなお風呂」という意味。
ポルチーニや栗にバローロなど、イタリア屈指の美味しい産物で有名なピエモンテ州の郷土料理。
おやじギャグみたいで恐縮ながら、お婆さん猫を見ると、ついこの名を思い出してしまう。
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インタビューとArt誌『NODE』創刊

2007-12-15 20:06:45 | Luna もの思う月
薄暮から夜へと向かう一瞬のグラデーション。
その天辺には、かわいらしい獣の爪跡のような三日月が。

締め切りに次ぐ締め切りに、取材に、コンペ…と、年の瀬の立て込みモードでちょっと風邪ぎみ。
昨日の夕刻、「今夜は仕事パスね」とでもいうように、夕焼け空に大きなばってんが。。。


一昨日は海岸のスタジオで雑誌『モダン・インテリア』のインタビュー取材。
「朝日新聞 Jヌード」さんの取材や広告絡みの撮影もあり、代理店、クライアント、AD、
カメラマン、編集者、衣装、ヘアメイク、さらに多くのアシスタントさんたち etc…と、
大きなスタジオもぎっしり。

それだけ人数が居ると、「誰仕切り?」「え、いま何待ち?」みたいなことが時々あったりもして、
個人的には少人数での取材の方が集中できてよいのだが、こういうわさわさした現場は
ふと離れて眺めてみると、いろんな人たちがうごめいていて、なんだかブリューゲルの絵みたい。

通常、インタビューする際、こちらが妙に構えていたり、かちこちに緊張していたり、
先入観にとらわれていたりすると、それは必ず相手に伝わるので、
私はできるだけ肩の力を抜きニュートラルな気持ちで臨むようにしている。

今回のインタビュー相手は女優のせとあさかさん。
ナチュラルで清楚で、芯の通ったしなやかな人だった。
瞳がほんとうにきれいで、自ら塗ったというフレンチネイルの指先も美しく。
2媒体のインタビュアーが同時に取材するスタイルだったが、撮影の合間に快く答えてくれた。

先日、新創刊のアート雑誌『NODE』 (本日15日創刊!)の記事で 椎名桔平さんを取材したときも
4媒体合同のインタビューがメインだったが、他の記者の質問や斬り込み方もまた新鮮で
その後の1対1のインタビューとはまた違う醍醐味があった。
この『NODE』では、SONYのプロダクツデザインを一手に統括している市川和男氏の取材も行ったが、
こちらは終始1対1のロングインタビュー。市川さんの取材も、椎名さんの取材も
非常に興味深いお話を引き出せた。ぜひご一読を!

『NODE』はまだ手探りの雑誌とは思うが、編集者の方々も非常に熱心かつ柔軟で、
私はインタビュー記事を含め、幾つかの記事を担当させていただいたが
どれも非常に愉しみながらできたお仕事だった。

..で、昨日はまったく別件のコンペがあった。インタビューは緊張しないのだが
コンペとなるとちょっと苦手。。誰かと予め競うのが前提というのがだめらしい。
トランプとかゲームなどの遊びは子供のころから大好きだけど、勝ち負けにはあまり執着がない。
なので、人に勝つことを期待されるコンペは少々しんどい。昨日はそのコンペでちょっとぐったり。
帰宅後にTVを点けると、映画「キャッツ&ドッグス」を放映しており、犬と猫もがっつり闘っていた。。
ふわっふわのブルジョワ白ペルシャ猫が演じる おまぬけな悪の権化キャラが効いていて笑ったけど。

さてと、これから明日のパーティ用に“バーニャ・カウダ”をつくらなければ。
先月、ベットラ・ダ・オチアイでこれを食べて、ものすごく元気になったので
同じように復活できれば願ったり。しかし、あんなにうまくできるかなあ?
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白梟とサウージ・サウダージ

2007-12-12 23:58:16 | Scene いつか見た遠い空
締め切りフェアの間隙を縫って、一昨日、レイさんのお誘いでご近所に
ライブを観にママチャリでぶらり。しかし、その話題はまた後ほど。。
この日狂喜したのは、レイさんから一足早くいただいたクリスマスプレゼント↑

白梟!ありがとう!! Grazie molto!
先日、西新宿でワシミミズクを目撃した話を書いたけど、
私は無類のフクロウ好き。特に白梟が大好き。白梟の笑った顔もたまらない。
本当は笑っているように見えて、威嚇してるらしいけど、とにかくかわいい。

市川市動植物園のHPにも白梟の笑った顔が。
もう、ふわんふわんのぷっくぷくで、頬ずりしたくなるほどかわいい。
ハリー・ポッターは全然真剣に観ていないけど、白梟ヘドウィクは素敵でした。

いただいた白梟の名前を現在思案中。
ちなみに、うちには小ぶりの白梟が先住。こちらもまだ無名なのだけど。

ナショナルトラストで8年ほど前に衝動買いした白梟のぬいぐるみ。
ムーミンのニョロニョロっぽくもあるけど。。梟って、猫に似てる。否、猫が梟に似てるのか?
猫もしゃあと威嚇した顔は、笑っているように見えるときがあるし。

愛著「世界のふくろう」によると、白梟は、雄がほぼ純白なのに対し、
雌は黒褐色の細かい縞模様があったりするらしい。
自分が梟好きなのは、夜行性だからシンパシーを覚えるのかと思いきや、
白梟は昼も活動して、レミングなどを頭からまるっと召し上がるそう。。

ちなみに、ほかにもいる うちの梟たち。

右から、シドニーの蚤の市で一目惚れしたハンドメイドの梟、やはり梟好きなまつだ氏からお誕生日にいただいた大中小のミミズクセット、同業のナクロプさんからのパリ出張土産、昔の同僚にもらったどこか南の島のお土産(首が蓋になった容れ物)、アテネで買った知恵のお守り梟(最古参)。

ついでに、その傍らに佇む サンタとおつきの(?)猫。

サンタの肩にいる黒い熊は、本当は白熊だったのだけど、黒く塗ってみた。
鉄製の猫置物は友人のひだかから昔もらった誕生日プレゼント。
猫が盆に載せているのは“サルトリイバラ”(サルトルではなく)。
この特大猫盆バージョンを、ポートダグラスのリゾートで目撃したことがある(持って帰りたかった…)

☆☆☆
どんどん話がそれそうなので、一昨日のライブの件。場所は東急文化村の先にある、
一軒家を改装した白く心地よいカフェ・ギャラリー「アダン・オハナ」。
お友達のキムリエさんも5月にここでものすごく心温まる素敵なウエディング・パーティを開催。
相方の写真家キムナオさんはここと姉妹店の表参道にある「タヒチ」で今年の頭に、
非常にアーティスティックな写真展を開催されていた。

オハナでは時々、投げ銭ライブというのをやっていて、アットホームなスペースながら、
なにげにクオリティの高いアーティストが参加していたりする。
一昨日は、あのJ-WAVE「サウージ・サウダージ」でおなじみのヴォイスジングルのご本人で、
アマゾン河口生まれのジョゼ・ピニェイロさん。
マイクなしでも響く艶のある歌声で晴朗なブラジリアンナンバーを披露してくれた。


なんだか、ブラジルがワールドカップで優勝した時みたい(?)ラテンな盛り上がり方。
右にいるバイオリンの江藤有希さんのバイブレーションが非常に快く。
彼女がバンドネオンとコラボする「冬のタンゴ」も12月23日にオハナであるそうなので
行こうかなと。そうそう、オハナは料理もお酒も、やっぱりなにげにとても美味しい。
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西条八十と新宿夜曲

2007-12-11 17:06:12 | Tokyo 闊歩・彷徨・建築探偵
歳末締め切りフェア(笑)のただ中でございます。ひいふう。
昨日は、例によって朝一入稿を果たして仮眠後、所用で新宿へ。
西口でPC関連の急ぎ買い物を済ませた後、東口へ。

新宿東口広場の前は、渋谷ハチ公前と同じく、人だかりがすごくて
いろんな人と人の思念がうずうず渦巻いていているのに中てられてしまうので
なんとなくとっとこ素通りしてしまうのが常なのだが、今日は、ふと足が止まった。

師走のさなかに咲き誇った花壇の電飾↑。
たぶん、どこかの温室から移植されたのだとは思うが、可憐なデイジーの間を縫う光が
年中、ネオンがびかびか点滅しているこの一角で、妙に楚々と美しかった。

この花壇のすぐ側には、西条八十のモニュメントがひっそりと佇んでいる。
「むさし野なりしこの里の 昔のすがた偲ばせて 小畦の花のむれと咲く ビルのネオンの赤き花」

「蘇州夜曲」「青い山脈」など流行歌の詩でも知られる西条八十。
ランボー研究でも有名な仏文学者でもある。私が西条八十の名を最初に知ったのは、
ランボーに傾倒するもっと以前の小学生の頃。「読んでから観るか、観てから読むか」の
キャッチコピーで当時大ヒットした『人間の証明』の角川メディアプロパガンダがきっかけだった。
あの数奇な物語の肝になったのが西条八十の童謡詩『ぼくの帽子』の引用だった。

「母さん、僕のあの帽子どうしたでせうね
ええ、夏、碓氷峠から霧積へ行くみちで 渓谷へ落としたあの麦藁帽ですよ」
この詩を、松田優作があのぼそぼそした声で云う響きがたまらなかった。
ちなみに、おませ小学生だった私は、読んでから、観た(笑)。
でもまあ、当時はアメラジア問題なんて知るよしもないから、実際のことろはよく解んなかった。
ただ、西条八十の引用詩から喚起されるイメージが、妙に印象深かった。

それから遡ること、およそ半世紀。新宿駅に小田急が乗り入れて盛り場として栄え出した
1920年代末に流行った溝口健二の無声映画『東京行進曲』の主題歌も西条八十の作詞。
「♪シネマ見ましょか お茶のみましょか いっそおだきゅ(小田急)で逃げましょか
変る新宿 あの武蔵野の 月もデパートの上に出る♪」

この歌詞から「おだきゅる」という言葉が当時流行ったそう(笑)
当時のモボ&モガには“おだきゅ”って 駆け落ちするのが「ナウ」だったのでせうか。
西条八十は、後に小田急電鉄から永久全線無料パスを授与されたそう。
現物支給とはいえ、随分うれしいキャッチコピー代である。
(まあ、そもそも本人は宣伝のつもりで書いたわけじゃなかったのでしょうけど)
小田急沿線住民の私も機会があったら、ぜひそんなキャッチコピー代をいただきたいもの(笑)。
オフの度、ロマンスカーで箱根に行ってしっぽりしますから。

ちなみに、昨夜は東口でも幾つか所用を済ませ、以前居た会社の後輩で同業ライターやおちゃんの
ジャズライブを観に行くつもりだったが、地図通りに来たのにどうしてもそのお店が発見できず
電話番号も忘れてきていたため途方に暮れ、とりあえずすぐ目の前に見えた
名曲喫茶「らんぶる」へ一時避難。

重厚なオペラがかかるクラシカルな地下店内で、味気ないコーヒーと水で喉を潤した後、
再び気を取り直して探すと、呼び込みの外国人の立つすぐ後ろに店があった!…が、時既に遅く、
家にそろそろ届いているはずの校正を早々に戻さなければならず、やおちゃんに一瞬挨拶して帰宅。

あいにく、新月で月も見えないなか、新宿から一路 “おだきゅ”って。

★おまけ
新宿伊勢丹のショーウィンドウで、またもやベアを目撃。

先日観た日本橋高島屋のアルチンボルド風ベアとは異なり
こちらはメルヒェンチックな影絵風舞台に、熊等身大のスタンディングベア。
新宿はもともとが綺羅綺羅ぎらぎらなので、クリスマスイルミネーションがいまいち映えないためか
逆手にとったアナログ系のクリスマス装飾が多いように思う。
それにしても。ツリーやリースやベアの装飾はよく見るが、サンタクロースって最近減った?
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アルチンボルド風ディスプレイと日本橋考

2007-12-08 11:55:13 | Tokyo 闊歩・彷徨・建築探偵
ちょっと冬バテ気味の週末、所用で日本橋へ。日本橋高島屋前の出口に上るなり、
クリスマス仕様の深紅×シルバーのグラマラスなウィンドウディスプレイが
寝不足気味な瞳の奥にキラキラ刺さる。

え…! よく見れば、このシルバーの円い縁取りも、たっぷりしたドレスも、
すべてちっちゃなベアでできている! わーお。

まるでアルチンボルドのマニエリスム絵画みたいだ。

ちなみに、こちらも深紅のシャンデリアがすべて赤ベアでできている。妖しくも、プリティ(笑)。

ほかにも、ベアたちがピラミッド状に積み重なったリカちゃんハウスなどなど
老舗百貨店の軒下をめくるめく飾る ラブリー&キッチュなマニエリスム的ベアワールドは必見。
ちなみに、エントランスを入った真正面にも、円錐形にうず高く積みあがった
巨大なベア∞クリスマスツリーが、無数の無邪気な瞳でお客さまを迎えてくれる。。

夏―秋に開催していた『ヤン&エヴァ シュヴァンクマイエル展』でも、
恐ろしくイマジネイティブなアルチンボルド風作品を大量に観て驚いたが
シュヴァンクマイエルさんに、ぜひこのベアワールドをチェコアニメ風に
もこもこと動かしてほしいもの(笑)。

…ふと、ベアたちの前をゆっくりと通りすぎていったバスのボディに
「日本橋に青空を 日本橋川に光を」のメッセージ。
これが、以前、日本橋をテーマにした媒体で取材させていただいた人が云っていた
日本橋界隈の企業がスポンサーになっているエコ仕様の無料巡回メトロリンクバス?

江戸幕府開府の年、全国へ続く五街道の起点として架けられた日本橋。
東京オリンピックの前年、工事が早くて安価、という理由だけで、
この橋に大胆不敵に覆い被さった首都高の高架橋。
これを取っ払って地下に通そうという論議には、「日本橋に青空を」と
言い出したのが あのスローガン大将コイズミ氏だったこともあり、
経済や政治の思惑がいろいろ絡んでいるようだけど、
まあ、単純に見た目だけで云えば、
あの冗談みたいな景観がまかり通ってきたこと自体、冗談のよう。
ファシズム時代、古代ローマ遺跡を分断して戦車が走る大通りを作らせたムッソリーニもびっくりな。

夏ごろ、榮太樓飴本鋪の会長に「粋」についてのインタビューした際、
江戸っ子の会長は非常に興味深い独自の「粋論」を展開。いわく
「粋の反対は野暮でしょ。例えば日本橋川の上の高架、ああいうのを野暮ってんだな」

帰りに、半年振りにかかりつけの歯科へ。ここの還暦過ぎた院長も日本橋生まれの江戸っ子。
予防医療を徹底しているこの歯科医院では、「歯磨きは食後必ず10分以上、寝る前は20分以上励行」
「甘いものは禁止(!)」を全患者に言い渡しており、少しでも磨き足りない所は即座にチェックされ、
歯科衛生士さんから厳しくも愛情深いシスターみたいにたっぷり指導を受けることになる。

甘いもの禁止令には、チョコ中毒の私は当初面食らったが、この医院はそれでも素晴らしい。
治療技術やインフォームドコンセント、アフターサービスという面で、目から鱗の水準なのはもちろん、
待合室や治療室のインテリアが実に素敵なのだ(↓院長許可のもと撮影敢行)。

テンペラ画や季節の花が生けられたプチホテルのレセプションみたいなシックな待合室の一角には
ハープシコードに似た中世のアンティーク楽器スピネット。院内BGMは有線でなく、院長厳選の室内楽。
全個室のウッディな治療室の天井にも、植物や動物をモチーフにした趣深い天井画が描かれており、
今回は蝶と葡萄、前回は羊と紫陽花…などと、毎回楽しめてしまう。

問題は、医院と至近の高島屋デパ地下で、ついついスイーツの誘惑に駆られてしまうこと。。

あそこで何も買わないひとがいたら鬼ですってば、先生。
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カーナビより昭和の古地図

2007-12-07 10:25:11 | Tokyo 闊歩・彷徨・建築探偵
また徹夜明け。ここんとこ、毎日なにかしら原稿を出す約束ごとを果たしており、
かなり寝不足続きの毎日。打ち合わせから帰ってきたら、必ずソファーで一度は
ニキと一緒にまるくなって昏倒している。

しかも、昨日は私の天敵ともいうべき朝一打ち合わせ。。
しかも、絶対に遅刻できないクライアント。。
しかーし。朝がんばって起きてメトロに向かったはいいが、明治神宮で人身事故があったとかで
地下出口からは 電車に乗れず途方に暮れ顔のメトロ難民がわらわら。。。
そのまま、みな携帯で遅刻の言い訳をしながら井の頭通りになだれ込み、今度はタクシー難民に。。。

私は山手通まで戻ってなんとかタクシーを拾い、運転手さんに品川まで飛ばしてと懇願。
しかし、師走の朝のラッシュアワー。どう考えても渋滞に巻き込まれることは必至だ、、
と半ば諦めていたら、赤信号以外は見事にノンストップでスイスイ品川に到着!
5分遅れ程度で、やきもき待っていたデザイナーさんも「え、はや!」とびっくり顔。

運転手さんも「40年東京でタクシー運転してるけど、こんなことはめったにないなあ」と呻っていた。
ちなみに、原宿方面から来たという運転手さんいわく、明治神宮駅周辺には
消防車や救急車が集まっていたとか。。何の事故かは結局わからないままだが、
不幸中の幸いというかなんというか。

しかも、車中、初老の運転手さんが、すごくおもしろかった。
彼の車は、いまどき珍しくカーナビ無し。
代りに、品川駅東口が再開発される前のかなり古びた紙の地図を使っておいでだった。
私が行きたかった会社も、地図上では社名変更する以前の名前で掲載されていた。
それでも彼は、私が目的地の住所を言うと、黄ばんだセロハンテープでところどころ繕ってある
地図をちゃっと見て、「ここが混んでいたらこの裏道抜けますねー」などと説明しながら、
時おり、高度成長期やバブルの頃からの東京の様変わりぶりを呆れたように語りながら
実によどみない運転で目的地に運んでくれた。流石40年のキャリアはあなどれない。

私は、昔の東京を肌身で知っているひとの話を訊いたり、読んだりするのがひどく好きだ。
書棚の一角にある、昔の東京が出ている写真集とか古い地図をうっかり開こうものなら
そのまま時を忘れて脳内タイムトリップしてしまう。(昭和萌え?)
『三丁目の夕日』のセットやCGで蘇った高度成長期の東京より、
その方がリアルでエキサイティングなのだ。

ちょうど10年前に上海を訪れた時、(たぶんいまではすっかり取り壊されているのだとは思うが…)
朽ちた家々が並ぶ狭い狭い路地裏をきゃっきゃと走る子供たちや、その子たちに向かってなにか
怒鳴っている雑貨屋のおばあちゃん、道端に椅子を出し、上半身裸でぼんやり涼んでいるお爺ちゃん、
鉄製のアイロンをかけているお姐さん・・・そんなのどかな光景が、どこか昭和30年代の
日本みたいでいいなあと、その時代にはまだ生まれてもいないのに懐かしく思ったものだ。

いま、上海でも東京でも、そんな懐かしい感じの風景は日に日に失われている。だからこそ、
その時代を知るひとの言葉や思いが、しみじみと身にしみる。

品川で昼をまたいで3時間近く、緑茶一杯でノンストップの打ち合わせを終え、
おっかなびっくりで明治神宮の駅で乗り換えたが、構内も周辺も、
もはや何事もなかったかのように平和そのものだった。

帰途、あまりに良く晴れた冬の空が心地よいものだから
代々木小公園界隈を迂回してみたら、外国人の子供たちがブランコをこれでもかと漕いでいた。
小公園の並木路は、紅く色づいた落葉樹と常緑樹のコントラストが美しかった。


路地裏には、顔見知りのモップの先みたいな猫。なんでも、さらわれて一時行方不明だったのが
自力で逃げてきた際に足をくじき、そのまま足を引きずるようになってしまったらしい。。がんばれ!

最近、この近辺にもついに巨大なタワーマンションが建つことになったよう。
猫たちがのんびりまどろめる路地が東京からどんどん奪われていくのは、ほんとうにせつない。
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佐山泰弘個展と猫放談

2007-12-05 11:22:29 | Cat 猫族の甘い生活
(photo↑「佐山泰弘作品集 猫からの贈り物」より転載)

昨日は、銀座シネスイッチで来年公開の「スルース」の試写(この話題は週末に)。
で、ちょうど近くで、案内をいただいていた猫造形作家佐山泰弘さんの個展が
開催されていたので観に行った。

佐山さんは、同居猫のミーちゃんをはじめ、さまざまな猫の仕草や佇まいをモチーフに、
立体造形、水墨画、グラフィックデザイン、写真など多彩な手法で作品化し、
国内外で個展、イベント出品などをして活躍されている方。
画廊でお逢いした限りでは、ご本人は、ひょろっとのっぽにおかっぱ頭&帽子姿で、
どこか“飄々としたスナフキン”みたいな印象(勝手に失礼!)。そしてすごくいい声。

佐山さんの個展に初めて訪れたのは、今年の夏。
猫友達のデザイナーふくちゃんの愛猫ウーちゃんをモデルにした完成作品を彼女と観に行ったのだ。
彼は、実際の猫を立体作品に仕上げるオーダーメイドも手がけており、「ウチの猫(コ)展」と
銘打った夏の個展では、そうしたオーダーリアル猫たちがずらりと並んでいて、大猫集会の趣だった。

佐山さんのつくったプチウーちゃん↓(2体のうち小さい方)。
そのあまりのリアルさに、ふくちゃんも私も驚愕。



本物ウーちゃん↓。この黄金の眼ぢからがそっくり。

ウーちゃんは、ふくちゃんのデザイン事務所のチーフデザイナーだった(事実)。
同じ黒猫ながら、うちのニキとはうって変わって、ウーちゃんはスマートかつシャープな運動神経の
美猫で、私は日ごろ「ナオミ・キャンベル」と呼ばせていただいていた。
脚がすらりと細長く、キャットウォークがこれほど似合う猫も珍しいという身のこなしだった。

しかし昨秋、不慮の事故で突然命を落としてしまった。
夜、電話をもらって自転車で駆けつけたとき、ウーちゃんの身体はまだほんのり温かかった。
手足も首筋も柔らかく、瞳もうっすら夢心地で、一見、まどろんでいる猫にしかみえなかった。
その黒い被毛に絶え間なくおちるふくちゃんの涙雨を浴びながら、
ウーちゃんはいつまでもいつまでも 花を敷き詰めた箱の中で心地よさげに眠っているようにみえた。


佐山さんがつくったウーちゃんは、いま、ふくちゃんの事務所で、やっぱり心地よさげに眠っている。
打ち合わせに行ったときにそっと眺めると、そこにウーちゃんが居るようにしか思えなかったりする。
それは、単に姿形がウーちゃんに似ているから、というだけではなく、その猫とその人との
深淵な結びつきへの温かなまなざしが、そこにそっと込められているからなのだと思う。

私も、ニキをいずれ佐山さんにつくってもらおうと思う。

今回の「佐山泰弘個展、猫とひるね。」では、猫の習性を絶妙にとらえたからくり猫や、
40体の猫たちが織り成す驚異の大宴会猫の宴」など、代表作を目の当たりに見られて面白かった。
独特の視点で撮影された写真作品も、単にかわいいだけの猫写真ではなく、
猫とのいい距離感が垣間見えるのが魅力。
私は、妙にデフォルメしたり、かわいく媚びたようなファンシー猫アイテムはちょっと苦手なのだが、
リアリズムに裏打ちされた佐山作品には、ほのぼのした中にもそれらとは一線を画する世界観がある。

「佐山泰弘個展、猫とひるね。」は、今週12月7日(金)11時~19時(最終日~17時)まで開催中。
@ボザール・ミュー(東京都中央区銀座7-5-15 銀座蒲田ビル4F  会場直通TEL03-3572-7590)
*エルメスの右肩の道を直進5分左手。
入口に茶白ぶちの「しーちゃん↓」という けだるい銀座猫が居る確立高し。
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