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ハーフタイムの朝焼け、菖蒲、TUTTO NERO!

2010-06-26 22:58:57 | Scene いつか見た遠い空

6月25日未明、ハーフタイムにはっと目撃した一瞬の朝焼け。すがすがし。
夏至ウィークの今週は、朝夕なんども薔薇色の空に出逢った。



先週は、明治神宮御苑の菖蒲田の花菖蒲がやっと満開になったようなので観に行った。
今年は例年より遅咲きだったよう。緑陰のしじまに広がる濃淡紫のたおやかな点描。



閉園間近の夕刻、都心とは思えない鬱蒼とした林は人影もまばらで、
木陰からきらきら覗く夕陽と、翠風にそよぐ葉ずれの音がおそろしく快かった。

清正井は昨今のパワースポット人気で見学規制されていたので、遠慮した。
花菖蒲も清正井の湧水を得て毎夏咲き誇っているわけで、
このみずみずしい花々の息吹を身近に感じられれば十分かと。


林の途上にキノコ発見。

明治神宮にも久々に立ち寄った。ここの境内で私が一番落ち着くのは、
この夫婦クスノキの大木のぐるり。



かわいい巫女さんも パパラッチ。

参道にはなぜか 仏ブルゴーニュから贈られたというワイン樽がごろごろ。
明治天皇がハイカラ趣味で葡萄酒がたいそうお好みだったからとか。
その向かいには日本酒樽もごろごろ。なんだか神妙にして豪気な参道。

それにしてもこの参道の砂利道をじゃりじゃり歩くと 決まって小学1年の遠足で
ここに来た時のことを思い出す。刺繍入りパフスリーブのシャーリングブラウス&
若草色のホットパンツにおかっぱ頭で(遠い眼)。。。


帰りは代々木公園をお散歩。
この日に限らず、ここのところ旺盛な植物から立ち上る香気に吸い寄せられるように
出かけると必ず代々木公園に寄り道している。薔薇はピークを過ぎたけど、まだまだ香り高いし。




紫陽花はただいま絶賛開花中。




公園の周囲にも、路傍のニッチな溝にも、雑多な工事現場にも、花と虫がしたたかに横溢。




あ、うちのベランダのクチナシも開花! この小さな花がひらくだけで馬鹿みたいに心ときめく。
クチナシ特有の濃厚クリーミィな香りが、子供のころからすきですきでたまらない。




週末はみっちゃん、まいかさん、ちよさんと久々に谷中の猫カフェ29へ。
猫さんたちが思い思いに闊歩する中で美味しい時間。

帰り、「のみすぎるにゃ」と猫さんたちにたしなめられ、反省。



W杯はあっという間に16強が決まった。前回決勝まで残ったフランスとイタリアはあっさり消えた。
とくに今回のAzzurriは、リッピがイタリアにFantasiaを忘れてきたから仕方ないのかなぁ。。
翌日のガゼッタ・デッロ・スポルトの一面に極太文字でどーんと踊っていた見出しは
「TUTTO NERO!(ぜーんぶ真っ黒!→お先真っ暗)」。
Azzurri(青ユニ)へのいかにもイタリアらしい辛辣な皮肉と罵倒。
4年前の天国から、地獄へ。カルチョの神様は、ジェラートのように甘くはない。
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夏至の赤い空、POST FOSSIL、マグナムサッカー

2010-06-23 02:27:48 | Scene いつか見た遠い空


夏至の黄昏時、まだ明るかったけど、ふと夕陽の熟れた匂いを感じ、PCを消してお散歩に。
日の傾きかけた通りには、梅雨の晴れ間に遊ぶ 生あたたかく湿った空気。
ふらりと立ち寄った近所の神社には、早くも茅の輪がお目見えしていた。


と、鬱蒼と生い茂った杜の参道に、黒や白のふわふわした塊が、勢いよく転がる鞠のように
いくつもぽんぽん飛び出してきた。…ワールドカップの観過ぎ?と思いきや
まだ生後2か月ほどの仔猫たちだった。そのあまりに無邪気な仕草とまなざしが
たえまない水しぶきのように私のまわりを跳ね続ける。
そのうちに母猫とおぼしき白黒猫が毅然と現れ、じっと私を見つめた。


夏至の夕刻の真空時間。なぜだか、不意につっと落涙。
振り向くと、木々の向こうに見える空が真っ赤だった。




帰途、またもや足下に素早く動く気配を感じて立ち止まると、今度は蛙くんだった。
実は蛙はたいへん苦手なのだけど、「だるまさんがころんだ」みたいに微動だにせず、
石に擬態している姿はなんだか憎めなかった。(この蛙くんの種類、わかるひといますか?)


ちなみに筑波に住んでいた学生時代、夏は毎晩のようにガマ蛙の輪唱を耳にしていたにも拘らず、
4年間ただの一度もその姿を拝むことはなかった。それにしても、懐かしいな、無数のガマ蛙たちの
無限アンサンブル。。。あれは、スティーブ・ライヒも顔負けの深遠さだった。


お散歩ついでに買い物しようと立ち寄ったスーパーマーケットの軒先に、今年も登場した鈴虫くん。
バーコードシールによると、「やさい」扱いらしい。餌は確かに胡瓜だけど。。
2匹で980円。佐藤錦より安価なり。

りりりりり・・・



少々遡るけど、先々週、雨上がりの週末、久々にレイちゃんと白金のクーリーズ・クリークへ。
流しに扮したあがた森魚さんが、クール5から松田聖子、ロネッツまで、カバー曲満載の熱唱LIVE。

ちなみに あがたさん、先週の日曜は渋谷で鈴木慶一氏とLIVEだったよう。
ふたりで何を歌ったのか、すごく気になるところ。



アポイントが妙に立て込んだ先週金曜、間隙を縫ってミッドタウン 21_21 DESIGN SIGHTで
開催中の「ポスト・フォッシル:未来のデザイン発掘」展へ。

↑安藤建築は、夜見るとこのままゴボゴボッと地中に格納されるように見える..。


↑これは展示作品の一つ、日常手にするさまざまな印刷物を色別にリサイクルした
ナチョ・カーボネルの一人用椅子、ベンチ、ラバーズ・チェア。

アート、デザイン、消費文化の関係性からトレンドを徹底分析し、次代の価値観を引き出す
トレンドクリエイターのリー・エーデルコートがディレクションした今回の企画展。
さまざまな価値観や既成概念が崩壊しつつあるいま、“デザイン”の根源に回帰することを促す
非常に興味深い内容だった。自然のエレメントやマニファクチュアな感触、オーガニックで泥臭い造形、
ただ研ぎ澄ますだけじゃないプリミティブなゆるさ、無骨で無垢な生きものの体温――

あくまでも私見だが、アートもデザインも、自然に勝る造形はないという大前提を受け入れた
瞬間こそが出発点なのだと思う。自然は凌駕する敵ではなく、共存・共鳴する仲間なのだと。
皮肉でも嘆息でもなく、こんな企画展を あのポストモダ~ンな’80年代に目撃していたら
人々は、私は、いったいどんな感想を抱いただろう? としみじみ思った。

「ポスト・フォッシル:未来のデザイン発掘」は今週6月27日まで。おすすめ。



先週末は、二夜連続で恵比寿のアイロンママさんにてがっつり校正だった。
土曜は帰りに、前日にミッドタウンで落としてしまったサングラスを回収しに乃木坂に迂回。
ちょうどW杯の日本×オランダ戦目前だったためか、ちょこんと覗いた東京タワーが
青くライトアップされていた。あ、“サムライ ブルー”っていうの?

原宿を突っ切って帰る途中、表参道はキャンドルナイトの真っ最中だった。
所々にほのほの灯る焔に、ついつい引き寄せられてしまう夜光虫のような性分の自分。。
やっと帰宅すると、マンションの駐車場に黒猫発見!悠々と毛繕いするさまに見入っているうちに、
じーん。。そんなわけで、自室に落ち着いた時には、既にハーフタイムになっていた。



猫といえば、先日えとさんにいただいたこの黒猫のキーホルダー。頭のスイッチを押すと
瞳がピカッと青光って、「みゅあ~んみゅあ~ん」と、たいそうかわいい仔猫声で鳴くのだ。
しかし、これがミッドタウンのトイレで不意に鳴ってしまった時は、周囲がぎょっとなって焦った。。

と、ミッドタウンで無事に回収したのが、この愛用サングラス。かなりぼろぼろのJILL STUART。
右目の下にいる猫は、いろんな所を一緒に旅してきた旅友。迷子猫さん、みつかってよかった!



6月半ば、FIFAワールドカップが始まった。
日本人だから日本を応援するというナショナリズム魂はもとよりないし、
個人的には、AZZURRIが4年前にまさかの優勝を遂げた瞬間、
「明日のジョー」の如く燃え尽きて灰になってしまったし(笑)、
今年のファンタジスタ無きAZZURRIには萌えられないし、フランスにもジダンはとっくにいないし
…というわけで、当初は冷静だったのだけど、始まってしまうとやっぱり面白い!

「人間が守るべき道徳と義務について私が認識している全ては、サッカーから学んだ」
アルベール・カミュ

たしかにあのわずか90分のゲームには、さまざまな哲学や美意識が凝縮されている。

久々に、愛書『マグナムサッカー』(2006年 ファイドン刊)を開いてみた。
マグナム・フォトの写真家たちによる珠玉のサッカースナップ集。
といっても登場しているのは無名の人々ばかり。



写真集の表紙は、ハリー・グリエールが1998年にカメルーンのカトリック布教区で撮影したショット。
同じくカメルーンのコムトゥでハリーが撮ったこの一枚に、私はなぜかとても惹かれる。
ここに写っている少年たちの姿に、カメルーンのアイコンであるエトー選手が重なる。

今大会のカメルーンはのっけから日本に負け、グループリーグ敗退が決まってしまった。残念。


これは、同じく『マグナムサッカー』に載っているポール・ロウの作品。
1994年、南アフリカにあるネルソン・マンデラの生まれた村クヌの風景。
一見、南イタリアにあるアルベロベッロのトゥルッリのような形態の家と、
牛糞を丸めたような小さな球に群がる少年たちの対比が鮮烈だ。

開催国の南アフリカも、ついさっきフランスと共にグループリーグ敗退が決まった。残念!


「さあ、若者よ 服を脱げ 身をさらせ たとえ荒天であろうとも 
 たとえ不運にして その身を野に伏すことになろうとも
 人生には ヒースの荒野に倒れるより悪しきこともある
 それに 人の人生など サッカーの試合に過ぎぬゆえ」
 ―――サー・ウォルター・スコット
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小さなギャラリー巡り

2010-06-11 19:12:26 | Tokyo 闊歩・彷徨・建築探偵

↑今週は、なんだか こんな気分だった(どんな気分だ)。 
 かわいい絵はⓒぴかぴかの1年生、りんちゃん。
 

さて、ぱたぱたしている間に、ベランダの枇杷がめきめき色づいてきた。


種を蒔いて(実を食べて棄てて)から11年目の結実。烏に食べられる前に収穫したいのだけど、
朝一番の陽光を浴びて金色に輝く果実を もう少し窓から愛でていたい気がする。


南西側のベランダに生い茂っているグミの木も、よくよく見たら赤い実が数粒なっていた。
ニキが逝ったときになって以来、2年ぶりの結実。たまに来るメジロさん、おやつにどうそ。


枇杷もグミも、咲くのは極めて地味な白い小花。でも、それがいつの間にか ある日こんな風に
赤や黄のぷくぷくした実になる。理屈では解っていても、不意に見つけるとほんとわくわくする。
森羅万象に ありがとう! と思う。



先週は、幾つかの小さなギャラリーに訪れた。
まずは、目白の一角に佇む風雅な古民家ギャラリー「ゆうど」で行われた
フード×版画×器のコラボレーションによるOne Dayイベント「幸せのカタチ」展。


目白通りから一寸入っただけで、別世界のような佇まい。庭にはご近所猫の姿もちらほら。
左にいるのは、イベントに誘ってくれたフォトグラファーのみっちゃん。


おうちの中も、ほんもの昭和な香り。なんとなく『阿修羅のごとく』を思い出す。
版画作品を展示していたのはイラストレーターの平岡瞳さん(左の方)。
作品集も見せていただいた。独特の構図感覚と温かみのある感触にとても魅かれた。



中では古本の出張販売もしていたので、みっちゃんと物色。なかなか出物が多い。
私はモラヴィアと開高健の文庫本を入手。どっちもタイトルが“ずばり”すごいね。

Gデザイナーの平野甲賀氏など面白い方々がちらほらいらっしゃる中でも異彩を放っていたのが、
SPAにも連載していたことがあるという漫画家 井上ポルノ氏(右)。超シュールな自著
「Oh,No! なんね〜」を、このあと編集者の方々と下北沢に手売りしに颯爽と向われました。


さて。この日のお楽しみは「ちいさな薬膳料理教室 鳥の巣」を主宰する鳥海明子さん(左の方)の
美肌の薬膳ランチ。繊細な味付けのお惣菜の一つ一つが医食同源思想に結びついている。
あたたかみのある器は、陶芸作家 古川まみさんの作品。


陰陽模様の丼の正体は、ご飯の上のとろろとモロヘイヤ。
ごちそうさまでした!


おまけ。
窓辺から見えた黒猫。みっちゃんが目敏く発見した。
え、どれかわからない?


ZOOM  アップにしても、まるまった黒猫ってロシアの帽子みたいにしか見えないかも。

でも 不意に出逢う黒猫は、どんなときでも嬉しい哉。



古民家ギャラリーを出た後はみっちゃんと別れて目白通りをてくてく。
せっかくこの界隈に来たのだからと思い、前々から行ってみたかった佐伯祐三のアトリエ跡へ。
聖母坂通りから小路に入り、住宅の密集した一角にそれはあった。全然知らなかったのだけど
ちょうどこの4月に「佐伯祐三アトリエ記念館」として開館したらしい。

↑筆致のみならず容貌もシャープな佐伯祐三。


1921年(大正10)に同じ画家である妻・米子とふたりの新居として建てられたアトリエ住宅に、
祐三は家族で渡仏する前の2年間と、1926年に帰国して再び渡仏するまでの計4年ほどしか
住んでいない。そして、わずか30歳にしてパリで客死。愛娘も数日後に同じくパリで病死。

曇り空から仄かに染み出してくる 昼下がりの薄陽を湛えた大きな窓を見上げながら、
2つの遺骨と共に帰国し、1972年に没するまでここに住み続けた米子夫人の
小さな溜息が聞こえたような気がした。


佐伯祐三はここに住んでいた短い期間に、「下落合風景」と題した一連の風景画を残している。
パリ時代の傑作の影で評価も分かれるようだけど、東京郊外の田園から新興住宅地へと
変りつつあった当時の下落合界隈のとりとめのない風景には、独自の美意識を感じる。

それにしても椎名町から目白、下落合界隈って、当時の文芸の士が集う文化村だったのだなあと
改めて。個人的にもいろいろ思い出深いエリアなので、界隈を散歩しながら、しばし じーん。




さて、下落合から今度は西武線で下井草に向かい、ギャラリー五峯で開催していた恒例の
浩江グンナーソンの北欧アンティーク 初夏のフェア」へ。
相変わらず希少なテーブルウエアやテキスタイル、刺繍、レースなどなど
心ときめくアンティークの宝庫! クリアで清々しく、涼しげなのに温かい。






続いては、ファーブル博物館。
行ったのは私ではなく、昔、種村季弘氏の取材でお世話になった川口さん。
エアメールによると、南仏のファーブル博物館をはじめ、あのシュバルの宮殿に
アルチュール・ランボーの生誕地などなどを巡ったそう。なんて理想的なスポッツばかり!




先週は友人たちから素敵な贈りものをいろいろいただき、お誕生月間のありがたみをしみじみ。
と、これはえとさんからの贈りものに忍ばせてあった「筑波大学新聞」。
思うに、私たちが学生時代にはまだこんなのなかったような?
で、うけたのが、学生の生活に「喝」を入れるこんな特集記事。
「自転車」「宗教勧誘」「酒」「心」が挙がるあたり、いかにも。変ってないのねー、今も昔も(笑)


今日からワールドカップだけど、学生のみなさん、
くれぐれも飲み騒ぎすぎてこんな体位で介抱される羽目になりませんように。。


☆さいごにおしらせ。

先日取材した松岡正剛氏のインタビュー記事などなどが掲載された
「Kanon vol.19」が発売になりました。
土門拳の大特集です。土門ファンの方、必読ですよー。

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サイクルダイアリー@軽井沢 新緑編

2010-06-04 09:42:23 | Travel 国内外猫の目紀行


目覚めたら、鳥たちのさえずりがこだまする木立の中に居た。


寝ぼけまなこで、緑の眩しい光線が差し込むウッドデッキのテラスを歩く。
前夜は星野温泉の露天風呂でとろとろになったので、身体が軽い(露天にカルガモもいた!)。
すぐ近くでウグイスがホーホケキョッ。生まれたての雛なのかな、ケキョケキョッって、練習してる。


そう、先週末は軽井沢に 逸楽の逃避行。
東京とはあきらかに分断された、長閑な時間。
キムリエさん&キムナオさんのおうちSTUDIO TORICO で迎える朝は、今年2度目。
前は極寒の2月だったので、庭も雪に覆われ、周囲の木立も氷の世界だったけれど、
今は旺盛な花と緑の浄土! キムリエさんに案内してもらいながら庭の花々をパパラッチ。

なんだかふと、何十年後もキムリエさんと一緒に
きゃふきゃふ山野草を愛でてまわっている様子が目に浮んだ。
ほんとにそうだったら、いいな。


つやつや伸びるゼンマイや、ぷっくり膨らんだ山芍薬の蕾のさなかに、
‘60年代のイタリア映画でしかお目にかかれないような とっぽい車を発見!
噂に聞いていたキムナオさんのもうひとつの愛車 FIAT124ピニンファリーナ・スパイダー。
若き日のマルチェロ・マストロヤンニがローマのヴェネト通りとかで乗り回してそう。。



この日は晴天。絶好の自転車日和。東京より少々肌寒かったけれど、自転車を漕いでいると
身体がぽっぽしてくるので、かえって好都合。野鳥たちやテントウムシ君に見送られ、
いざ自転車3台連ねて軽井沢サイクリングに出発♪



まずは、あさま山荘事件のあったレイクニュータウンに向う途上にある、
キムリエさんたちおすすめの喫茶店ばおばぶへ。水辺に佇む緑陰のロケーションは恐ろしく心地よい。
しかも、’80年代の「別冊 太陽」や、'70年代末の「ロードショー」や「スクリーン」が
なにげにどっさり置いてあって、泣ける(表紙がテイタム・オニールとか故ファラ・フォーセット!)。


そこから今度は軽井沢高原文庫のある一角までぶーんと疾走し、
有島武郎が「生まれ出づる悩み」を執筆したという浄月庵(三笠から移築)もチラ見。
彼が心中したのも、5月の軽井沢だった。

「生まれ出づる~」を読んだのは高校時代。
当時、白樺派には傾倒しなかったのだけれど。


旧軽井沢に向う道すがら、雲場池にも立ち寄った。
木立の奥に鏡のようにつややかな池が広がっていて、胸がすくほど清々しい。
ちょっと上高地を彷彿。




なんと、蛇くんもにょろり!

ぱしぱし接写していたら、三脚を持ったおじさまに「あなた怖くないの?!」と引きつった顔で言われた。
案外かわいいですよー。幼児期、動物図鑑が愛読書だった私は、蛇の頁もフェイバリットだったのだ。
といっても、パイソンのバッグや財布などはぞっとするほど苦手だけれど。


旧軽井沢通りを抜け、さらに木立を行くと、明治創業の「万平ホテル」に到着。
箱根宮ノ下の富士谷ホテルを思わせるレトロなメインダイニングも素敵なり。
資料館には、かつて使用していたバスタブの猫足もいろいろ展示されていた(猫足萌えなもので)。



1952年5月の宿帳には、三島由紀夫のサインが!
「美徳のよろめき」も、万平ホテルを舞台に書かれたのだとか。

「美徳~」も高校時代に読んだが、白樺派より断然好みだった。
背徳的なよろめき女子高生だなぁ(頭だけね)。


帰途、キムリエさんおすすめの女街道をひた走り、
昭和の香りがする「珈琲テラス 街道」前に自転車3台止めて、ひと休み。


キムリエさん&キムナオさんの自転車はモールトン。私も試乗したけど乗りこなせず断念。
ちなみにキムナオさんはモールトン博士を撮影したこともある。その写真がまたいいのだ。
(今月末には代官山のヒルサイドテラスでモールトン自転車展も開催予定だそう)

私はアップダウンで太腿じんじん、このとき既に全身よれよれ状態。。

'70年代当時のままのしつらえがたまらない喫茶店内で、
庭で収穫したというブルーベリージャムを惜しげもなくかけたアイスクリームをいただきながら、
店主のおばあちゃんに昭和の軽井沢史を地で行く話をいろいろ伺った。

若い頃は美智子さんと皇太子がテニスをする姿をうっとり眺めていたものよ、とか、
浅間山が噴火した時は川の字になって寝てたら 窓硝子が全部吹っ飛んじゃって驚いたわよお、とか、
あさま山荘事件の時はおっかなかくてたまらなかったねえ…などなど。
写真がお好きじゃないとのことだったので撮影は遠慮したけど、ほんといいお顔だった。

お店の入口や裏の庭にはスズランやサツキをはじめ、
オオデマリ、オダマキ、イチゴなど百花繚乱だったので見せていただくと、
花を幾つかさくっと抜いてお土産にくださった。ありがとうございます!




軽井沢で過ごした時間は、またもや命の洗濯だった。新緑にいのち洗われる快さ!
生まれたばかりのやわらかな若葉の匂い、鳥たちの甘いさえずり、毅然と潔い翠の風。
3人で自転車を連ね、凛々と生い茂る木立のラビリンスをびゅんびゅん疾走しながら、
心に積った澱や瘡蓋がみるみる剥がれていくのを感じた。


いただいたスズランとオダマキ、ありがたく部屋に飾っている。可憐!
オオデマリはニキキに飾っていた黄色いピンポンマムと一緒に挿した。



今も目を瞑ると、緑のパースペクティブが視界を果てしなく走っていく。
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