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冬のボッサ、遠い夢の匂い

2008-12-30 11:13:19 | Music
ちょっとくらっとめくるめいた。
これ、レイちゃんが大掃除の際に発掘したという'80年代の「ビックリハウス」。
「ぜひ!」と譲ってもらった。懐かしすぎて開いた口が塞がらない。
             

間もなく2009年になるわけだけれど、エイティーズの黄色い魔法は
たぶん自分のなかでは永遠にとけないんだろうな、とこれを見て改めて実感。



29日はレイちゃんと久々にオハナ・アダンへ。
昨年末と同じく、今年も暮れはドイス・マパスのライブでしめくくり。
<レイちゃんの笑顔もちらり。

木下ときわさんの深く伸びやかな歌声は、どんなに寒い夜でも春の陽だまりのようにあたたかい。
新美広亮さんのギターとマツモニカさんのハーモニカグルーヴも琴線に絶え間なく触れる。
ジョビンの名曲「WAVE」のカバーには完全にもっていかれた。
冬のボッサは遠い夢の匂い。


サンバのリズムにゆれるときわさん。羽ばたく鳥のイメージがよぎる。


アダンの美味しい料理やワインをまた夜更けまで堪能した後は、
レイちゃんと私のうちへ移動し、明け方までいろんな本をあれこれ見ながらお喋り。
書棚の本にいろいろ反応されると、逆に意外なことに気づいたりして面白い。

そうそう、これはレイちゃんからいただいた神楽坂土産のかわいいぽち袋たち。

右はじの「この手紙、夢のなかのまんなかでお渡しします」に
しびれた。百っぽい? 立ち去る白猫の後ろ頭もたまらない。


今年もあとわずか。初夢のまんなかで お逢いしませう。

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ゴールドベルク変奏曲アリア

2008-12-29 04:46:08 | Music
師走半ば頃から、シャコバサボテンの蕾がにわかにぷくぷく膨らみ、色付き始めた。


クリスマスを境に、蝋燭の焔がスパークするみたいに次々と開花。
毎年愉しみにしている冬の窓辺の風物詩。今年は少し早咲きみたい。


ここのところ、ずっとグレン・グールドを聴いている。
グールドのピアノは、師走のカオスから清明な境地へと いとも優雅にいざなってくれる。
とりわけよく聴くのは、ゴールドベルク変奏曲アリアとクラヴィーア協奏曲第5番へ短調 ラールゴ。
いつか寿命をまっとうする日がやって来たなら、この2曲をエンドレスでかけてくれれば幸いと思う。



さて、クリスマスウィークは連夜たのしい会食続きだった。
25日夜は恵比寿のレストラン「ノスタルジーテーブル」で
オーリエさん、クロセさん、ユキ子さんとわいわい。
さらに夜更けからはオーリエさん宅で朝までお喋り。話しても話しても興味は尽きない。

(↑ガーデンプレイスのバカラシャンデリア。ゴージャスな海月の如し)

26日夜は、緞帳がおちたようにクリスマス装飾が見事に消え、
方々に早くも2009のネオンが灯る銀座へ。


この日はEdit Planetマイカさんのお誘いにて「レストラン タテル ヨシノ銀座」の創作料理を堪能。
凝った前菜4皿、魚、肉のメインに続き、クリストフルの専用台でフロマージュが登場。
それぞれの特徴を澱みなく説明してくれるお店の人が、機械仕掛けのお人形のようで大変たのしい。


こちらがフルコースのフィナーレとして忘れ難かったラストのスイーツ
「グラッパとサフランの香りにくるまれたマンゴーのコンフィーに驚きを添えて」
でございます。この金色の球体をスプーンで割るとグラッパの香気が立ちのぼり、
ひと匙ごとに異なる味覚のアンサンブルが。まさに「驚き!」でございました。

この日も夜更けまでマイカさんと尽きないお喋り。彼女のパワーは並大抵じゃない。リスペクト。

27日は、麻布十番の「スタジオトリコ」で和福美の色校正後、
キムリエさんと界隈にある「KOTATSU」でほこほこゴハン。


バーニャ・カウダやとろとろのもつ鍋をいただきながら、明け方までエンドレスでお喋り。
キムリエさんと話していると、もうひたすらナゴむ。わくわくする仕事、一緒にしたいな。


さらに28日夜は渋谷の「うさぎ」でふくちゃん、kumiさん、vonちゃんと久々に邂逅。
その昔、雑誌の仕事で、感性豊かな彼女たちと出逢えたことを心から感謝している。


そんなわけで、愛すべき友人たちと夜な夜な話し続けた年の瀬。
親密な夜と夜の間に間に、私はグールドを聴きながら、
冬を忘れるような温かさに包まれている自分にしみじみ気づくのだ。

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東京タワー50、&Noel

2008-12-24 03:25:41 | Tokyo 闊歩・彷徨・建築探偵
東京タワーが12月23日で50年目の誕生日を迎えた。 おめでとう。
青山近辺で打ち合わせした帰り、タワーを見上げたくて赤羽橋まで足を延ばした。
逢えてよかった。


その凛とシンボリックな姿形は、幼少期のきらきらした憧憬として脳裏に焼きついている。
ビルの谷間から、ふとタワーの威容が視界に飛び込んでくると、今も妙にわくわくする。
20年ほど前から石井幹子氏によるライトアップに変り、一段とラグジュアリーになった。
12月25日(20~22時)まで、特別ヴァージョンのダイヤモンドヴェールが拝めるよう。

(12月10発売の『NODE no.5』にも東京タワーを巡る石井幹子氏インタビュー記事あります。
私はテノリオンやロンシャン、アイウエア特集の記事など書いております。)


日曜はフォトグラファーのみっちゃんちのクリスマスパーティへ。
シャンパンもワインもぽんぽん空いていき、新しいボトルを開ける度わいわいテイスティング。


なにしろ この人数! 数えてないけど、40名はいたとか?!
みっちゃんをはじめ、ちよさん、まいかさん、レイちゃん、ハカセ、とき緒さん、よしのさん、
ジェレミー君 e.t.c…みんなと一同に会せてひたすら楽しかった♪


美味しい料理が次々に並び、西欧菓子研究家 小嶋いず美先生のブッシュ・ド・ノエルやムースも登場。


クリスマスは、やっぱブッシュ・ド・ノエルです。ご馳走さまでした!


観月台のような広いテラスでは、冬の花火を満喫。インフルエンザも不況風もSPAAAARK!!?


宴もたけなわの頃、ハジメさんがアコースティックギターでバート・バカラックを弾き語り。
あっという間に夜更けになり、三々五々でみなが帰った後、彼はなんと「CUE」や「君に胸きゅん」に
加え、私がリクエストした「音楽」や「パースペクティブ」など、アコギでYMOを弾き語り!

今度機会があれば、Thatness therenessも歌ってもらおう。


毎夕、絵に描いたような金星が南の空で瞬いている。
どんなイルミネーションより超然と。


Buon Natale! 心あたたかな聖夜を―

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焔とティアドロップ

2008-12-21 05:53:11 | Event
今年もあと10日ほど。残りはかなり濃縮された日々になりそうかも。。
金曜は仕事半分、遊び半分でキムリエさん&カッシーと横浜元町で待ち合わせ。
@元町通り

先日取材で来た時はイベントで入れなかった昭和の伝説のダンスホール「クリフサイド」にも潜入。
ビッグバンドJAZZのメッカとして名を馳せたというこのお店、インテリアも当時のまま!
たまたまどこかの会社の忘年会リハーサル中だったのだが、セットと見紛う内装と相俟って
なんだかアングラ劇団の舞台練習を垣間見ているようだった。。



夜はキムリエさんと元町から一路、青山の「HOYA CRYSTAL TOKYO」へ。

この日は「Candle Night & Christmas with Candle JUNE」がプレ開催されており
エントランスにはCandle JUNE らしい温かくホーリーなともし灯が。

シークレットガーデンをテーマにしたショップは、オーガニックなフォルムのクリスタルと
キャンドルの灯が共鳴しあって、あやなし幻想空間に。




ティアドロップを象ったハンドメイドのクリスタルオブジェは
Candle JUNE自らのデザインだそう。


Candle JUNEは、「ナミダが流れた場所に火を灯しにいく」アーティスト。
N.Y.のグラウンドゼロや、空爆後のアフガニスタン、新潟中越地震地区などで自身のキャンドルを
灯す活動をしている。ギターソロライブと共にアフガニスタンでの活動の記録も上映された。

残酷な戦火と、そのいたみを鎮める蝋燭の灯。どちらも火には違いないのだけれど。
モフセン・マフマルバフの映画「カンダハール」を観たときと同じ複雑ないたみが胸に去来した。

一階奥は書斎風の空間になっており、書棚にはBACH幅氏セレクトのアートや自然科学系の
興味深い書籍が並んでおり、キムリエさんとしばし本を物色。
飲食スタッフの方々の動きがなぜかブラザーズ・クエイの映画に出てくる仕立屋の人形たちみたく。。
振舞われたトランジットのケータリングスイーツ、美味でした。

以前、このショップのことを「青褪めた貴族が棲んでいそう」と書いたけど、
この日は、夜の伯爵が自慢の呪物を好事家たちにお披露目する秘密の集い、といった趣だった。
このイベントは12/25まで開催中のよう。個人的におすすめ。


その夜、根津美術館から西麻布に向かう途上で見つけた「Pillow」というBARへ。
偶然ながら、さっきのショップとなぜかイメージがかぶっていた。


ここにも書棚があり、哲学思想書からサブカル本まで、誰かさんの本棚みたいなラインナップ。
個人的にはニューロマンティック大全みたいなどーんとした洋書にウケました。


これまた誰かさんの私室っぽい2階の小部屋をキムリエさん↓と独占し、深夜まで至福のお喋り満開。


時々、部屋の隅にいる「フジコちゃん」が「あたしも混ぜてくんなきゃいやっ」と言わんばかりに
羽をばたつかせて絶叫。そう、このオウムならぬヨウムの「フジコちゃん」もお店のスタッフ。
相当のお喋りさんで、台詞のレパートリーも豊富。自ら「フジコッ」と名乗ったりもなさる。
「いい子いい子」と言うと従順になるとこはニキと同じ。



HOYAのパーティでいただいた包みを開けると、Candle JUNEの蝋燭が出てきた。

実は、この滴のようなフォルムのオブジェは、私も大学時代に幾つかつくったことがあり
今でも何か柔らかなものをこねる時は、必ず無意識にこの形をつくってしまう。
私自身のなかにある、何か根源的な形なのだと思う。

土曜は代官山経由で「白根記念 渋谷区郷土博物館・文学館」へ。
ここも密かに好きなスポット。この話はまた今度します。
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冬のヒナタ

2008-12-19 08:28:48 | Cat 猫族の甘い生活
めっきり冷え込んだ今週。とはいえ週明けから電話取材&溜まった原稿書きで、
温かくした室内にこもりがちだったので、案外寒さ知らずだった。
が、温かすぎて薔薇が開きすぎ、はらはらと散ってしまった(散った姿もまた美しいのだが)。

新しい花を買いに行こう、と出がけに窓を見遣ると、
ベランダに果敢に生い茂っている植物たちのルエットが、冬の薄日に仄かに輝いていた。

(加湿器フル回転のせいもあり、窓の結露が目下悩みの種。。)

床にも、冬の柔らかな陽射しが。――冬の日向では、かつてニキがよくまどろんでいた。
刻々と移動する陽の動きに合わせ、まるで日時計みたいに正確に移動しながら――

12月18日でニキの命日からまる7か月経った。

花屋さんに行くついでに、代々木八幡神社の森にふと立ち寄ってみた。
ここはいつ訪れても 不思議なほど澄んだ気配がする。


表面はサクサク、中はふっくら、さらにその奥はしっとり。
まるでミルフィーユのような銀杏絨毯。


頭上には紅く色づいたちっちゃな掌がいっぱい。


以前、ここでみかけた黒猫は、この寒さの中どうしているかなぁ…と思いつつ帰りかけたそのとき、
来る時は居なかった黒猫が、境内の入口に忽然と。 

すごく久しぶり。GWにニキが緊急入院した帰りに出会った子だ(5月7日付blg参)

寒くないの?と訊いたら、「あん」と鳴いて寄ってきた。お腹を撫でるとゴロゴロゴロ…
表面の被毛は黒だけど中は白い毛がびっしり。健康そうで安心。意外とかた太りだった(笑)

背後で「くろちゃん!」と呼ぶ声が聞こえて振り向くと、猫ボランティアのお婆さんだった。
この黒猫は何年も神社に棲みついていて、近所の人にくろちゃんと呼ばれてるそう。
私が帰ろうとしたら、くろちゃんはもっと撫でてほしそうに見つめた。遠い日のニキが重なった。

帰りに、代々木上原に今週OPENしたブーランジェリー「マン・マーノ」に寄ってみた。
焼き立てパンが次々並べられ、その側から飛ぶように売れている。
シェフはパリの5つ星ホテルで修行したパン一筋の毛利将人氏。


焼き立てパンを幾つか買ってきた。名前は忘れたけど、洋梨のサクサクしたデニッシュ生地のパンと
バターの香りが濃厚なビスキュイ、ナッツが満載のパン。どれも素材のよさがよくわかる丁寧な味。
今度は売り切れていたクロワッサンを食べてみたいな。



窓辺に新しく飾った花。暗紫色のカラーがポイント。我ながらワイルドな挿し方ですが。。
背後に挿した薄桃色の可憐な百合は、なぜか“メデューサ”という名だそう。

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熊蟄穴、カロリーヌ、ノワロー

2008-12-14 03:38:00 | Book 積読 濫読 耽読
ここのところ、冬とは思えぬ妖気、もとい陽気。
寒がりゆえ ついコートを着て出かけるも、結局お荷物に。。
土曜の夕方は渋谷、原宿で幾つか所用を。表参道の欅並木沿いに、点々とキャンドルが。
原宿表参道欅会の人が灯しているこのキャンドル、巷に溢れるLEDの硬い光と好対照。

この時季は「熊蟄穴=くま、あなにこもる」ともいわれるけど――


街なかには、まあいろんな熊がいるもんです。


金曜は横浜へ。遅刻を赦してくれたカッシー&キムリエさんにひたすら感謝(涙)
久々の中華街→麻布十番のスタジオトリコ→ミッドタウン→鳥居坂のカフェで夜ゴハン。
深夜、納車されたばかりの素敵なキャンピングカーでキムナオ夫妻に家まで送っていただく。

この日は巨大な満月と何度も目があった。思い切りジャンプすると飛び乗れそうなほど巨きな。

――アポロ11号が人類初の月面着陸を果たしたのは約40年前。
スプートニク2号が宇宙に巻き毛のライカ犬を打ち上げたのはそのさらに10年前。
(余談ながらMoonRidersの『歩いて、車で、スプートニクで』は永遠の名曲ね。
Pupaのアルバムにもライカ犬を歌った『Laika』という曲があり、高橋幸宏さんを
以前インタビューした際も、このライカ犬のことをせつなげに話してくれた記憶が)


『カロリーヌ シリーズ』は、そんなスプートニクやアポロの時代に描かれ、
今も各国で翻訳され読み継がれている絵本。

作者はフランス人のピエール・プロブスト(Pierre Probst)。
元々は絹織物の下絵や広告の図案を本業としており、
『カロリーヌ シリーズ』は愛娘シモンヌのために個人的に描いたものだったよう。

幼少期、家の書棚にずらりと並んでいた小学館版『世界の童話全集』の中でも
このカロリーヌシリーズのひとつ『カロリーヌのつきりょこう』が大のお気に入りだった。
(後年、BL出版から『カロリーヌ つきへ いく』に改名され再発)


主人公はカロリーヌと 彼女の友達である仔猫×2、仔犬×2、仔熊、仔豹、仔ライオンの7匹。
ブリューゲルの群像画みたいに、アニマル各々のキャラが挿画だけで微笑ましく伝わってくる。
当時とりわけ好きだったのが、お茶目で悪戯ものの黒猫ノワロー(旧小学館版ではノアロー)。


月面でノワローが、宇宙人だよーん。。みたいな感じで


みなを驚かす悪童っぷりは、幼な心にツボだった。


思えば、童心のノワローには、ニキの原型があったのかもしれない。
ちなみに、ノワローの相方の白猫プフもなかなかいいキャラ。



あ、日曜はぐんと寒くなるようなので、どうぞご自愛を。
私は、熊じゃないけどたぶんこもって原稿書き。
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ハンマースホイとフジタ、その白い迷宮

2008-12-10 03:43:10 | Art
快い冬晴れから一転、どんよりした火曜は終日うちで原稿書き。
けど、月曜に取材や資料探しで動き回ったせいかちょっと気だるい。。
忘れる前に、日曜に上野でみた2つの美術展の感想など、さくっと。

まずは国立西洋美術館。


みたのは、「ヴィルヘレム・ハンマースホイ 静かなる詩情」(例によって最終日滑り込み…)。
ハンマースホイは19世紀末から20世紀初頭にかけて活躍したスウェーデンの画家。
日本ではあまり知られていないが、近年欧米で再評価されており、今回は本邦初の大回顧展だった。

↑ポスターやチラシのキーヴィジュアルになった作品<背を向けた若い女のいる室内>をはじめ
数々の絵に登場するオブジェのひとつ、ロイヤルコペンハーゲンのアンティークも展示されていた。

ハンマースホイ作品は、フェルメールをはじめ17世紀オランダ絵画を構図的に引用しつつ、
その極めて精緻で静謐な絵世界の中に、どこか謎めいた演劇的な時空を内包している。
登場人物の多くは後ろ向き。顔が見えていても、その視線はまずこちらに合わされることはない。
<ピアノを弾く女のいる室内、ストランゲーゼ30番地> 1901年

1898年に夫婦で移り住んだストランゲーゼ30番地の居室が、多くの作品の舞台となった。
妻イーダの白いうなじ、黒いドレス、白いエプロン、白いクロス、白い器、白い窓枠、白いカーテン、
白い扉、白い壁、木製のピアノ、木製の椅子、木製のテーブル・・・
それらがそっと現れたり消えたりしながら、繰り返し繰り返し描かれる。
まるで 室内から室内を 透明なカメラが彷徨するように。
<室内、ストランゲーゼ30番地> 1900年頃

そして気づくと、鑑賞者自身がカメラとなってストランゲーゼ30番地に潜む白い迷路を彷徨し、
その不思議な気配に満ちた密室劇にすっかり魂を奪われてしまうのだ。
<陽光の中で読書する女 ストランゲーゼ30番地> 1899年

ハンマースホイは旅先でもこうした独特の室内風景を描いている。
先のストランゲーゼ30番地シリーズでもそうだが、影の位置が不自然であるなど
決してリアリズムではなく、時間経過や視点のずれを巧妙に取り込んでいたりする。
そこに生じる奇妙さを不気味と捉えるか、心地よいと感じるかは鑑賞者しだい。
<リネゴーオンの大ホール>1909年


その日はハンマースホイだけでもう十分満足だったのだけど、帰りに上野公園を散策していたら
ついこれが目に入り、気がついたら「上野の森美術館」に吸い込まれていた。


今度はレオナール・フジタの“乳白色の迷宮”へ――
<仰臥裸婦>1931年

フジタは自画像にもよく猫のこうした表情を描いているが
これはよほど愛する人にしか見せない猫特有のラブラブ顔。
<猫のいる自画像>1927年頃

晩年 カトリックに改宗し、旧約聖書をよく作品の題材にしたフジタの<イブ>シリーズとも初対面。
かつてフジタは「偽りのない処人間の最始の人であるアダムになり、イブを恋人とし、
大自然の楽園で、政治も戦争も機械文明もなく、ただ呑気に暮らしてみたい」と云ったとか。
<イブ>1959年

「平和の聖母礼拝堂」用に創られたステンドグラスも再現され展示されていた。
これは音楽の守護聖人でもある聖チェチーリア。


フジタ展の図録も充実の内容。表紙に用いられているのは大作<ライオンのいる構図>のディテール。
一連の群像表現の中からこの部分を切り取ってくるセンスが心憎い。左端になにげにいるのは猫。


フジタが手がけた陶芸作品や夫人への贈物用に創った木箱なども展示されていた。
友人のコクトーはそれらの作品を見て「ルイス・キャロルの魔法の世界を見出せる」と語ったそう。
そうした作品のひとつ「猫の聖母子」の復刻版を販売していたので入手。

昨日、えとさんのお誕生日プレゼントに贈った。

フジタは仕立て屋としても一流だったようで、愛用の裁縫箱の絵をモチーフにした缶も
ミュージアムショップに。商売上手だなぁとか思いつつ、このガーリー感がたまらず購入(笑)。


☆☆
先日 コーヒーが解禁になったとたん、コーヒーが切れ、近所のやなか珈琲へ調達に。
「いつものを300gお願いします」とオーダーして待っていると、
お店のロゴやパッケージのイメージを手がけている本多廣美氏の個展案内をいただいた。
案内状(↓右)の木版画「月と廃墟」も寓話的でいい。
2008.12.18~23本多廣美「奇想の木版画展」@ぎゃらりーパステル


これはやなか珈琲の壁にかかっていた本多氏の木版画のひとつ。
 
<ひみつ>
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猫集会 Before Christmas

2008-12-08 04:31:18 | Event
駅前の雑貨屋さんにいたスカルサンタ↑ さて、週末は、またあちこちへ。
金曜はkumiさんと中野坂上でとある女性の取材。1968年にパリで5月革命を体験した話題が
出るにおよび、興味深過ぎてついロングインタビューに。

今、インタビュー記事を大小6、7本抱えている。
録音内容をただ起こしても当然記事にはなりえない。インタビューイの本意を一定の文字数内で
伝えるには、実際に語った生の言葉を包括した より的確な言葉への換言が必要なことも多いし、
取材後の雑談で語った言葉を冒頭に持ってくるなど、構成全体を大手術することも少なくない。
なかなか悩ましく 神経を使うが、珠玉の話を訊ける歓びは格別。


まあシゴトはさておき、土曜はライター仲間のちよさんちへ。伺うのは今年のお花見以来。
あの時満開だった公園の桜は丸坊主になり、真下にふきだまった枯葉の海で 子供が泳いでいた。


今回は恒例のクリスマス猫集会。ここに写っていない人たちも入れかわり立ちかわり にぎにぎと。
とき緒さんのお友達のフランス人ジェレミー君(左)は、なぜかジャイアンツのユニフォームで(笑)


さんぺいさん&ちよさんの料理はどれも絶品で、ぜひお店を出してほしいと願う私。
そうそう、胃のために控えていたワインも解禁。誰のグラスかわからなくならないよう、
マイグラスには各々好きなシールをぺたぺた。


久々に邂逅したこなみちゃんはちょっとアンニュイモード。でもそっと鼻ちゅうしてくれる優しい子。
カメラにアンニュイパンチ。

そうこうしている内に、欧菓子研究家の小嶋いず美先生ご夫妻がお手製スイーツを携えて登場。
「柊のホーリータルト」あるいは「いつか見た雪の庭」(<勝手に命名)


ケーキを自ら切り分けてくださる小嶋先生。ココナッツ、ショコラ、ラズベリー、ジュレの
絶妙なマリアージュに陶酔し、みな無心でいただく。



明けて日曜、お土産にいただいたちよさんメイドのシュトレンをブランチに。
しっとり上品で甘すぎず、パーフェクト。ありがとう&ご馳走さまでした!



昼下りには上野へ出向き、「ヴィルヘレム・ハンマースホイ展」と
「レオナール・フジタ展」をハシゴする。

夕刻の西洋美術館前。『地獄の門』のすぐ側にはきらきらクリスマスライトアップ&写メの嵐。
妙にハッピーな光景にダンテもロダンも苦笑してそう。

ハンマースホイとフジタの感想は 追って書きます。
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モスクと三日月とコーヒー解禁

2008-12-05 04:57:16 | Luna もの思う月
今週は金星と木星と三日月がちょうど笑った顔に見える「スマイリームーン」が臨めたらしい。
でも、曇っていた2日夜に代官山でオーリエさんと打ち合わせした以外は
ずっとうちで原稿を書いていたので、残念ながら見そびれちゃった。
けど、4日夕刻、郵便を出しに外出したついでにちょっと散歩したら、
既にスマイリーではなくなった月と金星と木星がずーっと着いて来た。

で、ぽーっと月と星を眺めながら井の頭通りを歩いているうちに、東京ジャーミイまで来てしまった。
三日月と星ってイスラム教の象徴でもあるだけに、モスクにお似合い。

(9.11の直後、故 筑紫哲也氏がNEWS 23でこのミナレットをバックに立ち、
イスラム教徒すべてを敵視する米国の極端について警鐘を鳴らしていたっけ…遠い眼)

途上の高架下に描かれていた冬羽のコサギ。いいな、この響き。コサギ。


せっかくジャーミイまで歩いたので、帰りにダリオルールで名物のビスキュイを買って帰る。
週末にちよさんちで開かれるクリスマス三毛猫集会に持参しよ。



ここんとこ寒いので、野菜をざくざく入れたスープをとろとろに煮て、
ポークと生姜を詰めたロールキャベツと一体化して食べてみた。
ちょっと盛りすぎだけど、野菜があまくてあったまるー。


実は…カミングアウトすると、先日、渋谷区民検診でバリウムを飲んだら「要精密検査」に!
すごいへこんで、即、胃カメラを初体験。そしたら大病じゃないけど胃が少し荒れているとの診断。
そういえば胃が最近重いかもと自覚し(指摘されたとたん痛い気がしてきたというか。。)
医師の言う通り、お酒・コーヒー・香辛料をしばし自粛。。しかし! お酒と香辛料はともかく、
コーヒーのない日々は、新月でもないのに月が見えない夜のように つくづく物足りない。。

…で、そろそろいいかなと思い、昨日、約10日ぶりにコーヒー解禁!

いきなりエスプレッソをトリプルで。涙が出るほど美味しかった。<ラマダン明けの人か(笑)

おまけ。これは週明け頃にころころ炒ったぎんなん。


でもぎんなんて、お腹痛くなるから1度に10個以上食べちゃいけないんですって?!

ほくほく美味しくてつい20個は食べちゃいましたよ。。意外と平気だったけど。
師走は胃腸を酷使しがちなので、気をつけなくちゃね。
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