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4月ESCAPE(軽井沢、自然教育園、東京ジャーミィ、アースデイ)

2011-05-09 04:18:34 | Tokyo 闊歩・彷徨・建築探偵

昨日、フォトグラファーみっちゃん宅のパーティで、心理学を勉強しているという女性に
「木」を描くという心理テストをしてもらった。ほろ酔いの私が紙いっぱいに描いた木は
ちょうどこの写真のような構図だった。ただし葉はなく、実だけがぶら下がった早春の木を描いた。
一見 裸木のようだけど、神経のように伸びた枝々には新芽が内蔵されている、というイメージ。

描いた木は、実は描き手自身が投影されたメタファーなんだそう。なるほどー。
「枠にはまらない世界観があるんですね。あ、でも、最近辛いことがあった?」と訊かれた。
図星。だって3.11後の世界を生きるのは、耳をびんと立てて尻尾がマックスに膨らんだ
臨戦状態の猫のような(あるいは耳をマックスに倒して後ずさる猫のような)気分だもの。

自然に対する愛しさと畏怖。自然(人も動物もいきもの全部)が穢されることへの底知れないいたみ。
絵だけじゃなくて、写真にもそういう気分が無意識に表れているかもしれない。


黄金週間が始まる二週間ほど前、打ち合わせに乗じて軽井沢に脱出した。
まさに、新芽を内包した木立の中で、1か月ぶりに大深呼吸。空気がおいしすぎる。
スタジオトリコチームとのお仕事なので、心底なごむ。


テラスにはいろんな野鳥が続々と!これはイワツバメ?
お皿についている飾りの疑似鳥には目もくれず、餌にまっしぐら。かわいすぎる。



心理テストで描いた裸木の実のイメージは、これに近い。何の実かな?



翌朝、星野温泉に浸かった後、急坂をふうふう上って2つの教会に足をのばした。
北原白秋や島崎藤村、内村鑑三が集った芸術自由教育講習会の流れをくむ
「軽井沢高原教会」(左)の入口には、花で覆われた巨大なイースターエッグが飾られていた。
内村鑑三記念堂「石の教会」(右)は、ジブリ映画に出てきそうなオーガニックな佇まい。


キリスト教をはじめ、全てのイズムから解き放たれた純粋な祈りの空間は、恐ろしく心地よい。
自然と寄り添う造形は、あのジェフリー・バワ建築を彷彿させる。
 



軽井沢から戻った翌日、母が遊びに来たので、3.11当日に内覧会を見る予定だった
国立西洋美術館のレンブラント展へ。薄暗がりに細密なリトグラフが並んでおり
目がしょぼしょぼに。。わずかな光を描くために描写される、圧倒的な闇の分量。
レンブラントが20世紀に生まれていたら、天才写真家になっていたような気がする。


翌日はお仕事冥利で、母とウェスティンホテル東京でプチバカンス。
汗ばむような陽春の都心は、自粛ムードからそっと解き放たれたゆるさを湛えていた。

夕刻前、白金の自然教育園を散策。透き通った新緑の遊歩道を漫ろ歩きながら
山野草に詳しい母が、楚々とした花々を指差してはその名を教えてくれた。
私が幼稚園児の頃、家族でここに遊びにきた時のことを母とあれこれ回想する楽しいひととき。
武蔵野の植生が息づく奥深い森は、めまぐるしく変化する東京にありながら
そこだけ時間が止まったような別世界だった。


園内でもひときわ目を引く「物語の松」と名付けられた巨木に、なぜかとても心惹かれた。
さながら双頭の竜が天にぐんぐん昇っていくような 伸びやかな枝ぶり。
漆黒のうろこのような木肌に触れると、ほっと温かく優しかった。




翌日は、母とさくっとイスタンブールへ。


…というのは嘘で、代々木上原にある東京ジャーミィへ。うちの近所なのに
なぜか中に入ったことがなく、今回、母と初めてモスク内に潜入してみたしだい。
ちょうどお祈り中で、女性見学者はスカーフで髪を覆うよう指示があった。
右の女性は敬虔なイスラム教徒…ではなく、母。なぜかすっかりなりきっている(笑)

思えば、9.11直後に故・筑紫哲也氏がこのモスクの前から生中継していたなぁ。。
(ビンラディン暗殺についての筑紫さんの異論反論オブジェクション、聞きたかったなあ)


この夜、いとこの伊東家から美しい満月写真がメールで届いたので転載させていただきます。
アイフォンと双眼鏡のコラボ(?)によるミラクルショット。月に手が届きそう!




4月末には代々木公園でアースデイ。初夏めいた陽気の中、音楽を奏でる人、踊る人、午睡する人。。
草木も人も犬も烏も、園内はやんわりゆるいパラダイスと化していた。



そんな中、エネルギーシフトのデモ行進に遭遇。汚染された土壌を浄化するともいわれている
アブラナがアイコンになっていた。内田樹氏いうところの“荒ぶる神”は決してすぐには
鎮められない。だからこそ、徐々に別の自然エネルギーにシフトしていくべきと私も思う。



震災関連のNPOなども目立った。福島避難地域の動物たちを果敢に保護している支援団体の人から
いろいろ話を伺った。その行動力にありがとう!と感謝してささやかな募金や保護活動に賛同する
署名などをするものの、残された動物たちのあまりに理不尽な状況にやりきれないかなしみを覚える。

ガイガーカウンターで代々木公園の土の放射線量を計測していた人がいたので見せてもらった。
35CPM(≒0.28マイクロシーベルト)だから、この日の文科省発表数値の約4倍。
雨の翌日ということもあったかもしれないけど、地表の線量は東京でも結構高いらしい。
(ふと妄想…。もしも放射性物質が大好物で、体内で無害化してくれる猫がいたら、
至る所が「猫町」と化すわけで、それはちょっと見てみたいかも…不謹慎で恐縮です)


なんとも長閑な代々木公園を回遊しながら、不意にある光景を思い出した。
震災直後の週、原発の爆発と計画停電の報道で、みな蜘蛛の子を散らすように
家路に散って行った夕刻、血が滲んだような空に覆われた代々木公園は、
同じ場所とは思えないほど、人々が落としていった暗澹たる吐息に包まれていた。


それから何週間も経ったアースデイの代々木公園は、
かつてよく目にしてきた平和そのものの世界に戻っていた。
現実なのに、ひどく懐かしい夢をみているような気がした。
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猫とハートと疾風怒涛の日々

2010-12-26 05:26:05 | Tokyo 闊歩・彷徨・建築探偵

ものすごくいろんなことが起きているのに、ものすごいスピードで過ぎ去っていく日々。
みるみる暮れていく晩秋から初冬の宵口は、ときおり残酷なくらい美しかった。

もう一か月も前に書こうと思っていたブログを書くのは、夏休み終了直前の小学生が
空白の絵日記を一気に埋めるような気合がいる。でも、撮りためた写真を眺めていたら
昨今の慌ただしとは無縁ののほほん写真ばかりで、我ながら ばかみたいな能天気さ。

そんなわけで「ルナスービトの悪童日記」、晩秋フラッシュバック編です。

10月末の休日、素敵なマダムちづこさんたちと谷根千散歩。
子ども時代に界隈で遊んでいたというまりこさんのナビで、見知った谷根千にも思わぬ発見が多々。
つつじ祭りの時しか訪れたことのなかった根津神社も、秋はまた別の風情が。
ちなみに根津神社は時代劇の撮影スポットだそう。そういえば、見覚えのあるやなしや。
旧安田邸では、ちょうど重陽の節句中で、雪のような真綿をかぶった菊が飾られていた。


谷根千は猫の町としても知られるが、昨今はあちこち観光地化していたりして、猫たちもちょっと
肩身が狭そうだ。地元のこんなやさしい人たちに見護られて果敢に生きのびてほしいなあ。。



10月末~11月にかけて開催された中国国際映画祭。そのオープニングパーティに行ってきた。
おりしも世は尖閣報道のピーク時だったけど、会場内は至ってなごやかな友好ムード。
ちなみに、会場は来年3月に閉館する赤プリこと、グランドプリンスホテル赤坂。
奇しくも、昨日12月25日に有楽町西武が閉店したが、いずれもバブル時代を象徴する
西武系の牙城。絶頂期から20年余りの諸行無常を思いつつ、泡のお酒をたしなむ聖夜哉。



11月頭、軽井沢から上京したキムリエさんと青山でランデヴー。
このブログでも何度も紹介していますが、スタジオトリコで制作した
アレックスモールトン自転車展記本『ALEX MOULTON BICYCLES EXHIBITION 2010』
キラー通りに面した「on Sundays」のウィンドーに飾られていて感無量!
アート本の老舗である同店でも評判が良いそう。うれしい限りです。
この日は父の命日でもあり、何か後押しされているように楽しい発見がたくさんあった。


11月半ば、お世話になっているデザイナーやぶきさんのお誘いで、彼女が宣伝美術を担当している
「花組芝居」の最新作「花たち 女たち」を観劇。昨年の「夜叉が池」以来だったのだが、
相変わらず猛烈なテンポで、展開の早いこと早いこと、小気味よいことこの上なし(笑)
暗転もほぼなく、場面が見事な切り返しで あれよあれよという間に変わる変わる。。。
有吉佐和子の原作は未読なのだが、花組芝居は歌舞伎のように女役もすべて男性が演じており、
演出は例によって きわめて斬新で大胆不敵。しかも、どたばたスラップスティックの中にも
人間の複雑怪奇な情念がグロテスクなまでに深く麗しく描かれている。いやぁ名人芸でした。
観劇後に、このゴージャス&ラブリーなイメージ画(左)を描いたイラストレーターの大谷リュウジさん
合流して、やぶきさんたちとゴハン。初めて会う方々と深夜までわいわい楽しかったー。

同じ週には、東京都庭園美術館で開催していた「香水瓶の世界」展を取材かたがた見学。
あいにく展示物はすべて硝子ケースの中なので香りまでは確認できなかったけれど
くらくらするほどエレガントで蠱惑的な香水瓶のデザインに、かなり深酔いしました。
特にルネ・ラリックの作品、えぐすぎる! たとえば、香水瓶の四角に胴体のながーい蝉が4匹、
みっちり張り付いているラリックの香水瓶を使っていたのは、いったいどんなマダムだったのかな?
ちなみに、庭園美術館の入口には、朝香の宮がウエルカム用に使っていたという巨大香水塔が。



同じく11月半ば、お世話になっている雑誌編集者の渡辺さん&土澤さんと、
猫特集ページの件で 恵比寿の猫カフェにて 猫打ち合わせ。実は猫カフェは初体験の私。
結局、打ち合わせのほとんどは 猫遊びに終始。。でも至福でした。


久々に猫を抱きしめてうるうるする私(左)と、やはり猫を抱く土澤さん&渡辺さん(右)
来年、本が出たらまたここでご紹介いたします。

この数日後、5年間愛用(酷使)したノートPCが不意に壊れた。
バックアップを完璧にとっていなかったため、随分と肝を冷やしたが
火事場の馬鹿力的な機転で、奇跡の如く締切ピンチをなんとかクリア。
リスクヘッジの大切さをしみじみ実感&反省しつつ、なにか腑に落ちない。
文章だけなら、紙とペンがあれば書けるのだから、本来は。
(あ、携帯やiphoneとかでは私は長文が書けない性分です)



11月の祝日、ぱつぱつスケジュールの間隙をぬって、お仕事冥利でウェスティンホテル東京の
レディースルームに叔母と一泊。話には聞いていたけれど、実に快適至極でした。
ベッドに転がった足元に東京タワーの夜景ビュー。朝食のブッフェもパーフェクト。
あえてPCを持っていかず、半日仕事を忘れて呆けたせいで、帰るなり徹夜仕事。
優雅なヘブンリーベッドから、一気に締切無限地獄へと雪崩れ込んでいった。。

。。。のだが、その途上に撮ったのは、ほっと一息モードの写真ばかり。

左はまいか社長の会社設立3周年目のお食事風景。青山の新進仏料理店フロリレージュ、
メニューも盛り付けも唖然とするほど斬新で、かなり気に入りました。まいかさん、ありがとう!

右はたぶん外苑前の裏道のカフェでランチ打ち合わせした時のマッキアート。
イリーのヒップなカップ&ソーサーに泡ハートがキュート。こういうちょっとした絵づらが
締切続きの緊迫した日々の緩衝剤になるわけです。


これは恵比寿での打ち合わせ帰り、恵比寿在住のオーリエさんを誘って
バールでお茶したとき。ベージュのベレーがとっても似合っているオーリエさん。
尽きない会話の余韻のように、カプチーノのハートが最後までくっきり消えなかった。


そしてこれは、スリランカに発つ直前、学芸大で童門冬二氏の取材をした後
編集者のしばたさんとお茶したとき。やっぱり、ハート♡
久々にお会いしたこともあり、ついつい長話。お元気そうでほんとよかった。

高速で過ぎ去った晩秋の日々。息をつく間もなかったけど、どれも大切な瞬間。
あれこれ忙しくても、関わる多くの方々とのご縁をずっと大切にしてきたいなあと心から思う。

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小さなギャラリー巡り

2010-06-11 19:12:26 | Tokyo 闊歩・彷徨・建築探偵

↑今週は、なんだか こんな気分だった(どんな気分だ)。 
 かわいい絵はⓒぴかぴかの1年生、りんちゃん。
 

さて、ぱたぱたしている間に、ベランダの枇杷がめきめき色づいてきた。


種を蒔いて(実を食べて棄てて)から11年目の結実。烏に食べられる前に収穫したいのだけど、
朝一番の陽光を浴びて金色に輝く果実を もう少し窓から愛でていたい気がする。


南西側のベランダに生い茂っているグミの木も、よくよく見たら赤い実が数粒なっていた。
ニキが逝ったときになって以来、2年ぶりの結実。たまに来るメジロさん、おやつにどうそ。


枇杷もグミも、咲くのは極めて地味な白い小花。でも、それがいつの間にか ある日こんな風に
赤や黄のぷくぷくした実になる。理屈では解っていても、不意に見つけるとほんとわくわくする。
森羅万象に ありがとう! と思う。



先週は、幾つかの小さなギャラリーに訪れた。
まずは、目白の一角に佇む風雅な古民家ギャラリー「ゆうど」で行われた
フード×版画×器のコラボレーションによるOne Dayイベント「幸せのカタチ」展。


目白通りから一寸入っただけで、別世界のような佇まい。庭にはご近所猫の姿もちらほら。
左にいるのは、イベントに誘ってくれたフォトグラファーのみっちゃん。


おうちの中も、ほんもの昭和な香り。なんとなく『阿修羅のごとく』を思い出す。
版画作品を展示していたのはイラストレーターの平岡瞳さん(左の方)。
作品集も見せていただいた。独特の構図感覚と温かみのある感触にとても魅かれた。



中では古本の出張販売もしていたので、みっちゃんと物色。なかなか出物が多い。
私はモラヴィアと開高健の文庫本を入手。どっちもタイトルが“ずばり”すごいね。

Gデザイナーの平野甲賀氏など面白い方々がちらほらいらっしゃる中でも異彩を放っていたのが、
SPAにも連載していたことがあるという漫画家 井上ポルノ氏(右)。超シュールな自著
「Oh,No! なんね〜」を、このあと編集者の方々と下北沢に手売りしに颯爽と向われました。


さて。この日のお楽しみは「ちいさな薬膳料理教室 鳥の巣」を主宰する鳥海明子さん(左の方)の
美肌の薬膳ランチ。繊細な味付けのお惣菜の一つ一つが医食同源思想に結びついている。
あたたかみのある器は、陶芸作家 古川まみさんの作品。


陰陽模様の丼の正体は、ご飯の上のとろろとモロヘイヤ。
ごちそうさまでした!


おまけ。
窓辺から見えた黒猫。みっちゃんが目敏く発見した。
え、どれかわからない?


ZOOM  アップにしても、まるまった黒猫ってロシアの帽子みたいにしか見えないかも。

でも 不意に出逢う黒猫は、どんなときでも嬉しい哉。



古民家ギャラリーを出た後はみっちゃんと別れて目白通りをてくてく。
せっかくこの界隈に来たのだからと思い、前々から行ってみたかった佐伯祐三のアトリエ跡へ。
聖母坂通りから小路に入り、住宅の密集した一角にそれはあった。全然知らなかったのだけど
ちょうどこの4月に「佐伯祐三アトリエ記念館」として開館したらしい。

↑筆致のみならず容貌もシャープな佐伯祐三。


1921年(大正10)に同じ画家である妻・米子とふたりの新居として建てられたアトリエ住宅に、
祐三は家族で渡仏する前の2年間と、1926年に帰国して再び渡仏するまでの計4年ほどしか
住んでいない。そして、わずか30歳にしてパリで客死。愛娘も数日後に同じくパリで病死。

曇り空から仄かに染み出してくる 昼下がりの薄陽を湛えた大きな窓を見上げながら、
2つの遺骨と共に帰国し、1972年に没するまでここに住み続けた米子夫人の
小さな溜息が聞こえたような気がした。


佐伯祐三はここに住んでいた短い期間に、「下落合風景」と題した一連の風景画を残している。
パリ時代の傑作の影で評価も分かれるようだけど、東京郊外の田園から新興住宅地へと
変りつつあった当時の下落合界隈のとりとめのない風景には、独自の美意識を感じる。

それにしても椎名町から目白、下落合界隈って、当時の文芸の士が集う文化村だったのだなあと
改めて。個人的にもいろいろ思い出深いエリアなので、界隈を散歩しながら、しばし じーん。




さて、下落合から今度は西武線で下井草に向かい、ギャラリー五峯で開催していた恒例の
浩江グンナーソンの北欧アンティーク 初夏のフェア」へ。
相変わらず希少なテーブルウエアやテキスタイル、刺繍、レースなどなど
心ときめくアンティークの宝庫! クリアで清々しく、涼しげなのに温かい。






続いては、ファーブル博物館。
行ったのは私ではなく、昔、種村季弘氏の取材でお世話になった川口さん。
エアメールによると、南仏のファーブル博物館をはじめ、あのシュバルの宮殿に
アルチュール・ランボーの生誕地などなどを巡ったそう。なんて理想的なスポッツばかり!




先週は友人たちから素敵な贈りものをいろいろいただき、お誕生月間のありがたみをしみじみ。
と、これはえとさんからの贈りものに忍ばせてあった「筑波大学新聞」。
思うに、私たちが学生時代にはまだこんなのなかったような?
で、うけたのが、学生の生活に「喝」を入れるこんな特集記事。
「自転車」「宗教勧誘」「酒」「心」が挙がるあたり、いかにも。変ってないのねー、今も昔も(笑)


今日からワールドカップだけど、学生のみなさん、
くれぐれも飲み騒ぎすぎてこんな体位で介抱される羽目になりませんように。。


☆さいごにおしらせ。

先日取材した松岡正剛氏のインタビュー記事などなどが掲載された
「Kanon vol.19」が発売になりました。
土門拳の大特集です。土門ファンの方、必読ですよー。

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根津美術館、春の芳香

2010-01-19 06:29:32 | Tokyo 闊歩・彷徨・建築探偵

年始から相変わらず少々立て込んでいる日々。案外気持ちはゆったりしているのだけど。
先週、隈研吾氏のインタビュー前に、彼が改装を手がけた根津美術館に行ってきた。
楡家通りの先にあるエントランスには、竹を配したこんなアプローチがあり
そこを歩く間、とても不思議な、そして心地よい気配が 身体をスッと通り抜けていった。


建物も以前とはがらりと様相が変った。母と数年前に訪れた時は
あの有名なカキツバタの金屏風ばかりが記憶に残ったが、
新しい根津美術館は 硝子越しに臨める庭園と融合した佇まいの美しさに まず目を奪われた。
オリエンタルな展示物を表情豊かに見せつつ、隅々まで見事に均整がとれているのだ。
それも、これみよがしの意匠をこらしてあるわけではなく、あくまでも密やかに。


館内で、やはり下見に来ていたkanon編集部の佐藤さんとばったり! なんだかうれしい。
彼女と一緒に夕暮の庭園を巡り、緑陰に抱かれたNEZUCAFEでコーヒーブレイク。
ふと見ると、赤瀬川原平さんもお茶していた。


翌朝、隈さんの事務所でインタビュー。「クマさん」と呼びかける響きがなんだか面白い。
例えば『反オブジェクト』の冒頭の一文「一言で要約すれば、自己中心的で威圧的な建築を
批判したかったのである」にも顕著なように、ご本人も単刀直入で明晰。
気取らずもったいぶらず、屈託がない。海外を飛び回る多忙な中で取材できたことに感謝!
インタビューは2月末発売予定の『kanon vol.18』をご覧ください。(原稿、これから書くのだけど)


クマさん取材の後は、新宿の「柿傳」(ロゴの書がby川端康成)で対談取材。
この昭和モダニズムなしつらえ、なんだかホテルオークラのメインロビーに似ていると思ったら
手がけたのは同じ谷口吉郎の設計だそう。ちょっと低めのラウンジチェア、大変好みです。



谷口吉郎は金沢の九谷焼窯元の生まれなのだとか。
偶然だが、今週はスパイラルで九谷焼展を観た。
1/20まで開催中の「上出・九谷・惠悟 九谷焼コネクション」だ。
根津美術館で遇った佐藤さんに「面白いからぜひ!」と勧められたのだが、ほんとこれは必見。

九谷の伝統ある上出長右エ門窯の5代目による作品の数々、
どれも伝統を軽やかに飛び越えるアヴァンギャルドぶり。
左はエレガントな髑髏型のお菓子壺、右はキッチュな九谷焼のバナナ!

伝統工芸を受け継ぐ若手の2代目3代目のインタビューをする機会が時折りあるが、
その多くは伝統を継承しながら、時にはそれを壊し、独自の新境地を切り拓いている。
伝統を守ることに命をかける職人と、伝統を新しい価値に昇華する芸術家。
長い目で見ると、伝統を壊すことこそが伝統を守ることになるという逆説もありなのでは、と思う。



今日明日は久しぶりにあたたかくなるようだが、ここのところ恐ろしく寒かった。
よりにもよって、寒波が来てどっと冷え込んだ先週明け、早朝からスタジオ撮影取材だった。


しかも、スタジオが外と同じようにひえひえ! 終日、コートにマフラーをぐるぐるに巻き、
カイロをポケットに握り締めて過ごすこと12時間強。撮影で使った花も人間同様しおしおに。。
スタイリストさんが棄てようとしていたので、その子たちをいただいてきてあたたかな部屋に活けた。

翌朝目覚めたら、萎れうなだれていた花たちが、嘘のようにしゃきっと復活!
ストックというアブラナ科の花で、香りが甘酸っぱく清々しい。
数日前から窓辺にいたオレンジのフリージアとあいまって、一足先に春の芳香。

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未来派、坂倉モダニズム、マスカット

2009-10-05 03:47:52 | Tokyo 闊歩・彷徨・建築探偵
咆哮する自動車は、サモトラケのニケより美しい。
――と云ったのはマリネッティ。1909年 未来派宣言。

「これから君たちは20世紀以降のアートを学ぶわけだけど、具体的には1909年の未来派宣言を
20世紀アートのスタート地点という風に定義します」――と云ったのは、大学時代の教授。
…と、教授といえば坂本龍一も未来派にインスパイアされたアルバムを’80年代に出していたっけ。
マリネッティの声をサンプリングした「1919」も、時々むしょうに聴きたくなる曲。

おっとまた前置きが長くなってしまった。
先週、日本科学未来館で開催中の[ZIGZAG 伝統革新 未来を走るイタリア] を観てきた。
未来派宣言から100年、イタリアの最先端テクノロジーを特集したこの企画展のアイコンに
ボッチョーニの彫刻[空間における連続性の唯一の形態]を再現した作品が飾られていた。
会場デザインにも未来派のエッセンスが散りばめられ、BGMにも未来派の「騒音音楽」が流れていた。
ちなみにボッチョーニの彫刻は20セントユーロにも使われている。探したら うちにも一枚だけあった。

右は未来派の面々。中央がマリネッティ、右から二番目がボッチョーニ。


展示は自転車から自動車、鉄道、航空宇宙まで乗り物が中心。機械工学には疎い私だけど
イタリアのインダストリアルデザインの美しさには抗いがたい魅力を感じる。
日本の警視庁のヘリコプターもイタリア製らしい。
火星探査機の大気圏再突入時に減速させるパラシュートというのもあった。
(火星で使うにしちゃレトロというか牧歌的というか…?)


最新のエコカーなどなどもずらりと。イタ車って、面構えがどこかひょうきん。
ジウジアーロさん、ピニンファリーナさん、運転できないので、見た目9割発言であいすみません。



新タイプのFIAT500(チンクエチェント)もいた。これはこれでかわいいけど。。。


でも私はやっぱり、昔のこんなチンクエチェントが好きだな。ぼこぼこになってもなおかわいい。
若き日のマルチェロ・マストロヤンニもルパン三世も、断然こっちの方がお似合いでしょ。
いつ行ってもイタリアには無傷でぴかぴかのチンクエチェントなんて皆無だったけど、
21世紀に入ってからは この旧500自体がもうほとんど走っていない。淋しいなぁ。。



せっかくなので、日本科学未来館の常設展示もさらっと見学。
4年ほど前に一度別の企画展で訪れたことがあるのだが、
ここは内装やインテリアがなにげに凝っていてなかなか心地よいのだ。
吹き抜け空間に浮かぶ巨大な球体ジオ コスモスには、“宇宙から見た今の地球”が
100万個のLEDで映し出されていて、ちょっとSF映画の宇宙ステーションみたいな雰囲気。



ゲノムコーナーにあったパズルゲーム。端整なアート作品みたい。


月と金星の模型。ルナーAという月探査機の説明も。
ついでにルナスービトっていう月面探査機も、どうでしょう?


左は小柴教授のノーベル賞受賞で話題になった神岡鉱山内にあるニュートリノ検出装置
カミオカンデのアップグレード版「スーパーカミオカンデ」(10分の1模型)。
なんだかドラゴンボールに出てくる最強キャラみたいなネーミング。傍らに「こわれやすいので、
けったり、たたいたりしないでね」の注意書きが。。最強キャラも、意外とやわなよう。

右は「セラピーロボット パロ」。触れると鳴いたり動いたりするこの手の玩具は既に市場にあるけど、
生きた動物の反応に勝るものはないはず、、といささか抵抗があったのだが、このパロ君に触れてみて
びっくり! あざらしというか、猫に近い絶妙な身のよじり方や眼差しの変化に くらっっ。。
なんでもこの子、10万回の撫でテスト(笑)で精度を高めた触覚センサーを持っているようで、
実際にお年寄りや子供のストレス低減効果も確認されているそう。開発者の柴田博士は多数の
実験でセラピーの最も重要な要素は「触覚」と判断したそう。なんかそれ、すごーくよくわかる。


未来館の帰り、新橋のパナソニック電工 汐留ミュージアムで開催されていた
「建築家 坂倉準三展 モダニズムを住む 住宅、家具、デザイン」の最終日に滑り込み。
これは先日、鎌倉の神奈川県立近代美術館で観た坂倉準三展とのセット企画。
鎌倉では公共建築やターミナルなど大規模な仕事が中心だったけれど、
こちらは住宅建築を中心に紹介されており、坂倉準三のまた別の魅力をいろいろ発見できた。


ル・コルビュジエの仕事上のパートナー シャルロット・ぺリアンとの協動作品も多い。
天童木工から出ていた椅子のデザインには、時代のエッセンスが凝縮されている。
個人的には青山の岡本太郎宅や、東京日仏会館のディテールに惹かれてやまない。


惜しむらくは、幾つもの住宅作品が「現存せず」となっていたこと。
建築図面や写真、模型に混じって、家族のいる風景をさらさらっと描いたドローイングが
展示されていた。なんだかほっとするような、いい絵だった。



先週26日に弟の竜ちゃんが研究会でうちに泊まりにきていた。
弟の研究発表を三浦展氏が聞きに来て、いろいろと話をしたらしい。
三浦氏の著作『「家族」と「幸福」の戦後史―郊外の夢と現実』と
『ファスト風土化する日本 郊外化とその病理』は、竜ちゃんに薦められて数年前に熟読したけど、
実に興味深い本です(ベストセラーの『下流社会』よりおすすめ)。

と、これは竜ちゃんが岡山土産に持ってきてくれたマスカット アレキサンドリア。
竜と入れ替わりにうちに泊まりに来た母と一緒にいただいた。爽やかな甘みがあって美味しかった!

母は幼なじみたちと食事したり、短歌の全国大会に参加したり、文学散歩に出かけたりと
まあ相変わらず溌剌とおしゃれ好きで元気なことこのうえない。なんだかうらやましいくらい。


先週は怒涛の原稿ラッシュだったけど、週半ば、間隙を縫ってお出かけ。
久しぶりにお会いした原野先生、ちょうどバースデイだったのでケーキでお祝い。
ちづこさんと大村さんが用意してくださった花束も シックで美しかった。

昨夜は中秋の名月。深夜3時半頃、終わらない原稿の合間に窓を覗いたら、
真珠のようなお月さまがにっこり。
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TCJF2009、スリランカフェス、旧朝倉家住宅

2009-09-17 02:52:08 | Tokyo 闊歩・彷徨・建築探偵
また性懲りもなく三大噺みたいな脈絡のないタイトルですけれど、
脈絡なきことどもの間を涼しい顔で通り抜けていくのは、ただ快い秋の風。

さて、先週末の覚え書きから。
9.11は、レイちゃん&ハカセと[Tokyo Crossover / Jazz Festival 2009]@ageHaへ。
協賛はLevi’sだったため、ドレスコードもジーンズ。ちなみにLevi’s(全店)に古着ジーンズを
持参すると、それをチャリティ活動に役立てるキャンペーンを実施中のよう(~11/30)。


3年連続のTCJF。実は、前夜に突如やっぱり行こーということになったため、
詳細Checkしないまま臨んだのだけど、会場入りしたとたん、Quasimodeのライブで
のっけから大変濃く。続いてloungeで須永辰緒のDJ。前半の選曲がとんでもなくかっこよく。
さらに沖野修也DJ20周年記念Special Live Set。Monday満ちるや菊池成孔etcとも豪華協演。
最後はROOT SOULライブで盛り上がった後、翌日に備えて少し早めにおいとま。


と、翌土日は代々木公園で開かれたスリランカフェスティバルへ。
雨上がりの土曜は、打ち合わせも兼ねて半分お仕事で行ったのだけど、
日曜はすかっと晴れて気持ちよかったので、買い物に出たついでに再び覗いてみたしだい。
流れている音楽やスパイスの匂いに、5年ほど前に訪れたスリランカの記憶が呼び覚まされ。


そんなわけで2日連続スリランカ カレー&スパイスティーを賞味。美味しかったー。
(1日目は野菜&豆カレー、2日目はチキン&カシューナッツカレー)

これはお土産に買ってきたノート。その名も ELEPHANT DUNG PAPER(象のウンチでできた紙!)。
聞けば、草食系である象のウンチは煮沸殺菌して乾燥させ、それをパルプ化して漉くと
こんな紙になるそう。実演していたけど、全然いやな臭いはなく、ハーブみたいな香りがした。
究極のリサイクルだなあ。。(ノートの中身はリサイクル古紙)

幼少期、上野動物園の象が目の前で大量にウンチをして
大ショックだったけど、まさかあれがこんなノートになるとは!

帰りに代々木公園を自転車でお散歩。サイクリングロードの一角に、烏が大量に群れていた。
白土三平の忍者もののワンシーンのようにばっさばっさ荒んだ感じじゃなくて、
なんだか夕刻の猫集会ならぬ、烏集会とでもいうような牧歌的趣き。

ただしここで烏観察しているわずかな間に、足を5ヶ所も蚊に刺された。。しかも猛烈に痒い!
がっ、そんなこともあろうかと先日鎌倉で刺された時に慌てて買った痒み止めを携帯していた
おかげで、九死に一生(<使い方違うけど)。 秋の蚊って獰猛だなあ。。

樫の大木のしたに、ドングリころころドングリコ。
子供の頃、これを拾い始めると止まらなかった(前世リス説)。

帰り、井の頭通りの向こうに沈む夕陽に思わずぽーっと。



週明けは幾つかの原稿のやりとりでうちにカンヅメ。
水曜、青葉台方面に打ち合わせに出かけた帰り、代官山に寄って「旧朝倉家住宅」を見学してきた。
ここは東京府会議員だった地元の名士 朝倉虎治郎が1919年に建てた和風木造邸宅(重文)。
昨夏から公開が始まり、行こう行こうと思いつつ行きそびれていたのだ。


玄関にほど近い応接室から会議室、西奥にある杉の間まで、常に回遊式庭園の緑陰が臨める。
特に私が気に入ったのは、杉の木目を贅沢にあしらった杉の間の数寄屋座敷。
傾斜地に林立する樹木に抱かれた空間は、とても旧山手通と至近とは思えない森閑たる気配。
畳に正座目線で庭園を眺めていると、背後から原節子がいそいそお茶を運んできてくれそうな。。
かつてのご当主もこの部屋がいっとうお好みだったよう。


2階の広間には季節の花々が描かれた 決して華美過ぎない襖絵。ああ大正浪漫。
スッと襖を引くと、矢絣の着物姿の京マチ子が艶然と微笑んでいそうな。。


障子やすり硝子を透過し、畳や縁側に投影される秋の午後の淡い木漏れ日に 思わずぽーっ。
立派な造りとか建築的意匠とかより、ただそっと染み込んで来る光と翳に惹かれる。陰翳礼賛。



邸宅のすぐ横は代官山ヒルサイドテラス。そう、ヒルサイドは大地主の朝倉家が
建築家の槇文彦と共に1967年から実に30年以上かけて徐々に開発していったプロジェクト。
隈研吾が『新・都市論TOKYO』の「代官山 凶暴な熊に荒らされた運命のユートピア」という章で
「代官山ヒルサイドテラスと六本木ヒルズは、同じヒルが付いているが、笑ってしまうほど対照的」
と、実に鋭い代官山論を展開しているので、興味のある方はぜひご一読を。


余談ながら、朝倉家のぬれ縁でも、写真撮影中に蚊にヒジや足首を合計5ヵ所ばかり刺された。
慌てて蚊を探す私の視界に一瞬、トンボの影がスイッと横切っていった。

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夏至の灯、モレイラ、ミヌー

2009-06-22 01:16:12 | Tokyo 闊歩・彷徨・建築探偵
The time to hesitate is through  No time to wallow in the mire
Try now we can only lose  And our love become a funeral pyre
(The Doors [Light My Fire]より)

先週18日は1年と1カ月目のニキの月命日。19日は桜桃忌。そして21日は夏至。
1年中で昼が1番長く、夜が1番短い日(南半球は逆だけど)。
日にちのかわる深夜、ハートの蝋燭に火を入れてみた(あ、妖しい儀式とかじゃなく..笑)。

蝋燭は5年程前にコロンボの雑貨屋さん取材で見つけたもの。長らく書棚の隅に置いたままだったが、
先月のニキキにふと火を点けてみて以来、2度目の灯火。
夏至未明、小さな獣のように呼吸する焔。


あいにく夏至の日は曇天で、日の長さを愉しむにはあまりにもまったりと湿っぽい空だった。
気まぐれに、誕生日にもらった砂時計をくるっとひっくり返してみた。
さらさら零れていく砂は、実は細かく粉砕された硝子の粒なのだとか。
音もなくおちていく硝子の砂の向こうに、ジム・モリソンの歌声が重なる。
♪The time to hesitate is through  No time to wallow in the mire.....


先週は取材&原稿三昧。とはいえ、楽しいお誘いには、つい尻尾ひらひら。。。
まず火曜の夜は、メグ千鶴子さんが’80年代に贔屓にしていたという根津の「モレイラ」へ。
「モレイラ」とは、サンバランソトリオのドラマー、アイアート・モレイラから命名したのだそう。
ちなみに、あのブラジル代表ロナウジーニョも本名はロナウド・デ・アシス・モレイラなんだとか。
さすが千鶴子さん秘蔵の店だけあり、あえて冠した「コーヒー&スナック」とは名ばかり、
実態は秘密にしておきたいほどマニアックでおいしいビストロ。

マスターはシネフィルらしく、カウンターの奥には映画のポストカードがびっしり、
見上げれば天井にもポスターが隙間なく。。私の頭上には奇しくも大好きな『ニキータ』が。
マスターはB級アクションと悪役のニコール・キッドマンがお好きなのだとか。

奥の壁にはマスター手描きの酒瓶ポストカードがいっぱい。コピーもなかなかなお味。



隣席には、根津にある外国人御用達宿「澤野屋」に泊まっているというフランス人カップルが。
熱々のお手製ブルーベリーソースをたっぷりかけたナッツ入りアイスをマスターが出すと、
それまでひっそり話していた彼らが初めて満面の笑みを見せた。
ちょっとスプラッターな雰囲気のこのアイス、くせになる美味しさ。いっぱい食べたー。

トレビア~ン&ボンボヤ~ジ


その二日後、私はこのブルーベリーアイスを 再び「モレイラ」でちゃっかりいただいていた。
というのは、マスターに紹介された根津で上演中の演劇を観に行き、その帰りに寄った次第。
演劇会場は芸大前にある明治40年築の市田邸。演目は「厩横丁くろにくる」(気まぐれ倶楽部公演)。
「築110年以上の文化財なので、くれぐれも襖や柱には寄りかからないようご注意ください」と
上演前に脚本&演出の山下まさる氏自らが汗を拭き拭きアナウンスしていたのが可笑しかった。

お座敷は縁側まで超満員で、配られた団扇で扇ぎながらの観劇だったけど、面白さに時間を忘れた。
江戸、明治、昭和、平成を貫く谷根千を舞台にしたオムニバス年代記で、笑いの奥に、
この地に根ざす歴史の紆余曲折が見事に織り交ぜられていた。もちろん猫噺もさりげなく。
演劇は場の磁力にことのほか左右される空間芸術。まさにどんぴしゃな会場選択だったのでは。



金曜は、原稿が煮詰まっているさなかの夜9時頃、文化村にいるというキムリエさんから電話があり、
二つ返事でビアンキを飛ばして一緒にゴハン。さらにNEWPORTで夜更けまで話し込み。
原稿さえなかったら、また朝まででも話していたかった。

土曜は夕方に日本橋で再び文学博士シャウマン・ヴェルナー氏と俳人の方の対談取材。
シャウマン博士は思春期に自我に目覚めて日記文学に興味を持ち、その時に選んだ書物が
「土佐日記」や「徒然草」だったそう…! 卒論は、偶然にも私が先日谷中でお墓を見つけた
猫々道人こと仮名垣魯文研究だったのだとか。なんとも いとをかし な博士でした。

取材後、銀座のボザール・ミューで開催していた米田民穂さんの個展へ。
私はほのぼのファンシー系の猫絵は苦手だけど、米田さんの描く決して媚びない猫たちの
ふてぶてしい面構えにはいたく惹かれる。どれも実際に出逢った猫をモデルにしているそう。


これは新作ミヌーの油彩。ミヌーとはフランス語で“かわいい仔猫ちゃん”みたいなイミらしい。
ますますふてぶてしいお嬢貌猫。なのに妙にコケティッシュ。パリ留学中に出逢った猫がモデルとか。
ぬいぐるみバージョンもやぶにらみが効いてていい。


実は、米田民穂さんという名や作風から女性とばかり思い込んでいたら、にゃんと男性でした。
えーーっ?! 米田氏いわく「みなさん、本人を見てがっかりして帰っていきます(笑)」

たみほ ではなく、本名はたみお だそう にゃ。


これは米田さんの作品..ではなく、帰りにメトロの日比谷駅通路で見た「世界こども図画コンテスト」
受賞作品のひとつ。ロシアの7歳の子が描いた「水そうのそばのねこ」。
子供の絵には、巧い下手を超越して、大人には描き得ない極みがある。


これは東京の9歳の少年が描いた「猫と宇宙」。宮沢賢治の童話の挿絵にでもなりそうにシュール。


スリランカの9歳の子の「お母さんのおっぱい」。猪熊弦一郎画といっても通りそうな?!


インドネシアの6歳児作品「ぼくのドラゴン」。ミロもクレーもびっくりよ。


ポルトガルの少年が描いた「いつも1番の選手」。…てことは、これはクリスティアーノ・ロナウド?



☆追伸

ここのところ朝日新聞の夕刊で連載していた「この1枚の物語」が面白かった。
東松照明、長尾靖、森山大道、荒木経惟、藤原新也、蜷川実花、岩合光昭――
エポックな写真で独自の世界観を切り拓いた日本の名物写真家たちを採り上げたコラムなのだが、
写真家各々の生成流転が、無駄を極限まで省いた文体で語りおろされており
そのいかにも新聞らしい ごつごつ骨太で濃密な書きっぷりが小気味よかった。


速報性じゃネットの足もとにも及ばず、いずれ新聞はなくなると断言する輩も多いし
私も忙しい時には全然読まずに溜め読み(しかも飛ばし読み)する人だけど、
新聞というアナログなメディアをなぜか未だやめられない。


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たんぽぽの精と洋館

2009-04-25 14:49:08 | Tokyo 闊歩・彷徨・建築探偵
花と花の間を彷徨する蜜蜂のような日々(ミツバチ、いまや希少ですが…)。
行く先々で出逢う花々は、へたに手入れされていないものほど、心奪われる。

道路工事現場の隙間に居たヒメジョオン。子どものころ、よく摘んだなあ。


火曜、取材申請の関係で行った目黒区役所側の垣根に生い茂っていた羽衣ジャスミン。
この濃密な香り、たまらない。まさに蜂のようにブーンと吸い寄せられてしまう。

いつかトスカーナで、壁面が羽衣ジャスミンに覆いつくされたワイナリーを取材したことがある。
あのとき試飲したワインの香りはもうあまり覚えていないけど
あの夥しい花弁という花弁から放たれていた蠱惑的な芳香は一生忘れない。


晴天に恵まれた木曜、方々に布団が干された家並みの一角にて
屋根や窓からぶわっっとふき出している羽衣ジャスミンを発見。
こういう弦植物のニッチな叛乱に遭遇すると、むしょうにわくわくしてしまう。



この日は朝から取材@旧岩崎邸庭園。
撮影は『東京建築物語』でも数々の洋館を撮りおろしている
↓キムナオさんなので、仕上がりが楽しみ!

取材の詳細は6/25発売予定の「ROSALBA vol.15」の洋館特集をご覧ください。
(ちなみに今発売中の同誌vol.14には1月に取材したオペラ歌手の幸田浩子さんや
ジャミンゼブのシモン君のインタビュー記事も掲載されているので、こちらもぜひ。
WEBでも一部読めます)

と、取材中、旧岩崎邸の広大な芝生を我が物でとっとこ横切る野良猫くんを発見。
最近は、陽気につられておもてを闊歩する猫たちにたびたび遭遇する。目に福です。


近所の幼稚園の子どもたちも庭園にお散歩にやってきた。
どの子も遊びたくてうずうずしている仔猫みたいな表情なのが可笑しい。


庭園に群生しているのは、西洋たんぽぽとは異なる日本在来種のたんぽぽなのだそう。
先生のGOでわーっと綿毛のように散らばる子どもたち。
どうみても、たんぽぽの精だ。


私が4年前に初めて旧岩崎邸を訪れた時は 緑やピンクの光線でライトアップされていた。
スタッフに伺ったら「あのライトアップはラブホテルみたいで悪趣味だと評判悪くて…」とのこと。
物陰から怪人二重面相がひらんと現れそうな江戸川乱歩風キッチュで、案外面白かったけどなあ。
(↓2005年12月に撮った期間限定ライトアップ中の旧岩崎邸)

ちなみに、邸が戦後GHQに接収されていた頃は、この地下で思想犯の拷問もあったのだとか。
豪奢な室内の壁もペンキで無残に塗り潰されていたらしいし、銃痕も残っているよう。
旧い建物の情趣というのは、よくも悪くもそうした年月の陰影によって醸し出されるものだが、
たんぽぽの庭園に響き渡る子どもたちの歓声と かつての銃声は、あまりにかけ離れたものに思えた。


翌金曜も洋館取材の一環で、朝一取材@東京都庭園美術館。個人的にも大好きなところだ。
詳しい学芸員の方に隅々まで案内していただくと、思わぬ発見があって非常に興味深かったし、
旧岩崎邸も庭園美術館も、スタッフの方々が館を心底愛しているのがしみじみ伝わってきた。


庭園にいたブロンズの豹は、来館者に撫で撫でされているらしく、全身つやぴかだった。
編集部のわたなべさんも猫好きなので、一緒に撫で撫で。




今週は取材の帰りにちょこちょこお散歩。
こちらは近所の神社でおなじみのクロちゃん。この日はコマイヌの足元でコマネコと化していた。


同じくお散歩コースの代々木公園にて。思わずここでお昼寝したくなる。


散歩帰りに連れて帰った、清浄な香りのハーブ。
「名前? それが忘れちゃったのよねえ…」とお花屋さん。どなたか判ります?


昨日は東京都美術館で25日から始まる「日本の美術館名品店」の内覧会を観てから
坂本龍一コンサートへ。魔力的なピアノがいまも耳に残響。この話は次回に。
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桜トリップ2009

2009-04-10 23:28:37 | Tokyo 闊歩・彷徨・建築探偵
春旅から戻ってぽーっとしているうちに、気が付けば 西へ東へ花絨毯を回遊する日々――

まずは先週3日、目黒川沿いにて、ハカセ&レイちゃんたちと集合。
提灯も寒風にゆれまくる花冷えの夜、ぶるぶる妙にマゾヒスティックなお花見に。。



翌4日は、お花見は小休止し、キムリエさんと共にチュニジア雑貨「さらは」
「パリで見つけたチュニジア展」@代々木上原へ。この日はウード奏者 常味裕司さん(左)と、
レク奏者 和田啓さん(右)のライブがあり、時々、魂が完全に北アフリカにもっていかれた。
2月にもオハナ・アダンで常味さんのライブを体験したが、常味さんは演奏のみならずMCもナイス!
和田さんのレクグルーヴにもぐいぐい引き込まれた。演奏後にもいろいろお話できて楽しかった♪



翌5日は さんぺい家主催のお花見@某穴場公園。桜、大満開&手作りお惣菜の数々、美味! 
左から料理もデザートもプロ級のちよさん&さんぺいさん夫妻、とき緒監督、ジェレミー君。


夕刻からは、宴席をさんぺい家に移動。「うちのこなみのことは事務所を通してもらわないと」
と再三警告するさんぺいさんを尻目に、愛され猫のこなみちゃん、みなに愛されまくり。


昨年は、こなみちゃんを吸い込んでいる妖艶な姿をみせたとき緒監督、
今年は桜吹雪のアンティークなお着物で やはり妖艶でした(ちょいアラーキー風味)


こちらは、こなみちゃんをアクロバティックにパパラッチするハカセ。


こなみちゃんを抱きしめるマリア像のようなレイちゃん。



さらに翌6日(4連ちゃん…)は、フェアーモントホテル跡地にある九段下のNIKIgallery冊に
キムリエさん、カッシー、レイちゃんと集合。暖かな日だったのでみな頬がほんのり紅潮。


窓いっぱいに広がる絵に描いたような千鳥が淵の桜絵巻を愛でつつ、花見弁当を賞味。至福。。


ギャラリーにはなぜかサド侯爵と銘打った謎の人形が。サド侯爵夫人人形も居た(作者の名は失念)


食後は千鳥が淵を4人できゃふきゃふ散策。
桜を借景に、菜の花やフリージアのイエローも一段と鮮やかに見えた。


前回書いた京都の桜守・佐野藤右衛門によれば、明治から昭和初期にかけて一斉に植えられた
ソメイヨシノはクローン桜なので自生できず、寿命も百年ほどらしい。
もっとずっと遠い未来、日本人はやっぱりソメイヨシノで花見に興じているのか、
それとも別のクローン桜に席捲されているのか…?


千鳥が淵から赤坂方面まで歩き、ニューオータニのラウンジから日本庭園を見下ろしのんびり。
「悪役の田宮二郎が密談してそう」というレイちゃんの指摘がぴったりな’70年代風ラウンジが
私的にツボだった。バニラの粒々が浮いたクリームソーダを飲みながら、ふと幼少期を思い出す。


夕刻は、先の代々木上原「さらは」に再訪し、帰りに拙宅でシャンパン&パン祭り(?)
春冥利に尽きる ぽっかぽかゆっるゆるの女子的日曜日。


週明け7日は、横浜郊外へ取材に。東横線の車窓からふわふわ綿菓子のような桜がたくさん見えた。
取材した82歳現役の女医さんが、自作の茶托で煎茶を出してくださった。艶やかな牡丹の鎌倉彫。
枝垂桜が掘り込まれた自作の三段お重も見せていただいた。卓上の粋なお花見。



翌8日は、神保町で打合せ後、デザイナーのシンシマさんと約3年ぶりに再会。
つもる四方山話も楽しく。帰りに資料本を探して徘徊していたら、すっかり日も暮れて。
有象無象の本の海に溺れる 春の宵。本の匂ひ、いいなあ。。



翌9日は、渋谷で打合せした帰りに 自転車で代々木公園へ。
花も緑も鳥も蝶も人も、満開の桜の下で 生きものはかくも表情がゆるむのだろう。



うちの近所の桜のある公園にも寄り道したら、砂場も花びら模様に。
放り出されたピンクのランドセルにも、桜の花びらがはらはらと。


夕刻、再び自転車で代々木公園を通り抜け、青山方面へ。途中、桜の海に沈む夕陽が見えた。
骨董通りでキムリエさん、カッシーと会い、sakayori.の秋冬展示会を覗いた後、わいわいゴハン。
散々お喋りに興じ、夜更けにひとりで再び代々木公園の遊歩道を自転車で疾走していたら
春の甘いエキスを湛えた満月が、夜空からずっと併走してくれた。

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東京タワー50、&Noel

2008-12-24 03:25:41 | Tokyo 闊歩・彷徨・建築探偵
東京タワーが12月23日で50年目の誕生日を迎えた。 おめでとう。
青山近辺で打ち合わせした帰り、タワーを見上げたくて赤羽橋まで足を延ばした。
逢えてよかった。


その凛とシンボリックな姿形は、幼少期のきらきらした憧憬として脳裏に焼きついている。
ビルの谷間から、ふとタワーの威容が視界に飛び込んでくると、今も妙にわくわくする。
20年ほど前から石井幹子氏によるライトアップに変り、一段とラグジュアリーになった。
12月25日(20~22時)まで、特別ヴァージョンのダイヤモンドヴェールが拝めるよう。

(12月10発売の『NODE no.5』にも東京タワーを巡る石井幹子氏インタビュー記事あります。
私はテノリオンやロンシャン、アイウエア特集の記事など書いております。)


日曜はフォトグラファーのみっちゃんちのクリスマスパーティへ。
シャンパンもワインもぽんぽん空いていき、新しいボトルを開ける度わいわいテイスティング。


なにしろ この人数! 数えてないけど、40名はいたとか?!
みっちゃんをはじめ、ちよさん、まいかさん、レイちゃん、ハカセ、とき緒さん、よしのさん、
ジェレミー君 e.t.c…みんなと一同に会せてひたすら楽しかった♪


美味しい料理が次々に並び、西欧菓子研究家 小嶋いず美先生のブッシュ・ド・ノエルやムースも登場。


クリスマスは、やっぱブッシュ・ド・ノエルです。ご馳走さまでした!


観月台のような広いテラスでは、冬の花火を満喫。インフルエンザも不況風もSPAAAARK!!?


宴もたけなわの頃、ハジメさんがアコースティックギターでバート・バカラックを弾き語り。
あっという間に夜更けになり、三々五々でみなが帰った後、彼はなんと「CUE」や「君に胸きゅん」に
加え、私がリクエストした「音楽」や「パースペクティブ」など、アコギでYMOを弾き語り!

今度機会があれば、Thatness therenessも歌ってもらおう。


毎夕、絵に描いたような金星が南の空で瞬いている。
どんなイルミネーションより超然と。


Buon Natale! 心あたたかな聖夜を―

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夜の灯、朝の花

2008-11-02 06:28:35 | Tokyo 闊歩・彷徨・建築探偵
週末から三連休は うれしい遊びのお誘いがあれこれ。
木曜夜はレイちゃん&ハカセとミッドタウンのDESIGNTIDE TOKYOをさらっと流した後
GARB pintinoのパーティへ。↑まさに写真のアングルで東京タワーを拝める涙ものロケーション。
さらに合流したゆみさんたちと6名で恵比寿の焼き鳥屋さんにてわいわい。

帰りに私と同じビアンキユーザーのセージさんが自慢のビアンキを披露(お隣はゆみさん)


金曜は、石やハーブ、蜜蝋ろうそくなどの講座でお世話になっているちねんさんのおうちへ。
お台場の高層マンションにて迎えてくれたのはこのコ。アビシニアンのノアちゃん。


広い空と東京ベイを湛えた窓辺にて、イノセントな瞳の美猫に目が釘付け。
久々に猫に触れられて ぁあ至福。。

ヘルシーなデリと、ちねんさんお手製の優しい風味の野菜スープにリンゴ&さつま芋のデザートを
いただきながら、なんだか意外な話題で盛り上がり。彼女がみせてくれたRezというTVゲームは
カンディンスキーに捧ぐというコンセプトのもと、ケンイシイなどが音楽を担当しており、
音と動きがシンクロして生まれるグルーヴ感が非常に快くてびっくり。

帰りに、夏にオーダーして愉しみにしていたハンドメイドのペンダントをいただいた。
ラピスラズリのベースに ダイヤモンドで描かれたオリオン座。首もとに浮かぶ深遠な夜空。

ありがとう。ずっとたいせつにします。

帰路、ゆりかもめから見えた夕暮れ。同乗した観光客風の外国人親子が食い入るように見つめていた。


帰宅後、ビアンキに乗って今度は原宿へ。頭上に つーっと夜空を染めるサーチライト。


明治神宮入口には提灯がずらり。明治維新140年・御社殿復興50年を記した特別ライトアップ
「アカリウム」が10月31日・11月1日の二日間限り行われていたのだ。

近いわりに明治神宮には案外行かないのだが、この日は物見遊山気分で鳥居を潜り―







うろ覚えながら、明治神宮は中国の風水師が選定した東京一のパワースポット―といった記述を
荒俣宏が自著(書名失念)に書いていた記憶が。私は小1の遠足で神社に訪れている筈だが、
参道の砂利道が妙に長かった記憶しかない。。
話は飛躍するが、神社のすぐ側の地層からは、以前ナウマン象の化石が発見されたらしい。

神社を一巡後、キャットストリートに向かい、レイちゃん&ハカセとWISE WISEで合流。
さらにH.P.DECOから ダ・ドリアデ青山を廻り、CIBONEのパーティでゆみさんさんたちと合流。
<ダ・ドリアデ青山
デザイン関連イベントが界隈で開催されていることもあり、外苑前から表参道は縁日のよう。
前夜に東京タワー前で遭遇したきらきらのドラァグクイーンにCIBONEでも遇ったし。。
危うくディナー難民になりかけるも、最後はみんなおいしいモツ鍋であったまり。


そうそう、金曜はハロウィン当日でもあり、扮装した子供たちと時々すれ違った。
しかし、'80年代以前はハロウィンも今ほど商業化していなかった(ですよね?)
私が最初にハロウィンというものを知ったのは、この本だった。
クリアリー作『ラモーナは豆台風』より↓

ラモーナというのは、私が小学低学年時にはまっていたアメリカ児童文学“ゆかいなヘンリーくん”
シリーズに登場する悪童キャラの幼稚園児。彼女はハロウィンで魔女に扮装して悪戯しまくるのだが、
なんて痛快なお祭なのだろうと当時いたく感動したものだ(万聖節の意味は全然理解してなかったが)
同じ頃に愛読していた谷川俊太郎訳「PEANUTS」でカボチャ大王について熱く語る
毛布を持ったライナス君も 当時大好きだった。



実は、ハロウィンの夜、マイ ビアンキの鍵をうっかりどこかに落としてしまった私。
乗って帰れなかったため、翌朝珍しく早起きをし、合鍵を持って明治神宮前へビアンキを回収に。
帰りに 代々木公園をお散歩。今年一番の木枯らしをものもせず、凛と咲き誇る花々。











たまには、早起きも清々しくていいね(もちろん徹夜明けじゃなく)。
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ラ・フランスと紫な日々

2008-10-30 07:05:28 | Tokyo 闊歩・彷徨・建築探偵
芳醇な香りと、ぽってりしたシルエット。ラ・フランスって、そこにあるだけでなごむ。
そんな秋の果実をありがたくいただく日々の中、先週末はプチ締切りラッシュ。

日曜夕方、間隙を縫って最終日ぎりぎりのジョン・エヴァレット・ミレイ展を観にBunkamuraへ。
近所ゆえ いつでも行けそうな気がして後回しにしていたのだが、最終日はまさかの入場制限状態。
その吸引力の源は、キーヴィジュアルとして使用されたこのオフィーリアの魔力が大きいのかと。

1時間待ちの挙句、黒山の人だかりで鑑賞するのは酷だったけど、この画はやはり生で観てこそ。
ただ、ミレイはピカソ級の天才ではなく、恐らく器用な秀才。狂気が絶対的に足りない気がした。
私の場合、彼の画は、眼を奪われても、魂はわしづかみにされないとういう感じ。

その足で、渋谷の帽子ショップCA4LAの一角で開催していたブラザーズ・クエイ人形展へ。
こちらは、純度の高い狂気がひんやり凝縮。大好きな映画「ストリート・オブ・クロコダイル」の
仕立屋の人形たちと間近に対峙し、しばし動けない。魂をわしづかみにされるとは、こういうこと。

クエイ兄弟の新作映画「ピアノチューナー・オブ・アースクエイク」も近々観にいこう。

帰りに、美味しいコーヒー&グランマニエのクレープをぺろり。

結局この日は徹夜で原稿書き。さらに翌月曜は、渋谷でインタビュー取材後、
恵比寿にあるOxy Studioオーリエさんの事務所にて、仕事の話を超え、朝4時まで盛り上がり。
非常に共感し、かつ鼓舞されたので、帰宅して再び原稿書きに戻るも、不思議と元気な自分。


火曜は、銀座で組み紐作家の原野先生と会い、トリコロールで人を交えてお仕事の話。
三船敏郎の「男は黙ってサッポロビール」のCMを作ったというプロデューサーの方から伺った
当時のエピソードが実に面白く。帰りに、原稿の構成をぼーっと考えながら日比谷公園を散策。


しだいに夜の帳がおりていく刻に、樹々のしじまを漫ろ歩くのは、夢の中を歩く感覚に似ている。
たまたま、噴水広場で昭和20年代に使われていた国産のレトロな映写機で『木を植えた男』を
上映していた。この映写機自身に、今までどんな映画を映してきたのか訊いてみたい気がした。



水曜朝は自転車に乗って渋谷へ。校正原稿を渡し、公園通りから代々木公園へ。
スカッと晴れた秋空が心地よい。帰ってから書かなきゃいけない原稿のことを一瞬忘れる。


日曜夜にこの辺を通った時は、大勢の人が踊っていたけど、平日の午前中は至って長閑。


公園に入るとすぐに満開の薔薇がたくさん見えた。近づくといい香り。



実は、ここ半年ほど私の中でなぜか紫ブーム。世の中的にも流行っているけど、それはたぶん偶然。
先日も、葡萄色のカシミヤストールを衝動買い。その日にお会いした原野先生にも紫や青、白を
かけ合わせた自作の美しい組み紐と、ラベンダーカラーのシルクスカーフをいただいた。
先生いわく、私のイメージカラーだそう。オーリエさんにカラーチャートで「この色がイメージよ」と
指摘されたのも、やっぱりこの辺の色。キムリエさんにも夏に薄紫のストールをいただいたし。
ちよさんは「紫に近い茄子紺がイメージ」という指摘。ふしぎな紫シンクロニシティ。
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山手トンネル アンダーグラウンド

2008-08-09 08:46:30 | Tokyo 闊歩・彷徨・建築探偵
この近未来映画のセットみたいなとこは、東大駒場キャンパス側を走る山手通りの地下30m。
再来年開通する「山手トンネル」の建設現場だ。トンネルの先は渋谷方面なり。

これは都心の渋滞緩和目的に東京都と首都高速道路㈱が進めている
首都高の地下トンネル化計画の一環で、トーキョー スムースというらしい。
いつ見てもまったり工事中状態の新宿から初台、富ヶ谷、神山町付近の山手通りだが、
地下ではこんなすっごいことになっているのだ。

週末、その「山手トンネル」の見学会に参加した。
参加者全員ヘルメットを被り、配られた団扇を片手にいざ山手通りの地下に潜入――

ぷーんと乾いたコンクリートの匂い。階下におりていく度にひんやり感が確実に増す。
なんだか、地下墳墓とか地底人の巣にいざなわれていく気分。

この奇しいサイバープラントみたいなとこは神山町換気所の地下。
天井や壁を無数に這うダクトがシド・ミードっぽくて、わくわく。

ここでトンネルがいかに安全で、いかに環境に配慮した仕組みになっているか
という具体例をざっくり聞く。確かに最新技術を結集しているのかもしれないけど、
案内リーフレットにあった「ここも、あそこも、エコロジー」というキャッチは弾けすぎだから。

この巨大シールドマシンが、回転しながらモグラみたいに1日数mずつ掘り進めているそう。

2年ほど前、うちの前(地下)をこれが通るというアナウンスがあった。
通過中は、数分置きにダーンという振動を感じた。モグラっていうか、あれはゴジラだった。


これは、現代アートの作品、と言い張れば、それはそれでまかり通りそうな。。
正体は換気所で回る巨大ファンの騒音を軽減する消音装置。
実演していたが、確かにそれなりの消音効果だった。


この外光を取り入れた一角は、フランク・ゲーリーの最新建築作品みたい?


ひんやりした地下から再び地上に出れば、むんむんの炎天。
この日の最高気温は35℃って予報だったけど、体感温度は恐らく40℃。
首都高の人に冷たいお茶と、ETCのゆるキャラグッズなどをいただき、うちに帰るやいなや
またすぐに池袋へ打ち合わせに。前日も別件で池袋取材があったので、二日連続の炎熱池袋詣で。

ビルの谷間から見えた昼下がりの夏雲。私は瞳の色がカラコン入れているみたいに薄いので、
帽子や日傘にサングラスがないと こんな日は眩しすぎてしおしおに…


池袋から新宿へ向かうため、埼京線のホームに行くと、こんな無人キオスクが。
左のお菓子自販機は見たことがあるけど、右の文庫本自販機は初見。

吉田戦車『なめこインサマー』から『島耕作に知る「いい人」をやめる男の成功哲学』まで
漫画&人生指南系中心のラインナップ。ここで「いい人」がそんな本を買って電車で読むのかーー。。

どうせならコレ↓も自販機に入れては? セゾンの栄枯盛衰から消費社会をえぐった
堤清二こと辻井喬氏の濃密対談なのだが、実に興味深かった。池袋にぴったりでしょ。
ポスト消費社会のゆくえ (文春新書 633)
辻井 喬,上野 千鶴子
文藝春秋

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☆☆
一昨日、取材帰りに山手通りに架かった陸橋から撮影した夕映え。
5月にニキが灰になった日、同じ場所でやはり夕空を撮影したっけ。


ちなみにこれは、昭和10年頃の山手通り(代々木八幡付近)。
『渋谷の記憶 写真で見る今と昔』渋谷区教育委員会発行より

この写真の中に入って辺りを散策してみたい、と真剣に思う。
最近話題のGoogle mapストリートビューをもってしても、叶わないことだけど。
過去の風景を見られるストリートビューがあったらいいなああ!

☆☆
うちに戻ってアイスクリームを食べ、窓から空を見上げたら、小さなクレセントが。

“鳥の巣”からも見えたかな。
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花の寓意

2008-07-18 03:48:39 | Tokyo 闊歩・彷徨・建築探偵
今日の夕方、表参道での打ち合わせ帰り、代々木公園に寄り道した。
芝を刈り取った直後らしく、むせかえるような草いきれの宵闇に、ぽっと満月が浮かんでいた。

中央の池では、夕涼みをする人々の姿がちらほら。何か光るものを回して遊んでいたり、
パーカッションやタップを黙々と練習する音が聴こえる中で、噴水をほおっと眺めていた
エプロン姿のお婆さんの後姿がとてもかわいらしく、そしてすこしかなしかった。


公園の一角にある薄暮の薔薇園。秋冬は素っ気ない空間だけど、花がある時季は気配から違う。
黄昏時の薔薇は、なぜこんなに甘美なんだろう。そして、やはりすこしかなしいのだ。


☆☆
月曜は、母と「ウィーン美術史美術館所蔵 静物画の秘密展」を観に乃木坂の国立新美術館へ。
17世紀にフランドル地方やイタリアで流行った静物画の名作が多々あり、予想以上に前のめりに鑑賞。
特に興味深かったのは、ベラスケスの「薔薇色の衣裳のマルガリータ王女」もさることながら、
ヤン・ブリューゲル(父)の「青い花瓶の花束」(1608年)。尋常ならざるディテールに目が釘付け。

ここに、実に百数十種の花が描かれているそう。この花瓶にそんなに挿せるわけもないのだが(笑)
当時の静物画は、さまざまな寓意を表すために周到に配列されたフィクションの世界。
花は“大地”、貝は“水”、髑髏は“空虚”など、さまざまな暗喩に満ちていて面白い。

ボッカチオの一幕を描いたルーベンスの「チモーネとエフィジェニア」も生で観ると、息を呑む。

しどけなく眠るエフィジェニアと目が合い、チモーネ君がはっと恋に堕ちた決定的瞬間。
かなり巨大な作品である。エフィジェニア嬢の妖艶極まりない流し目の迫力はぜひ生で(笑)

午後は御茶ノ水へ。ニコライ堂で母と別れ、私は仕事の打ち合わせに、母はパーティへ。


☆☆
火曜は、サンマリノ共和国大使館へ。

六本木ヒルズ裏、元麻布の入り組んだ路地の一角にある密やかな一軒家が大使館。
サンマリノ共和国はイタリアの中にある世界屈指の小さな国。
先日、歴史的地区が世界遺産に登録されたそう。

大使館の一角。中央に鎮座ましますゴールドの仏像、どう見ても東南アジアものっぽい。。


ここで、特命全権大使のマンリオ・カデロ閣下、アバンギャルドなフラワーアーティスト秋谷祐子氏、
芸大准教授の布施英利氏というなんとも不思議な組み合わせの鼎談取材。テーマは、花。
これは秋谷さんの作品。男性が女性にメタモルフォーゼしている瞬間だそう。

胸から蓮ではなく、内腑から真紅の薔薇。花に潜むさまざまな暗喩が想像力を刺激する。

むろん、ブリューゲルであろうと、誰であろうと、その作品の読み解き方は、ひとつではない。
あくまでも、解釈は受けとめるひとしだい。絶対的な正解など存在しない。

☆☆
花といえば、ここのところずっと部屋に百合を欠かしたことがない。
うちのニキコーナーにも相変わらず、百合。黄色い百合だったり、薄紅色の百合だったり。

白い百合は聖母マリアの象徴でもあるのだが、私にとって百合は――とくにその香りは、
彼岸と此岸を結ぶメディアのような存在なのだ。
もうすぐ、盟友みるの命日。明日も、うつくしい月が見られるといいな。
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東京建築物語

2008-07-06 01:33:11 | Tokyo 闊歩・彷徨・建築探偵
先週、目黒GALLERY COSMOSで開催中の「木村直人写真展-東京建築物語」(~7/6)へ。
上の写真は、展示作品のひとつ。日本民藝館の柳宗悦の書庫だそう。古書に埋れたこの光景に陶然。

展示写真は、6月に出た『東京建築物語』のためにキムナオさんが撮り下ろした作品ばかり。
本の著書は北井裕子さん。東京の建築遺産を巡る数奇な物語が端正な文章で綴られており、
建築物にしとねつく光と影を独特の空気感で包み込んだキムナオ調の趣き深い写真と共に愉しめる。

東京建築物語
北井 裕子
エイ出版社

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私が特に気に入ったのは、原美術館の階段写真。
すり硝子に映った木洩れ日が、美しいテキスタイルのよう。


会場で催されたパーティで挨拶するキムナオさん(右)と北井さん(左)。

パーティ後は、キムナオさん&キムリエさん、北井さん、編集者の花園さんたちと
夜更けまで盛り上がり。北井さんの団地萌え話も非常に興味深く。
(私も集合住宅萌え系なので(笑))

今回の企画に触れ、私が十代の頃に愛読していた松山巌の『乱歩と東京 1920都市の貌』を
また読み返してみたくなり。乱歩の世界を軸に、昭和初期の高等遊民の憂愁や社会的背景に
深い洞察を巡らせた渾身の都市文学論。しっかし、ぼっろぼろだなぁ。。


☆☆
火曜は『モダン・インテリア』の撮影で西馬込のハウススタジオに朝から晩まで缶詰。
馬込といえば、三島由紀夫の白亜のお邸があるところ。
翌日もたまたま都営浅草線に乗り、駅でこんなフリーマガジンをゲット。

『中央公論アダージョ』。キャッチは「上質な休日をエスコートする」。ふうむ。
読めば、馬込には朔太郎や室尾犀星、北原白秋、山本周五郎などなど錚々たる文士が居住しており
「馬込文士村」とも呼ばれていたそう。そんな馬込に三島由紀夫が移り住んだのは1959年。


これはうちにあった1995年『芸術新潮』の三島特集号に出ていた篠山紀信撮りおろしの三島邸。
当時三島が交流していた澁澤龍彦の驚異の部屋にも通じるキッチュな宇宙が ここにも息衝いている。。
(あ、今日はギャラリーTOMで開催中の「旅の仲間 澁澤龍彦と堀内誠一」最終日。行かなきゃ)

☆☆
水曜は、素敵なマダム千鶴子さんのお誘いで、銀座で中華ランチ後、東日本橋の雑貨問屋へ。

戦利品の一部。我ながらアニマルなアイテムが多い。。別のイミでやはりキッチュ。。

さらに帰りは新橋で、千鶴子さんおすすめのにんにく注射を初体験! 注射は苦手ながら
疲労回復に即効性があるという噂通り、前日のスタジオ缶詰疲れがかなり緩和され。
<新橋駅前で微笑んでいたヴィーナス。
おやじビルと呼ばれるこの「ニュー新橋ビル」は1970年代の匂いがふんぷんとしていて好き。
この鱗みたいなルーバーもいかしてるし、中のちまちました店舗の迷路もツボ。

☆☆
金曜夜、仕事のDVDを観ようとTVを点けたら、懐かしいライヒのミニマルミュージックが。。

今年5月に東京オペラシティでスティーヴ・ライヒ本人をゲストパフォーマーに迎えて行われた
「コンポージアム2008」公演の模様が流れていたのだ。ついつい聞き惚れてしまい
仕事のDVDを観始める頃には既に深夜。「オフサイドガールズ」「ラスト、コーション」を観て眠り、
土曜は引き続き「チャールズ&レイ・イームズDVDBOX」「パウル・クレー」を観賞。ぁあ仕事冥利。
感想は原稿を書いた後、また。
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