夜空に月がふたつ。
「六本木アートナイト」でのできごと。
3/27土曜。日没後、ミッドタウンの桜の下にて、レイちゃん&ハカセと合流。
相変わらず肌寒い中、周囲には既にかなりの人垣ができていた。
ほどなく、桜並木の向こうから、巨大な“白い人たち”がふわりふわり登場――
人垣がすごすぎて足下を撮影できなかったのだけど、
彼らは竹馬のような花魁のぽっくりのようなかなり細長ーい上げ底状の足で
キリンのように二足歩行していた。
この“白いひとたち”こと、フランスのパフォーマンス集団「カンパニー・デ・キダム」の
パフォーマンス〈ハーバードの夢〉は、’97年以来、世界各国で披露されている演目だそう。
‘80年代、頭に大きな目玉マスクを被った目玉親父みたいな人々がタキシードで踊る
謎のパフォーマンス集団「ザ・レジデンツ」が来日して話題になったことがあったけど、
あのなんともいえない脱力系のノリにどこか似ているように感じた。
’80年代なら、恐らく「ブキミー!」といわれながら愛でられたであろう存在感。
大真面目なんだかふざけてんだか、アートなんだか大道芸なんだか…という微妙な臨界点がミソ。
彼らは妖しいバルーンオブジェがゆらめく芝生広場をしばし回遊。
そうこうするうち、巨大な頭部がやおら ぽわっと発光した。
すぐそばにいたお子さまが「ぴっかりん!ぴっかりん!」と大興奮。
頭部を時おり明滅させながら、月と東京タワーを背景にふわふわ踊る“白いひとたち”。
やがて、彼らの親玉のような大きな白い玉が、宙に向かってゆっくり放たれると
ベールを脱いだ白い親玉は、夜空を浮遊しながら もうひとつの月になっていった。
白いひとたちは、月の使者だったのかもしれない。
昨年から始まった「六本木アートナイト」は、国立新美術館、東京ミッドタウン、六本木ヒルズ、
森美術館などなど 界隈のアートトライアングルをつないだ一夜限りのオールナイトアート祭り。
気取ってスカした敷居の高いアートではなく、もっと卑近にアートを楽しもうという意図は
あえてキンアカチラシ的な看板やポスターなどのデザインからもむんむん伝わってくる。
メインデザイナーの北川一政氏いわく「スタイリッシュでソリッドで今っぽいシャレたものだけが
デザインなんだという概念や意識には、つねづね疑問を持っています」byアートナイト公式HP
私たちは 他の日でも観られる美術館などのハコモノにはあえて入らず、
この期間しかお目にかかれないものを中心にゆるゆる観て回った。
これはミッドタウンのキャノピー・スクエアにあった映像制作集団「WOW」の映像スカルプチャー。
巨大な円筒に投影された映像メタモルフォーゼに、なにげに見入ってしまった。
こういうのって案外退屈な場合があるけど、これはアイデアが濃密で見ていて飽きなかった。
左はミッドタウンOPEN3周年アニバーサリーの巨大ケーキオブジェにて
ポンチョの私とレイちゃん。 右は六本木ヒルズにいた巨大薔薇オブジェwith月。
左はヒルズ内で見つけた〈六本木の猫道〉というインタラクティブアートby浅野耕平。
実在する猫たちの映像が、ベンチや自転車の周りになにげなく点在していて、微笑ましい。
真ん中は市川 武史のインスタレーション〈オーロラ’10 Roppongi〉。昨夜たまたま
ノルウェーでオーロラを見た方の記事を書いていたので、なんとなく重ね合わせてしまう。
右は桜もいい感じに開いた毛利庭園。池にはチェ・ジョンファのキッチュな蓮〈ロータス〉が
時おり蠢いており、芝生にはBoConcept の真っ赤なロング・ソファにはべった人々が
ムカデのように連なっていた。庭園前は屋台が賑々しく並ぶ夜店状態で、北海道名物イカめしの
滋味深いアロマが一帯に濃厚に漂っていた。私たちもそれにつられて夜桜withイカめし(美味)。
アートナイトは全体にキッチュな印象だったが、
中でもアリーナは郊外の遊園地的様相を呈していた。
そしてここにも、イカめしアロマがしっかりと充満しているのだった。
真夜中以降は53Fの東京シティビューをオールナイトで開放していたので、
そこで夜明けを見る手もあったけど、よいこは早めに帰ることに(笑)
松蔭浩之氏の最強キッチュ(とおぼしき)作品を体験できなかったことは心残りでしたが。
帰り、界隈の路肩でも幾つかキッチュオブジェに遭遇。
廃材の玩具を再構築して怪獣に仕立て上げた藤浩志の作品のディテールが面白かった。
しかし、背景がなんとも六本木だなあ。。
先週は随分と寒い日が多かったけど、
桜はめげずに着々と開花に向けてシゴトしてたらしい。
私もがんばろううー。