goo

アイ・ウェイウェイ、ナイトギャラリー、小林かいち

2009-08-25 22:58:49 | Art

新月の夜。思いのほか涼しい風が吹き巻く高い塔の上から 自分の棲む街を眺める。
ほんとうは、月も星も見えない夜空が地上で、星屑のように煌く地上が天空なのではないか?
と思いつつ 塔を降りようとした瞬間、「どん どどん」という破裂音。
どきっとして振り返ると、鮮やかな花火。場所は神宮球場あたり。花火ナイター?
屋上にはなぜか中国語の黄色い歓声。

なんだか、「電気羊はアンドロイドの夢を見る」な懐かしい気分に @森タワー スカイデッキ


先週末、西麻布でのながーい打ち合わせの後、
自転車で日が落ちたばかりの六本木ヒルズに立ち寄り、
「アイ・ウェイウェイ展 何に因って?」@森美術館を観てきた。

アイ・ウェイウェイといえば、北京オリンピックで注目を集めた奇抜なスタジアム「鳥の巣」の
設計者であり、建築や現代アートから家具デザインまで手がけるマルチアーティスト。
かつて寺山修司が「職業は、寺山修司です」と答えていたというのは有名な話だが、
アイ・ウィエウェイも「職業は、アイ・ウェイウェイです」というほかない類のひと。

「鳥の巣」の夥しい建設写真コラージュで覆われた美術館の入口。

驚くかな、森美術館では作家の同意の下 館内撮影を許可していた(ストロボ&三脚&動画撮影は×)。
海外の美術館では撮影OKなことが多いが、日本では外観撮影さえ×な所がある位だから英断かと。
記録のための写真なら図録で事足りるけど、作品をフレームに捉えようとすると、
ただ眺めるだけのときよりも、作品との対峙の仕方が明らかに変わってくるから面白い。

これは、中国ブランドの永久自転車をパズルのように組み上げた「フォーエバー自転車」。
本来の機能を見事に去勢されたナンセンスオブジェは、かつての自転車大国が
急速に車社会化する背景をシニカルに象っている。
マルセル・デュシャンのレディメイドへのオマージュでもあるよう。


左は プーアール茶を敷き詰め、プーアール茶で構築した「茶の家」。当然、辺りは猛烈芳香。
真ん中は 箪笥の円い空洞を覗くと 月の満ち欠けが見える「月の箪笥」。古代中国の寓話の如し。
右は 唐代の骨董にコカ・コーラのロゴを描いた「コカ・コーラの壷」。他にも新石器時代の壷を
工業用塗料で毒々しく染めた作品や、漢時代の壷を落として割る3枚の連続写真作品などもあり。


館内の監視スタッフ用チェアも、清代のアンティーク椅子という凝りよう。


アイ・ウェイウェイのアートは一見、非常に分かりやすく、クラフトマンシップ的な洗練度もあり、
欧米人好みのオリエンタリズムに満ちている。が、彼が政治的迫害によって少年期を新彊で過ごし、
青年期はアメリカで暮し、天安門事件後の‘93年から北京で活動している来歴ゆえともいえる
越境感覚は、土着のチャイナ・アヴァンギャルドとは視点が大きく異なる。
彼の作品モチーフの多くは中国というアイデンティティー抜きには語れないが、
彼にとって西洋は単なるアンチでも憧れでもなく、その視線は東西を超えた地平に注がれている。


これは激しいスクラップ&ビルドを展開する北京の風景をコラージュした「暫定的な風景」。
十年ほど前、留学していた弟を訪ねて行った時の北京の風景は、いまはもうないんだろうな。
昨年観た激変する中国を捉えたドキュメンタリー映画「いま そこにある風景」や、
三峡ダム建設のために水没していく町を描いたジャ ジャンクー の「長江哀歌」を思い出した。
昨夏、「アヴァンギャルド・チャイナ展」「いまそこにある風景」「長江哀歌」の感想)でも書いたが、
伝統と革新が激しくせめぎあう今の中国からほとばしるアートの行方がやっぱり気になる。


アイ・ウェイウェイ展の少し前に、表参道のhpgrp GALLERY 東京で開催中の
元田久治展を観た。そう、こちらもモチーフは鳥の巣スタジアム。
ただし、描かれているのは、廃虚と化した鳥の巣なのだが。


元田氏の作品展は、昨年新宿で観た「VISION増幅するイメージ」以来2度目。
渋谷、銀座、六本木、秋葉原、東京タワー、鳥の巣。。。彼の描く廃虚画に不思議と魅かれるのは、
暴力の匂いがしないから。それはゴジラとか核爆弾などに荒らされた廃虚ではなく、
天災で人々が滅びた後、少しずつ自然に蝕まれていったような緩慢で静謐な廃虚なのだ。
“あと千年も経てば、いい感じの世界遺産に成長しそうな廃虚”とでもいおうか。
アイ・ウェイウェイ展と合わせて観ると、また面白い。
なによりアイ・ウェイウェイ自身に感想を聞いてみたし。



さて、アイ・ウェイウェイ展のすぐ側、麻布十番のSTUDIO TORICO では8/20~27まで
ナイトミュージアムならぬ、ナイトギャラリーを開催しており、17時~23時と
宵っ張り人間にはうれしい時間帯にオープン。


今回の木村直人写真展「gale」は、何かにフォーカスするのではなく、
gale(疾風)=カメラに任せて撮った新境地の作品が並ぶ。そのコンセプトに合わせて作られた冊子も、
配布しているので、ぜひ。手作りの内装も心地よく、キムナオさん&キムリエさんとついついまた
遅くまで話し込んでしまった。今度、トリコで写真のプリントもお願いするつもり。

ナイトギャラリーは今週8月27日(木)までなので急いでSTUDIO TORICOへ!!
(トリコへは麻布十番駅から徒歩約10分。六本木TSUTAYAからなら徒歩約5分と至近です)



日曜は、行こう行こうと思っていた「謎のデザイナー 小林かいちの世界」展の最終日であることに
はたと気づき、陽射しが少し衰えた夕刻前、赤坂のニューオータニ美術館へ。


小林かいちは、大正末期から昭和初期にかけ、
当時の女子に絶大な人気だったという京都スーベニールの牙城
新京極の「さくら井屋」の絵葉書や絵封筒の図案を多数手がけた木版絵師。
近年、その優美でメランコリックな作風が注目され、京都アール・デコとも謳われている。
よく枕に「謎の」とつくのは、経歴などが詳細不明であるがゆえ。


会場は、ほぼ妙齢の女子一色だった。夢二とか、中原淳一とか、内藤ルネとかに通じる
乙女系アーティスト作品には、時代を超えて女子心を虜にする決定的なツボが潜んでいる。
私はこれを“ガールツボ”と呼んでいます(笑)。かいちは模倣されることも多かったというけれど、
このガールツボがない輩が模倣していたら、きっとすぐに見破られたはず。

美術館の帰り、赤坂見附の弁慶橋から江戸の名残の弁慶濠を臨む。
紀尾井坂といい、この辺りといい、高層ビルや高速道路を傍目に妙に鬱蒼としていて
ヒグラシやツクツクボウシが先導する蝉時雨も、車の轟音に負けていなかった。


帰途、代々木公園を自転車で通過した時に見たオオハンゴンソウ(大反魂草)。
この日、たまたまTVでハンゴンソウは在来植物の生態系に影響のある特定外来生物ゆえ、
どこかの公園で大量駆除したというNewsを見た。生態系を慮れば仕方ないことかもしれないが、
せめて駆除した花は無残に捨てないで切り花として活けてあげてほしい。。と思った。
生命力が強いだけで、花そのものに罪はないのだから。(天ぷらにして食べると美味しいという話も)


薔薇はさすがに最盛期の美貌を保っているものはごく僅かながら、近寄ればやっぱりいい香り。
カナブンたちにたかられている薔薇の名は、シャルル・ドゥ・ゴールさん。



8月23日は故ニキの誕生日。生きていれば18歳だった。
先日ちねんさんから入手した蜜蝋で手作りした新しいキャンドルに火を灯し、
心の中でニキを抱きしめた。ニキのふわふわあったかな感触は永遠にここにある。


翌月曜は、夕方近くに凄いスコールが降った。終日、家で原稿を書くだけの日だったので
窓から眺める分にはすこぶる爽快だった。ベランダの木々も横殴りの雨にざあざあ洗われながら
歓喜していた。日没直前、不意に雨の上がった西空の美しさにみとれていたら
三日月が雲の切れ間から「やほっ」と貌を出した。
goo | コメント ( 0 ) | トラックバック ( 0 )

残暑ショートトリップ、芦屋~旧居留地

2009-08-20 13:39:09 | Travel 国内外猫の目紀行
トンネルの暗闇と暗闇の合間を縫って、列車の窓から鮮やかに飛び込んでくる海景色。
すぐ近くに在るのに どこか遠い。移動が多かった先週~週明けにかけ、そんな海景色を方々で見た。

お盆の一寸前に実家へ。夏に帰るのは数年ぶり。
玄関には、雨上がりの甘露を湛えた淡い紫のムクゲ。
足元には、ハート型をしたリーフの裏が血脈のように紅いシュウカイドウ。
まだ実の蒼いナンテンには、主翔った後の空蝉。
その頭上から降り注ぐ ドルビーサラウンドな蝉時雨。


庭には満開のサルスベリ。幼児期、この木によじ登ろうとしていたというお転婆伝もある。


家には母が庭からとってきたりしてささっと活けた花々があちこちに。
大仰に活けこむのではなく、手近な花瓶への気ままな投げ入れ。母娘、やることが似ています。


お墓参りに持っていった蓮の残り。お墓って、しっかり掃除すると随分きれいになるんですね。



お正月のblogにも書いたけど、実家には両親の書棚が方々にあり、どこでも古書店状態。
今回は、あまりにぼろぼろになっている本は思い切って整理したいという母を手伝った。


しかし父が若かりし頃の本は宝の山。見れば見るほど「おおっ」という本を見つけてしまうのだ。
重森三玲の「庭こころとかたち」なんて灯台下暗しもいいところ。なんで今まで気づかなかったの?
そんなわけで、今回はこんな本たちを十数冊連れて帰ってきた。


ついでに、膨大な数の父のビデオコレクションも場所をとるので三分の一ほど処分した。
いくら懐かしいといっても、ベータじゃ仕方がないし、もう父が逝って7年も経つし。
心の中で父に「もういいよね?もしよかったら、キジバトの声でも鳴らして合図して」と
呟いたところ、間髪入れず庭から「クウクウククーク」という長閑なキジバトの鳴き声がして驚いた。

ふと庭を見ると、キジバトの姿は見えなかったが、
植えた時には小枝みたいだったというトチノキが、真昼の炎天下にすっくとそびえていた。




実家から帰ってきてほどなく、今度は打ち合わせで神戸へ。日帰りの予定だったけど、
春に行った時と同じく 前泊して束の間の神戸散策を愉しんだ。
今回訪れたのは、芦屋。お盆ということもあり、商店街は軒並みお休みで人影もまばらだったけど、
芦屋川の畔では家族で水浴びしたり、BBQしたり、魚獲りしたりという長閑な光景が散見された。


灼熱の太陽が照りつける白昼、芦屋駅から芦屋川沿いに「ライト坂」と呼ばれる急坂を
日傘を片手にふうふう登っていくと、こんもりした緑の高台に、F.L.ライトが設計した
「ヨドコウ迎賓館」が見えてくる。たっぷりした大谷石の量感と、幾何学的なディテールは
まさに、ザ・ライトな外観。内部は写真撮影不可だったのでお見せできないのが残念だが、
端正さと自然の野趣を見事に融和させた空間美は、天才のしわざ。


大正末期に山邑家の別荘として建てられたこの邸宅は、戦後に淀川製鋼所の所有となり、
‘80年代に創建時の状態に大規模修復された。日本に現存する完璧な形のライト建築は
ここと目白の自由学園明日館だけというから、かなり貴重な存在といえる。
葉を象ったという緑青が印象的な窓の銅板も、
仏壇金物細工専門の京都の職人に復元させたのだとか。


そこから坂を下り、芦屋界隈を循環する乗り合いバスで、「芦屋市 谷崎潤一郎記念館」へ。


日本橋生まれでハイカラ趣味の江戸っ子・谷崎潤一郎は、関東大震災で関西に逃れたのを機に
芦屋をはじめとする関西に定住するようになった。記念館には、関西最後の住まいとなった
京都・下鴨の邸宅の庭を模した日本庭園があり、中の展示も非常に濃密なものだった。


「谷崎が愛した猫と犬」という特設展をちょうど併設しており、谷崎の猫崇拝ぶりを、
『猫と庄造と二人のをんな』をはじめとする作品を例につぶさに検証していて実に興味深かった。
『痴人の愛』のナオミも まさしく猫の化身だし、文豪を猫で斬ると また違う世界が見えてくる。
(余談ながら、内外の猫文学を採り上げた心理学者 河合隼雄の『猫だましい』でも、
「とろかし猫」という章で『猫と庄造と~』を徹底分析していて非常に面白い)

お土産に、谷崎作品の挿絵ポストカードを買ってきた。『蓼喰ふ蟲』は小出楢重、『鍵』は棟方志功、
『猫と庄造と二人のをんな』は安井曽太郎、新潮文庫の谷崎シリーズのカバーは加山叉造などなど
なんとも贅沢な面々。私が谷崎に夢中になったのは高校時代だが、家にあった筑摩文学全集に
こんな美しい挿絵はついていなかった。谷崎、久々に読み返してみよう。



夕刻には元町に向かい、旧居留地の散策へ。。が、ホテルでうっかりうとうとしてしまい
(部屋になぜかこじゃれたマッサージチェアがあり、肩を揉まれている間に睡魔に襲われたのだ)
慌てて外に出ると ちょうど夕暮れのライトアップが始まったいい頃あいだった。
日が落ちるにつれ雑雑としたものが夕闇に消され、
ローマやパリの街なかを闊歩しているような錯覚さえおぼえた。


ヴォーリズ設計の旧居留地38番館をはじめ 点在する近代西洋建築にはブティックやレストランが
建物の美観を損ねることなく佇んでおり、街並み全体の美意識の高さは想像以上だった。
この旧居留地といい、ライトのヨドコウ迎賓館といい、4月末に訪れた北野異人館街といい、
近代遺産を大切に修復保存している所には、何かとてもまろやかな気が流れていて心地よい。



旧居留地から南西にそれて南京町に入ると、風景は一変。中華街になる。
南京町は春にもながれさんに連れていってもらったが、夜はまた一段とお祭のように華々しかった。
居留地に住めなかった華僑の雑居地 南京町と、居留地から山手に流れた異人の街 北野。
旧居留地を挟んだ町と街のプロフィールが、あちこち練り歩いてみてようやく腑に落ちてきた。



翌朝は眠い目をこすりつつ、打ち合わせのあるハーバーランド方面へ少し早めに向かい、
明治期に建てられたガス灯や赤煉瓦倉庫が並ぶ埠頭をゆるっと散策。
ヨコハマにも似ているけど、シドニーの街の断片が不意に脳裏によみがえった。


埠頭の側には川崎重工のドックがあり、AFRICA云々と書かれた船が停泊していた。
この炎天の下ではたらくおじさんたちは大変だなあと眺めているうち…、誰一人として
微動だにしてはおらず、人形であることに気づいた! 誰ですか、この悪戯者は?(笑)

                                     ↑はたらくおじさん人形

でもって、ハーバーランドの遊歩道にはなぜかレイをかぶったプレスリー像が。
ネットで調べたら、実はこれ、このお盆直前に閉店した原宿のお店から連れて来られた模様。


その日、打ち合わせが終わったのは新幹線の最終間近。帰りの車内でカメラマンの方と
お弁当を食べながらMOON RIDERSの話で盛り上がり、あっという間に東京に着いた。

お盆明けの今週はいろいろ動き始めて慌しいし、相変わらず蒸し暑いけど
夏はしずかにしずかに終息へと滑り出している気がする。

goo | コメント ( 0 ) | トラックバック ( 0 )

目黒川コロッセオ、夢の島(World Happiness)

2009-08-11 02:59:01 | Event
ここのところ、熱帯の島にいるような空気。同じ熱帯でも、カラッとドライなハワイみたいな島より、
じとっとウェットなバリとかベトナムみたいな所の方が個人的には好みなのだが、
あいにく先週末はそんな所へ行くこともなく、“目黒川のコロッセオ”や 夢の島で過ごしていた。

と、目黒川のコロッセオとは――


「これ、タダオ アンドー作品?」と見まごうような巨大な円形状の構造物が
渋谷から池尻大橋の間、目黒川のほとりに着々と構築されているのをご存知だろうか?
正体は、国道246の上を通過している高速道路(渋谷3号線と中央環状線)をつなぐ
ループ状の「大橋ジャンクション」。サイズはローマのコロッセオに匹敵するといい、
その深さは10階建てのビルと同じくらいなのだとか。

週末、その大橋ジャンクションの見学会に行ってきた。
↓これは今年5月撮影の「大橋ジャンクション」空撮図。
首都高速道路㈱発行リーフレットより

リーフレットいわく、山手トンネルが全部完成すると首都高をはじめ一般道の流れもスムーズになり、
年間約20万tのCO₂削減になるのだとか。それは東京23区の3割を森にするのに匹敵するほど
エコロジカルなことなのだそう。もし、それが真実なら素晴らしいことだけど、
果たして机上の計算通り運ぶのか否かは、かみのみぞ知る でしょう。

さて、巨大なジャンクションの建設現場に近寄ると、乾いたコンクリートの匂いにさっと包囲される。
中に入ると、どこかSF映画の撮影現場みたいな、あるいは古代墳墓の発掘現場のような雰囲気。


ヘルメットや団扇、ドリンクを配布され、作業員に従いていざ内部へ。一見、普通の高速道路と
変わらない一角で、ジャンクションの断面図やシールドマシンの模型を見ながら、
環境&安全的にいかに優れた工法・仕様になっているかという説明を受ける。


そこからさらに建設途中のループを徒歩で進んでいく。

それにしても、建設途中の状態って、廃虚に似た倒錯的なフォトジェニックさがある。
タルコフスキーは「惑星ソラリス」のラストシーンに首都高を使ったけど、
ここもいつか別の記号を持って思わぬ作品に登場するのかもしれない(予言)。
 

できかけループからさらに草間彌生チックな大小の水玉パンチングメタルに
覆われた非常階段をどんどん昇っていくと――


だだっぴろい屋上に出る。空が広い。まっさらなコンクリートが一面に広がった
都市のエアポケットのような空間が、妙にシュールで快かった。
パンフによると、将来ここは「周辺の大気や騒音など、環境への影響を低減するための
覆い(覆蓋)の上に屋上公園が“立体都市公園”として整備されます」とのこと。
現在すぐ脇に再開発中の高層ビルに入る図書館などとも連結するよう。


屋上からナカメ方面を一望。


私は別に工事現場萌えのヒトではないけど、見下ろす建設現場はLEGOブロックみたいで面白い。
日本に数台しかないという巨大クレーンなんて、ゴジラより怖いからもう!
しかし、この蒸し暑さと間断なき機械音の中ではたらくおじさんたち、本当にお疲れさまです!!


夏休みのせいか、おこさま見学者も多数参加していた。彼らが大きくなっても、
東京って やっぱり工事中だらけなのかな。「パパはむかーし、ここが建設中の時に見に来たんだ。
想像できるか?」って、いつか彼らの子供にドライブしながら自慢げに語るのかな。

最後は再び目黒川に面した出口へ。思いのほか重いヘルメットを外して一息。。

大橋ジャンクションは、昨夏見学した山手トンネル(拙宅とも至近)と直結しており、
いうなれば、排ガスまみれの空間を丸ごと排気装置のついた“フタ”で覆っちゃって臭いものに蓋し、
どうせならそこをエコついでに屋上緑化も兼ねた区民憩いの公園にしちゃおっ♪
という発想かと(憶測)。=エコという図式には疑問が残るけど、高速に被せるフタには賛成です。

おみやげに、Mr.ETCのゆるきゃらグッズ(携帯ストラップ、エコバッグなどなど)いただいた。
出色は女性キャラであるMs.ETCカレージョのレトルトカレー(中)。首都高㈱×ハウス食品の
コラボ商品なのだが、「カレージョカレーは首都高を安全に走行いただくための景品です」との
但し書きも、パッケージを飾るカレージョ嬢の貴婦人風いでたちも、どこまで本気なのか冗談なのか。。


この後、あるいみ大橋ジャンクションよりも無機質な お台場の東京ビッグサイトへ。
玉石混交の癒しフェアで凛ととした香気を放つ蜜蝋キャンドルを販売していたちねんさんのブースに
お邪魔してカナダ直輸入の蜜蝋アイテムを入手し、ついでに冗談半分でオーラ写真を撮ってもらい。
(私のオーラは9割がグリーン、一部が黄色と金色だった。愉快な平和人ってことらしい:笑)
その後、あかしさん、やおちゃんとそのお友達のミナさんと新橋でゴハン。久々の邂逅、楽しかった!
ちょうど東京湾華火大会だったこともあり、浴衣人の群れと多数遭遇。浴衣、久々に着たいなー。



9日は6日の広島に続き長崎に原爆が投下された日。以前、弟が教え子の学生にテストしたら、
「原爆が落とされたのは沖縄」と答える子も居たという。戦後60余年の歳月は、短いようで長いのだ。
私も思いっきり平和ボケな戦後世代だけど、湾岸戦争や9.11を経て意識は一変した。
ヒロシマ・ナガサキのみならず、アフガニスタンにもイラクにもアメリカ本土にも
世界各国にさまざまな形で被爆した人たちが相当数居る。No More Hibakushaを心から願う。

その9日、夢の島で開催されたWorld Happiness2009へ。戦後の産物で埋め立てられた島で
ハッピーな音楽に興じていられる自分は、世界の中でつくづく幸せ者なのだろうな、と思った。
(写真撮影不可だったので、配布されたORANGE100%の団扇&レジャーシートにてご報告)

一緒に参加したのは、ご学友のえとさん&やごちゃん&
「わいえむうぉー?しらにゃあい」な えとさんの愛娘りんちゃん5歳。
のっけからピクニック気分で参加していたけど、照るでもなく降るでもなくのお天気で何より。
Pupaは相変わらずチャーミングで、聞き流していたLOVE PSYCHEDELICOも「Nice Age」の
カバーに思わずにっこり。昔「カルトQ」(懐っ)のYMO特集で優勝していたまりんことY.Sunaharaも
粘りけのあるビートとエレガントな旋律で私的に盛り上がった。この人の音楽、大好きなのだ。

後半のスチャダラパーからムーンライダーズで、それまでステージに背を向けていたりんちゃんが
にわかに踊りだす! やはり母えとさんのDNAは争えない。私は「夢が見れる機械が欲しい」で感涙。
「くれない埠頭」で「夏は終わった♪」とえとさん母娘が帰った後、なんだか妙に懐かしい感じの
相対性理論を経て、大トリはもちろんこの方々。

まさかのビートルズ「Hello, Goodbye」で始まり、アンコールの「Fire Cracker」まで
淡々とオーディエンスを揺さぶってくれた。個人的には「1000 Knives」にくらっとした。
そもそも私は少女時代にYMOよりむしろ坂本龍一のソロ「千のナイフ」に傾倒していた人なので。
‘80s謳歌組のやごちゃんと一緒に最後までくらくら(巷で話題の薬物とは一切無関係です:笑)


帰り、去年と同じく敷地内の夢の島熱帯植物館に寄り道。夜しか咲かないバナナの花や
たわわになっているカカオの実、発光するキノコ、食虫植物などなどをうきうき見て回る。


咲いたばかりのオオオニバスの花、今年も見られてよかった。はっとするほど甘い香りがした。




☆先週、その他もろもろ。

火曜は取材でパンパシフィックホテル横浜にあるトゥーランドット游仙境へ。
レストランの窓からは大観覧車が。でもその真下に見えた「恐怖の館」なる建物の方が気になった。。


帰り、高速を走る車のバックシートでうとうと。ふと見上げると、夏色の東京タワーが視界に。



水曜はカッシーのお誕生日祝いで武蔵小山のチュニジア料理店イリッサへ。
メリティさんの作る料理はどれも優しい味付け。ローズ水で淹れるコーヒーも美味。
界隈の路地には小料理屋さんなどが累々と。ウケたのは「焼肉カサブランカ」と「麻雀ローマ」。


お腹いっぱいになった後はキムリエさん&レイちゃんとカッシー宅でわいわい。
いつかみんなでローマ経由チュニジアに行けたら、さぞかし楽しいだろうなあ!


本日は雨曇りだけど、先週は満月週間で美しいお月さまに何度も逢えた。
夜明け前、ベッドルームに差し込む月明かりに見とれてうっかり朝を迎えたり。
月の真下には煌々ときらめく星も。

月が沈む直前、「ジ…ジジッ」と生まれたての蝉が鳴き初める声を何度か耳にした。
空が白む頃には、その新米蝉くんもジーンジンジンという大合唱の立派な一員に――
goo | コメント ( 1 ) | トラックバック ( 0 )

センチメンタル・ジャーニー、エンドレス・ヴォヤージュ

2009-08-03 22:04:16 | Art
毎日ぱたぱたしている間に8月。
7月の終わりにみた薔薇色の朝焼けは、遠い旅の記憶のように、彼方へ――

☆TCJF 2009

週末金曜、新丸ビルの丸の内ハウスで開催された[Tokyo Cross Over Jazz Festival 2009]の
プレパーティへ。夜風の心地よいテラス席でレイちゃん&ハカセと楽しい時間。

仕掛け人は毎度ダンディないでたちの沖野修也さん。DJ歴20週年になるそう。
SOIL&“PIMP”SESSIONSの“社長”やquasimodeのTakahiro“Matzz”Mitsuokaさんの選曲も
渋くてよい感じだった。本ちゃんは9/11@ageHa(年々開催が早まるのね)。

☆ウナドス

土曜は「ウナドス」のライブを聴きにキムリエさんと自転車2台連ねてクーリーズ・クリークへ。
ウナドスはバンドネオンの早川純さんヴァイオリンの江藤有希さん
エレキ&アコギの中西文彦さんの3人ユニット。ユニット名も音楽もラテンなイメージだけど、
実はウナドスとは「鰻どす(京都弁で)」なのだとか!!


1stステージはジョアンをタンゴ的に解釈したエレガントなベサメ・ムーチョではじまり、
2ndステージの冒頭はピアソラの甘美なリベルタンゴ、アンコールもピアソラの鮫。
パット・メセニーのカバーや3人3様のオリジナル曲も実に艶やかで、またもや鳥肌ものでした。
2年前のライブの感想blogはこちら

江藤さんの奏でるどこまでものびやかな音色は、幼少期に少しだけヴァイオリンをかじっていた頃の
憧憬にいざなってくれる。江藤さんのblogのライブスナップには最前列で聴き入るキムリエさんと私が。
私は完全に魂をもっていかれて背中が幽体離脱ぎみ(笑)。
ライブの後、キムリエさんちに寄ってキムナオさんと3人でちょっとわくわくするトリコ真夜中談義。
あ、スタジオトリコでは8/20から久々にナイトギャラリーを開催するそうなので、要チェックです。

☆ホームとアウェー

日曜午後は、日比野克彦氏のインタビューで池袋の東京芸術劇場へ。
多彩なアートプロジェクトを全国で同時多発的に行っている日比野さんのエネルギーの発露を伺う。
彼は生きている時間軸も空間軸も ゆったり大きい。でも決して大仰じゃなく、いいイミでゆるい。
いわく、300歳まで生きる予定とか?! 彼の生き方自体が旅であることに気づいた。
詳細は9月発売予定の『NODE』をご覧ください。

                                     ↑日比野克彦氏@池袋WGP
帰りに編集のみやざきさんと最近のアートや音楽の話を肴にパスタ&コーヒーブレイク。
ジーンズの品質と歴史についてのマニアックな話も興味深かった。

東京芸術劇場で開催中(~9/6)の日比野さんのアートプロジェクト
「ホーム→アンド←アウェー」方式[But-a-I]の詳細はこちらです


☆Sentimental Journey

先週、東京都写真美術館で開催中の「旅」をテーマにした所蔵作品展(全3部構成)の第2部
「異郷へ 写真家たちのセンチメンタル・ジャーニー」(7/18~9/23)を観てきた。


「写真術は旅の中で育まれ、その伝播は写真家という旅人たちによってなされた」という
観点で編集された同展の第2部は、旧国鉄が“ディスカバー・ジャパン”キャンペーンを始め、
アンノン族が流行った’70~’80年に発表された9人の写真家たちの旅を巡る写真で構成されており、
牛腸茂雄以外は森山大道、荒木経惟、秋山亮二、北井一夫、須田一政などALL昭和2ケタ世代。
冷徹な観察、残酷な発見、甘い憧憬、ゆるやかな崩壊、昏い彷徨・・・
凡百の観光写真とは一線を画する、鋭利な視線に貫かれた日本の光景に何度も魂をつかまれた。

柳沢信1972「片隅の風景」岩国より
ポスターにもなっている柳沢信のこの写真、ありがちな修学旅行の一コマが、かくも儚く醒めた
光景になるのかと絶句させられた。白く消し飛んだ背景とやや傾いだアングルが絶妙。


森山大道1978木古内「北海道」より
これは森山大道が写真を撮れなくなっていた数年間、北海道を旅した時の希少な作品のひとつ。
この時期のゴツゴツやるせない大道写真に無性に惹かれる。彼のスタイルを真似る輩も多いが、
こうした根源の葛藤が無いとすぐばれてしまう。一朝一夕にはあんなアレブレ写真は撮れない。

荒木経惟1971「センチメンタルな旅」より
処女作にして代表作でもあるアラーキーの新婚旅行の写真集「センチメンタルな旅」に漂う
抗いようもなくせつない空気感は、まさしく旅そのもの。


北井一夫1971「沖縄県石垣」いつか見た風景より
旅行雑誌のどんな素敵なカラーグラビアより、引き込まれる1枚。
ゼラチンシルバーの皮膜に、旅の本質が埋まっている。

*紹介したモノクロ写真4点はすべて公式ガイドブック「旅する写真」の掲載作品より

ああ 書を捨てて旅に出よう、と またしみじみ思う。
まあ 今この一瞬も 極私的エンドレス・ジャーニーの途上なのだと思うけど。


☆野菜力

夏が深まるほど 身体がみずみずしい野菜を求めるのは常だが、最近は特に野菜づいている。
先週、写美に行った日、オーリエさんと恵比寿で会い、彼女おすすめのレストラン「農家の台所」へ。
生で食べられる茄子やトウモロコシ、びっくりするほどジューシーなトマトetc…が並ぶサラダバーの
野菜をバーニャカウダで賞味。フレッシュな野菜や果実が詰まったドリンクも五臓六腑にしみわたる。
↓ピンクのハンチングがチャーミングなオーリエさん@サラダバー


その後オーリエさんちでまたもや夜明け近くまでお喋り。彼女と話していると、力のある野菜を
しゃきしゃきかじった後みたいに心が不思議とみずみずしくなる。

そして昨日は新丸ビルで食育関連のイベント取材。
場所は食いしん坊のはや先生にもご馳走になったことのある、野菜が絶品のイタリアンAWkitchen。
農家の方々に話を伺うと、まるで愛娘のように野菜を大切に育てているのがひしひし伝わってきた。



お洒落なレストランに比べれば、絵づらはかなりジミながら、
自分ちゴハンもここのところ、夏バテ予防の医食同源メニューづくし。
昨夜は雑穀&生姜ご飯に刻みエゴマをたっぷり。鶏胸肉とピーマン、クコの実、椎茸の
カシューナッツ炒めに黒豆などなど。胡瓜とジャコに生姜と茗荷をあえた酢の物も定番。
真夏は鰻とかガッツなメニューも食べるけど、基本は野菜中心の無添加な粗食で浄化したい感じ。


☆ENDLESS VOYAGE

原宿駅で電車を待っているといつも 明治神宮に面した無人の臨時ホーム側の緑に目を奪われる。
先日は終わりかけた紫陽花の足元で、1本の百合がたいそう好奇心の強い子供みたいに
ホームまで迫り出しており、ちょっと微笑ましたかった。電車に乗ってどこか旅したいのかも。


ちょっと早いけど、りんどうを見つけたので連れて来た。楚々と地味ながら、子供の頃から
なぜか心惹かれる花。黄色い小ぶりの花瓶は20日に9年目の命日を迎えたみるの贈りもの。
二つばかり蕾が零れ落ちてしまったので、旧い薬壜の口まで水を注ぎ、そこに仲良く挿してみた。


緑地のプリントは、夏パジャマにしているTシャツのひとつ。
エンドレス ヴォヤージュってコトバが目に入るたび、くらっとなる感じがたまらない。
今日は珍しく早いけど、おやすみなさい。夢の向こうのエンドレス ヴォヤージュ
goo | コメント ( 3 ) | トラックバック ( 0 )