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それいゆ、前衛バカ伝説

2009-03-27 04:14:21 | Art
日中、所用で渋谷に出たら、春休みの学生たちが右往左往してて学祭ばりのハレ賑わいだった。
10日遅れで確定申告も無事提出。帰り、上原のパン屋さんに寄ったついでに代々木八幡神社に
足をのばしたら、すぐ側で「ホーッホケキョッ」。2月に代々木公園で目撃したのはどうやら
インコだったようだけど、今度こそ正真正銘のウグイスらしい。花冷えの午後、ほっとゆるむ心。


昨日は松屋銀座で開催中の中原淳一展(~3月30日)へ。
画だけでなく、彼の手がけたファッションやインテリア、文章、パリ時代の写真などなど、
「美しく生きる」というの美意識が 隅々まで濃密に息づいていて引き込まれた。
「それいゆ」をはじめとする雑誌の表紙原画も一同に会していて壮観だった。
1956年
ⓒJUNICHI NAKAHARA
「それいゆ」の表紙画では、これがいっとう好き。女の子も猫もパーフェクト。
その昔、えとさんにこのポストカードをもらい、いまも書棚に飾っている。
それにしても戦後の困窮した時代に、贅沢とは一線を画する美しい生き方を提唱した
「それいゆ」は、奇跡のような雑誌と思う。

1958年
「ジュニアそれいゆ」の表紙画ではとくにこれが好き。どきっとさせられる。
十代の少女たちの美しい人間形成を願い、優しく語りかける彼の文章も、
ひょっとしてこれは上品なお婆さまが話しているのでは?…と思うような滋味が。

「青い鳥」1955年
彼は物語の挿絵も数多く手がけているが、このチルチル ミチルは解釈がすごい。これもだいすき。

1954年
これは「ジュニアそれいゆ」の前身「ひまわり」のブラウス広告。
エレガントなファッション画やスタイリングのアドバイスにも今に通じる洒脱さが。

彼は19歳の時(1932年)にも松屋でフランス人形展を開催したらしく、
その時の作品も展示されていたが、私がとくに魅かれたのは、
晩年に仕事を離れ、自分のセーターの端切れなどを使って制作していたという人形。
ジャコメッティばりの細い細いシルエットにシックな装い、そして清潔な憂い。
パリの残像なのか、自分の分身なのか。翅をつけたらウスバカゲロウのように飛んで行きそう。
1967年


図録も買ったけど、平凡社から出ている中原淳一の本シリーズの方が情報密度が高い。
彼のエッセイは、今読めばある種の時代錯誤的要素も否めない一方、
時代を突き抜けた精神的豊かさがそれを圧倒する。



そういえば、これは中原淳一が手がけたペーパーバックのデザインがプリントされた布地で
随分前に作ってもらった夏用のワンピース。中原淳一ワールドを纏うのもなかなか楽しい。




中原淳一展に行く直前、神保町で打合せをした帰りに、
伯水堂で久々に名物のプードルケーキをいただきながらコーヒーブレイク。
なにもかもがほんものの昭和レトロでたまらない。





ここ数日、朝日新聞の夕刊一面で連載している「前衛バカ伝説」が面白い。
(WBC記事はノーチェックだったけど、バカ伝説はオールチェック)

磯崎新、赤瀬川源平、秋山祐徳太子、篠原有司男、岡本太郎、瀧口修造etc…
日本のアヴァンギャルドの水脈を、今に引き寄せて歯切れよく読ませてくれる。
蔡國強や李禹煥など日本と縁のある中国や韓国の前衛芸術家も抜かりなく採り上げていたし、
ナム・ジュン・パイク夫人の久保田成子の記事というのも久々に見た気がする。

しかし驚いたのは、26日付の前衛バカ伝説⑥。
私の大学時代の担当教授でもあったヤマカツこと、メディア・アートの先駆者・山口勝弘氏が
介護老人ホームで車椅子に座って抽象画を描いている姿が掲載されていたのだ。
退官記念パーティで「ミッキーマウスと同い年」と笑っていた先生も御年80らしい。
どうぞお健やかに。


郵便局に切手を買いに行ったら、こんなのが最近発売になったらしく、思わず購入。
決め手はもちろん「まことちゃん」と「カムイ外伝」。
楳図かずおだけで、もう1シート作ってほしいかも。あと、中原淳一バージョンも!

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