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夏の色彩、滋味、音律

2008-07-26 18:05:46 | Food 酸いも甘いも
             暑中お見舞いもうしあげます。
             
             

今週もあちこち取材や打ち合わせに駆け回って暑かった。あまりに暑いので髪も久々に短く切った。
Splashさんで寝癖風(?)のゆるいボブにしてもらった。快適!

週明け、ミース・ファン・デル・ローエの愛弟子の渡辺明次教授とお逢いした。
教授が自ら撮影された「ファンズワース邸」のポジをお借りしたのだが、
ミースの作品の真髄について語る熱い口調がとても印象的だった。
渡辺教授の著書も次号の『モダン・インテリア』で紹介する。
たとえば「Less is more」のように、ミースの金言としてまかり通っている言葉が、
実は違うことを指摘しているのはこの本ぐらいかも。
ミース・ファン・デル・ローエの建築言語
渡辺 明次
工学図書

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週半ば、渡辺謙Jr.渡辺大さんのインタビュー。ちょっとジュード・ロウ似。
週末は、吉祥寺で取材後、原宿のクールなパーティ会場でレイちゃん&ハカセと逢い、
さらに『和福美』の打ち上げで、キムリエさん&カッシーのいる麻布十番へ。慌しいけど楽しい!
和福美 2008年 09月号 [雑誌]

ニューハウス出版

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(↑鎌倉彫の老舗博古堂の取材記事や内田恭子さんインタビュー、コラムなどを書いています)

こんな風にばたばた忙しくしているときは、夏バテ予防に食にはなにげに気遣う。
といっても、旬の野菜や果実など、夏の滋味を摂り入れるだけで結構元気回復する。

たとえば西瓜。みずみずしい夏果実は、全身に甘く染みわたる感じがする。


チェリートマトの甘酸っぱさも好き。バジルとモッツァレラのカプレーゼにもあう。
ざくざくワイルドに盛り、エキストラバージンオリーブオイルとバルサミコをたっぷりかけて食べる。


この季節は茶豆も美味しい。普通の枝豆より少し茶がかっているけれど、香ばしく味に粘りがある。
8月に出回るだだ茶豆もまた待ち遠しい。

この器は近所の「亘」で以前入手した大皿。蓮の葉をイメージしたのだそう。

ゴーヤーチャンプルーも夏の定番メニュー。黒豚&豆腐もたっぷり、蓮の葉皿に盛って。


家でじっくり原稿を書くときは、夏野菜をことこと煮込んでラタトゥイユもいい。


野菜や果実と共に、夏にとりわけ欠かせないのが 水。
今年はじめにこのblogで おいしい水について書いたけれど
相変わらず「龍泉洞の水」は毎日愛飲。特に夏は補給ペースが早い早い。
外出するときは、すきっとした飲み口の炭酸ミネラル「サン・ペッレグリーノ」を持参。
夏前にリニューアルしたvittelのHPのコピーを書いていたりすることもあり、最近はvittelも飲んでいる。

龍泉洞の水は、いつも岩手県今泉町から直送されてくるのだが、先日の地震で被害に遭ったと訊き
心痛めている。自然の驚異と脅威…。被災地へのお見舞いと 一日も早い復旧をお祈りいたします。


☆☆☆
音楽も、精神的な滋味といえるかもしれない。
ステレオが壊れて今週刷新したので、音響も以前より深くなった。
最近よく聴いているのはこんな音楽。といっても、いつもの夏と変わりないものも。。

Holger Czukayの「Persian Love」はたぶん20年位(?)、Arto Lindsayの「Noon Chil」も10年以上、
夏になると聴き継いでいる。私の中では、もはや蝉時雨のような夏の風物詩的存在。
昨夏出たFennesz+sakamotoの「cendre」は、ほとんどエンドレス状態のときもあるほど。
レイちゃんのおかげで昨夏はDjavanの「Samurai」が私的リバイバルしてたけど、今夏も引き続き。
先日スパイラルレコードで入手した23sやYossy Little Noise Weaverも快くて最近ヘビロテ。
夏によく聴く音楽は、装いも微妙に夏っぽい。
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団地~かき氷~バウハウス

2008-07-22 04:43:36 | Art
三連休は出ずっぱり。ひたすら暑かったけど、とっても有意義だった。ちょっと長くなるかも。
まず土曜は『NODE』の取材で取手へ。これは取手市井野団地の子供たち。
井野団地とは昭和44年に作られた大規模団地。今もここには約6千名の住人が暮らしている。

なぜ団地なのかというと、私が“団地萌え”だからではなく(笑)
取手アートプロジェクト(通称TAP)の一環で、この団地内のショッピングセンターを
新進芸術家のための共同アトリエ用に改修した井野アーティストヴィレッジが昨年末より稼動しており、
今回はその取材だった。

かなりユニークかつ興味深いプロジェクト。詳細は『NODE』4号をお楽しみに!

これはアーティストヴィレッジの2階にある、改装された団地部屋。やはり団地萌え心が騒ぐ(笑)
逆光になっちゃったけど、この方はTAPの中核を担う東京藝大の渡辺好明教授。


取材後は、藝大通りにある心地よいGallery&Café「Omonma Tent」で一休み。
Caféの椅子やテーブルもアーティストの作品。今夏オープンしたばかりだそう。
取手アートプロジェクト2008に出かける際は、ぜひ立ち寄りたいスポット。


さらに渡辺教授が車で藝大の取手キャンパスや、市内で活動する卒業生たちの工房などを
案内してくださった。取手キャンパスは広々と緑豊かな敷地が筑波大に似ていてびっくり!
これは民家の一角にある旧い蔵を改装した、彫刻科の卒業生たちのための本格的な工房。
裏はいい感じに鄙びた神社。こうした所から密やかに傑作が生み出されているのだ。


帰りは我孫子駅から千代田線で都内まで爆睡。で、その足で中目黒へ。
ひだか、親方、やごちゃんとわいわい飲みながらの夕飯。終電を逃したので、みんなでうちに。
深夜に'80年代炸裂なDVDを散々観てまたわいわい。

朝方にみんなが帰った後、私のバッグにライムが、そして部屋の一角に檸檬がころころあるのを発見。
ひだかが全部くれるというので、贅沢に生絞りジュースにしていただいた。
このお花は20日が命日のみるを思って活けた。黄色い巨大たんぽぽみたいのはひまわりの一種。

☆☆
日曜は、炎天下の昼下がりに 縁日のような人だかりの表参道を抜け、自転車で麻布十番の
Gallery Toricoで7/29まで開催中の安達ロベルト写真展ContractsI(コントラクツ第一楽章)へ。

音楽家としての顔も持つ安達ロベルトさん。
トリコにはこの企画のために作った澄んだ音響が流れており。
横浜と鎌倉をモチーフにしたモノクロームの静謐な写真と対峙すると、
ステレオタイプな横浜や鎌倉とはまったく異質の昏い世界へと迷い込む。

ロベルトさんとしばしお話した後、キムリエさんと一緒にトリコのすぐ側にあるGallery Café high-kyo へ。
お目当ては、移動かき氷の空海-Kuna-さん

数年前から、夏休みの土日のみ 都内のカフェ、雑貨屋さん、古着屋さんなどで
こんな風に氷をがりがり削って販売しているのだとか。
本業は別にあるそうで、いわく「とにかくかき氷が好きなんです」。
なんてシュールなサマーワーク!


生苺と生白桃のかき氷。人工色素や香料は無添加。天然果実の甘酸っぱさとサクサクの氷が絶妙!
空海-Kuna-さんは来週は別の場所に移動し、high-kyoは8月にCloseするそう。
すこし淋しいけど、その儚さこそ まさに融ける氷のごとし。永遠の夏のひとこまなのかも。。

☆☆
連休最終日は、東京藝大 大学美術館で開催していたバウハウス・デッサウ展へ。

バウハウスが最も盛り上がっていたデッサウ期を中心とした作品はなかなか興味深かった。
ただ、展示最終日だったせいか入口は長蛇の列。sale会場かというような混雑ぶり。。

これはバウハウスとは何の関係もなく、美術館内の食堂。
いま、『モダン・インテリア』でたまたまミース・ファン・デル・ローエの記事を書いており、
クレーのDVDも別の企画で紹介したりしている。ふたりともバウハウスなくしては語れない人たち。
私がバウハウス関係で特に好きなのはオスカー・シュレンマー。彼の静物画のような人物画にも、
機械のような動きをダンスに取り入れた「トリアディック・バレエ」にも、不思議な魅力がある。

土曜は藝大取手キャンパスの施設の充実度に驚かされたが、上野キャンパスはレトロな建物がいい。
敷地内の陳列館で開催していた洞爺湖サミットのポスター展を観た後、
藝大横にある築101年の古民家 市田邸へ。石塀にびっしりと ゴールドの蝉蝉蝉蝉蝉。。。
みーん♪蝉は販売もしていた。
これは彫刻家の学生さんによる「続・続展」なる企画展。
邸に上がると、畳に直置きされた妖怪めいた彫刻たちと、風流な濡れ縁の感じが妙に心和み。。


市田邸を後に、脇の路地から言問通り方向に抜ける路地を散策していると、こんな看板が。。

抜けている箇所にどんな文字を入れるのか、すごく気になる。

言問い通りから三崎通りを抜け、岡倉天心公園の前を通過した辺りで、ばったり黒猫と遭遇。
おおあくび。

通りすがりのマドモアゼルたちも「オー!シャノワッ(Chat Noir)」と撫で撫で。


谷中銀座に続くゆうやけだんだんに出ると、またまた黒猫。
黒猫と逢うとやはり無条件にうれしい。たとえニキみたいにふわふわ尻尾じゃなくても。


谷中界隈には弟が学生時代に住んでいてよく遊びに来たので、なんだか懐かしかった。
歩き回ってお腹が空いたので、「かわむら」で冷たいお蕎麦をつるつるっと食べた後、
並びの甘味やさんでソフトクリームあんみつのデザートをいただいた。甘いものは別腹ですから。

しかし炎天下によくもまぁあちこち歩き回ったなぁ。。
ただ問題は、これから宿題の原稿を書かねばならないこと(夏休み最終日のこどもの心境)。。
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花の寓意

2008-07-18 03:48:39 | Tokyo 闊歩・彷徨・建築探偵
今日の夕方、表参道での打ち合わせ帰り、代々木公園に寄り道した。
芝を刈り取った直後らしく、むせかえるような草いきれの宵闇に、ぽっと満月が浮かんでいた。

中央の池では、夕涼みをする人々の姿がちらほら。何か光るものを回して遊んでいたり、
パーカッションやタップを黙々と練習する音が聴こえる中で、噴水をほおっと眺めていた
エプロン姿のお婆さんの後姿がとてもかわいらしく、そしてすこしかなしかった。


公園の一角にある薄暮の薔薇園。秋冬は素っ気ない空間だけど、花がある時季は気配から違う。
黄昏時の薔薇は、なぜこんなに甘美なんだろう。そして、やはりすこしかなしいのだ。


☆☆
月曜は、母と「ウィーン美術史美術館所蔵 静物画の秘密展」を観に乃木坂の国立新美術館へ。
17世紀にフランドル地方やイタリアで流行った静物画の名作が多々あり、予想以上に前のめりに鑑賞。
特に興味深かったのは、ベラスケスの「薔薇色の衣裳のマルガリータ王女」もさることながら、
ヤン・ブリューゲル(父)の「青い花瓶の花束」(1608年)。尋常ならざるディテールに目が釘付け。

ここに、実に百数十種の花が描かれているそう。この花瓶にそんなに挿せるわけもないのだが(笑)
当時の静物画は、さまざまな寓意を表すために周到に配列されたフィクションの世界。
花は“大地”、貝は“水”、髑髏は“空虚”など、さまざまな暗喩に満ちていて面白い。

ボッカチオの一幕を描いたルーベンスの「チモーネとエフィジェニア」も生で観ると、息を呑む。

しどけなく眠るエフィジェニアと目が合い、チモーネ君がはっと恋に堕ちた決定的瞬間。
かなり巨大な作品である。エフィジェニア嬢の妖艶極まりない流し目の迫力はぜひ生で(笑)

午後は御茶ノ水へ。ニコライ堂で母と別れ、私は仕事の打ち合わせに、母はパーティへ。


☆☆
火曜は、サンマリノ共和国大使館へ。

六本木ヒルズ裏、元麻布の入り組んだ路地の一角にある密やかな一軒家が大使館。
サンマリノ共和国はイタリアの中にある世界屈指の小さな国。
先日、歴史的地区が世界遺産に登録されたそう。

大使館の一角。中央に鎮座ましますゴールドの仏像、どう見ても東南アジアものっぽい。。


ここで、特命全権大使のマンリオ・カデロ閣下、アバンギャルドなフラワーアーティスト秋谷祐子氏、
芸大准教授の布施英利氏というなんとも不思議な組み合わせの鼎談取材。テーマは、花。
これは秋谷さんの作品。男性が女性にメタモルフォーゼしている瞬間だそう。

胸から蓮ではなく、内腑から真紅の薔薇。花に潜むさまざまな暗喩が想像力を刺激する。

むろん、ブリューゲルであろうと、誰であろうと、その作品の読み解き方は、ひとつではない。
あくまでも、解釈は受けとめるひとしだい。絶対的な正解など存在しない。

☆☆
花といえば、ここのところずっと部屋に百合を欠かしたことがない。
うちのニキコーナーにも相変わらず、百合。黄色い百合だったり、薄紅色の百合だったり。

白い百合は聖母マリアの象徴でもあるのだが、私にとって百合は――とくにその香りは、
彼岸と此岸を結ぶメディアのような存在なのだ。
もうすぐ、盟友みるの命日。明日も、うつくしい月が見られるといいな。
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澁澤龍彦と堀内誠一 旅の仲間

2008-07-13 22:09:30 | Book 積読 濫読 耽読
先週は怒涛の原稿締切ラッシュでほぼ連日缶詰。おまけにエアコンが効かなくなり
今日、エアコンを付け替えてもらった。エアコンぎんぎんはとても苦手だけど、
亜熱帯化した東京でノーエアコンというのは、限りなく“修行”に近い。

土曜から母が泊まりに来ており、昨日は母の友人と3人で新丸ビルにてお茶した後、
和田倉噴水公園に水の涼をもらいに。水飛沫のカーテンに小さな虹が架かっていた↑
お正月のblogでも書いたけど、ここは三島由紀夫の珠玉短編『雨の中の噴水』の舞台になった所。

夜は母と近所のHakuju Hallへ。クジラの体内に呑みこまれたみたいなデザイン(?)

レクイエムを中心とした選曲が興味深く。ラストはヨハネ受難曲。アーメンの合唱で幕。

☆☆
遡ること先週の日曜。ギャラリーTOMで開催していた「澁澤龍彦と堀内誠一 旅の仲間」展へ。
巌谷國士が編んだ「旅の仲間澁澤龍彦・堀内誠一 往復書簡」の出版記念を兼ねた企画だった。

ギャラリーの向かいは深緑の鍋島松涛公園。ときどき散歩する一角。
その昔、化け猫騒動で人々を震撼させた地でもある。残念ながらこの蒸し暑さで猫の姿もなし。

ギャラリーの壁には、1968年~1987年に澁澤龍彦と堀内誠一が交わした往復書簡がずらり。


たとえば、澁澤龍彦がヨーロッパ旅行中に出した絵葉書(画像は件の書籍より)。
『ヨーロッパの乳房』など、後の作品の契機となった旅の肉声が実に無邪気にしたためられ。


一方こちらは、堀内誠一のアエログラム(同書籍より)。さらさらと描かれた絵文は さすが!
澁澤龍彦いわく「貴兄の手紙をみると、絵描きは絵が描けていいなァ、と思います。」


奇しくも同じ1987年に同じ病で亡くなった澁澤龍彦と堀内誠一が交わした89通の親密な書簡には、
彼らが筆を運ぶ気配や息遣い、体温までもが時空を超越して息衝いていた。

堀内誠一(真ん中)と澁澤龍彦(左下)@鎌倉 澁澤邸1968年。すごくリラックスした表情!

堀内誠一といえば、こんな雑誌たちのロゴデザインでもおなじみのアートディレクター。
↓『雑誌づくりの決定的瞬間 堀内誠一の仕事』より。

このひとの仕事は、みればみるほど宝の山。

1964~65年に立木義浩と組んだ『平凡パンチ』メンズファッションのグラビアもしびれる。
名(迷)コピーも堀内誠一の仕事。↓たとえばこれなんて「シマでシマを着る。」ですからね!


堀内誠一は絵本作家でもあり、子供の本の表紙も手がけていた。
この1989年1月発行の月刊「たくさんのふしぎ」の表紙も、そう。
特集は、種村季弘の「迷宮へどうぞ」。


子供向けなので、「迷宮」という言葉にはすべて「めいきゅう」とルビが振ってある。
とはいえ、そこは種村さん。容赦なくマニアックなネタをいたいけなお子様たちに仕込んでいる。

最終頁で種村さんは子供に云う。「本も一種の迷宮なのです。迷宮も本もふくざつになればなるほど、
おもしろいんだ。 こんどはどんな本の迷宮にちょうせんしようか。」
この本に出逢った子供は、きっと幸福だ。
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東京建築物語

2008-07-06 01:33:11 | Tokyo 闊歩・彷徨・建築探偵
先週、目黒GALLERY COSMOSで開催中の「木村直人写真展-東京建築物語」(~7/6)へ。
上の写真は、展示作品のひとつ。日本民藝館の柳宗悦の書庫だそう。古書に埋れたこの光景に陶然。

展示写真は、6月に出た『東京建築物語』のためにキムナオさんが撮り下ろした作品ばかり。
本の著書は北井裕子さん。東京の建築遺産を巡る数奇な物語が端正な文章で綴られており、
建築物にしとねつく光と影を独特の空気感で包み込んだキムナオ調の趣き深い写真と共に愉しめる。

東京建築物語
北井 裕子
エイ出版社

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私が特に気に入ったのは、原美術館の階段写真。
すり硝子に映った木洩れ日が、美しいテキスタイルのよう。


会場で催されたパーティで挨拶するキムナオさん(右)と北井さん(左)。

パーティ後は、キムナオさん&キムリエさん、北井さん、編集者の花園さんたちと
夜更けまで盛り上がり。北井さんの団地萌え話も非常に興味深く。
(私も集合住宅萌え系なので(笑))

今回の企画に触れ、私が十代の頃に愛読していた松山巌の『乱歩と東京 1920都市の貌』を
また読み返してみたくなり。乱歩の世界を軸に、昭和初期の高等遊民の憂愁や社会的背景に
深い洞察を巡らせた渾身の都市文学論。しっかし、ぼっろぼろだなぁ。。


☆☆
火曜は『モダン・インテリア』の撮影で西馬込のハウススタジオに朝から晩まで缶詰。
馬込といえば、三島由紀夫の白亜のお邸があるところ。
翌日もたまたま都営浅草線に乗り、駅でこんなフリーマガジンをゲット。

『中央公論アダージョ』。キャッチは「上質な休日をエスコートする」。ふうむ。
読めば、馬込には朔太郎や室尾犀星、北原白秋、山本周五郎などなど錚々たる文士が居住しており
「馬込文士村」とも呼ばれていたそう。そんな馬込に三島由紀夫が移り住んだのは1959年。


これはうちにあった1995年『芸術新潮』の三島特集号に出ていた篠山紀信撮りおろしの三島邸。
当時三島が交流していた澁澤龍彦の驚異の部屋にも通じるキッチュな宇宙が ここにも息衝いている。。
(あ、今日はギャラリーTOMで開催中の「旅の仲間 澁澤龍彦と堀内誠一」最終日。行かなきゃ)

☆☆
水曜は、素敵なマダム千鶴子さんのお誘いで、銀座で中華ランチ後、東日本橋の雑貨問屋へ。

戦利品の一部。我ながらアニマルなアイテムが多い。。別のイミでやはりキッチュ。。

さらに帰りは新橋で、千鶴子さんおすすめのにんにく注射を初体験! 注射は苦手ながら
疲労回復に即効性があるという噂通り、前日のスタジオ缶詰疲れがかなり緩和され。
<新橋駅前で微笑んでいたヴィーナス。
おやじビルと呼ばれるこの「ニュー新橋ビル」は1970年代の匂いがふんぷんとしていて好き。
この鱗みたいなルーバーもいかしてるし、中のちまちました店舗の迷路もツボ。

☆☆
金曜夜、仕事のDVDを観ようとTVを点けたら、懐かしいライヒのミニマルミュージックが。。

今年5月に東京オペラシティでスティーヴ・ライヒ本人をゲストパフォーマーに迎えて行われた
「コンポージアム2008」公演の模様が流れていたのだ。ついつい聞き惚れてしまい
仕事のDVDを観始める頃には既に深夜。「オフサイドガールズ」「ラスト、コーション」を観て眠り、
土曜は引き続き「チャールズ&レイ・イームズDVDBOX」「パウル・クレー」を観賞。ぁあ仕事冥利。
感想は原稿を書いた後、また。
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茅の輪を潜り 蓮に遇う

2008-07-01 02:30:08 | Tokyo 闊歩・彷徨・建築探偵
週末、自転車で西新宿に行った帰り ニキがお世話になっていた動物病院の前を久々に通り、
そこからなんとなく代々木八幡に寄り道。ニキが緊急入院したGWに訪れて以来約50日ぶり。
参道の向こうに、茅の輪が見えた。あ、そうか、大祓の時季だったんだ、と
そこで初めて気づいた。

茅の輪をくぐり、前に訪れた時のことをしみじみ思い返しながら参道を戻る私の行く先に、
ふっくら大きなサバトラ猫が一匹。近づこうとすると、お隣の福泉寺に続く細道にスッと入っていった。
誘われるようについていくと、先のサバトラが少し前にまたこちらをじっと見て立ち止まっていた。
写真を撮ろうと近づくとまたスッと奥へ消えていく。そうやって前進していくと、

目の前に池が現れ、蓮の蕾が天を指していた。
よかった、胸から生えなくて。
遠くから、サバトラ猫がじっとこちらを見ていた。


☆☆
蓮に遇う数時間前、新宿三井ビルにいた。
実は先日、上高地で愛用のEOS kissを軽く落としてしまい、
三井ビルのキャノン修理センターに点検に出しており、それを受け取りに行ったのだ。

前夜、資料用に借りたミース・ファン・デル・ローエのDVDをチェックしていたせいか、
三井ビルが一瞬、シーグラムビルに見えた。。
西新宿界隈では確か3番目に古いヴィンテージビルだけど、あまり古さを感じないのはなぜ。

ビルのロビーには、大きな七夕の飾りつけがあり、短冊にはいろんな願いごとが。
さまざまな欲望や懇願が渦巻く短冊の中で、
「今年は夏ばてしない。」と決意表明した潔い1枚にウケた。


☆☆
日曜は、KATHYのシークレットパフォーマンスを観に清澄白河へ。

このユニットは、以前雑誌で見かけて、その強烈なヴィジュアルに背筋がぞくっとした覚えが。
昨年取材したBEAMSあおの氏のblogでこのパフォーマンスがあるのを知り、来てみた次第。

これはどこぞのサティアンでも餃子工場でもなく(笑)
鳩を使うパフォーマンスなので、観客の多くもこんな完全防備なのだ。私たちは服のままだったけど。

彼女たちのパフォーマンスには、どこか80年代的懐かしさがあった。
隠微な見世物小屋のようなキッチュなビジュアルと、大量の鳩たちの予期せぬ動きにぞくり。
しかし何が愉しかったって、公演中、舞台と観客を隔てる薄い紗越しに、ぽっぽと騒ぐ鳩たちと
たくさん触れあえたこと(笑)。鳩って、ほわっとあったかいんだなぁ。

公演後、メトロの地下通路に居たレトロなモザイク鳩。雨に濡れたバレーシューズと共に。

夜はレイちゃんと広尾にあるユミさん&セイジさん夫婦の素敵なご自宅にお邪魔。
寿司王子に変身したハカセの絶品握りやユミさんの手料理をいただきながら、至福のお喋り三昧。
初めてお逢いする方々に、レイちゃんと私は職業病で質問三昧(笑)

週明けはkumiさんのお仕事でセルリアン・タワーにて取材。
それにしてもセルリアン・タワーって、近くに見えているようで、入口に辿り着くまでが長い。
自転車で行くと、道玄坂の急坂がちょいきつい。


取材後、東急本店地下の紀伊国屋にて、明日の撮影に使うフルーツなどを買い求めて帰宅すると
マンション前にレイチェルがいた。最近(ニキが星になった直後から)、近所によく出没している。

なぜレイチェルと名づけたかというと、その澄んだ青い瞳が、『ブレードランナー』に出てくる
美貌のレプリカント レイチェルっぽいから。
『ブレードランナー』といえば、その昔たぶん百回は観た映画だけど、
いまだにあれを超えるSF映画って、案外ないと思う。
製作25周年記念DVDも出たので今度、雑誌にも書こうかなと。

☆☆
祝マイEos kiss復活。

実はkissの修理中についSonyのCyber-shotを衝動買い。最近の写真はすべてそれで撮ったもの。
十代の頃から一眼レフでないとどうも苦手。でも最近のデジカメは小さくても賢くて使えるなと再認識。
でもやっぱり一眼レフはたなごころになじむなぁ。私にはkissぐらいが軽くてちょうど手ごろ。
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