ルナスービトの悪童日記

一昨日、映画試写が行われたのは、１階に「映画美術学校」が入っている
大正11年建築の片倉工業本社ビル。
京橋界隈でも目を引く重厚なエントランスは、建築探偵垂涎の風格。
金子アートギャラリーもここに入っている。「映画美術学校」試写室へは、この重厚な扉からではなく、
左にある秘密の抜け口めいた小さなドアから入っていく。趣あるレトロな階段の途上に見える円窓や、
廊下に敷き詰められた浅葱色のタイル、白いアーチ天井など、まんまロケセットになりそうな雰囲気だ。

はて、こんなに素敵なビルヂングをお持ちの片倉工業とは・・・？
創業1873年（明治6年）の片倉工業は、創業者 片倉市助氏が長野県諏訪郡で
10人取りの座繰り製糸を始めたことからスタート。
やがて日本最大の製糸会社（旧・片倉製糸紡績会社）に成長し、
太平洋戦争中にはあの「富岡製糸工場」も合併した。
工場は2年前に富岡市に寄付したようだが、今では世界遺産の暫定リストにも挙がっている。

しかし。注目すべきは世界遺産にあらず。会社の公式HPを見て唖然としたのは
その恐ろしく広範な取り扱い商品の、ふるったネーミングである。
たとえば・・・

●日本でかつて一世を風靡した仏人音楽家ポール・モーリアのイメージを取り入れた
　シルク100％高級メンズ＆レディスインナーブランド「ポール・モーリア」
●シルク混素材＋椿オイルを使用したスキンケアインナー「おしゃれな奥さん」
●みつばちの交配用アイテム「ぶんぶん」＆「どれどれ」
●ブドウ虫がみっしり詰まった釣り用生餌「渓流王」
●カイコを宿主に用いたタンパク質生産サービス「カイコエクスプレス」
●シネコンショッピングセンター「コクーン副都心」
●1泊4980円～の松本駅前「スマイルホテル松本」

もしここの総合会社案内パンフをつくることになったら、どんなに大真面目につくっても、
いや、大真面目につくればつくるほど、激しくシュールなコンテンツになるのは目に見えている。
もし「ポール・モーリア」と「渓流王」のブドウ虫が一緒にレイアウトされたら。。
もし「カイコエクスプレス」と「コクーン副都心」が繭つながりで対向頁になったら。。
ぁあ、考えただけでどきどきしてしまう。

…で、肝心の試写『サラエボの花』はどうなったのか？
実は昨朝、銀座で朝一打ち合わせに遅れそうになり、銀座通りを刑事ドラマよろしく全力疾走したため
既に体力の限界が。。明日こそ必ず！