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銀座六本木 猫の目彷徨と赫い月

2007-11-26 23:55:23 | Luna もの思う月
三連休は姉と一緒に銀座・六本木界隈へお買い物に。
歳末の三連休ときて どこもかしこも まるで下町の縁日。
中央通の歩行者天国は、さながら上海の雑踏のようでもあり。

私はフリーランスゆえ土日祝日がハレというわけでもなく
繁華街はたいていウィークデイの取材や打ち合わせ帰りに寄ることがほとんど。
なので、銀座にはウィークデイの比較的おっとりした(渋谷原宿新宿界隈に比して)
イメージがあり、肩をよけあう“江戸しぐさ”でぞろ歩く銀座には一寸面食らった。

しかし思えば幼児期に、当時はまだ珍しかった銀座のホコ天に
家族揃ってお出かけしたりしていたわけで。
夕暮れの銀座4丁目交差点を闊歩する家族連れに ふと遠い日の景色が重なった。


「銀座は世界で最も活気があり 将来性に富んだ場所」と云ったのは
先ごろ晴海通りに、他の海外ブランド旗艦店を圧倒する規模のタワーを打ちたてた
ジョルジオ・アルマーニ氏。

メディアで話題のスポットは えてして人だかりが猛烈なので(自分も記事を書いて
集客に加担していたりするけれど…)、私的にはどうも近寄りがたい。
が、縁日的銀座散策のついでに物見遊山で、かのアルマーニ御殿の
暖簾をくぐってみることに―。
―否、暖簾はさすがにないが、竹をイメージした外観や内装は、
驚くほどわかりやすい西洋的解釈の和モダンテイスト。

アルマーニ銀座タワーの内外装デザインを手がけたイタリア人建築家
ドリアーナ&マッシミリアーノ・フクサス夫妻はHPでこんなことを述べている。
「東洋の大都市の抗しがたい魅力は、急速なスピード感をもった
終わりなき変遷にある。こうした街は、生命をもつ有機体のように拍動し、
絶えず新しい居住者の需要に適合するよう変化を繰り返す。
非常に暗く、秘密めいていて、歴史に窒息させられそうになっている、
ヨーロッパの私たち自身の街とはまさに対極にある存在だ」。

日本人はその“暗く秘密めいた歴史の重厚な味わい”に魅かれて欧州に憧れたり
するわけで。。自分には無いDNAに魅かれあって異文化融合するのもまた一興だけど
かの御殿のデザインは、私にはなんだかお箸にご飯粒が所々こびりついちゃった図に
見えて仕方ないのだ(え、まさかそれも意図?!)…。


“生命をもつ有機体のように拍動する”都市といえば――

日曜に姉と行った六本木ヒルズ51F展望台からの眺望。
赤く蠢く首都高3号線がまるで、都市の血脈のように見えた。
タルコフスキーも『惑星ソラリス』のラストで、未来を象徴する画として
東京の首都高を使っていたっけ(ほんとは大阪万博を撮りたかったらしいが)。

日没直後の空には、ユニコーンの角のような東京タワーと
透け見える血潮ように赫い月。


モノクロームにして色彩の情報を消してみた。
blog用に落とした画像なので判りにくいが、レントゲン写真みたいに見える。
右手前の新国立美術館は 何かの生命体の卵のよう(故建築家に合掌)。
真っ黒な青山霊園に浮かび上がる 光のクロス。
新宿御苑も代々木公園も やはり真っ黒。
その向こうに 神宮外苑の絵画館、新宿の高層ビル群。

現都知事がTVで東京を「ゲロのような街」と称していたが、
夜闇は雪と一緒で、都市の穢れをそっと隠蔽する。
が、この煌々とした光輝にどれほどのエネルギーが消費されているのかと
思うと、このきらめきもまた、ある種の穢れなのかもしれないが。


展望台と同じフロアで開催していたMaxMaraのコート展も観覧。
工業製品とオートクチュールの概念を融合させたマックス・マーラ社の
創立55周年を記念し、同ブランドのアイコンであるコートにスポットを当てた
ユニークな回顧展だ。

アーカイブより門外不出だった1950年代から現代までのマックス・マーラの
コート約70点も「展示されており、まさに垂涎。50年前のビンテージコートも、
いますぐ着られるほどモダンかつシック。

『自転車泥棒』や『靴みがき』といったネオ・リアリスモの映画でも顕著だが、
イタリアは日本と同じく、敗戦後は赤貧に喘いでいたはず。
そんな戦後復興期に、あのようにエレガントで上質なコートを生み出していた
イタリアという国のお洒落魂には甚だ恐れいる。

時代と共に変遷するデザインや広告表現も興味深く、
襟や袖などを職人が巧みに裁断・縫製していくプロセスの紹介を見て
あの立体的なカッティングや美しいシルエットの秘密が少し解けた。


ひたすら歩き回った三連休。季節柄、クリスマスデコレーションは食傷するほど
観たが、私が一番反応したのは、これ。日本橋三越本店前のウィンドーに
浮かんでいたフライングキャット。

こんな感じで、東京上空を跳ね回れたらさぞかし楽しいだろうなぁ、と。
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