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世界遺産vs悦楽ポルチーニ

2007-11-07 00:24:04 | Food 酸いも甘いも
秋になると食べずにいられないものがある。

栗ご飯 モンブラン ポルチーニ。

どれも結局のところオールシーズン食べられるけれど、やっぱり秋に食べてこそ。

栗ご飯は9月になるやいなや、どっさり炊いてさんざん食した。
モンブランもアンジェリーナ、千疋屋、テオブロマetc…
方々のお気に入りスイーツ屋さんで既にあれこれ賞味した。

ちなみに、モンブラン文化は日本独自のものだけど
自由が丘にあるモンブラン発祥のケーキ店「モンブラン」(昭和8年創業!)の
絵に描いたような典型的モンブランは、もはや貴重なのかもしれない。
最近のモンブランは、お店によって実に千差万別。
ただ、お菓子用マロンペースト特有の薄っぺらな味がすることもままあり。
有名パティスリーでも、栗あんぱんの中身ですか?みたいながっかり代物も。
やはり、栗じたいが美味でなくっちゃ、モンブランは成り立たないのだ。

…で、ポルチーニ。(ハラタケ目イグチ科ヤマドリタケ属食用キノコ)
8月末から11月頭が旬だが、フレッシュはなかなか入手できないし
乾燥したものの方が、実はあの独特の香りが濃厚。
松茸にもよく例えられるけど、私は鼻面に松茸の土瓶蒸とポルチーニパスタを
差し出されたら、後者に尻尾を振るタイプ。

そんなわけで、夕食に今秋初のポルチーニパスタをつくった。
乾燥ポルチーニを水に浸すと染み出てくる黒いエキス。その香りにまずくらくらっっ。
それを軽く漉し、オリーブオイルとにんにくでソテーし、
生クリームを適宜流し込み黒胡椒を振る。そこに岩塩をたっぷり入れてアルデンテより
やや硬めに茹でたスパゲッティを少々の茹で汁と共に投入し、
ソースと手早く絡め、器に盛ったらパルメッジャーノを少々トッピングしてできあがり!ふぅ

部屋中に、ポルチーニの媚惑的な香りがむうーんと漂い、恍惚。
味も濃厚なので、きりりと辛口のスプマンテがあれば最高。
私は今夜もいろいろ長丁場なので、炭酸入りミネラルでがまん。

2年前の同じ頃、フィレンツェに取材で訪れた際、忘れがたい味のポルチーニを食べた。
その日は現地コーディネーターのようこさんが、パートナーのシェフ エリオさんの料理を
ぜひ食べていってと、ご自宅での素敵なディナーに招待してくださった。
トルナブオーニ通りから1本入った路地裏の、エレベーターのない
旧い石造りのペントハウスのおうちでいただいたアーティチョークの前菜と
フレッシュポルチーニのステーキは、どんな名店で食した料理よりも心打たれる味だった。

ウッフィツィのボッティチェッリやミケランジェロの傑作も
ドゥオモの超越的なブルネレスキー クーポラも、メディチさんちの豪壮な宮殿や庭園も
それはそれはブラヴィーッシマなのだけど、あのポルチーニの感動には敵わないのだ。
世界遺産VSポルチーニ。

ところで、エリオさんは極上のスーペルトスカーナでいい感じに酔ったら
今でも思いっきりイタリア語訛りの日本語でようこさんに言っているのかなあ?
「ワタシハ 愚カナ 羊飼イデス」…って!
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