Microsoftが4月1日のエイプリルフール企画としてWindows Phone用ソフトとしてリリースした「MS-DOS Mobile」はその名の通り、1983年にIBM PC用としてリリースし、Windowsが登場するまでPC/AT互換機や日本ではNEC PC-9800シリーズ用OSとして普及していたコマンドラインベースOS「MS-DOS」を再現したソフトです。
Android向けがリリースされているDOSBoxのような「MS-DOS環境のエミュレーター」ではなくあくまでマイクロソフトが4月1日にエイプリルフール企画としてリリースしたジョークソフトなのでIntel x86用にコンパイルされたMS-DOS用のアプリケーションが動作するというわけではないのですが、一部の内部コマンド(MS-DOSのシステムに内蔵されているコマンド)と外部コマンド(Format、Editなどの”MS-DOSシステムとして登録されていない別アプリとして提供されているコマンド”)は実際に動作するなどジョークソフトとしては割と本格的なつくりになっています。
起動画面はまずConfig.sysに定義されたデバイスドライバの読み込みからスタート。MS-DOSが本来扱える640KBを超えるRAMを読み込めるようにする「Himem.sys」やサウンドカードのSoundBlasterを設定するコマンドが表示されるなど、すでにここら辺だけで懐かしいと思う人がいるかもしれません。
デバイスドライバの読み込みが終わるとMS-DOSが起動。当然ですが英語版のみが提供されているソフトなので日本語表示に必要なCountry.sysやJdisp.sysなどは読み込まれていない英語版MS-DOSそのものとなっています。
バージョンは”MS-DOS Mobile Version 1.0”となっています。見た感じ中身は”MS-DOS”としての最終バージョン6.22がベースになっているようです。
ディレクトリ(フォルダ)を一覧表示するdirコマンド(隠しファイルを表示する/ahスイッチなど一部のスイッチは未サポート)や
現在の時間を表示したり設定できるtimeコマンド
外部コマンドであるFormatコマンドも忠実再現。ただしあくまでジョークソフトなのでFormatに関してはデバイスやストレージのデータがフォーマットされることはないのでご安心をw
ほかに使えるコマンドなどは「help」と打つことで表示されます。メモリの利用状況を確認する「mem」コマンドなんかも実際に使えますが、なぜかhimem.sysを読み込んでいるにもかかわらず搭載RAMは640KBで認識されてたり…
おまけとしてコマンドプロンプト上で「win」と入力すると
当時はMS-DOS用のGUI環境という扱いだった懐かしすぎる「MS-Windows 3.1(英語版)」が最新のWindows 10 For Phoneで起動しちゃいましたw
知ってる人はなつかしいランチャー「プログラム マネージャ」も忠実再現。起動時はこれまた懐かしい「Tada.wav」まで再生される再現っぷりに感涙。ちなみにプログラムマネージャ自体はWindows 2000までひっそりと生き残っていました。(XPではファイルは存在するもののSP2以降で起動不可能に。Vistaから完全削除)
さすがにここはWindows Phone上のアプリを呼び出すランチャーになっていますが、Internetを起動するとモデムでのダイアルアップ音が鳴ってからInternet Explorer 11が立ち上がる妙なこだわりも。
ちなみにMedia Playerは起動するとWindows Phoneシステム標準のメディアプレイヤーでWindows 3.1に実際に収録されていたサンプルmidiファイルを再生します。ちなみに再生されるのは「Canyon.mid」でWindows 98までサンプルMIDIファイルとしてC:\Windows\Mediaフォルダ内に収録されていたものになります。
というわけであくまで「ジョークソフト」ではあるもののMicrosoft公式だけあって忠実再現度が高く、当時PC-98やDOS/V環境でMS-DOSを使用していた方はなつかしい感覚で、MS-DOSを知らない人は「あぁ昔のPC用OSってこんなのだったんだなぁ」と新鮮な感覚で操作できるじゃないかと思います。
とりあえずエイプリルフールが終わった今でも提供されていますので、FreetelやマウスコンピュータのWindows Phone端末が出た際にはインストールして当時を振り返ってみてはいかがでしょうか?
MS-DOS Mobile(Microsoft Mobile) 価格:無料Windows Phone 8.1以降対応