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空飛ぶ自由人・2

旅・映画・本 その他、人生を楽しくするもの、沢山

ドラマ『ザ・クラウン』シーズン3

2022年11月10日 23時00分00秒 | 映画関係

[映画紹介] 

英国王室の内実を描くシリーズのシーズン3。

1964年から1977年までのエリザベス女王の御世を描く。

1 疑惑
1964年、ハロルド・ウィルソン率いる労働党が政権をとる。
ウィルソンがKGBのスパイであるという疑惑にエリザベスは悩まされる。
チャーチルが死亡し、国葬が行われる。

2 切り札
1965年、イギリスはアメリカからの財政援助を必要とするが、
ジョンソン大統領は拒む。
アメリカ旅行中のマーガレット王女はホワイトハウスに招かれ、
ジョンソンと意気投合し、援助を引き出す。
王女は更なる公務の分担を望むが、エリザベスは断る。

3 悲劇の波紋
1966年、南ウェールズの炭鉱町の崩落事故で、
多くの子供たちが犠牲になる。
エリザベスは現地訪問を控えてマスコミの批判を浴びる。
エリザベスは自分には「共感」が欠落していることをウィルソンに告白する。

4 母と息子
1967年、ギリシャでクーデターが迫り、
修道女をしていたフィリップの母アリス王女が、英国に呼び寄せられる。
フィリップは王室を取材したテレビドキュメンタリーを主導するが、
番組は酷評される。
アン王女は、新聞記者に祖母アリスを会わせて
王族のイメージを修復する。
フィリップとアリスは和解する。

5 クーデター
イギリスは貿易赤字と財政赤字に苦しみ、
ウィルソンはフィリップの叔父の国防参謀総長ルイス・マウントバッテンを更迭する。
1968年、デイリー・ミラー紙社長ら保守派はクーデターを企み、
マウントバッテンを首相にしようとする。
その鍵を握るのが女王だが、
アメリカやフランスを訪問していたエリザベスは
ウィルソンから連絡を受けて帰国し、
マウントバッテンを叱責して、姉のアリス王女を見舞うよう示唆する。

 6 ウェールズ公
チャールズのプリンス・オブ・ウェールズ叙任式を前にして、
ウェールズ語を学ばせるために現地の大学に送り込む。
チャールズはウェールズ独立を唱える活動家の教授に学ぶ。
叙任式でチャールズは、
ウェールズの独自性を支持するスピーチをウェールズ語で行い、
エリザベスを怒らせる。

7 月の正体
1969年、アポロ11号が月に着陸し、
触発されたフィリップは自分の人生に何も功績がないことに苛立つ。
フィリップは宇宙飛行士たちと面談するが、心は充たされない。
司祭のロビン・ウッズは、ウィンザー城内で信仰と哲学の研鑽の場を用意し、
悩める聖職者たちの集まりにフィリップを誘う。
フィリップは宇宙飛行士に失望した後、
心を開き、信仰の喪失を告白し、救いを求める。

8 宙ぶらりんの男
チャールズ、カミラ・シャンド、アンドリュー・パーカー・ボウルズの三角関係と、
ボウルズとアン王女の交際が描かれる。
1970年、保守党のエドワード・ヒースが組閣する。
死期の近いウィンザー公(エリザベスの伯父で、王の座から降りた人)
をエリザベスが訪ね、
チャールズからの手紙を渡される。
チャールズとウィンザー公は、似た境遇で共感していた。

9 もつれた糸
ウィンザー公の葬儀が行われる。
1974年、炭鉱夫のストライキが続き、
ヒース首相は計画停電で対抗する。
マウントバッテンと王太后は
チャールズを海外に赴任させてカミラから引き離し、
カミラをボウルズと結婚させる。

10 心の叫び 
マーガレット王女とアンソニーの結婚生活は破綻し、
王女は自殺を図り未遂に終わる。
1976年、政権に返り咲いていたウィルソンは
アルツハイマー病を患い辞職する。
エリザベスは即位25周年を迎える。

                                                               2シーズンごとに配役が変更され、
エリザベス女王はオリヴィア・コールマンが演ずる。


シーズン2までのクレア・フォイほどの美人ではないので、
最初違和感があるが、
演技力でカバーする。
ゴールデングローブ賞のテレビドラマ部門の
主演女優賞を受賞。
女王の俳優の交代は、見事に演出されていた。


フィリップをトビアス・メンジーズ
チャールズ皇太子をジョシュ・オコーナー
マーガレット王女をヘレナ・ボナム=カーター
ハロルド・ウィルソンをジェイソン・ワトキンスらが演ずる。

どの挿話も、
あまりにもリアルな人間ドラマなので、
本当ではないかと思わせるが、
実際は創作である。

女王としてのエリザベスの重責、
サブであることに鬱屈するフィリップやマーガレット、
そしてチャールズの心理が、真実味を持って迫る。
時の首相とエリザベスとの交流も見事で、
特にウィルソンの人間味が魅力的。
宇宙飛行士を招いたフィリップが、
高邁なパイロットの話を聞けるかと思えば、
そのあまりの俗物ぶりに戸惑うなど、
興味津々。
この時のフィリップの苦悩が胸に迫る。

ピーター・モーガンによる脚本が、
重厚で素晴らしく、
複数の監督による演出も見事。
史上最高のドラマシリーズの質の高さをキープする。


カプセルホテル

2022年11月09日 23時00分00秒 | 旅行

先の小旅行のブログで、
名古屋のホテル宿泊で新たな体験
と書きましたが、
何のことかと言うと、
泊まったホテルが、カプセルホテルだったのです。

以前からカプセルホテルなるものには興味がありましたが、
まさかそのために新宿や渋谷に出かけて泊まるわけにはいかず、
未経験でした。
今回の小旅行で名古屋のホテルを探している間に、
駅近くにあるカプセルホテルにぶち当たったのです。
高級ホテル派の娘は、
「もっといいホテルに泊まったら」
といいますが、
何よりも経験。
好奇心が勝ちました。

中部国際空港から名古屋に出て、


ホテルの場所へは、
スマホの道案内機能で向かいます。


この便利な機能、
大野城でも使っていれば、迷うことはなかったでしょうに。

行き着きました、カプセルホテル、

ナイン・アワーズ


名称は、シャワーに1時間、
睡眠に7時間、
身支度に1時間で
計9時間、という意味。
東京に8店、大阪・名古屋・福岡・仙台に計6店舗あります。

ここがフロント。


カフェを兼ねており、朝食を取ることも出来ます。

渡されたカードキー

エレベーターは男子用、女子用に別れており、

カードキーをかざして乗り込みます。

男性のカードキーでは、
男性のエレベーターしか乗れません。

ここがロッカールーム。

カードをかざして開錠。


中に部屋着とタオルのセットが入っています。

部屋着はこんな。


タオルは安っぽい薄手のものではなく、
毛足も豊かな厚手の品物。
隣は洗面所と

シャワールーム。

基本的に衣服、貴重品はロッカーに預け、
カプセルには持ち込みません。

トイレは共同。

同じく、エレベーターは男子室しか行けません。
これがカプセルルーム。


カプセルのことを「ポッド」と呼んでいます。


中には、掛け布団と枕があります。

照明は連動式で、明るくも暗くも出来ます。

上階の部屋には、登る突起があります。

10階にはラウンジが。


電源があるから、ここで仕事が出来ます。


外に出て、夜風に当たることも出来ます。


ここからの眺め。


夜になるとこんな感じ。


どうして飲料の自動販売機がないのか、不思議ですが、
1階のフロントに行けば、買い求めることができます。

やることがないので、
シャワーを浴びて、早々トポッド内に。


フードを降ろして、完全個室に。


フードは中からしか開けられない仕組みになっています。

夜中の光景。

フードがかかっているポッドが宿泊客のいるところ。


26あるポッドのうち、19が稼働。


ポッドは一つ一つが独立して設置されているようで、
隣の振動、上の振動は伝わってきません。
どこからかイビキの音がしますが、
気になるほどではありません。
フロントで耳栓を無料で貸してくれます。

タオルやスリッパはここに回収。


チェックアウト時に、
キーカード、部屋着、メッシュバッグをフロントに返却して、退出。

これでこの日(平日)の料金2800円。
会員登録すれば、1割引きで2520円

寝るだけのホテルとしてなら、
サラリーマンにとっては利用価値大でしょう。

旅行は良いホテルに泊まった方が、精神的に豊かになるのは本当。
私がいままで泊まったホテルのベストは、次の6つ。

アトランティス・ザ・パーム(ドバイ)

アリラ・ウブド(インドネシア)

エンパイア(ブルネイ)

マリオット・プーケット・メルリン・ビーチ(タイ)

ウィン(ラスベガス)

ザ・ベネチアン(マカオ)

国内では、宮古島の
シギラ・アラマンダ・リゾート


最低レベルでは、
香港のネイザン・ロードの↓このマンションの中にある


部屋貸ししているホテル。


それでも3畳ほどあり、


天井も2メートルほどありますから、
占有空間体積では、
今回のカプセルホテルが最低新記録です。

 


小説『消えた女』『漆黒の霧の中で』『ささやく河』

2022年11月07日 23時00分00秒 | 書籍関係

[書籍紹介]

藤沢周平による
彫師伊之助捕物覚えシリーズの3冊。

主人公の伊之助は、かつて凄腕の岡っ引だったが、
今は足を洗い、彫藤の工房で、
版木彫り職人として働いている。
版木彫りとは、
浮世絵などの絵画や滑稽本の文章やらを
版元から送られて来る版下に従ってノミで板に彫り、
摺師(すりし=印刷)に回す仕事。
出版は、江戸時代の一大産業だった。
昔は所帯を持ったことがあったが、
女房が男と逃げて心中して以来、
もう二度と女とは所帯を持つまい、と
女とのことは臆病になっている。
だから、一膳飯屋を営む恋人のおようとの関係も、
今一歩踏み込めないでいる。
一人暮らしであくせく働いて金を稼ぐこともない、
気楽といえば気楽、寂しいといえば寂しい境遇だ。

その伊之助のところに、
同心の石塚宗平が時々頼み事にやって来る。
親方や仲間には、昔岡っ引だったことは秘密にしているので、
迷惑なのだが、
伊之助の捜査の腕を知っている石塚は、
うまいことを言って、伊之助を巻き込んでしまう。
伊之助も心の深い所に岡っ引魂を隠し持っているので、
ついつい捜査の中に埋没してしまう。

「消えた女」は、
昔世話になった弥八親分から
娘のおようが失踪し、
助けを求める文が届いたことを告げられ、
できる範囲でならということで捜索を引き受ける。
おようの行方を追う先々で怪事件が起こり、
その裏に、材木商高麗屋と作事奉行の黒いつながりが浮かびあがってくる・・・。

「漆黒の霧の中で」は、
伊之助は仕事に行く途中で、
川から引き上げられた死体を見かける。
ふと興味を覚えて死体を見ると、
耳の後ろに何かに刺された痕がある。
伊之助は殺人事件と断定する。
その不審な水死人の素姓を洗ってくれるよう、石塚が話を持ちかけてくる。
聞きこみを続ける伊之助の前に、
第二、第三の殺人が起こり、
大店の主人や寺僧たちの悪と欲の世界が明るみに出て来る・・・

「ささやく河」は、
島帰りの男・長六が刺殺され、
二十五年前の迷宮入り強盗事件と関わりがあるらしい。
道に倒れていた長六を一時期引き取っていた関係から
伊之助はまたも石塚により探索に引きずり込まれる。
昔の事件を洗い直す伊之助の前に、
意外な下手人の姿が明らかになる。
終盤、犯人の動機が描かれ、
25年の歳月を越えた哀切な事情が見え、
と共に、題名の意味も分かって来る・・・

時代小説の名手・藤沢周平が初めて挑んだ捕物帖
武家ものでも一流、市井の人々の人情ものでも一流、
そして、捕物帳でも一流の手腕を見せる。
聞き込みする相手の長屋のおかみさんたちや
飲み屋の女中たちや
職人たちの姿に、
江戸の香りが匂い立つ。
ほんの小さな人物も生き生きと、本の中から立ち上がる。
たとえば、畳職人の言う
「お粗末な代物だが家には嬶(かかあ)と子供がいて、帰りを待ってるもんでね」
などという言葉に、江戸っ子の心意気が現れる。
捜査する伊之助の前に次々と新事実があらわれ、
事件の真相が見えて来るあたりはサスペンス。
伊之助は時々何者かに狙われ、危険な目にあうが、
昔覚えた体術でかわす。
石塚は捜査するのに便利だろうと、
お上の仕事である証明の手札を渡そうとするが、
伊之助はかたくなに拒む。
それが伊之助の矜持だった。
一匹狼の影のある私立探偵のような、
大江戸ハードボイルド

仕事狂いで、
受けた仕事を期日までに仕上げることが生き甲斐のような
親方の藤蔵は、
石塚が訪ねて来ることに不審な思いを持っており、
伊之助が時々、仕事を放り出して何かをしていることに苛立つ。
伊之助は仕事を大切にしながらも、
捜査にのめり込んでいく。
そのあたりの描写がなかなかいい。
また、幼なじみのおまさとの関係も、
彩りとして読む者の胸を豊かにする。

「消えた女」は1979年、
「漆黒の霧の中で」は1982年、
「ささやく河」は1985年の刊行。
後に文庫化。
シリーズは3冊で終わり、続編が望まれたが、果たされなかった。

 


映画『西部戦線異状なし』

2022年11月06日 23時00分00秒 | 映画関係

[映画紹介]

原作は、エーリヒ・マリア・レマルク作の長編戦争小説。
1928年11月から12月にかけて
ベルリンのフォシッシェ・ツァイトゥング紙で連載され、
翌1929年1月に出版された、
第一次世界大戦(1914年7月28日~1918年11月11日)における
戦場の悲惨さを描写する反戦文学。

1930年にアメリカで映画化され、
アカデミー賞で作品賞と監督賞(ルイス・マイルストン)を受賞した。


1979年にもアメリカでテレビ映画としてリメイクされた。
ドイツ兵は全員英語を話す。
へんな話だが、
映画ではイエス・キリストさえ英語を話すので、驚くには当たらない。

本作は、製作がアメリカではなくドイツ。
原作の本国による初の映像化となる。
従って、ドイツ兵はちゃんとドイツ語を話し、
敵であるフランス兵はフランス語を話す。
(当たり前だ)

祖国ドイツのために戦うことを志して、
学校の仲間たちと西部戦線へ赴いた17歳のパウル。
(西部戦線・・・ベルギー南部からフランス北東部にかけて戦線が構築された。)


親の反対を押し切り、書類を偽造してまで、
戦場に行くことを志願したパウルは、
若者たちが国のために戦っているのに、
自分だけがじっとしていることに耐えられず、
意気揚々と戦場へ赴くことを選択する。


しかし、その高揚感と志は、
最前線の凄惨な現実を前に打ち砕かれる。
戦場の情け容赦ない現実により、
若い兵士たちの理想は破壊され、
パウルは無惨に横たわる仲間の死体を前に恐怖する。
それでもこの果てしなく続く戦地に足を踏み入れてしまったら、
もう簡単には故郷には帰れない・・・。

当時の戦場は塹壕戦
掘った塹壕の中で敵と対峙し、
上官の命令で出撃する。
敵の塹壕に向かって突撃する兵士たちは、
雨あられと注がれる銃弾の中を縫って進撃する。
前にいる兵士、隣にいる兵士が次々と弾に当たって倒れる中、
運良く到達した敵の塹壕の中で、
銃剣を使った殺し合いが始まる・・・
そこには理想も正義も秩序も理性も微塵も無い。
戦争とは、殺し合いそのものだった。

本作は、志願した若者たちの行く末を描く。
特に主人公のパウル・ボイメルが
戦場での死と不安、恐怖、理不尽、怒り、虚しさを味わい、
やがて戦死するまでを。
戦場後方での休息、新兵訓練、野戦病院、行軍、
砲爆撃、塹壕戦、突撃、女性との逢瀬、負傷、
戦友の死、物資調達、帰郷、斥候任務と
様々なエピソードが描かれる。
特に、落ちた穴の中で、フランス兵を殺し、
服の中に、彼の妻と子供の写真を発見するパウルの痛みが胸を打つ。
また、先輩兵士で無学な靴職人のカット(カチンスキー)との交流が悲しい。

並行して、軍上層部の停戦交渉も描かれる。
面子のために戦争を継続しようとする者、
若者の犠牲に耐えられず、停戦にプライドを捨てる者。
ようやく停戦が成り立ち、
その時刻を待つ中、
英雄的としての帰還を煽動する上官によって、
最後の15分間に襲撃に駆り立てられ、
停戦数分前にパウルは死を迎える。

(1918年11月11日午前5時、
ドイツと連合国の休戦協定が締結され、
同日午前11時に発効。
しかし、締結から発効までの6時間、
指揮官ができるだけ広い領土を占領しようとしたため、
多くの地域で戦闘が継続した。) 

題名は、主人公パウル・ボイメルが戦死した日の司令部報告に
「西部戦線異状なし、報告すべき件なし」
と記載された事に由来している。

1930年作品も観ているが、
そのラストでは、パウルが塹壕の中から
飛んでいる蝶々に手をのばしたことで、
敵兵に撃たれて死亡する。
それでこその「西部戦線異状なし」なのだが、
本作のラストは変更されている。
だから、題名の中に潜む、
一兵士の死など記録に残らず大した問題にならないという、
戦争の持つ非人間性はにじみ出てこない。
また、一時帰郷したパウルが
故郷で英雄として迎えられ、
戦場の現実とのあまりの乖離に悩む場面もなくなっている。

だが、戦場の迫力、臨場感は圧巻で、
当時の塹壕戦、白兵戦の悲惨さが、
圧倒的迫力で迫ってくる。
戦争映画として一級品の出来だ。
監督は、エドワード・ベルガー

終戦まで膠着状態だった
わずか数百メートルの陣地を得るために
命を落とした兵士は300万人にのぼるという。
第一次大戦の犠牲者は1700万人以上

第1次世界大戦の教訓で設立された国際連盟の理想は脆くも崩れ、
21年後に起こった第2次世界大戦では
もっと多くの若者たちが命を奪われた。
もう戦争はこりごりだと設立された国際連合も、
あろうことか常任理事国のロシアがウクライナに侵略して、
その役割を果たされていない。
狂った指導者によって、
また若い命が戦場の露と消えるのだ。

そうした状況の中で、再映画化された本作の意義は大きい。
米アカデミー賞の国際映画賞の
ドイツ代表映画に選ばれた。

日本では劇場公開されず、
10月28日から、Netflix での独占配信となった。

 


入院しました

2022年11月05日 23時00分00秒 | 身辺雑記

実は今日まで入院していました。
場所は、家から5分の順天堂大学付属浦安病院

といっても2泊3日の「検査入院」
2019年7月の時と同じ、
前立腺生検(生体組織診断)です。

3年前の生検でガン細胞は見つからず、
半年ごとの診察を受けて、
様子を見ていたのですが、
血液検査でPSAの値が下がらないため、
久しぶりにMRI検査をしようということになり、
その結果、「病変の可能性あり」という結果が出たので、
では、前立腺の組織を調べましょう、ということになった次第。

PSAとは、前立腺特異抗原(prostate specific antigen) のことで、
前立腺の上皮細胞で作られるタンパク質。
ガンなどが出来ると血液中に移行するので、
その数値を見ることによって
前立腺がんの早期発見に役立っています。

というか、PSA検査が普及したために前立腺ガンの発見が増え、
今では、日本男性のガンで最も多いのが前立腺ガンだといわれています。

前立腺ガンが増えたもう一つの原因が、
寿命が延びたことで、
昔は前立腺がんで亡くなる前に他の病気で亡くなっており、
別名「長生き病」ともいわれ、
高年齢の人がかかる病気だった。
医術の進歩によって、
長寿となったため、
長生きするだけ前立腺がんにかかる確立が高いのだという。

今回、入院前にやることが増えました。
それは、PCR検査
事前に↓のようなものが渡され、


このスポンジ部分を5分ほどしゃぶり、


上の棒を引っ張ると、
スポンジが圧迫され、
沁み込んだ唾液が溜まる方式。
これを入院2日前に病院に提出し、


陽性だったら、入院延期の連絡が来る。
さいわい陰性だったようです。

というわけで、
11月3日の午前10時にパジャマなどを持って入院し、
この日は何もなし
通常手術前日に行われる麻酔に対する説明も、
日程の都合で前週の土曜日に済ませたので、
本当に何もない。
何も朝10時に入院でなく、
夕方からでもいいのに。
部屋は4人部屋で、
ご覧のとおりカーテンで仕切られていますので、
個室と同じ。


プライバシーはも守られています。


コロナの関係で面会はなし。

廊下。

窓からの景色は↓。

とにかく第1日目は、
ご飯を食べて、横になっているだけ。
ああ、入浴がありましたね。

昼食は↓。

夕食は↓。

これで一食460円も取ります。

前回の入院で退屈さに辟易したので、
今回は、娘から借りたタブレットを持参。


これでYouTubeもNetflixもプライムビデオも
ディズニープラスも見放題です。


WiFiへは、
テレビカードの一部として購入。


3日分で200円。


9時消灯。
1日目の夜は、ケビンズイングリッシュルームを見たり、
中国映画「星明かりを見上げれば」と
ドイツ映画「西部戦線異状なし」を見たり、
「ギレルモ・デル・トロの驚異の部屋」を見たりして、過ごしました。

2日目は手術
朝食は抜き。
かわりにアルジネート・ウォーターというのを飲まされますが、


これも一食にカウントされ、460円。
へんなの。
ネットで1個170円くらいで買えるのに。

私の手術は、2回目の9時45分から。
本を読んでいると、
9時30分に呼び出しがかかり、
エレベーターで2階に降り、
徒歩で手術室に向かいます。
ここの棟には手術室が16あり、
「4号室」は欠番。
「死」を想起させるからでしょうか。
なのに、「13号室」はあります。
外人には使わないのか。
手術室に入ると、
いるのは女性ばかり。
うわ、この人たちの前で、
あの恥ずかしい姿勢をさせられるのか、と恐怖。
後で麻酔医と執刀医の男性が現れましたが。

前立腺生検は、肛門に器具を入れて、
超音波による前立腺の画像を見ながら、
細い針で前立腺を刺して組織を採取すること。
(大体12本くらい)


従って、下半身丸出しで、
大股を開いて、会陰部(えいんぶ=肛門とタマタマの間)をさらします。

↑写真は、私ではありません。(念のため)

狭い手術台に乗り、
点滴の針を刺され、
下着とパンツを取られ(この段階では布がかかっている)
横を向いて体を丸めると、
尾てい骨図あたりに針を刺し、麻酔薬を送り込む。
そして、仰向けになり、顔には麻酔のマスクが。
前回はここで意識を失いましたが、
今回はその後もいくらか記憶があり、
何か下半身で操作をされている感覚が残ります。


恥ずかしい姿勢の自覚はありません。
あとは、ベッドに移されて、運ばれる記憶が。
そして、病室に戻り、安静にさせられます。
記憶は曖昧、
夢幻の世界を彷徨います。

2時20分頃、
歩行が許可され、
トイレに。
前立腺は尿道とつながっているので、
必然的に血尿になります。
あれ???
前回は真っ赤っかの鮮血のような血尿が出て仰天しましたが、
今回は最初だけ血が出て、後から透明な尿が出、
全体では茶色くなるだけ。
技術が進歩したのでしょうか。
お小水の分量はカップに受けて、
時間と出た量を用紙に記入しなければなりません。

再びタブレットのお世話になり、
ディズニー・プラスで「スター・ウォーズ」シリーズの「ボバ・フェット」を4本分。
半日の断食の後の夕食は、↓これ。

夕食後は、「ザ・クラウン」第4シリーズを次々と。
その間も2時間ごとに排尿。
点滴の保持台と一緒です。
9時の消灯後も「ザ・クラウン」を観続け、
11時半頃就寝。

翌朝は5時に血液採集があり、
やがて、点灯し、
タブレットを見ていると、
8時に医師が現れ、
血液検査も排尿も順調なので、
朝食後、退院の準備をして下さい、と言われ、
朝食↓となります。

これで460円とは。少々複雑。
朝も昼も夜も全部一律460円
誰か疑問を呈した人はいないのか。

(後で調べたら、
入院中の食事代の標準負担額は、
原則全国一律で「1食につき460円」と決まってるという。
でも、アルジネート・ウォーターが食事扱い、
というのは、納得できませんね。)

再びタブレットに没入していると、
会計の準備が出来ましたとの知らせが入り、
既に作っていた荷物を持ち、
ナースステーションに挨拶して、入退院受け付けへ。

ここでも「4」は欠番です。

支払いはカードで。
そして、徒歩で家へ。
家に一歩入った途端、
身ぐるみはがされ、
シャワーを浴びさせられました。

娘に感謝の言葉と共にタブレットを返しました。
タブレットがあれば、入院時の退屈は大変しのげると分かりました。

生検の結果が出るのは、11月17日
もしガンと判明したら、
即座に全摘、の覚悟をしています。
順天堂病院はダビンチの前立腺摘出手術に実績があるようなので。