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月のmailbox

詩或いは雑記等/小林貞秋発信。

詩-Space  でんぐりらいむの

2008-12-26 23:01:37 | 
        夜空を
        区切るように
        マンションの頭あり
        住まいの
        明かりの濃淡
        やわらかな
        音の強弱思わせて
        全体
        instrument
        でもあるのか

                でんぐり
                らいむの
                らいと
                らいと

                でんぐり
                らいむの
                らいと
                らいと
           
        聳えているみたい
        けなげな人類の
        発明品
        みたいに形を
        成して

                でんぐり
                らいむの
                らいと
                らいと

                でんぐり
                らいむの
                らいと
                らいと


                      from Six Poems No.5 2002
     
              

詩-Space  光の中

2008-12-05 23:10:12 | 

      昨日と
      同じように
      男は
      トンネルの
      前に腰を
      おろしています
      待っている一羽の鳥は
      陸を越えて
      海から
      また別の大海へと
      消えてしまうことが
      あるので
      それが
      重なると
                         地上では
                 ついには
      出合うことがない
      ということにも
      なるのです
      そうして
      トンネルの向こうの
      明るい
          光の中
      素早く過る
      なにものかの影を
      幻のように
      眼に刻み
      ふいと
      つき動かされるように
      立ち上がったりも
      するのです

                    Six Poems No.5 2002  
  
       

詩-Space  象

2008-11-24 22:12:25 | 

      掠りもしなければ    
      唸りもしない
      あの景色
      気配がないので
      象
      頭振る
      見たい見たいと
      空高くまで跳ね上がる
      歩きに
      歩いたところで
      ただ重たい頭
      はこんでいるだけだと
      険悪になる
      踊るのもいい
      声駆けさせるのもいい
      象など止して
      黒猫に変身
      でなければ金の眼の虎
      鷹もある
      蛇もある
      問われれば
      いやだいやだ
      あれが消えれば
      これはこれでなくなるもの
      これはこれでなければ
      空も空でなくなる
      強硬に
      尻
      また
      揺らす

                       from Six Poems No.10 2005   

詩-Space  遠隔

2008-11-16 23:23:14 | 

                            一万キロ
                かなたの
       海
       空色の
       小石が
       ひとつ
       ただひとつ
       ダンス
       ダンス
       どこまでも
       いつまでも
       スルリ
       スル
       スル
       空間のような
       海中を
       どこまでも
       いつまでも
       舐め
       伝うように
       シュル
               シュル
                       シュル

                               シュル
       どこまでも
       いつまでも
       シュル
               シュル
                       シュル
                               シュル
       旅する
       様を追う
       日


                     from Six Poems No.3 2001     
 
       

詩-Space  夢の木

2008-11-08 23:02:38 | 
      その
      かたち
      いただきます
      そのかたち
      いただきました
      その
      なんだか
      その
      なんだか
      その
      うんと外れた
      なんだか
      きわどく
      思いもかけず
      夢に描いた
      地を
      旅できたような
                     なんだか
              なんだか
      なんだかの
      そのかたち
      その味
      その図柄
      その冒険
      その放埒
      パレットを手に
      なんだか
      なんだかの
      粘つき 
      歯ごたえ加わる
      揺曳


                     from Six Poems No.3 2001     

詩-Space  とびら

2008-10-27 22:37:52 | 
  たいていは
  なあんにも
       なあんにも
  そのとびら
  ときにはうんめいの
  うんめいの
  とびらになる
     そのじしんの
        ひふのいちぶの
     ような
  そのとびらから
  なあんにも
  なあんにも
  ぐろうされるほど
  なあんにも
  でてこない
        なのに
     まちに
  まち
  とおく
  かなたをちょくしんする
  くろいせんしゃを
  みやりなど
  しながら
  なぜか
  なぜにか
  なおも
  なおも
  なあんにも
    でてこない
       そのじしんの
          ひふのいちぶの   
       ような
  とびらをまえに
  まちに
  まち
  まちに
  まち
       まちに
  まつ
  にがみもある
  しあわせ


                     from Six Poems No.2 2000 
 

   
            

詩-Space  島のこと

2008-10-23 22:06:21 | 

  海がみえる
     わけではない
  島
     なのかどうかも
  わからない
  そこにながれる
  時間が
  島のかたちを
  しているだけ
     なのかもしれない
  島のかたちをした
  時間の輪郭を
  いのちのなかで
  ながめ
  つづけていると
  だんだん
     だんだん
  だんだん
     だんだんと
  うすれにうすれ
     うすれにうすれて
  いつか
  いつか
  ふたたびそのかたちを
  探りだせないほどに
  その在処を
  辿れないほどに
  うすれに
  うすれ
  うすれに
  うすれて
  そこから
     海の見える島に
  ふたたび
  戻れ
  ない
  戻れ
     ない  


                    from Six Poems No.2 2000    
     

詩-Space  惑星

2008-10-19 21:20:05 | 

   うすいシルク
   一枚
   よりもうすい
   とてもうすい
   その上に
   見えない心
   その上に
   見えない心
   その上に
   見えない心
   その上に
   見えない心
   その上に
   見えない
   底無しの
   影
   暗愚
   底無しの
   くるしさ
   その上の
   くるしさ
   見えない
   くるしさ
   見えない
   くるしみ
   ただ
   青く
   青く
   澄んで
   白模様
   まとわせ
   青く
   青く
   異質


                     from Six Poems No.1 2000  

詩-Space  水平線

2008-10-15 22:32:15 | 
 
   なにから
   などと言わなくても
   なにかは始まっているのですが  
   あなたは
   何処を見ていますか
   家の中ですか
   あそこの樹ですか
   あそこの樹は同じ樹でも
   とくべつな処に生えている
   樹ですか
   そうであればあの樹は
   とくべつな樹
   ということになるのでしょうか
   そのようなことを
   はるか以前にも
   問うたことがあるように思いませんか
   あなたの
   白いアタマの中の
   白いウサギが問うたのでは
   ありませんか
   そうしてそんな樹など
   どこにもない
   どこにも見えない
   あるのは一本の水平線
   鉛筆書きの水平線
   それが空と平原を二つに分けていると
   言ったのではありませんか
   見えるのは
   ただそれだけ
   それだけであると
   言ったのではありませんか

                     from Six Poems No.7 2003

詩-Space  本を視る

2008-10-05 11:59:01 | 
 橋
 のことなどを言う
 それも仰ぎ見るような
 半円

 それは
 見下ろせる位置も
 用意された
 橋

 下の川には
 途絶えることなく言葉
 流れる

 たましいも
 共々
 音も立てずにそこに
 ある筈と
 映る

 開いて
 閉じて
 開いて
 視る
 ひとつの
 顔



                  6 May 2007

詩-Space     空白

2008-09-22 14:10:09 | 
雨が降る
原始林とか言われる処に
百万年むかし
と言ってもそう旧いことでもない
basa-basa-basa-basa
でかい葉に大粒の雨が当たり
のらりくらりと日が過ぎて
俳句をひねるひともいなかった
靴下をはくおんなも

私の頭の中の
巨きな立方体の空白
硝子張り
打てばコキンコキン
割れます

basa-basa-basa-basa
でかい葉に大粒の雨が当たり
のんびりとしたもので
くるしいいいっ
などと言う口もない
あっちこっちと
目を光らせるのがいるくらいだ
記憶というものがないなんてね
だったら
もう五十万年生きて
少しだけ利口になろうかな
そんなご先祖様がいて

割れます
だいじなたったひとつのもの
なのに
キャラン

              東京出版刊   「現代詩集成'92」 1992

詩-Space    渦巻

2008-07-21 21:06:43 | 
    
    いかに
    あちらとこちらの
    隔たり
    大きいかを知る時がくる
    あるいはまた流れが
    ひたすらより低い方角へと
    向かうものだということだとか
    それがいずれは
    大海のような別の世界に
    交わることもあることだとか
    そうしてまた
    問いかけてみたりなど
    あそこのあの壁に描かれた
    雫のようなもの
    あれはどこかの惑星から
    夢のような通路を抜け
    滲みだしてきたものではないか
    この世の不思議に対面させるために
    どこかしらで手が打たれ
    サッサッサッと
    手際良く理由なども
    添えられるのは常のことだから
    などと
    思い切るようにして
    誰の眼にも触れないあの奥地を
    この朝
    左向きに緩やかに
    カーヴするのだそうである
    同じ方角に曲がりつづけて
    ついには渦巻のように
    この昼
    上昇していくのだそうだとか


        
             Six Poems No.9 2004    

詩-Space その間に雲は

2008-07-20 21:38:07 | 



    蜃気楼のように
    白い壁上に
    しずかな海が見えている
    その時間
    どこかしらに向け
    進みだせないとしても
    そのまま
    そのままに
    その場所に
    とどまりつづけることも
    また良いようで
    青空を見上げながら
    なにかしら
    思い描きつづける時のように
    払い去るべき重みが
    首筋あたりにうすく留まる
    その時に
    人生はひと巡りして
    終わり始まり
    前後の記憶のないままに
    今またそこに
    振り出されるようにしている
    のかもしれない
    またその時間
    道筋を見出し泳ぎだすことか゜
    できないとしても
    時間という
    白みがかった広がりもつものに
    遍く触れることができそうな
    拡散の只中に
    吸い込まれるように
    突き入っていたりもする
    突如の弾みのようにして
    その間に
    空の雲はこの惑星を
    幾周も駆け巡り
    遂には空から逃げだす算段を
    始めているのかも
     しれない


                  Six Poems No.9 2004    
 
     

詩-Space 言葉を巻いて

2008-05-27 22:52:19 | 


    ウィンドーそばの
    席
    通りを
    水平に眺めながら
    縞模様の
    空気で言葉を
              クルクル
                        クルクル
    巻いて
    発射させたりなど
    しているんだな
              クルクル
                        クルクル
    巻いたのを
    樹を越え
    ビルを越え
    橋を越え
    川を越え
    水平に眺めながら
    夢を孕んだ言葉が
    踊るように弾けるのを
    どこか
    どこかで
    追っているんだな
               クルクル
                         クルクル
    巻いたのを  



              from Six Poems No.5 2002        
      

詩-Space ひっかかる

2008-05-12 21:54:26 | 
    

     ほんのちょっと
     外れている
     なにかがある
     だけのこと
     なのに
     ブランブランする
     ひとが
     別のブランブランに
     関わる
     ところで
     ひっかかる
     すると
     なんなく着けた
     先までの
     道
     底不確かに
     たるんで見えて
     どこか
     どこかと
     当たりをつけつつ
     萎えている
     となれば
     一気に
     断ち切るぞ
     あの根元から
     そこまで行っている
     傾き
     抉る
     気配


                            January 2008