地上を旅する教会

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でもその一滴の水があつまって大海となるのです。

自分の目【日本にこそ必要… CIA元職員が気づかせた】

2013-09-24 09:42:23 | 今日の御言葉



自分の目にある丸太を見ないで、兄弟に向かって、

『さあ、あなたの目にあるおが屑を取らせてください』と、
どうして言えるだろうか。

偽善者よ、まず自分の目から丸太を取り除け。

そうすれば、はっきり見えるようになって、
兄弟の目にあるおが屑を取り除くことができる。


「ルカによる福音書」 / 6章 42節
新約聖書 新共同訳




愛によって生まれ、
愛によって生き
愛を地上に残していくのが、
人生の目的である。




▲エドワード・スノーデン容疑者 (左側)


★日本にこそ必要…
CIA元職員が気づかせた
【日曜に書く】論説委員・湯浅博


◼産経新聞2013年7月14日


◆フレンドリースパイ

 インテリジェンスの世界では、友好国を相手の情報収集活動を「フレンドリースパイ」と呼んでいる。筆者が外務省を担当していた1987年、この形容矛盾する米国の情報活動が浮上したことがある。

 当時、東芝機械がソ連原潜のスクリュー音を消すための工作機械を輸出したとされた事件が摘発された。きっかけは、東芝機械の通信を傍受していた米情報機関が、日本政府に伝えたことから始まっている。

 外国の情報機関が敵対国の外交官の動きを探り、情報収集を妨害することは驚くに当たらない。宿泊先ホテルの会話や携帯電話が盗聴され、中国ならハニートラップにも要注意である。まして、在外公館が傍受されることは世界の常識だ。

 米中央情報局(CIA)元職員、エドワード・スノーデン容疑者が、米国の国家安全保障局(NSA)による同盟国の在米大使館の「盗聴」も対象に含まれていたことを暴露した。しかし、日本政府が驚きもしなかったのは、東芝機械事件で先刻承知していたからだろう。

 そこはオバマ大統領、「どの国の情報機関も非公開情報の収集は行っている」と半ば開き直りの姿勢をのぞかせた。同じようなことは、最近の英紙ガーディアンや仏紙ルモンドが伝えるように、英国やフランスの情報機関もやっている。

 問題はむしろ、日本だけが情報世界の「お互いさま」という枠組みの外にあることである。米国がここまでやるから、敵対国の中国は推して知るべしであろう。日本は情報という武器を持たずに“丸腰”で対外交渉をしているようなものなのだ。

 頼みの綱は、安倍晋三政権がこの秋に法案化する国家安全保障会議(日本版NSC)の創設である。事務局となる「国家安全保障局」の局長は、米国NSCを担当する大統領補佐官の交渉相手となる。局長の下に内閣情報官と危機管理監が入り、内閣情報調査室(内調)に「ヒューミント」と呼ばれる情報部員を統括する部門の設置を検討している。

 ◆日本こそ必要な情報力

 ただ法案作成の過程で、またぞろ外務、警察、防衛の各省庁三つどもえの権限争いの話が流れてきた。この主導権争いに、中韓の顔色をうかがう野党やメディアが絡むと厄介なことになる。戦後の日本が「内閣直属のインテリジェンス機関」をつくろうとして果たせなかった歴史を振り返ってみてほしい。

 宰相吉田茂はサンフランシスコ講和会議で日本が独立を果たすと、ひそかに情報機関の創設に取り掛かった。軍事顧問の辰巳栄一元中将とともに、英国をモデルに弱い軍事力を強力な情報力で補おうとした。吉田は昭和27年4月に外務、法務、警察の寄せ集めで内閣官房調査室を発足させ、やがては日本版CIAに格上げする意向だった。

 初代室長には総理秘書官だった村井順をあてた。吉田は警察予備隊(後の自衛隊)に旧軍人を採用することは嫌ったが、新情報機関には元特務機関員や元海外駐在武官を起用した。

 ◆国益をそぐ内輪もめ

 しかし、内閣官房調査室の創設をめぐっては、内務官僚だった村井室長と、外務省の曽野明との深刻な対立があった。外務省は対外情報にかかわる情報文化局第1課長の曽野を中心に、官房調査室が国内情報だけを扱うよう申し入れている。

 外務省はソ連通の日暮信則を調査室に送り込んだが、29年に発覚したソ連代表部のラストボロフ亡命事件で、日暮がソ連の協力者であることが明るみに出た。日暮は取り調べ中に自殺してしまう。ソ連が調査室内の対立を利用して情報網を浸透させた疑いが指摘されている。

 村井は辰巳元中将の助言をうけて、文書収集、通信傍受、工作員活動の3つからなる米CIA型情報局に拡充しようとした。吉田はこれをうけ、27年の国会答弁で、情報機関設立のアドバルーンを上げた。とたんに、野党とメディアから政府による言論統制につながると反発を受けた。与党内でも官房調査室を仕切る緒方竹虎が力を持つことを恐れる池田勇人ら官僚派の警戒感と重なった。

 こうして、新しい情報機関をつくろうとした吉田の壮大な構想はついえた。従って、安倍政権の手になる新たな国家安全保障会議と内調の再編は、戦後日本が自立するための宿願であった。皮肉にもスノーデン容疑者の暴露が、そのことを日本に気づかせてくれた。(ゆあさ ひろし)

( 2013年7月14日 産経新聞 東京朝刊 )




▲ジュリアン アサンジ氏



★スノーデン氏よ、
誤った国に導いたウィキリークスのガイドはクビだ【社説】



◆WSJ日本語版 2013年7月4日
http://jp.wsj.com/article/SB10001424127887323760504578585103693110438.html


 米政府の個人情報監視活動を暴露した米国家安全保障局(NSA)の元契約職員エドワード・スノーデン容疑者の魅力は薄れつつあるようだ。米国の国家機密を漏えいしたと自ら名乗り出て、世界中の反米主義者のヒーロー的存在となった同氏は今や、ロシアのプーチン大統領に翻弄されている。大統領は旧ソ連国家保安委員会(KGB)の出身で、世界の名だたる独裁主義者の1人だ。


 内部告発サイト「ウィキリークス」の活動家に付き添われ、香港から逃亡して以来、スノーデン氏は1週間以上にわたってモスクワのシェレメチェボ空港の乗り換えエリアで立ち往生している。スノーデン氏は6月30日に正式にロシアへの政治亡命を要請したが、プーチン大統領は1日、かかわりを避けようとした。ロシアはスノーデン氏を米国に引き渡しはしないが、同氏を国内に滞在させないかもしれないと表明した。

 スノーデン氏はおそらく、ウィキリークスのジュリアン・アサンジ編集長ではなく、誰かほかのトラベル・エージェントを持つべきだった。もっといいガイドだったら、スノーデン氏に、米国の国際人権団体フリーダムハウスはロシアを「自由ではない」とランク付けしており、政治的権利や市民の自由といった点で、アルジェリアとほとんど変わらないことを伝えていたかもしれない。ジャーナリスト保護委員会(CPJ)によると、1992年以降、ロシアでは79人のジャーナリストが殺害されており、これは他のどの国よりも多い。ブログで当局者の汚職問題をめぐる自身の調査を公表しているロシアの活動家アレクセイ・ナワルニー氏は、政治的にねつ造された容疑で長期にわたる刑期に直面している。亡命を求めている、自称「透明性」の確保を求める活動家は、こうしたことを知っておいた方がいい。


 オバマ政権がスノーデン氏をかくまわないよう要請するなか、プーチン大統領はスノーデン氏がどこか他に亡命先を探すべきだと表明した。さらに大統領は、スノーデン氏の滞在に「1つの条件」を突き付けた。「私の口から聞くのは奇妙かもしれないが、われわれのパートナーである米国にダメージを与えることを目的とする仕事を止めなければならない」との内容だ。大統領はさらに、スノーデン氏は「自らを人権活動家で、人々の権利のための自由の闘士だとみなしており、自身の仕事を中止する意図はない」とし、したがってモスクワは同氏にとって適切ではないかもしれない、と続けた。

 スノーデン氏はその意図をくみ取り、2日にロシアへの亡命申請を撤回した。現在、他の20カ国以上への亡命を模索しているが、これまでのところ交渉はまとまっていない。同氏はウィキリークスを通じて発表した声明で、パスポートを無効とするオバマ大統領の判断は「国外追放という超法規的罰則」だが、透明性という自身の信念を言動で示すために米国に戻ることを阻止できるものは何もないと主張した。


(ウォールストリートジャーナル日本語版 2013年7月4日)

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