goo blog サービス終了のお知らせ 

ウロコのつぶやき

昭和生まれの深海魚が海の底からお送りします。

戦い終わって

2007-04-07 00:25:13 | 日記

「フィギュアスケートの詳しいことなんかわっかんなーい♪」といいながら、勘とフィーリングだけで追い駆けてきた私の06-07シーズンが終わりました。
今季、大ちゃんのここまでの躍進を、どれ程の人が予想していたでしょうか。
今になって思うに、トリノで初めて彼を知って「コイツはイケる!」と踏んだ私より、彼が苦労して来た時代から見守り続けて来たファンの方たちのほうが驚きが大きいのかも知れません(もしかして、ファン歴が長いほどトラウマも大きいとか?)。

何度も言うように、私が最初に彼に惹かれた理由は「この子、ちょっとミカっぽい?」と思ったことです。でもよく考えたら、ミカと大ちゃんには共通点はそんなにないかも(とりあえずミカには芸術的センスはないし期待したこともないです/笑)。それじゃどこにミカっぽさを感じたのかというと、多分言葉の端々から感じられる現実認識の的確さだと思います。
当の本人が真正面から受け止めるには辛いんじゃないかと思うような事実でも、彼は淡々と受け容れて簡潔な言葉で語っていた。それを見たときに、彼はこの先まだまだ伸びると思ったのです。
自分に欠けているものが分かっているなら、自分が進むべき道も分かっているはずなので。
そういうのって、現実を受け止める強さもちろんですが、同時に現実から本質を読み取る勘の良さも必要になって来ると思います。
「経験、自信、度胸もすべて足りず、五輪で滑るにはすべてにおいて未熟だった」
これはきっとトリノから1年経って、あの時足りなかったものも(当時に比べれば)手に入れたから出て来た言葉だと思います。でも、こういうことをさらっと言えちゃうのってなにげにすごい。

そしてシーズンに入ってからも、「自己分析しながら」という本人の言葉の通り、彼の言葉と現実の間にはズレがなく、彼の意識もブレることはなかった…んじゃないかな。
印象的なのは、いつも自分の試合を振り返る時、点数や順位ではなく「演技の質」を問題にしていた所です。彼はいまだに採点法をよく分かってないらしいですが、多分本人が採点を理解する必然性を余り感じてないのも理由の一つなんではないでしょうか(NHK杯の時には「勉強しないと」とも言ってますが)。
私の上司の知り合いに有名な体操の先生がいるのですが、その方が「体操競技はよく採点基準が変わるが、基礎が出来ていれば変化にも対応できる」と仰っていたそうです。
どうやらフィギュアの点数の出方も状況によって変わるものみたいなので、細かい点数に一喜一憂するよりも、演技自体の質を高めてどんな時でも点が出るように努力する事が大事という考えもあるのかなと思うんですがどうでしょう。

点数と言えば、結局彼はシーズン初めからずっと同じジャンプ構成で、世界選手権でもそれは変えなかったですよね?それってつまり、シーズンの初めから世界のトップと戦えるハイレベルな構成組んで来てたってことだと思うのは素人考えなんでしょうか。
安藤さんを見てても思ったのですが、それがつまり、モロゾフさんの戦略だったのかなーと。最初からハイレベルな構成を組んで、試合の中で慣れさせておく。選手にしてみれば、1シーズンずっとやり続けて来たからこそ、最後の大事な試合の中でも落ち着いて高度なジャンプが飛べるし、いざとなったら更に上乗せして勝負に出るための武器も持っている。
何となくフェラーリのロス・ブラウンを思い出しました。高度な作戦は、選手にそれをこなせる技量があって初めて成立する。作戦があればどんな選手でも勝てるというものではないのです。

で。ニュース記事とかでたまに見かける「無難」って一体何なんだろうと思います。なんか、悪意を感じる言葉ですよね。無難って「可もなく不可もなく」って意味ですから。これが「手堅く」とか「堅実」「確実」だと随分印象が変わると思いませんか。わざわざ「無難」という言葉を選択する人って、一体何の印象を操作しようとしてるんでしょうか。

「オペラ座の怪人」をキャンベルで初めて見た時、無謀なまでに「攻めた」作りにわくわくしました。その無茶なプログラムを1シーズンでものにし、難易度を下げることなくあの大舞台で演じ切ったからこそメダルも掴めたんだと思います。
(SPの4-3は私が思ってる以上に難しいものみたいですね。これは来年のお楽しみに取っておきます)

安藤さんの優勝もあって一躍脚光を浴びているモロゾフさんですが、コーチとしてのポイントは「選手に合わせた指導をする」ここの部分が大きいかなと思いました。
選手に合わせて指導をするっていうことは、その選手のことをよく分かってないといけない。多分この人は、人を見る目があるんだろうなと思います。
私の職場に、優秀な職人を何人も育てた指導者の方がいます。現場一筋の方で学がある訳でもないし決して多弁でもないのですが、たまに言う事がものすごく的確でびっくりします。特に「人の評価」がスゴい。「あいつは○○やな」というその一言でズバり本質を言い当てているような事が多いです。
人を育てるのが上手い人は、人を見るのが上手い。そして「人を見る」というのもやっぱりセンスが必要なので、誰にでも真似が出来ることではないと思います。

今回の銀メダルで彼が手に入れたもの。前にも書いたように、一つは「格」だと思います。メダリストの肩書きは、これから戦って行く上での武器となる。
そしてもう一つは、今回の試合の結果、世界の人々に(今までよりも)知られるようになったことかなと思いました。
彼は常々「観客の声援が力になる」と公言していて、実際にそのような演技を見せている。
NHK杯、全日本、世界選手権と見てると、フリーの最後のストレートラインステップの前でお客さん盛り上がる→声援を受けて気合いの入ったステップを見せる→それを見てお客さんますます盛り上がる→それを受けて更に(以下略)と、まるでハウリングを起こすマイクとスピーカーみたいに相乗効果で盛り上がって行くんですよね。
実はシーズンの初めの方、「ステップを頑張っても、あんまり点数は稼げないんじゃないか。ジャンプに比べると、ステップで頑張るのって損じゃないか」と思ってたんですよね。結局は、ジャンプが飛べないと勝てないんじゃないかと。
でも実際は。実際、ジャンプが飛べてなんぼではあるけれど、ジャンプを成功させた上で、更に上乗せする、という段になった時には、このステップって結構強力な武器になるんだなと思いました。最後のステップで盛り上がれば、審判もそう無碍には出来ないんだろうなーと。ステップそのものの点以外にも、案外貢献してるのかも知れないと思いました。
あくまで素人の考えですけどね。
で。今まではそれが、国内の試合で顕著だった。でも今回の結果を受けて、海外でも「ダイスケのステップ」を楽しみにして盛り上がってくれるお客さんが増えたかも知れない。日本ほどではないにしろ、今までよりもお客さんが力をくれるようになるかも知れない。
そういう意味でも、来年が楽しみだなーと思いました。考え過ぎですか私は。

そして来年と言えば。
気の早い話ではありますけど、新しいプログラムも楽しみですね!
という訳で、以下妄想です。
ご本人は「コミカルなのもやってみたい」というコメントがありましたけど、まず手始めにEXを宮本さんに作って貰うのはどうかなーなんて思うんですけど。お笑い系までは行かなくても、宮本さんお得意のノリノリで楽しいやつを。トップ選手になるとEX複数用意しておくのが普通みたいなので、もう1本はモロゾフさん謹製のEXバージョンオペラ座で。で、アンコール用にノクターン路線のしっとりしたのを自作すれば完璧。試合用の方はモロゾフさんに任せます。

以上、だらだらと脈絡もなく書き連ねてみました。
他にも色々と思う所はあるのですが、際限がないのでこれくらいにしておきます。

***

来年と言えば。世界選手権はイエテボリですか。スウェーデンですね。遠いですね。無理ですね。

……
スウェーデンって、フィンランドの隣なんですよね……。
F1ドライバーの名産地・フィンランド。ミカ・ハッキネンの生まれたかの地へ私が行く機会は……この機を逃せばもう二度とないかも知れない。などと考え始めている自分が怖い今日この頃です。
マレーシアGP始まってますねー!