報道写真家から

我々が信じてきた世界の姿は、本当の世界の実像なのか

(6)地雷原に暮らす

2005年02月08日 22時34分59秒 | ●カンボジアの地雷
地雷未処理地帯に建つ家屋。
家の周りは開墾され畑が作られている。
CMACが重点地区に指定するのも当然だ。荒地がどんどん開墾されていけば、間違いなく地雷や不発弾に接触することになる。














すでに広い範囲が開墾されている。開墾中に不発弾がいくつも出てきた。それでも人々は開墾を続ける。極度の貧困の中で生きる人々は、一日も早く収穫を上げなければならないのだ。
家の周辺だけは、念のためCMACによって探査された。




















地雷未探査区域を平然と開墾する夫婦。白い紐の内側がCMACによって慎重に探査されたエリア。CMACとしてはとても複雑だ。
CMACの資料によると、月平均600人が地雷に接触するという。この光景を見ると、その数字がとても現実味を帯びる。


農民が開墾中に掘り出した迫撃砲弾。鍬が勢いよく先端部に当たれば間違いなく爆発するだろう。
これらはCMACによって雷管と火薬が抜かれ無力化された。










大勢の子供が地雷原で暮らしている。何にでも興味を示す子供は、地雷や不発弾の犠牲になりやすい。
地雷の中には、意図的にそうした子供の習性を狙ったものもある。散布型地雷と呼ばれ、空中から多量に散布される。子供が手に取りたくなるような、奇妙な形をしている。人形型の散布地雷さえあると報告されている。 




(5)爆破処理過程

2005年02月07日 19時00分31秒 | ●カンボジアの地雷
探知によって発見された地雷や不発弾は、すべて爆破処理される。移動が危険なものはその場で爆破されるが、RPG7(片付け式ロケット弾)の弾頭などはまとめて爆破する。
爆破には、このような土手の裾などが理想的だろう。爆発の威力は土手に吸収される。破片も一方向にしか飛ばない。

写真には3本しか写っていないが、このときはRPG7の弾頭が4本。








弾頭の上に、プラスチック爆薬を仕掛ける。プラスチック爆薬は、電流の通電によってのみ爆発する。衝撃や火や熱では爆発しない。取り扱いが便利で安全な爆薬だ。







土をかぶせて完了。









50メートル離れた位置まで電線を引いておく。全員が安全な位置に退避し、住民がいないことを確認して、電線をスイッチに接続する。





爆破。
爆破位置から離れすぎているので、写真にはかすかな煙しか写っていない。
しかし、RPG4本+プラスチック爆薬の爆発は、かなり凄まじかった。
RPGはもともと対戦車兵器として開発されたものだ。戦車の装甲を撃ち抜く威力がある。対人地雷よりはるかに危険なしろものだ。




地雷よりも不発弾の方が多く発見されるので、あらゆる爆弾、砲弾、榴弾、ロケット弾についての広い知識と高度な訓練を要求される。生半可な仕事ではない。

(4)地雷撤去作業行程

2005年02月06日 16時00分21秒 | ●カンボジアの地雷
探査エリアの反対側に、ひとまず必要な範囲だけ探査して、待機所をつくる。作業場所との距離を十分とるためだ。対人地雷でも、破片は数十メートル飛ぶ。



熱帯のカンボジアは、金属探知機を使う前にまず雑草を刈らなければならない。このとき、仕掛け地雷のワイヤーがないかも調べる。勢いよく刈るとワイヤーを引っ掛けてしまうことにもなる。
一度に刈る範囲はほんの50センチ四方ほどだ。棒を足元に置いて、探知済み場所との境を明確にする。探知し終わると、棒を前に進めて、また50センチ四方を慎重に刈る。

除草要員が待機所にもどってから、探知要員が出る。
まず金属片を探知機にかざし、正常に作動しているかを確認する。独特の甲高い音がする。







そのあと、地中に埋めてある金属にも感応するかを確認。棒の立ててある位置に埋めてある。これらの行程は毎回必ず繰り返される。





そして、草を刈った場所を入念に探査する。探査ミスをすると、除草要員が犠牲となる。プラスチック製地雷や木製地雷の中には、金属探知機では感知しにくいものもある。どうしても金属探知機には限界がある。
更地に最初の一歩を踏み出さねばならない除草要員は、かなりの緊張を強いられる役割かもしれない。CMAC設立以来、まだ事故は一件もない。

探知要員がもどるまで、除草要員は待機所で待つ。あらゆる作業は、ゆっくり確実に行われる。
一見、そこまでしなくても、と思ってしまうほど一回のサイクルに要する時間は長い。しかし、作業効率を上げようとすれば、必ず心のスキができる。それが一番怖い。
熱帯の炎天下の中、黙々と作業が繰り返えされる。気の遠くなるような作業だ。これほど緊張と忍耐を要する作業はほかにあるまい。








ここまで前進するのに、どれほどの時間を要することか・・・











そして、このようなものが発見される。








全長70センチほどの爆弾。

















尾部に電線らしきものが出ているので、掘り出さずにこのまま爆破された。しかし、中の火薬はすでに湿っていた。こういうことはめずらしい。第二次大戦中の不発弾でさえ、いまだに爆発の危険がある。

(3)CMAC ; Cambodian Mine Action Center

2005年02月05日 17時34分09秒 | ●カンボジアの地雷
【CMAC;シーマック】
カンボジアの地雷除去の中心となっているのはCMAC(シーマック;Cambodian Mine Action Centre)というカンボジアの政府機関だ。1992年に国連によって設立され訓練されたあと、カンボジア政府が引き継いでいる。熟成されたすぐれた組織という定評がある。CMACの他にイギリスのHALO Trust とドイツのMAGというNGOグループもカンボジアでの地雷撤去を行っている。
写真は、CMACのバッタンバン支部。

【サンプル】
写真は、掘り出された地雷のサンプル。左はロシア製のPMN-2。カンボジアにもっとも多い地雷のひとつである。足の踝までを破壊するが、無数の破片はさらに上部まで食い込むため、手術によって膝から下を切断することが多い。
奥の円筒形のものは地表に仕掛け、ワイヤーを張る。ワイヤーに引っかかると爆発する。
地雷の種類は300種類以上もある。地雷除去を行うには、すべてのタイプ・種類を把握していなければならない。地雷以外にも無数の不発弾も発見される。砲弾、榴弾、迫撃砲弾などに対する知識も必要となる。

【地雷汚染地区】
カンボジアの地雷は、米軍、クメール・ルージュ(ポルポト軍)、ベトナム軍によって埋設された。そのためカンボジアの埋設地雷は米国製、中国製、ロシア製が混在している。
クメール・ルージュ(ポルポト派)の拠点であったタイやラオスの国境地域に特に集中している。アンコール・ワット近くの広いエリアにも集中しているが、アンコール・ワット周辺はすでに除去済み。安心して観光できる。

【地雷撤去現場】
CMACバッタンバン支部の重点除去エリア、サムロット。バッタンバンから車で約2時間。地図の最も地雷の集中している真っ赤なエリアのど真ん中である。
この地雷原には多くの人が住んでいる。大部分は、タイで難民生活をしていた人々だ。地雷の存在は十分認識しているが、ようやく故国に還り、安定した生活を求め、危険を承知で土地を開墾している。そのため、地雷による被害があとを絶たない。


【作業計画】
地雷撤去の作業計画を説明するCMAC隊員。
CMACは熟成された組織として評価が高い。非常に効率よく作業が進められている。隊員は約3000名。
1993年から2003年の10年間で、18万個の対人地雷、3500個の対戦車地雷、75万個の不発弾を処理した。
ただし、1000万個と推計される地雷を処理するには、資金も人員も十分とは言えない。国際的関心は低下する一方だ。






【金属探知機】
あくまで「金属」探知機であって、「地雷」探知機ではない。
そのためあらゆる金属に反応する。一個の地雷を発見するまでに、100個から300個の金属片を掘り出すとも言われる。しかし、それでも探知機の性能は格段に良くなったという。旧式の探知機は、鉄分を含んだ石にまで反応していた。感度がよければいいというものではない。

【爆破処理跡】
対戦車地雷を爆破した痕。
発見された地雷は爆破処理される。
対戦車地雷は、100kgから300kgの加重で爆発する。加重は地雷敷設時に調節される。戦車を破壊する量の火薬であるため、一般車両が踏めばひとたまりもない。






【地雷探知要員】
実際の探知作業中は、安全のため20メートル以内に近づいて撮影することは許可されない。
作業員同士も20メートル以上離れて作業する。









【RPG7弾頭】
地雷以外にも、RPG7(肩付け式ロケット弾)の弾頭なども仕掛け地雷として利用される。
この弾頭はすでに破損しているが、筒の部分には推進薬が入っているので、あとで爆破処理される。






【地雷原】
道路下の広いエリア一帯を探知する。
金属探知機で一回に探知する面積はわずか50センチ四方。
金属探知機を振りながら、歩くということはしない。
下草が生い茂っているので、まず草刈要員が50センチ四方の草を刈り、次に探知要員がその部分を探知する。それから、また50センチ四方を刈る。それの繰り返しだ。草を刈っている間、探知要員は20メートル離れる。探知している間、草刈要員も20メートル離れる。事故に遭った場合、被害を最小限に抑えるためだ。取材した99年の時点で、いまだ事故は一件もないということだった。

【Danger Mine】
地雷の危険地帯をしめす「Danger Mine」の看板。
カンボジアでは、この看板をデザインしたTシャツも売られている。観光客に人気であるが、地雷に対する関心を喚起する一助に、ぜひ一枚。


【注意場所】
一見ただのゴミだが、こうしたところに仕掛け地雷が隠されていることもある。
うかつには片付けられない。怪しいものはすべて疑うのが基本。








【地雷原に住む】
CMACが来る前から、ここを開墾している人は多い。
タイの難民キャンプから、晴れて故国に還ってきた人々だ。
生活の糧を得るために、危険を承知で土地を開墾している。
子供の犠牲も多い。

(2)カンボジアの地雷

2005年02月04日 21時27分10秒 | ●カンボジアの地雷
 カンボジアの埋設地雷は約1000万個と推計されている。
 しかし、どこにいくつ埋まっているかわからないのが地雷だ。もともと推計することは不可能だと思う。1000万個という数字は、その深刻さをイメージするための尺度だと僕は考えている。地雷埋設のもっとも多い国はエジプトの2300万個だが、エジプトの地雷問題はほとんど耳にしない。
 地雷の脅威とは、その数だけにあるのではなく、生活環境と地雷との距離にあると言える。生活環境から遠く離れた地帯にあれば、事故の危険度は低い。しかし、地雷が生活環境の中に侵入していれば、これは大問題だ。カンボジアの地雷問題の深刻さは、まさにそこにある。
 国連の資料によると、カンボジアでは月に300人が地雷の被害に遭っている。

 支援と注目度は比例している。アメリカの「対テロ戦争」によって注目されたアフガニスタンには2億ドルの地雷撤去資金が投入されたが、深刻度で変わりのないカンボジアには1700万ドルしか投入されていない。
 1997年のICBL(地雷禁止国際キャンペーン)のノーベル平和賞受賞をピークに、地雷廃絶に対する国際的な関心は、年々低下している。ノーベル賞の受賞は一時的な地雷廃絶のブームを呼び起こし、巨額の資金が地雷廃絶団体に流入した。しかしそれがかえって地雷廃絶団体間の歩調の乱れや、疑心暗鬼を生じてしまったようだ。組織は巨大化するとあまりいい結果を生まない。
 地雷廃絶を取り巻く環境はあまり明るいとは言えない。

(1)一億個の地雷

2005年02月03日 19時49分31秒 | ●カンボジアの地雷
 世界に埋設されている地雷は、およそ一億個と見積もられている。
 対人地雷一個の原価は約5ドル。
 地雷除去のコストは、その10~30倍かかる。
 単純計算して50億ドルから150億ドル。
 世界が協力すれば、非現実的な数字ではない。
 1997年の対人地雷全面禁止条約(オタワ条約)には、すでに世界144カ国が調印している。
 
 しかし、地雷除去というのは、地雷数やコストを計算して簡単に割り出せるようなものではない。地雷の完全な探知技術はまだ完成されていない。探知機が反応しても、実際に掘ってみると、釘や鉄片であることが多いのだ。旧式の探知機の時代は、鉄分を含んだ石にさえ反応していた。また、金属部品のほとんどないプラスチック製や陶器製の地雷もある。いまのところ、地雷撤去作業の大部分は、徒労によって成り立っている。しかし、気を抜けば事故につながる。

 残念ながら、現場の苦労や熱意とは裏腹に、地雷撤去を取り巻く環境は年々悪化している。97年のオタワ条約以降、地雷廃絶に対する国際的な関心と熱意が徐々に薄れてきている。それは毎年のように減少している支援金によく表れている。2003年のカンボジアへの支援金は1700万ドルで、前年に比べ1000万ドルも減少した。ボスニア・ヘルツェゴビナは1040万ドル(540万ドル削減)。

 決定的な地雷探知技術の開発が、進んでいないことも大きな要因だ。開発にはコストがかかる。しかも商業ベースにのるような商品でもない。そういう製品を本気で開発しようという企業は非常にすくない。
 地雷撤去の現場からは、開発にかける金があるなら、撤去現場にまわしてほしいという要望が強い。潤沢な資金のある地雷除去組織はまずない。彼らはたとえ1メートルでも前に進みたいのだ。

 さまざまな要因によって、世界の地雷撤去活動はどんどん失速している。97年のオタワ条約では、10年で埋設地雷をなくすと定め、世界が調印した。あと、2年だ。もはや条約そのものが、有名無実化しようとしている。

 実際の地雷撤去作業を見ながら、そこに一億個という数字を重ねると、本当に気が遠くなる。

投票は食料配給券のため?

2005年02月02日 22時51分18秒 | ■イラク関連
 イラクでは、1月30日の国民議会選挙が近づいてくると、こんなウワサが広がったようだ。
「投票に行かない者には、月々の食糧配給券が停止される」と。
 複数のメディアが、この件についてレポートしている。

 このウワサが本当かどうかは、あまり重要ではない。
 アメリカ占領軍は、イラクの人々の生きる糧をさえ握っている。
 その事実こそがもっとも重要だ。
 占領軍がどんな無理難題をふっかけても、イラクの人々には選択肢などないということだ。
 さからえば、食料は途絶える。
 もちろん、空から爆弾も降ってくる。

 何万という子供や女性、老人をさえ殺戮してきたアメリカ占領軍にとって、食糧配給券を停止することなど、良心の呵責もなく簡単に行える。実際にするしないではなく、イラクの人々にとって、それは空から爆弾が降ってくるのと同様に現実味を帯びた脅威なのだ。ある意味、アメリカ占領軍は、ウワサを流すだけでイラク国民をコントロールできることになる。

 アメリカ占領軍は、イラクの農園の多くを戦車で踏み潰していると、かねてからイスラムのメディアが伝えていたが、それはイラク国民から食糧生産の手段を奪い、占領軍の配給食糧なしでは、生きていけなくするためだった。占領軍は銃火の脅威と飢えの脅威をイラク国民に突きつけている。実に抜かりがないというしかない。

 イラクの食料自給率は30~40%あったようだが、いまは畑作業など危険でできないのではないだろうか。そういえば昨年、アメリカの攻撃ヘリが、明らかに非武装の農民とわかるイラク人三人を、撃ち殺す映像がメディアで流れた。同じことがイラク全土の農園で行われていた可能性は高い。占領軍はイラク人の食料自給率を低下させ、配給食糧に依存する体制を作りたいのだ。

 今後、発足するであろうイラクの傀儡政府は、間違いなくアメリカ占領軍の政策を受け継ぎ、イラクの食料自給率低下に励むだろう。

参考資料
●食べる物のために投票を(1月30日の記事参照)
http://raedinthejapaneselang.blogspot.com/
●暗いイード・・・(1月22日の記事参照)
http://www.geocities.jp/riverbendblog/
●Will Vote for Food? (英文)
http://antiwar.com/jamail/?articleid=4659
●農民を殺戮するアパッチヘリ(動画)
http://www.globalresearch.ca/audiovideo/apachehit.mpg

イラク国民議会選の茶番(2)

2005年02月01日 15時41分41秒 | ■イラク関連
 世界の主要メディアによると、イラクの国民議会選挙は大成功のうちにめでたく終了したらしい。
 世界は諸手を上げてこの茶番を「民主主義」への第一歩と賞賛している。このすばらしき「自由選挙」を統括管理しているのは、10 万人とも20万人とも言われるイラク国民を殺戮し、イラク国土を破壊してきたアメリカ占領軍だ。このような占領軍によって実施された選挙に、はたして正当性や公正さがあるのだろうか。

 イラク占領軍の最高司令官ジョージ・W・ブッシュは、2000年の大統領選挙でインチキをして、それでもやっと537票差で大統領になった男だ。昨年の米大統領選挙でも、信頼性に疑問のある「電子投票」とやらを導入して、集計結果が形として残らないようにした。ディスプレイ上の数字があるだけで、もはや票の数えなおしすら不可能な選挙にしてしまった。そしてめでたく二期連続の大統領となった。自分の選挙に不正を働いた男が、莫大な石油利権の存在する占領下のイラクで、まともな選挙を実施すると考えられるだろうか。

 この選挙に正当性があると主張するのは、かつて中国に存在した「満州国」を完全な主権を持った独立国だったと言うようなものだ。その国の国民が参加する政府だからといって、それが主権を意味するわけではない。たとえ直接選挙が行われたとしても、他国に占領された状態で行われる選挙によって選ばれる人物が、はたして国民の利益を代表する存在となるだろうか。歴史はこのようにしてできた体制を「傀儡政権」と呼んでいる。

 アメリカは世界の警察として、世界の独裁を倒し、世界に「民主主義」をもたらす救世主なのだろうか。
 たまたま、独裁者フセインのイラクに石油があっただけなのか。
 たまたま、ブッシュは、石油産業界出身だったのか。
 たまたま、チェイニー副大統領は、石油関連会社ハリバートンの元CEOだったのか。
 たまたま、チェイニー夫人は、世界最大の軍需企業ロッキード・マーチン社の元取締役だったのか。
 たまたま、ライス国務長官は、大手石油会社シェブロンの元取締役だったのか。
 たまたま、現アフガニスタン大統領カルザイは、石油会社ユノカルの最高顧問だったのか。
 たまたま・・・

 石油産業と軍需産業の利益代表で構成されてきたブッシュ政権は、15兆円もかけてイラクを占領した。それは純粋にイラクの「民主主義」を実現し、主権をイラク国民に譲り渡すためだったのだろうか。ブッシュ政権は、イラクの莫大な石油の埋蔵量なんぞには何の興味もなかったのだろうか。問うだけ馬鹿げている。

 このようなアホくさい選挙の実施を、世界中の政府、メディアが賞賛しているようでは、人類の未来は相当に暗い。しかし、世界中の人々がこんなまやかし選挙やまやかし報道を信じているとは、僕は思っていない。抑圧され、殺戮され、略奪され続けてきた何十億という人々には真実が見えているはずだ。こんな茶番を無邪気に信じられるのは、茶番による恩恵を享受してきた少数の富める国の人間だけだろう。

 投票所に足を運んだ者も、このイラク国民議会選挙の茶番を理解している。
 では、なぜ彼らは投票所に足を運んだのか。
 投票しなければ、また容赦なく殺戮されるからだ。
 またひとつこの地上にアメリカの傀儡政権が誕生する。
 我々は、それをこの眼で目撃するわけだ。