久々に、実に久々にいい映画を観ました。
予告編を見た限り、ちょっと心配だったのがフランス映画にありがちなエキセントリックな女の争い映画なんじゃ?ということだったんだけど。
ぜんぜんそんなことなくて、穏やかな日本人のあたしが見ても納得できる、一人の女の、人生を取り戻していく過程を淡々と描いたいやみのない内容でした。
15年間も投獄されるにいたった殺人の動機や15年の刑になってしまったことへの現実感のなさとか、周囲の空気がちょっとやさしすぎとか、つじつまの合わない部分もあったりはするんだけど、何よりも女主人公を演じたクリスティン・S・トーマスと妹のエルザ・ジルベルスタイン(見たことあると思ってたら『ミナ』に出てたのね)が二人ともいい。
そう。人生を取り戻したのは刑務所から出てきた姉だけではなく、子供を生む覚悟ができなくて養子をとったりしていた妹のほうも、だったのよね。
ところで姉の恋人として登場するミシェルおじさんが好みだ。いや、はげつるびんの外見ではなく、インテリだけどお茶目で、やさしいけと皮肉で時々孤独な影を漂わせてるあたり。実にフランスっぽくて、しかも日本のおじさんにもいそうなタイプで。
ラストのバルバラの歌唱も胸を打ちます。邦画のいかにもタイアップ!みたいな変な主題歌じゃなくてこういう内容にあった歌ならラストの歌ってのも悪くないんだよね。
大傑作!とか大作!ではなくて普通にしみじみ感動したいときにはお勧めです。
そうそう、宣材としていちばん多く使われている上の写真、なんでこんなしわくちゃなんだろう。予算がないから一枚のポスターを使いまわしてるの?んなわけないよな、なんか意味あるんだろうな、と思ってたら、映画を見たらなぞが解けました。うむ。凝ってるっちゃ凝ってるが、あたしみたいに使いまわし?と思っちゃう人もいるんじゃないだろうか。いないか。
よく見たら確かにポスターに折りじわが付いてる風にしてあるんですね。確かに凝ってますねー。
今年初で最後の★★★★★??
「15年間も投獄されるにいたった殺人の動機や15年の刑になってしまったことへの現実感のなさ」については、チキンな私は最悪の事態を予想していたため、気が抜けながらもほっとしました。って、ネタバレごめん。
私も「ミッシェル」好きです。恋敵さま。
バルバラの「Dis, quand viendras-tu?」に至っては、号泣でした。
いいです、あげます
ビジュさんが予想した「最悪の事態」ってなんでしょうか。今度教えてください。