laisser faire,laisser passer

人生は壮大なヒマつぶし。
楽しく気楽につぶして生きてます。

…で、っていう。

2014-03-20 | spectacles

万獣こわい@パルコ劇場見てきました。

1/3でも出てる芝居はほぼもれなく見たい!の役者であるナマセとフルチンが2/3で出演するという、個人的にはなんとも贅沢な芝居。
池田成志も加えてのねずみの三銃士ユニットとしては三度目?の芝居。前回は三田佳子ゲストで2009年上演の印獣だから、5年ぶりか。
それだけ待たせてのクドカン脚本、河原雅彦演出、そしてこの三人に加えて小池栄子とか小松和重とか、好きな役者てんこもり!なんだから期待するなというほうが無理。

しかも今回なんと、後援会でもないのにw最前列ど真ん中という、どうしたらいいの?のかぶりつきで。

…それがよくなかったのかもw

いや、面白いのよ。実に面白い。

とくに「枕」の部分の落語パロディは、これからどんな物語を見せてくれるの?とものすごーく期待させるいい滑り出しだったんだけどね。

笑い要素も、ブラック要素も、スプラッタも、ぞっとする問題発言も、全部ぶち込んでの大サービス。
ただねぇ・・・芝居という非日常空間だからこそ、の遊びや冒険が、残念ながらすべて予定調和から一歩も出てない感じがしちゃったんだなあ。

監禁され続けた少女役の夏帆がちょっとつたなくて、いや、つたないのはかえって妖しさにつながるからかまわないんだけど、なんというか、存在感に欠けたせいかなあ。
ラストの恐怖感が一切なくて、、あ、やっぱりこう終わるわけね。エンドレスの恐怖シリーズね。みたいな、ね。

心理的にも視覚的にもグロがいっぱい詰め込まれているのに(最前列の方は血しぶき浴びないようにご注意!www)、舞台を見終わって、ちっとも嫌な感じがしない。
(褒めてない)。

オレタチめじゃーニナッテモコンナえろぐろすぷらったヤッチャウンダゼスゲーダロ!って
自己満足しかみえてこないというか。エログロスプラッタは底に流れるテーマあってこそ生きるんだと思うんだけど。そのテーマが、ありそうで、ないw

まさにタイトルどおり「…で、っていう」なんですよ。

たまたまクドカンのメガロックオペラをテレビで見たばかりで、その果てしない才能にがつーんといかれたばかりだったので、ほんの数年で、メジャーになってつまんなくなったのかなあ、などとマイナー思考に陥ってしまった。
もっともっと物語世界、悪夢の世界を広げて、収拾がつかなくなってもいいから、思い切って遊んで欲しかったなあ。


そんな中、小池栄子が狂気と色気を感じさせていい芝居をしていた。この人、舞台女優としても相当いいね。

客席は満席、追加公演も出る売れっぷりのようだけれど、これだけの顔ぶれをそろえて、5年ぶり!の割には正直ちょっと残念だったのでした。

 

蛇足ですが、メガロックオペラは阿部サダ、松田息子、森山未来、はいり、皆川猿、誰をとっても素晴らしく、作品のぶっとび具合もまさにメガ級なので、チャンスがあれば映像でもいいからご覧ください。今までみたクドカンの中で、天日坊かこれか、ってくらいの傑作。