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星のひとかけ

文学、音楽、アート、、etc.
好きなもののこと すこしずつ…

人はみんな 塵、 だもの。。。

2012-06-24 | 文学にまつわるあれこれ(ほんの話)
ボイジャー1号が35年目にして とうとう太陽系を離れていったらしい。。 どこかの宇宙人に ボイジャーのレコードが拾われる日も近いね・・・(笑

40億年後には、 銀河系と アンドロメダ星雲が近づいて行って ぶつかるという話だから、、 宇宙人も近づいて来てるっていうことだもの・・・ ね?(笑

ずっと楽しみに見ていた NHKの『宇宙の渚』シリーズの最後は、 〈流れ星〉についてでした。 地球にふりそそいで来る流れ星は 毎日2兆個、、もあるそうだから、 星に願いを、、と言うけれど、 (とりあえず空のどこかを見て 願い事をすればOKってことだよね?)と話しながらTV見てました。。

地球の大気にぶつかって燃える流れ星だけど、、 そこまで大きくない微小な〈星のかけら〉は、、 宇宙からの塵となって 地上までふわふわ降りて来てるんだってね。。。 それがわたしたち生命体の源で、、 いまも私たちはふわふわしてる〈宇宙の一部〉を呼吸していたりするって。。。


たのしいね。。。


、、それなのに、、

人間は 悩んだり、、 怒ったり、、 苦しんだり、、 今日いちにちをやり過ごすのがつらくてたまらないほど追いつめられたり、、、 どうしてするんだろ。。。 人間はそういうものだから仕方ないのかもしれないし、 それをどうにかしてあげたくても、 ぜんぜん簡単なことではないから自分もまた無力だと思うんだけど。。

 ***


ひさしぶりに 見事な小説を読みました。
素敵な小説、 というのとも違うし、 大好きな小説、 というわけでもない、、、 でも、 見事、、 巧い、、 ピュリッツァー賞を取るのも納得、、 のいい小説でした。


『オリーヴ・キタリッジの生活』 エリザベス・ストラウト著 2010年 早川書房

Amazonの内容紹介↑にある通り、 小さな町に暮らす いろんな人々の日常のスケッチ、、 といった短編集。 その ひとつひとつの短編が 数十年の時間の経過にそって ぽつ、ぽつ、、と配置されていって、 それらが微妙に絡み合って、、 最終的には 表題のオリーヴ・キタリッジという名の女性の人生と、 町の人たちのひとりひとりの人生と、 アメリカの小さな町クロズビーの一時代が、 しっかりした手ごたえで味わえた気持ちになる、、、 非常にみごとに構成された小説。

構成された、、 なんて書いてはいるけれど、 読んでいる印象はぜんぜん書き込んだ感じはしなくて、 町のおばちゃん同士の会話みたいなものなんだけど、、

、、どんなに 片田舎であろうと、 どんなに普通ぽい暮らしをしている家であろうと、、 ほんとに人間の一生にはいろんなことが起こる、、、 よね。。。 だから、 上に書いたように、、 みんな 悩んだり、 怒ったり、、 困ったことになったり、、

田舎の母親と電話していて、、 久しぶりだったりすると、 「元気にしてた?」、、の一言から、 とめどもない話が滔々と始まって、、 息子が、、 孫が、、 近所のだれそれさんが病気になっただの、、 実家の○○おばさんとこの孫が就職したとか、、 さらに顔ももう覚えていない誰それの仲人をした誰それさんが亡くなったとか、、、

小一時間の電話を切った後には、 スターウォーズの何部作かを見終えたみたいな小宇宙が脳の中を渦巻いていて、、どーーっと疲れるのだけど、 (まぁともかく みんな無事みたいで…)と。。。 その感覚に似ています、、 『オリーヴ・キタリッジの生活』の印象も、、。

全編にいろんな形で 登場する(通りかかる場合も含め)オリーヴ・キタリッジという「おばちゃん」、、 まぁ、、 困ったおばちゃんだったりもするのですが、、 このおばちゃんも、 町の人も、、 人間は人生の中で 誰しも幾つかの〈あやまち〉をおかすものだし、、 幾つかの〈脱線〉もするものだし、、


そうやって、、 人は年をとって、、 

やがては 宇宙の塵に、、 戻っていくんだよ。。。 と、、 肯定しながら生きていたい。。 


人はちっぽけで、、

でも、、 ちっぽけな言葉をあつめて、 時間や 人生や 時代をそっくり 語れる小説が書けるなんて、、、 それも すごい。。