倉野立人のブログです。

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〈伝わる ことば〉

2012-03-22 | インポート

3/21 Wed.  [ クラちゃんの起床時刻 5:35 AM ]
この日、第84回選抜高校野球大会が開幕し、甲子園球場で開会式が行われました。
センバツ、といえば 「 球春(きゅうしゅん)来る 」 ともいわれるとおり、春の風物詩ともなっています。
いち野球ファンの私も、このセンバツが始まると 「 春だナ 」 を実感するものです。
で、最近では、球児のプレー以外で関心が高いのが 「 選手宣誓 」 でしょう。
昔と違い、最近の宣誓には、社会の出来事や時勢を盛り込んだバライティーに富んだ内容が多く 「 今年はどんな宣誓が聞かれるか 」 に注目が集まります。
そして、今年のセンバツの選手宣誓は、歴史に残る、と言っても過言ではない〝運命的〟な宣誓となったのでした。

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選手宣誓の大役を担ったのは、さきの東日本大震災で被災するも、不屈の努力と全国からの支援で 『 21世紀枠 』 を射止めた、宮城県石巻工業高校の阿部翔人主将。
彼が奇(く)しくも〝宣誓クジ〟を引き当てたのです。

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今回の宣誓は、指名とか依頼ではない、まったくの偶然の結果なのです。
大会前、試合の組合せ抽選の模様が報道されていたのですが、この〝宣誓クジ〟も、大会の組合せの後に、全主将によるクジ引きで行われていました。
その結果〝当たりクジ〟は、石巻工高の阿部主将が引き当てたのです。
何も被災地の学校だから、と選ばれたワケでもないところに、運命的なものを感じざるを得ません。

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その結果を受けた阿部主将「自分が(被災地の)メッセージを伝える使命だと思った」と捉え、宿舎に戻った後、チームメイトと一緒に伝えたい思いをホワイトボードに書き込み、それを阿部主将がまとめたそうです。
何とも胸を打つ言葉は、被災地住民の実感とスポーツマンシップが融合し、いち視聴者の私でさえ、感動を覚えるメッセージだったのでした。

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「東日本大震災から1年、日本は復興の真っ最中です。
被災をされた方々の中には苦しくて心の整理が付かず、今も当時のことや亡くなられた方を忘れられず、悲しみに暮れている方がたくさんいます。
人は誰でも答えのない悲しみを受け入れることは苦しくて、つらいことです。しかし、日本が一つになり、その苦難を乗り越えることができれば、その先に必ず大きな幸せが待っていると信じています。
だからこそ、日本中に届けます。感動、勇気、そして、笑顔。
見せましょう、日本の底力、絆を。
われわれ高校球児ができること、それは全力で戦い抜き、最後まであきらめないことです。
今野球ができることに感謝し、全身全霊で正々堂々プレーすることを誓います」
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このメッセージは、スタンドで見守る応援団はもとより、テレビを見守る被災住民のみなさん、そしてすべての国民の心に届いたことでしょう。

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「 ことばの伝わり方 」 というものは、情報として相手に〝伝える〟ものと、経験や体験を裏付けに、そこに「実感」や「心」が込もって、結果、相手に〝伝わる〟ものがあると思います。
今回の選手宣誓は、その両方・・・阿部主将は被災地高校の意気と感謝を伝えようとし、それが素晴らしい形で伝わったものとなりました。
ことばの持つ力(ちから)と、その伝え方の何たるかを、学ぶことができたともいえるひとときなのでした。