興趣つきぬ日々

僅椒亭余白 (きんしょうてい よはく) の美酒・美味探訪 & 世相観察

心遣いの宿:福島の旅2023前編

2023-12-06 | 散歩、時々旅

先週末、友人たちと4人で、福島への一泊旅行に行ってきた。 ‘湯と酒と人情を福島で味わおう’ という毎年恒例の車旅である。

わたしたちはほぼ毎年、11年間、会津を中心とした福島の鄙びた宿と日帰り温泉巡りをしてきた。(神社仏閣や博物館、道の駅などにも行ったけど)

今年訪れたのは、訪問順にいわき市、小野町、田村市、三春町である。

上の写真は、いわき市常盤湯本町の、「いわき湯本温泉 さはこの湯」。
江戸末期の建物様式を再現したという独特の外観の日帰り湯。今年はここが皮切りだった。

内部の雰囲気も古めかしい。広い湯船に浸かりながら、建物最上部の湯気逃がしと採光の窓をゆったりと見上げることができる。なんと贅沢な気分か。

観光客向けというより、地元の人たち向けの入浴施設である。平日だったせいか、お年寄りを中心に、昼前からたくさんの人たちがくつろいでいた。

 

 


   

ここは、太平洋に面したいわき市にある塩屋埼(しおやさき)灯台。

美空ひばりの唄った「みだれ髪」の歌詞に、「塩屋の岬」として出てくる岬にある灯台だ。(作詞:星野哲郎/作曲:船村徹)

 

 

   

近くに「みだれ髪」の歌碑があった。
ここはいわき市の観光スポットの一つ。小型バスで来ていた人たちなど観光客も少なからず見かけた。

 

 

塩屋埼灯台の上部から見た太平洋。

われわれの11年間の福島旅では、これまで会津、中通りが多く、今回初めて海の見える浜通りに来た。

 

 


    

いわき市遠野町の「手打ちそば うつつ庵」で昼食。
天ぷらそば。コシのある美味しい蕎麦だった。

 

 


いわき市を離れてとなりの小野町へ。ここは標高659メートルの山、東堂山中腹にある満福寺。
1000年以上前に、奈良の高僧徳一大師によって開山されたといわれる古刹である。

巨大な自然石の上に建ち、近世木造建築の粋を集めた鐘楼。
昭和60年から奉安が始まり、すでに500体ほどの羅漢像がある「昭和羅漢」。
そして参道の杉木立が有名なお寺だ。

上の写真は鐘楼。

 

 

     

昭和羅漢。
(羅漢とは「仏、宗教的聖者」の意)

羅漢の奉安は今も受け付けられていて、カラオケを歌っている羅漢など、新しい世相を映したものも登場してきている。

 

 

      

この日の宿は、小野町の「小町温泉 太田屋旅館」。

‘小町温泉’ というのは、この小野町には小野小町(おののこまち)生誕伝説があり、多くの温泉宿で名前に入れているようであった。

太田屋旅館では、ご年配の上品な女将さんが、笑顔で迎えてくれた。

 

 


   

これは翌朝の朝食。

残念ながら、この日の夕食は、話に夢中になり写真を撮り忘れてしまった。

その夕食の内容を、思い出しながら書いてみると、4人のテーブルの真ん中に、豚肉と野菜たっぷりのチゲ風大鍋。
そのほか一人一人には、マグロとブリの刺身、カレイの煮つけ、野菜の煮物など盛りだくさん。それを一度に並べるのでなく、女将さんが順次運んできてくれた。

冬至に食べるという「小豆粥」もご馳走になった。
女将さんの育った茨城では小豆粥は甘い味付けだったが、嫁いできたここ小野町は塩味の、甘くない小豆粥だったのだそうだ。

塩で薄く味付けされた小野町風小豆粥は、お粥の旨みが出ていて、たいへん美味しかった。

わたしたちはいつものことながら、ビールに加え、お酒も燗でたくさんいただいたことを付け加えておこう。

ここ太田屋旅館、お風呂も湯がたっぷりで、ストーブが点いているのに布団には大きな湯たんぽを入れてくれていた。細部にまで心遣いの利いたあたたかい宿だった。

友人たちとの福島一泊旅、一日目はこれで終わり。二日目は田村市と三春町を訪れる。
それは稿をあらためて書くことにしたい。

写真協力:Y.T.氏

 みだれ髪 - YouTube (「みだれ髪」美空ひばり)



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