企業分析の際に上記のようなレーダーチャートを突っ込んでみた。これで投資適格の可否をある程度簡単にするようにした。項目は用途別に既存の指標をカスタマイズして作った。例えば回収度は、解散価値、NOPLATと時価総額から導出し、負債度は有利子負債/NOPLATで計算、還元度は配当+自社株買い等で計算、等‥。投資を決断する際には、とにかく、現実に即してどれだけ企業に価値があるのかを知る必要がある。そして、どれだけそこにリスクがあるのかも同時に認識する必要がある。その点で、こう言うチャートを埋め込んで常に意識させるのは大事だなぁと思う。
話は変わるが、私の投資スタイルは、目標リターンありきで銘柄を選ぶ所だと思う。リターンを要因分解していった先にどう言う条件で一定水準以上のリターンが発現するかを軸において投資を行っている。と言っても、この条件と言うのは一般に使われているPERだったりROEだったりするから、やっぱりスクリーニング結果はかなり被る。多分、私の保有している株は十中八九、バリュー投資家の誰かは持っている。それも複数の方々が。。じゃあ別に、自分独自のやり方何かしなくても良いのでは?と言う事になる。確かにその通りだと思うが、まぁそこは自分のオリジナリティが欲しいとか、そう言う若年者的な考えがあるからなのかもしれない。ただ、それ以上に有意性がある。
投資の行動は単純で、リターンを高め、リスクを減らす事である。全てはこのゴールの為にある。そのゴールと、指標の間のプロセスをつなぐ事は非常に重要であるが、現時点では殆どの人がその点をおざなりにしている。だが、そのうち、確立されてくる。時代は、そういう方向に進まざるを得ない。と言うか、投資家が、直近で、手に届く範囲で出来る事がこれしかない、少なくとも私の知る所では。。
単純に各指標を満足させる投資が出来れば一番いいんだけど、そう言う投資を叶える銘柄は無い。例えばPER1倍、ROE100%、成長率100%なんて銘柄は無い。基本的に、投資はどこかに妥協しなくてはならない。しかし、どこを妥協するべきなのか、と言う事は指標を組み合わせただけでは分からない。妥協しつつもリターンを保蔵し、リスクを抑えるにはどうするべきか、それを投資家は知る必要がある。さらに、具体的にどれだけのリターンが取れ、どれだけリスクがあるのかを数値で知る必要がある。
例えばPER10倍、ROE10%、成長率5%、株主還元性向30%、有利子負債が利益の5年分ある銘柄の長期的なリターンは幾らになるのか、等を瞬時に計算しなければならない。勿論、上記指標だけでは満足のいく予測は行えない為、幾つか条件を付けて計算する必要も出てくる。投資家はそこで、幾つものシナリオを立てる(例えば成長シナリオ、借金返済シナリオ、還元シナリオ、業界再編シナリオ、利益遁増シナリオ、利益遁減シナリオ、破産シナリオ、もしくはこれらの混合シナリオ、等)。その中で、妥当性の高いシナリオを持って、リターンとリスクを導出する。
それと、自分の持っている投資基準(年率リターン20%、リスクはシャープレシオ2以上とか)と照らし合わせて十分に満足のいく結果であれば投資をすればいい。でなければしなければいい。大事なのは、その条件に齟齬が無い事。楽観的な計算は簡単に出来るが、大抵の場合、そこには楽観的な条件が付いている。例えば、高い成長率が長期的に持続する、PERが増加する、等。これらは最もポピュラーな番狂わせの温床である。可能な限り、保守的且つ他人の動向に依存しない条件が必要である。
ちょっと話が長くなってしまったが、どれだけ自分の中で情報を管理できるかが今後の投資のカギになるんじゃないかと思う。単純に低PERだから買う、成長率が高いから買う、じゃなくて、今買ったら、長期的に、これだけのリターンが得られ、リスクもこのくらいになる妥当性が高いから、買う、と言う感じにしていったほうが良いんじゃないかと思う。