くろたり庵/Kurotari's blog~since 2009

総務系サラリーマンの世に出ない言葉

どこから密接交際者?~暴排条例(2)

2011-10-21 23:22:11 | 総務のお仕事(反社対応)
これまでの「暴力団追放三ない運動」の理念は、
「①暴力団を恐れない」「②暴力団に金を出さない」「③暴力団を利用しない」でした。

東京都の暴力団排除条例では、
これに「④暴力団と交際しない」を加えた、四つを基本理念としているのが特徴です。

この、「交際しない」が、「同級生が暴力団員だったら・・・」、
「親戚に暴力団員がいたら・・・」という疑問を生じさせ、
施行反対派に「人権侵害だ」と主張する口実を与えているようです。

もちろん、暴排条例をきちんと読めばわかることですが、条例には、
「暴力団員とは、たとえ同級生や親戚であっても付き合ってはならない」
などとは書かれていませんし、そのようなことを禁じてもいません。

それではどのような交際が禁じられているのでしょうか。
東京都の暴排条例を例にとって見てみます。

暴排条例の「禁止措置」に関する条文は、第21条~第25条です。
そのうち、私たち一般人にもっとも関係があるのは、
第24条の「利益供与の禁止」と第25条の「他人の名義利用の禁止」です。

第24条では、事業者が、「暴力団の活動を助長し、
又は暴力団の運営に資することとなる」ことを知りながら、
規制対象者(暴力団関係者)に対して利益を供与することを禁じています。
また、逆に規制対象者から利益を受けることも禁じています。

つまり禁じているのは、
あくまでも暴力団の「活動助長」や「運営推進」につながる利益供与だということです。
言い換えれば、暴力団員個人の利益になるだけでは、これに該当しません。

具体的には、
暴力団の襲名披露や事始式などで配られる弁当の販売は、
「活動助長」につながる利益供与行為となりますが、
コンビニが、来店した暴力団員に昼食用の弁当を売っても、これには当たりません。

また、暴力団関係者の葬式や結婚式を請負う場合でも、
組織名を出して威力を示すような式を請負うことは条例に抵触しますが、
家族葬のような個人的なものであれば、該当しないと考えられます。

さらに、例え暴力団の活動を助長する可能性があったとしても、
医療関係者による医療行為は適用除外されると考えられます。

これが第24条に対する弁護士の見解でした。

したがって、暴力団員になった同級生と同窓会で一緒に酒を飲んだり、
親戚に暴力団員がいるからといって、真面目に生活している人までが
直ちに暴力団との密接交際者とみなされ、罰せられることなどありません。

問題となるのは、
あくまでも暴力団の活動助長につながると知りながら、
暴力団に対して利益を供与し、
または暴力団から利益を受けている場合に限られるのです。

暴排条例はたとえ相手が暴力団員だと言えども、
「人権侵害」と言われるような、「個人」を「村八分」にするための法律ではないのです。

ただ、最後に「暴力団員を個人的に利するだけでは該当しない」 と言っても、
「代金を受け取らない」とか「無償で提供する」といった、一般の客とは違った対応は、
暴力団の活動助長につながる行為とされる可能性が高いので注意してください。
ということでした。