くろたり庵/Kurotari's blog~since 2009

総務系サラリーマンの世に出ない言葉

映画「HESOMORI-ヘソモリ-」

2011-10-09 23:22:45 | こんな映画をみた
映画「HESOMORI-ヘソモリー」を観ました。

1500年間続く越前の伝統技能、「越前紙漉き」と幕末福井藩の歴史を背景に、
大人になった元少年たちの「友情」を描いたファンタジー映画です。

単なる「地域興し」の映画かと思いきや、
主演に永島敏行を据え、その妻に烏丸せつこ、祖父に若林豪、
友人たちに渡辺いっけいや石丸謙二郎、佐野史郎ら実力派俳優を迎えた、
子どもから大人まで楽しめるしっかりとしたエンターテインメントに仕上がっています。

   オフィシャルWEBサイトはこちら→http://www.hesomori.net

1970年、福井県越前市。
越前和紙の紙漉き職人・「たけじい」の孫、10歳の「さとし」とその仲間たち5人組は、
ひょんなことから、不思議な祠と地面に開いた穴(へそ)に遭遇します。
好奇心旺盛な少年たちは、その穴(へそ)の探検をはじめるうちに
いつの間にか幕末の時代に迷い込み、攘夷の志士に異国人と間違われ、
危ういところを「さとし」たちの後を追ってきた「たけじい」に救われます。
「たけじい」は、タイムトンネルである穴(へそ)を代々守り続けてきた「へそもり」でした。
そして40年後の現代。
「さとし」は「紙漉き」と「へそもり」を継ぎ、
他の4人も普通のおじさんとなり、それぞれの生活を送っていました。
そんなある日、絶対に知られてはならない穴(へそ)の存在が世間に発覚してしまいます。
そこに幕末から穴(へそ)を通って現代にやってきた攘夷の志士が現れ、
穴(へそ)で金儲けをしようと企む観光開発会社の伊賀並たちに捕らえられてしまいます。
「さとし」とその仲間たちは、穴(へそ)の秘密を守るために再び集まり・・・

人気のイケメン俳優もアイドルタレントも出演していません。
監督は「おじさん」たちも楽しめる映画を作りたかったそうですが、
出演している俳優陣は等身大の中年男を演じるにはまさにぴったりで、
まるで1970年代に放映されていた、NHK少年ドラマシリーズの
後日談を観ているような懐かしさがありました。
(あのころ少年だった世代には、ツボにはまる映画です)

涙もあれば笑いもあるけれど、
「泣ける映画=感動する映画」という紋切り型の物語になっていないのも良いところ。
観終わったあと、ほんのり暖かいノスタルジーとともに、
ちょっとだけ元気をもらえた気がします。

壮大なスペクタクルもなければ、カッコいいヒーローもいません。
物語はキャッチコピーにあるとおり、
「人類の存亡をかけた、ちっぽけな闘い」です。
けれども登場人物は等身大で、その心情は丁寧に描かれています。

地域限定の公開ではもったいない映画です。