くろたり庵/Kurotari's blog~since 2009

総務系サラリーマンの世に出ない言葉

軽すぎる「想定外」

2011-10-01 19:09:54 | つれづれなるまま
東日本大震災・福島原発事故があってから、
何かというと、「想定外」という言葉を耳にすることが多くなりました。

台風15号で帰宅困難者となった会社員が、
駅でテレビリポーターにインタビューされ、「いや~想定外でした」と答え、
またある場面では、事故起こした者も、事故に遭った者も、
口をそろえて 「想定外でした」と言います。

自分に降りかかった出来事が、
いかに大変だったかを表現する方法として、
多くの人が「想定外」という言葉を使うようになりました。

「その程度で想定外なの?」
そう思わずにいられないほど、あまりにも軽い言葉になってしまいました。

また一方で、「想定外」という言葉は、
「不可抗力だった」「自分には責任がない」という、
責任回避を強調する印象を聞く者に持たせます。

福島原発事故の発生当初、
東京電力がこの言葉を使う場面が何度も報道されたため、
その傾向は特に顕著になりました。

そして今では、「想定外」だったから許されるのではなくて、
「想定外」に対して「どう対応したか」が問われるようになりました。
「想定外でした」という言葉は、単なる無責任な言いわけになってしまったのです。

失礼な言い方になりますが、「想定外でした」という言葉を聞くと、
「物事への対応力が欠如したおバカさん」に思えてきます。

物事の重大性を伝える言葉として、
「想定外」は便利で手っ取り早い言葉です。
しかし、東京電力や政治家が使い倒してしまった今では、
もはや、なんの共感も得られなくなってしまいました。

あまりにも無責任で軽すぎる「想定外」。
不用意に「想定外」という言葉は、使わないほうがよさそうです。

でも、たぶん今年の流行語大賞には入るんじゃないでしょうか?