東京電力が、国会議員のパーティー券購入という形で、
年間5千万円以上もの献金をしていることが明らかになりました。
一方で東京電力は、
「電力供給の独占が認められた企業にそぐわない」として、
1974年から企業献金を自粛しているそうです。
それにもかかわらず、
一回の購入を政治資金収支報告書に記載義務のない20万円以下に抑え、
表面化しないようにして行なっていたというのですから、
違法性がないとはいえ、この言行不一致ぶりは、
はなはだ企業モラルに欠いた行為と言うべきでしょう。
つい先日は、電気料金の原価を過剰に高く見積もり、
10年間で6千億円以上もの過大な電気料金を徴収していたことが指摘され、
総括原価方式という、非常識な電気料金算定の方法が注目を集めたばかりです。
さらにその前は、社員の平均年収761万円(東電公表値)、
大卒社員に限れば1000万円を超えるという高額給与にもかかわらず、
充分な経費削減(賠償金の捻出)の努力もせずに電気料金の値上げを検討し、
厳しい非難をあびました。
原発事故以前から、「日本の電気料金は世界一高い」と言われますが、
競争相手もなく、コスト削減の努力の必要もなく販売価格が決められるとあれば、
世界一高い電気料金になるのは、言うまでもありません。
公益の事業だから利用者の立場になって、
できるだけ経費を削減して負担を軽くする、などという経営ができるほど、
独占大企業の経営者は聖人君子ではありません。
公益事業であることを理由に、
法律によって地域独占が認められているのなら、
そこに支払われる私たちの使用料金は税金と同じです。
その使われ方は、公(おおやけ)にされなければいけませんし、
私たちは、どのように使われているかを知るべきではないでしょうか。
残念ながら原発事故が起きるまでは、このような問題は見過ごされてきました。
被災された皆さんには気の毒な話ですが、この事故が発生したがゆえに、
大企業病に蝕まれた電力会社のめちゃくちゃな実態が見えてきました。
これを糾し、本来あるべき姿の公益企業に改革するか、
あるいは市場を開放し、競争原理を取り入れた一般企業と同じ会社になるか。
いずれにせよ、税金がを投じらて存続する以上は、
いまのままの企業でいることは許されないのではないでしょうか。
政治を通して法律を変えることができるのは、私たちの世論です。
「喉もと過ぎれば・・・」にしてはいけません。
それがせめてもの、被災した人たちが報われる方法の一つではないでしょうか。