大黒さんの金魚鉢

黒金町の住人の独り言は“One”

One voice , one mission , one family

賀川とピケティ

2015年01月04日 | 日々徒然
暮れには並んでいなかった「21世紀の資本」が書店に出ていた。
しかし冬休みも終わり、これから700頁ものに取り組む根気はさすがに残っていない。
横に並んでいる解説本2冊は読んだので良しとした。

ところで、賀川豊彦とトマ・ピケティの二人。
1888年に生まれ、スラム街から資本主義の矛盾を訴えた賀川。
1971年生まれのピケティは、過去300年の統計データを基にして、資本主義からくる富の不平等を克明に著した。
時代背景も立ち位置も異なるが、二人の思想が妙に重なって見える。

賀川は貧困の撲滅を願い、ピケティは格差拡大を憂いている。
マルキストと違い資本主義は否定しないが、秩序ある統制された資本主義を目指している。
その実現に向けて二人とも、労働者寄りの政治的アプローチと労働組合の再生を強く願っている。

面白いのは賀川は貧困者に立ち位置を置き、ピケティは富裕層に切り込みをかけていることだ。
このバランスの上に立った政策が今は求められているような気がする。
賀川が進めていた底辺からの社会運動(労働運動・協同組合運動)と、ピケティの提唱するグローバルな富裕税導入…。
もちろんどちらも簡単に実現できるものではない。
だからこそ前へ進まなければならない。
労働条件は働く側の圧力がなければ向上しないように、社会も働く側の圧力がなければ向上しない。

ピケティの「21世紀の資本」は、自民党のいう「トリクルダウン」の嘘を暴いた。
さあ、みんなで自信を持って前へ進もう。