水 晶
3年ほど前のことになりますが、近くの山で水晶を拾いました。
道端の土砂の中にきらっと光ったものがありました。何かなと思ってつつくと小指の先ほどの黒みがかった水晶でした。
その山は私が小学生の頃、水晶が採れるといわれ、休日にはおおぜいの子どもたちが水晶を求めて登っていました。
ただ実際には水晶が見つかる確率は低く、小さな釘の先ほどの水晶でも見つかるとそれこそ宝物、皆の垂涎の的になっていました。
ですから、3年ほど前に拾ったこの黒みがかった水晶は、数十年前の基準からすれば、かなりの値打ちものだといえます。しかし、周りに自慢するのも大人げなく、小さなポリ袋に入れ引き出しにしまったままになっていました。
一昨日のこと、孫が水晶を知らないというので引き出しから取り出して与えたのですが、孫の目にはちょっときれいな石としかうつらなかったようです。もう少し透明であれば違ったかもしれません。
それはさておき、昔、水晶を採ろうと、皆わくわくしながら山に登りました。
部屋の中でゲームに夢中になっている今の子供たちには、あのわくわく感は分からないでしょう。少し可哀そうだと思いますが、子供たちにすれば、ゲームのおもしろさを知らない大人たちを可哀そうだと思っているのかもしれません。