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2024-08-10 | Weblog

 ご苦労さま

 もし、ご自分より若い人から「ご苦労さま」とか「ご苦労さまです」と言われるとカチンときますか?
 もう一年以上前に読んだ本、「よけいなひと言を好かれるセリフに変える言いかえ図鑑」(大野萌子著)の冒頭に
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新入社員が、取引先の管理者に「ご苦労さまでした」と言って相手を怒らせてしまったことがあります。なぜなら、「ご苦労さま」というのは、上の立場の人が目下の人に対して使う表現だからです。
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     と書かれています。
 この本を読んでから、私はずっと何か割り切れない気がしていました。と言いますのは、社会に入ってから長い間、誰にでも「ご苦労さまです」、「ご苦労さまでした」と言っていたからです。
先日この問題が解決しました。朝日新聞(7/27)にこのことについての記事が載っていました。
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『街のB級言葉図鑑』飯間浩明
ご苦労さま 古き良き雰囲気を感じる
「山寺」の名で知られる山形県の立石寺《りっしゃくじ》。石段をえんえんと上った所にある建物に、新聞受が設置されていました。筆で〈新聞入《いれ》/ご苦労さま〉と書いてあります。配達人への気遣いが感じられる筆跡です。
この「ご苦労さま」は、若い会社員などは使わなくなりました。マナーの講習会などで「ご苦労さま」は目下に使うものだ、「お疲れさま」と言いましよう、と教わるからです。
歴史的には、そんなことはありませんでした。「ご苦労さま」は、目上にも目下にも普通に使うことばでした。江戸時代には、「ご苦労」はむしろ目上に多く使われています。
「ご苦労さま」を目下への言い方だと教える講師が増えたのは最近で、21世紀に入ってからです。敬語の意識は時代とともに変わって当然ですが、「ご苦労さま」をいじめすぎではないかとも思います。
今でも「ご苦労さまでございます」と言えば、ある世代以上の人なら礼儀正しい雰囲気を感じ取るはず。相手の骨折りへの感謝がこめられています。
山寺の新聞受けで久しぶりに「ご苦労さま」の文字を見かけ、古き良き時代の雰囲気を感じました。この感覚、あなたと共有できるでしょうか。
※※※※※  (新聞には新聞入に貼られた「ご苦労さま」の写真があります)
執筆者飯間浩明さんは国語辞典の編纂者です。
 私も全く同感です。
やはり「ご苦労さま」は昔から労をねぎらう言葉として上下関係なく使われており、使用して差し支えないようです。
ただ相手により
  「ご苦労」
  「ご苦労さん」
  「ご苦労さま」
  「ご苦労さまです」
  「ご苦労さまでした」
  「ご苦労さまでございます」
など気遣い、使い分けが必要なのではないでしょうか。
新入社員が課長に「ご苦労さん」などとは間違っても言ってはなりません。
 これは朝の挨拶「おはよう」も同じことです。
  「おはよう」
  「おはようございます」
「おはようございます」は上下に無関係に使えますが、「おはよう」はやはり目上から目下に限られます。

「ご苦労さま」、「おはようございます」は社会生活の潤滑油です。どんどん使いましょう。
「ありがとうございます」も。