こっぱもちの部屋

主に、読書感想のブログです。他に、日常生活で楽しかったことを書くと思います。

『ヴィクトリア朝英国人の日常生活(下)』ルース・グッドマン

2021-11-10 20:03:05 | 読書感想
 
下巻でのヴィクトリア朝英国人の生活は、昼食から始まります。
労働者階級の家庭では「ディナー」つまりその日の主要な食事で、中流階級では「ランチ」または省略せずに「ランチョン」ただし、オフィスで働く男性は、朝しっかり食べてから夕飯までの時間は紅茶とビスケット程度でしのいでいたようです。
上流階級ともなると、男女ともに「ランチ」をもっと優雅に豪華、ただしシンプルに摂っていたようです。

続いて取り上げられる生活は洗濯。
これが湯を沸かして行われる一番の重労働で、その工程を知ると、確かにうんざりする熱気と蒸気に耐えながら全ての家事を止めて行われ、後片付けも大変なので、そりゃ嫌だろうなあとしみじみと同情しました。

他には、医療のほとんどは家庭の主婦に任され(薬の選別、調合までも)その薬を作る製薬会社でも、成分を明記しなくても良かったため、とんでもない毒性のあるものや依存性のある薬物を平気で入れていたというから、驚きでした。
あのフロレンス・ナイチンゲールさえ、アヘンチンキの依存症になったというのですから!

さらに学校、余暇、夕食、性生活と続きますが、全てにおいて身分差と経済格差を感じさせられる時代でした。
そんなわけで、例えタイムマシンができたとしても、安易に他の時代に行きたいなんて言えないなあと思います。

最後に、グッドマンさんは、実際にこのヴィクトリア朝の家事を体験なさってから書いておられるので、なおさら実感がこもっていました。
面白かったです。
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