ユビキタス

ＳＦマガジン１１月号をやっと入手しました。
草上仁さんの著作『ユビキタス』です。

ユビキタス時代、人々は中枢神経系にイリジウムのアンテナを埋め込め、
２歳の頃からパーソナルスケジューラーを持っている。
彼らは、それを起動するためのコマンドを、自分で長い年月をかけてプログラムし、
その何百種類ものコマンドを、個人的身体言語として覚えている。

二〇三五年の、暑い七月のたった一分間。すべてのコマンドが働かなくなった。
人々はパニックに陥りかけたが、その短い時間に、それぞれが得がたい経験をし、何かが変わった。
この主人公の場合、それは一人の老婆だった。

近未来のネットワーク社会、ほとんどいつもネットにつながっている人々が、それが途切れることで、
何かを得る、そういう話です。
暖かな読後感がありました。とても好きな話です。