こっぱもちの部屋

主に、読書感想のブログです。他に、日常生活で楽しかったことを書くと思います。

『隠し子騒動 妖怪の子、育てます4』廣嶋玲子

2024-08-09 19:51:57 | 読書感想
 
久蔵の双子の娘に声を掛け、強引に父のもとへと連れて行かせた少女おまきは、自分自身も久蔵の娘だと名乗った。
久蔵はというと、おまきとまったく縁が無いわけでもないが娘として迎え入れる事は出来ないと言う。
中身は貧相なのに衣裳が豪華という、身なりがちぐはぐな状態で現れたおまきの事情とは?

幼い頃に人の世から隔絶されてしまうと、感覚がこうなってしまうのでしょうか?
騒動が収まるかにみえて、まだ火種が燻っていそうな状況。
まだまだ黒幕が隠れていそうで、今後が気になるところです。
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『spring』恩田陸

2024-08-05 20:19:38 | 読書感想
 
深津純の語りから始まるこの物語。

のちにバレエダンサーで振付師となる萬春についての話です。

JUNこと純のHALこと春の出会いは、バレエのワークショップ。
HALは時々、どこかを見ていた。
JUNも見られているようで見られていない、全体を見ているような不思議な見方が気になっていた。
HALの周りには、数多溢れんばかりの才能を持った少年少女が、きらめくばかりに存在していた。

2番めの語り手はHALの叔父の稔。
3番目は彼と同じバレエ教室に通い、のちに作曲家になった滝澤七瀬。
4番目にして、ようやくHAL本人が語り始めます。

そこまで3人の関係者が見てきたHALの真意はどこにあるのか?何を感じ考え思ってきたのか?
そういう意味では、この物語にはミステリ要素も強いのかもしれません。

あと、私の勝手な見方ではありますが、もしかしたら恩田さんは「さすがにこれは映像では再現できまい」という「挑戦状」と言うと語弊がありますが、小説でのみ描ける物語を書こうとされたのではないかと感じました。
すべての登場人物の個性がが生き生きと息づく、素敵な群像劇でもありました。
他にも現代ならではの個性もあるのですが、読んでからのお楽しみという事で強くお薦めします。
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コミックス『ひらばのひと(5)』久世番子

2024-07-28 20:27:52 | アニメ・コミック・ゲーム
 
講談師の物語ももう5巻です。
今回、最後の講釈場の焼失までの経緯が明らかになります。

あまり講談に詳しくはなかったおかみさんですが、若くしてだんなを亡くした後も何とか講談を盛り上げようと努力を続けるのですが、男の講談師がああいう了見では彼女も続ける気が失せようというものです。

またもう一つ、泉太郎に後輩講談師が出来るのですがこれが曲者でして、これだけで終わらないような気がするんですよねえ。
今後が気になります。

あと物語には関係ありませんが、表紙絵の構図と言いますか泉花ねえさんの着物に炎の光が当たって、明るくなっているのがとてもいいなと感じました。
もしかして流行りだったりしますか?
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『アンソロジー 舞台!』近藤史恵 笹原千波 白尾悠 雛倉さりえ 乾ルカ

2024-07-25 20:28:36 | 読書感想
 
舞台をテーマにし、近藤史恵さんも書いていらっしゃるアンソロジーと伺って、興味津々だったこの本。
どのような舞台が繰り広げられるのかと、楽しみにしていました。

まずは冒頭、いい意味で裏切られました。
歌舞伎に行くかと思いきや、違う方向から魅せて下さいました。
それは2.5次元の舞台。
アニメやゲームの世界を舞台で表現するというものですね。
ここではさほど売れない舞台俳優に、主要キャストの体調不良による降板によってその役が舞い込んできます。
しかし、それまでの俳優で感情移入してきた観客の動揺や拒否感、役を演じる上での他の役とは違う役者としてのオリジナリティの否定など、なかなか大変そうで。
果たして本番までに、もしくは本番中に問題は解決するのか?
とても興味深く、面白かったです。

他の作品もバレエの衣装に携わる方々の話や、劇団〇〇を連想する劇団の脇役ばかりやっている俳優の思いや、逆に観客側の物語などもあって、色々と楽しませていただきました。

特に一度でも舞台をご覧になった事のある方には、強くお薦めします。
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『安野先生のふしぎな学校』in北九州市立美術館 本館

2024-07-24 20:58:32 | 美術館・博物館
今日は、北九州市立美術館本館で開催されている安野光雅さんの展覧会『安野先生のふしぎな学校』を観てきました。

安野光雅さんは昔、小学校の教師をなさっていた時期があったようで、それにちなんで安野さんの作品を授業の科目に見立てて並べるという面白い展覧会になっていました。

最初はこくご。
「マッチ売りの少女」と影の国の見張り番が出逢って起こる幸せな物語で、安野さんの優しさを感じるものでした。
また、切り絵のカルタ!素敵でした~♪
要は昔ながらの「犬も歩けば棒に当たる」という定番なのですが、切り絵が素敵過ぎて再版して欲しいと思っています。

二時間目はさんすう。
風景の中の色んなものの数が、1~12まで増えていきます。
図録には今回なのか前期だからなのか展示されていなかった、絵本の2の内容も載っていましたので、より楽しんでいます。

三時間目では、ずこう・おんがく。
細密な風景画の中に動物の絵が隠されていたりと、面白いです。
おんがくは「歌の絵本」の絵が展示されていました。

四時間目はりか。
天動説から地動説への、人々の考え方の変化とその過程における悲劇などもやわらかい表現ながら描かれていました。

他にも自由研究などここでは書いていない内容もありますので、よろしければご観覧なさると穏やかな気持ちになるとともに、お茶目な考えももたげてくるという不思議な感情も味わえます。

写真は撮影可のところで撮っております。
雰囲気だけでも味わってください。

日頃、展覧会では図録を買う事は少ないのですが、今は亡き安野さんをしのびつつその優しい水彩画のタッチを味わいたいと購入しました。

展覧会後、次のバスが一時間後だったので、美術館内のカフェでハヤシライスをいただきました。
本当は、安野さんにちなんだメニュー「おとなさまランチ」をいただきたかったのですが、微妙にお高めだった為断念しました。
とはいえハヤシライスも、オムレツのようなとろとろの卵が載ったライスにハヤシをかけるというもので、なかなか美味しいものでした。

カフェからの景色は、北九州市内が森の緑と家並み、海沿いには工場地帯と自然と人工的なものがほどよく共存しているもので、何となく「安野さんに描いていただいていたら、どんなタッチだろう?」と空想しながら眺めていました。
この写真は美術館を出たところから撮影しているのでカフェより一階分低めではありますが、こんな景色です。

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